インドア派の城に戻る


第13話 「殺しのメロディーを弾け!」

 

急な用事が入りまして、更新が少々遅れてしまいました。前にも言ったかもしれませんが、このインドア派の城だけは、おいそれとすぐに更新できる

わけではないので、その辺りが本当にやっかいです。しかし、やっかいな事でも楽しいなと思う事であれば、自然と興味が沸くもので、またそれがあ

るからこそ、こうしてインドア派の城の更新が続いているという事でもあります。さて、このケバン刑事第13話ですが、今回はどんな展開が繰り

げられていくのでしょうか? では、どうぞご覧下さい。

 

もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。

 

◎今回の登場人物

 麻宮サキ:鷹の羽学園2年B組の女子生徒で主人公。その正体は、ヨーヨーで悪を懲らしめるスケバン刑事。

 野分三平:鷹の羽学園2年B組の男子生徒。サキに惚れている。

 沼重三:鷹の羽学園2年B組の担任教師。今回も出番は少なそうな予感が・・・

 海槌亜悠巳:突如として現れたサキの強敵。またしてもサキに魔の手を向ける。

 海槌久巳:栄光芸術学院の女子生徒で、亜悠巳の妹。全日本ピアノコンクールで優勝するために卑劣な手段をとる。

 神恭一郎:サキを見守る暗闇機関のエージェント。いつもクール。

 黄金コンビ:ピアノを見せられても「ド」の位置さえ分からないナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー

さあ、ストーリーのほうは今回も、前回の第12話を軽く振り返ることになります。第一部の時とは違い、第二部では話の重要性もそれなりに高いよう

で、こうして前回のあらすじを振り返ることが多いようです。ではそのナレーションを聞いてみましょう。

 麻宮サキの前に突如として現れた恐るべき強敵、海槌亜悠巳。悪魔のような女、海槌亜悠巳。

 果たして彼女は、新たなる陰謀を引っさげ、サキの前に再び現れるのだろうか!?

と、こうした説明の間に、ポイントとなるシーンも2つばかり映し出されました。1つは、例の崖でサキが亜悠巳に銃で撃たれるシーン。ていうか、これ

は前々回の事なのでは・・・。相変わらず強烈なワンシーンとして強く残っています。そしてもう1つは、サキが刑事であることを知った三平が驚きの

表情でサキに聞いているところ。あの両者ノックアウトとなったサキVS亜悠巳の対決場面が出なかったのはちょっと意外でしたが・・・。以上、振り返

ったところでいよいよスタートです。

 

さあ、今回は夜のシーンから始まりました。閑散とした夜道をたった1台の車が走っております。乗っているのは、運転手が椎名幸一、助手席にそ

の妻、そして後部座席には娘の椎名純子がいます。・・・とまあ、いきなり無名の3人家族の紹介をしましたが、その詳細はまた後ほど明らかになる

ことでしょう。さて、笑顔がこぼれ、幸せそうにドライブを満喫している3人。信号が青から黄に変わり、これから赤になろうとしたその時、ブレーキ

を踏んだ幸一でしたが、何とブレーキが利きません。これにはもちろん焦る幸一。何度踏んでもやはり減速してくれません。幸い今の信号で

は横から車が来なかったので助かりましたが、依然ピンチが続くことに変わりはありません。停まることの出来なくなった幸一の車。「お父さんどうし

たの!?」と、純子も当然焦ります。スピードメーターも70キロを差し、停まるどころかますますスピードが乗ってるような幸一の車。純子はついに、

「助けてー!! お父さーん!!」と叫びました。さらには対向車も向かってきて衝突しそうになりましたが、これをハンドルを切って何とかかわした

幸一。そうです。こうなったらもう、あなたの運転技術に全てが懸かっているのです。しかし、とうとうここで悲劇が起こりました。今の対向車をよけた

勢いで、車はガードレールをぶち破り、その下に落ちてしまいました。この衝撃で、気を失った幸一夫妻。「お父さん! お母さん!」と純子が必死に

呼びかけるも、2人は全くビクともしません。純子は車から少し離れ、「誰かー! 誰か来てー! 誰かー!!」と助けを求めましたが・・・・・

 ついに車は燃え、中にいた幸一夫妻は亡くなってしまいました!

せっかく幸一という名前だったのに、その最期はとてもじゃありませんが幸せではありませんでした。2人を焼き尽くしている車を見ながら「お父さ

ん!! お母さん!!」と泣き崩れる純子を映したところで、いつものオープニングシーン。そして、ここから物語が本格的に始まっていきます。

 

6日経ちました。なぜ6日なのか、それは後で分かります。もう夕方頃でしょうか・・・。学校が終わり、雨のなか傘を差して帰宅しているサキと三平。

2人は、もう間もなくマンションに着こうとしています。しかしそのマンション前では、昨夜両親をいっぺんに失ってしまったあの悲劇の少女、椎名純子

も差さず、ずぶ濡れの状態で立っていました。「麻宮サキさんですね・・・」と、力なく言う純子。それにつられるように「ええ・・・」と小声

で答えるサキ。さあ、夏とはいえ、こんな雨のなか女の子が長時間傘なし状態でいてタダで済むわけがありません。純子はその場にバッタリ倒れて

しまいました。「どうしたの!?」と、今度は一転して大声を出し、走り寄るサキ。「しっかしてして!」 純子を起こし、彼女の額に手を当てるサキ。

 「すごい熱・・・! 三平くん、早く部屋に運んで!」

ここがサキのマンションで助かりました。「うん。」と言って三平は純子を部屋に運びました。純子が持っていた音楽道具を映したところでサブタイトル

紹介。

 〜殺しのメロディーを弾け!〜

しかしまあ、なんでこういつも怖そうなサブタイトルばかりなんでしょうか・・・。いや、確かにすでにオープニング前に2人亡くなってますし、この後も何

かと色々起こりそうです。

 

サキたちは純子を病院には連れていかず、直接医者をサキの部屋に呼んで診てもらっていました。どうやらその診察も終わったようです。帰ってい

く医者に「どうもありがとうございました。」 「ありがとうございました。」と丁寧にお礼を言う2人。当の純子は、サキのベッドに寝かされております。

「軽い肺炎か・・・。大した事なくて良かったよ。でも誰なんだろう? サキ、全然見覚えないんだろ?」と聞いてくる三平に対し、サキは何も言いませ

んが、どうやらこの様子からすると本当に見覚えはないようです。ただ、そうだとすると、なぜ純子がサキを尋ねてきたかが疑問として残るところで

はありますが・・・。そんなサキが、純子の持っていた2つの楽譜を手にし、読みました。「ショパンの幻想即興曲・・・。プレリュード・・・。」 何か言い

たそうな顔を純子に見せるサキでしたが、当の純子は今すっかり眠っております。とここで、電話が鳴りました。サキが三平に「あんた出て。」と言

えば面白いんですが、そんなギャグがこの場面であるわけがありません。サキが出ました。「はい、麻宮ですけど・・・」

 「サキ。新しい指令が出た。」

かけてきたのは神でした。「それどころじゃないのよ。変なお客が転がりこんできてさ・・・」 「分かっている。その客の名前は椎名純子。今回の指令

に直接関係のある人物だ。勉強机の中にビデオテープが入っている。すぐに見てくれ。」 それだけ言って、神は一方的に電話を切りました。それに

しても、勉強机の中にビデオテープが入っているって、留守中に勝手にそんな事をするなんて本来ならこれ完全ストーカー行為ですね。でも、このス

ケバン刑事ではもちろんそうではありません。あと今の電話で、なぜ純子がサキを尋ねてきたのかも、これで合点がいきました。さあ、そのビデオテ

ープをさっそく見たいところではありますが、三平がいてはそれをする事が出来ません。いや、もうサキが刑事であることを知ってしまったので特に

コソコソ必要はないんですが、サキとしてはこれ以上三平を巻き込んではいけないという思いがあるのでしょう。

 「ありがとう三平。後は私1人で大丈夫だから・・・。もう帰っていいわ。」

と、帰らせようとしました。「待ってくれよ! 今の電話、あのポルシェの男からじゃないのか? サキ。俺、口出しするつもりはないけど、でもこない

だみたいにまた危ない目に遭うんじゃないかと思うと心配で・・・」 「ありがとう。でも、ホントにもう大丈夫。」 結局サキに言われた通り、帰ることに

なった三平。でもまだ少し納得がいかないようで、マンションを出ても、サキの部屋のほうを1回振り返りました。まだ雨が降っている中、帰ろうとする

三平。するとここで、何と神がポルシェに乗ったまま三平の前に現れました。右手だけで「乗れよ」というジェスチャーをする神。そんな神を、三平は

少し睨みつけながらポルシェに同車しました。

 

さあ、言うまでもありませんが、サキはビデオテープを見ようとしています。今回の指令は一体如何なる事なのか・・・。ビデオを再生すると、画面に

はまず第11話でも登場したあの暗闇指令の後姿が現れました。なぜに後姿なのか・・・。現時点ではまだ正体を隠しておきたい、そんな意図が感じ

られます。そういえば、第11話でも声だけの登場でしたし・・・。その暗闇指令が、後ろ向きのまま喋り出しました。「こんにちはサキ。この指令が届く

頃は、椎名純子がすでに君のところを尋ねていることと思う。」 しかしこのサキが指令を受ける場面を見ていると、AKB48ネ申テレビでAKB

のメンバーがムチャぶり指令をモニター越しに聞いている場面を思い出します。もしかしてネ申テレビの指令の出し方って、このスケ

バン刑事のを真似たんじゃないだろうか・・・と、今になってふと思ってしまいました。さあ、いつまで経っても先に進まないので話を元に戻しましょう。

引き続き暗闇指令の声からです。「彼女は6日前起きた交通事故で、一度に両親を失った。父親の椎名幸一は、栄光芸術学院音楽部学部長で、

若い頃は天才ピアニストと騒がれた人物だ。事故の検証の結果、他殺の疑いもあるとして捜査が開始された。そこで今回の君の指令だが、しば

らくのあいだ彼女(純子)を預かってほしい。」 「預かる・・・?」 「鷹の羽学園への転校の手続きもすでに取ってある。よろしく頼む。」 ここ

でテープは切れました。もちろんこの説明の間は、暗闇指令の後ろ姿だけがずっと映されていたわけではなく、椎名幸一の顔写真、事故の現状な

どが出ておりました。

 

一方三平は、神によって何処かの広い廃屋に連れてこられていました。2人きりとなった神と三平。「こんなところへ連れてきて、どうするつもり

だ?」 「これ以上サキに近づくな。君はサキが刑事だというのを知ってしまった。彼女には危険が付いてまわる。近づきすぎて、君まで危険にさらす

わけにはいかない。分かるな? 遊びじゃないんだ。あきらめろ。」 さあ、三平は素直に言うことを聞くでしょうか? ところが・・・

 「いやだ! 誰が何て言ったって、俺はあきらめねーぞ!」

と、まったく聞く耳持たずです。すると神は、突然ナイフを出し、三平に向けて投げました! おいおい、ちょっと言うこと聞かなかっただけでいきなり

殺す気!? いや、そうではありません。わざと三平に当たらないように投げていました。そして、

 「本物の恐怖はこんなものじゃないぞ。分かったら近づくな。」

と言い、この場を去ろうとしました。しかし、三平は当然納得がいきません。下に転がっていた鉄パイプを手にし、神に向かっていきました。しかし、

それを難なくかわしてしまう神。逆に三平を軽く突き飛ばしました。今度は鉄パイプを持たず素手で立ち向かっていく三平。しかし何度やってもかわ

され、そして投げ飛ばされてしまいます。とうとう起き上がることも困難なほど息切れしながら倒れてしまう三平。それを見て、今度こそあきらめたか

といった感じで再び去ろうとする神。それでも三平は神の足をつかみ、死に物狂いの表情で言いました。

 「まだだ! まだ・・・勝負はついてない!」

このしぶとさには、さすがのクールな神も頭に来るのではないだろうか・・・。でも神はここで、意外なことを三平に言いました。「実はサキはこれか

ら、今まで会ったこともないような恐ろしい相手と戦わなくてはならない。下手をすれば命も落としかねない。」 これを聞いて驚く三平。さらに神は次

のように言いました。

 「彼女(サキ)の心の支えになってくれるか? 辛い時、苦しい時、

  サキを助けてやってくれるか? もちろん、私も命をかけて彼女を守る。どうだ?」

あきらめろと言ってましたがついに根負けした神。三平の勝ちですね。三平も神に対し、初めて笑顔を見せました。

 

再びサキの部屋に場面を戻しましょう。夜になりましたが、まだベッドから起き上がることの出来そうにない純子。「お父さん・・・。お父さん・・・。お父

さん・・・」と、うなされております。なぜ「お母さん」と言わないのかはちょっと分かりませんが、そんな苦しそうな純子を手厚く看病しているサキ。さっ

そく暗闇指令から言われた仕事をしております。そして夜が明けました。ベッドは純子が使っていたため、居間の椅子で座って寝ていたサキ。目を

覚ましました。同時に、純子も目覚めたようです。熱が下がり体調は元に戻ったようですが、やはり両親を亡くした精神的ショックは大きい純子。目

からは涙が流れていました。

 

さあ、体調が戻ったところで今度は気分転換。原宿でしょうか、サキは純子を連れてショッピングに来ました。さすがはサキですね。ただ一緒にい

だけが、元気づけるという事ではありませんから・・・。今日は昨日のような雨天ではないので、ショッピングには最適です。そのショッピ

ングも一段落ついたようで、サキたちは近くの席に腰を下ろしました。「・・・全日本ピアノコンクール?」 「来月の10日開かれるんですけど、新人の

登龍門と言われていて、4年に一度しかない大会なんです。」 「そう・・・」 サキに助けてもらった義理からか、あるいはサキのほうが1学年上なの

か、とにかく純子はサキに対して敬語を使っております。「私、子供の頃から父のようなピアニストになりたいって、いつも思ってました。だから、優勝

なんか出来なくもいいんです。父のはなむけに頑張りたいんです。」 「偉いわ純子。」 「それで、出場する前に川崎先生に演奏を聴いてもらおうと

思うんです。」 「川崎先生・・・ってまさかあの、世界的ピアニストの川崎敏弘!?」 「ええ、そうです。先生は父の愛弟子なんです。」 ピアノの世界

のことは全く無関心のサキが知ってるということは、それだけこの川崎敏弘という男は有名であることが言えます。もっと言えば、その男の師匠であ

った純子の父は、さらに凄い男ということになるでしょう。まったく・・・娘を残して死んでる場合じゃありませんね。「父が亡くなった後、栄光芸術学院

の音楽部学部長になってるんですけど、コンクールの審査員でもあるんです。」 純子のピアノへの熱意を知って感動するサキ。

 「へェ〜、頑張んなさいよ。」

と、応援の言葉をかけました。

 

サキと純子は制服に着替え、栄光芸術学院にやってきました。ピアノがスッポリ入るくらいの大きな音楽室で、川崎が来るのを待つ2人。その川崎

が「あーどうも。お待たせしました純子さん。」と言って入ってきました。「すいません突然お尋ねして・・・。父の葬儀の時は何かとお世話になりまし

た。」と丁寧に挨拶する純子。「いえいえ。」と言う川崎。おぉ〜、この川崎という男、痩せ型でなかなか紳士的な感じです。「・・・あ、紹介します。こち

ら、先輩の麻宮サキさんです。」 なるほど、やはりサキのほうが純子より年上でしたか・・・。純子に紹介されて「はじめまして。」と川崎に頭を下げる

サキ。川崎も軽く会釈をしました。さあ、ここからが本題です。「ところで、今聞いたところでは、全日本ピアノコンクールに出場するんで私に演奏を聴

いてもらいたいとか・・・」と、自慢のネクタイピンをさわりながら言う川崎。「はい。お願いできるでしょうか?」 「ん〜あのコンクールは難しいです

よ。権威がありますからね。とにかく、聴かせてもらいましょう。」 「はい。」 ピアノに向かう純子。そして、曲を弾き始めました。なかなかの腕前を見

せる純子。音楽室に美しい音色が響き渡り、サキもまたうっとりと聴いております。そして川崎は・・・・・・こめかみに手を当て、やや難しい表情を見

せるかと思うと、今度は立ち上がり、ゆっくりと歩きながらまるで考え込むような表情で純子の演奏を聴いております。さて、純子の演奏姿に注目し

ていたサキでしたが、この音楽室の天井に1台のカメラが設置してあることに気づきました。あれは一体何だろうという顔つきで、そのカメラを見つ

めるサキ。実はこのカメラは、この音楽室内を監視するためのものでした。最近はゴミステーションなんかでも監視カメラが設置されているようです

が、この時代ではそんな事はないでしょう。さあ、そのカメラを通じて、

 今のこの音楽室の様子を、つまり純子の演奏を、

 別室で見ている1人の女生徒がいました。

そしてなぜか、超不機嫌そうな顔をし、握りこぶしをした右手で机を強く叩いております。彼女の名前は海槌久巳。この栄光芸術学院の生徒です

が、海槌という事はもしかすると・・・。さあ、純子の演奏が今ようやく終わりました。良かったなぁ〜という顔を見せるサキ。妙な動作を見せながら聴

いていた川崎も、拍手をして「素晴らしかった純子さん。」と褒めました。「ホントですか!?」と純子。褒めた川崎ではありますが、「ただ難を言えば、

荒削りで演奏がちょっと固い。」と厳しい意見も述べました。「ええ!?」と、これにはちょっと驚く純子。そして、

 「今度の出場はあきらめた方がいいでしょう。君はまだ若いんだ。焦ることはない。」

と、川崎に言われました。「じゃあ、僕はこれで失礼します。」と去っていく川崎。その姿は最後まで紳士的でしたが、サキと純子はどうも納得のいか

ないまま、しばらくその場に立ち尽くしました。

 

ここでこの話の前半が終了です。川崎にコンクール出場はまだやめておいた方がいいと言われた椎名純子。純子は果たしてこのまま出場を辞退す

るのか!? 椎名幸一の事故死に隠されていた真実とは一体何か!? そして後半では、ついにサキと純子に死の恐怖が迫ることに・・・!

後半は、こちらです。


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