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第12話 「サキ!おまえはもう死んでいる!」

 

最近、全然予期しない時間帯に雨が降ります。私は3時間置きの天気予報を常に注意深く見ていて、その天気予報で降水量が0であれば雨は降ら

ないだろう、降ったとしても一時的なもので、少しのあいだ雨宿りしていれば止んでくるだろう、という判断をしているんですが、この頃はそれが当て

ならないほど長時間雨が降り続いたりしています。てことは、私のこの天気予報の見方は、まだまだ甘いという事なのかもしれません。さて、この

ケバン刑事第12話ですが、今回は決して甘くない戦いがサキを待ち受けています。果たしてそれはどんなものなのでしょうか? では、ごゆっくり

とご覧下さい。

 

もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。

 

◎今回の登場人物

 麻宮サキ:鷹の羽学園2年B組の女子生徒で主人公。その正体は、ヨーヨーで悪を懲らしめるスケバン刑事。

 野分三平:鷹の羽学園2年B組の男子生徒。サキに惚れている。

 沼重三:鷹の羽学園2年B組の担任教師。生徒に重傷を負わせた疑いで逮捕されたが・・・

 海槌亜悠巳:突如として現れたサキの強敵。プロ級の銃の腕を持つ。

 神恭一郎:サキを見守る暗闇機関のエージェント。いつもクール。

 黄金コンビ:世の中に本当にスケバン刑事がいてくれたらなぁ・・・と本気で思っているナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー

さあ、ストーリーのほうはまず、前回の第11話を軽く振り返ることになります。上記で示している通り、このページでのナレーションは私が務めており

ますが、物語のほうの実際のナレーションもちゃんとあります。ではその私なんかよりも100倍上手いナレーションで、前回のあらすじを振り返って

みましょう。

 平和な鷹の羽学園に突如として現れた3人の転校生・・・。彼女たちは表面上ごく平凡に見えた

 が、裏では恐るべき陰謀をめぐらせていた。生徒会長兼剣道部主将の三井律子が重傷を負わ

 され、今や生徒たちの支持を取りつけ、完全に鷹の羽学園の生徒会を牛耳った横山、田川、

 宮原の3人・・・。

と、こうした説明の間に、ポイントとなるシーンもいくつか映し出されました。三井が頭を殴られて倒れるシーンも衝撃的でしたが、それ以上に凄いの

は、やはり海槌亜悠巳が麻宮サキを銃で仕留めるシーンではないでしょうか・・・。さあ、準備も整い、今回もまた同じオープニングシーンを見せたと

ころで、物語が本格的に始まっていきます。

 

「サキぃー! サキぃー!」と、川に落ちてしまったサキを相変わらず探している三平。もう川の水に浸かることを全然躊躇しておりません。足元だけ

でなく、上半身のほうの服もビショビショです。その苦労の甲斐もあって、とうとう見つけました! 「サキ!!」 急ぎ足で向かう三平。しかし、問題の

サキはグッタリとしていて生きてるか死んでるか分からない様子・・・。「サキ! しっかりしろ!」と、三平がサキの体を揺すったところでサブタイトル

紹介。

 〜サキ!おまえはもう死んでいる!〜

今回のサブタイトルはすごいですね。何だかもう、番組そのものが変わってしまうんじゃないかという感じです。

 

生死は定かではないですが、とりあえずサキを見つけた三平。サキを抱えて、この川の近くに建ててあった無人の小屋までやってきました。いや、

小屋というよりも小さな家といった造りでしょうか・・・。窓なんかもなかなかよく出来ていて、おまけにカーテンまであります。こんな無人の小屋がこ

んな場所に都合よくあったなという気もしますが、その辺はあまり深く追求しないことにしましょう。三平は、あまり綺麗とは言えませんが、毛布のよう

なものをかけてサキを寝かせました。「サキ、目を覚ましてくれよ! サキ!」と、今にも泣きそうな三平。さあ、サキの状態はどうでしょうか・・・? ど

うやらまだ息があるようなので生きてはいますが、ただ、左肩に弾痕が痛々しく出来ております。左肩・・・ということは、心臓命中はかろうじ

て免れました。そんな虫の息状態のサキの額に手を当てる三平。

 「すごい熱だ・・・。どうしよう・・・」

こうして重傷を負った人間というのは、よく高熱を出してしまうもの。サキも例外ではありませんでした。「待ってくれ。いま医者を呼んでくるから。」 

三平は小屋を出ていきました。さあ、さっきまではサキを探していましたが、今度は医者を探さないといけません。まずはちょっと走ったところに、一

軒家を見つけました。「すいません! 誰かいませんか! すいません! 誰かいませんか! 誰か!」 しかし、応答はまったくなし。留守なのか、

この家には今は誰もいないようです。諦めて別の家、人を探す三平。携帯電話のある時代ではありませんので、とりあえずは誰かの家に行って電

話を借りるなりしないといけません。「死ぬなよサキ。死ぬなよ!」と心で呟きながら、三平は走り続けました。

 

結局誰とも会うことは出来なかったのか、三平は小屋に戻ってきました。しかしサキのそばには、すでに誰か来ています。え、まさか!? 三平は医

者を呼べなかったはずなのになぜ・・・!? いや、それは医者ではありませんでした。神恭一郎でした。医者ではないと言いましたが、それに近

い手当てをサキにしている神。その様子を、三平は複雑な面持ちで見ております。「神・・・」 サキは少しは良くなったのか、言葉が喋れるようになり

ました。言葉だけではなく涙まで・・・。やはり相当痛いようです。

 「泣くやつがあるか。サキらしくないぞ。こんな傷、すぐ治る。」

と、元気づける神。メスで傷口から弾を取ろうとしています。おそらく麻酔を効かせてやっているのでしょう。麻酔なしだと相当痛がるはずですか

ら・・・。その麻酔が効いたせいなのか、この神の手当ての最中に、サキは少し眠ってしまいました。その時サキは、幼い日の忌まわしい出来

を夢で見てしまうことに・・・。燃えさかる家の中で血のついた包丁を手にしたサキの母親が、その場でグッタリと倒れてしまうあの忌まわし

い光景を、夢の中で見てしまいました。やがて夜も明け、サキも目を覚ましました。・・・が、神の姿はもうありませんでした。でも、三平はいました。

「目が覚めたかい、サキ。」 「神は?」 「いない。手当てが終わったら消えちまったんだ。」 いや〜、手当てだけしてさっさと帰ってしまうとは・・・。

礼など必要ないという事でしょうか、なかなかカッコいいですね。その神に用があったのか、「そんな・・・!」と慌てて起き上がるサキ。「ダメだよ動い

ちゃ・・・」 

 「どうして!? どうして止めてくれかったの!?」 

「サキ・・・」 そんなにあの男のことを・・・? 三平のそんな切ない思いが伝わってきそうです・・・。

 

場面は変わって、道路を走っている1台の車が映し出されました。渋滞どころか実に閑散とした道路。この1台しか走っておりません。ということは、

朝の忙しい時間を通り越して今は昼間といった所でしょうか・・・? そしてその車の後部座席には・・・・・・あの海槌亜悠巳が乗っていました。しか

も、何なんでしょうかこの格好は・・・。赤ネクタイの制服姿、おまけに三つ編みと、なぜかかなりいい子ぶっています。サキを銃で撃った時の

あのワイルドな黒服のライダー姿とは、まるで別人のようです。さあ、このいい子ぶった姿で今度は何を企んでいるのでしょうか? そんな亜悠巳の

向かった先は、鷹の羽学園の生徒会室でした。ちょうど会議の途中だったのか、生徒会役員は全員そろっています。そこへ亜悠巳、それから横

山、田川、宮原の3人も入ってきました。「こちらは関東生徒会連合の会長、海槌亜悠巳さんです。今日は連合加入の勧誘に見えたようです。」と、

この鷹の羽の生徒会役員でもある横山が、みんなに亜悠巳のことを紹介しました。「関東生徒会連合?」 何のこっちゃという感じで、こないだの役

員会で議長を務めた男子生徒が聞き返しましたが・・・。ではその関東生徒会連合会長、亜悠巳のロングトークを聞いてみましょう。

 「日本の乱れた高校の秩序と規律を正常化することを目的とした組織です。鷹の羽学園の皆さ

  ん。自主管理委員会の発足、おめでとうございます。我が生徒会連合のモットーは、己に厳しく

  です。皆さんも二度と学園にスケバンや暴力をはびこらせたくなければ、己に厳しくなること

  です。ちょっとした心の緩みが、すべてをぶち壊します。女子生徒は長髪を編むこと、パーマは

  かけないこと。男子生徒は制帽を必ず被ること。せめてこのくらいは実行してほしいものです。」

とまあ、見事なまでに真面目ぶりを披露した亜悠巳。100点満点・・・と言いたいところですが、「ぶち壊す」と言ったところをもう少し丁寧な言葉に置

き換えてくれていたら、もう完璧だったわけですが・・・。でもそれでも、ここにいる生徒たち全員を感動させました。「賛成!」 「賛成!」と、拍手しな

がら立つ生徒たち。それを見ながら、亜悠巳は満足そうに不敵な笑みを浮かべました。

 

さあ、この亜悠巳のとった行動がますます鷹の羽学園の校則を厳しくすることとなりました。サキのクラスの2年B組の教室では、第11話でほんの

わずかしか登場のなかった一子が、「えー、三つ編みにするの!? 冗談じゃないわ・・・」と早くも不満を爆発させています。そして、「規律自主管理

委員」と書かれたタスキをした生徒も増えてきました。そんな様子を、目立たない場所で隠れて見ている美也子たち5人。おお、いつのまにか5人と

もケガが治っているではありませんか。「一体学校はどうなるんだよ・・・。」と心配する者もいれば、「何がスケバン追放だよ。あの3人ネコかぶりや

がってよ・・・」と、こないだ横山たちに叩きのめされた恨みを口にする者もいます。さて、番長の美也子はどんな発言をするのか楽しみでしたが、

 「こんな事なら、サキにスケバン譲っとけば良かった。」

と、意外にも控えめなお言葉が出ました。そして今度は、そのサキの話題へと変わりました。「そういえばさ、この2、3日、サキの姿ぜんぜん見ない

じゃん。」 「三平も。」 「それがさ、連中に殺されたって噂だよ。」 いやいや、殺されそうになったけどかろうじて助かってるから。あと、三平は全然

大丈夫だから。ま、噂なんてこんなものでしょう。さあ今度は、校長室の様子を窺ってみましょう。今この校長室に何人かの教師が集まっておりま

す。やはり生徒たちだけで勝手に発足した自主管理委員、ならびにその勢力の拡大は、教師たちにとっては脅威なものとなってきたようです。

「どうするつもりですか校長! このまま生徒会を放っておくつもりですか!?」 「校長、あれではやりすぎです! すぐやめさせるべきです!」 「や

めさせろと言ったって、一度任せたものを取りあげる事になりますからね。火に油を注ぐ結果になりかねませんよ。」と、校長を囲むようにして次々と

キツイ言葉が飛び交っております。それを聞いて校長は、「誠意を尽くして生徒たちと話し合いましょう。それしかありませんよ。」と頼りなくまとめよう

としていますが・・・。その校長の隣にいる教師が、再び口を開きました。「しかしこんな事になったのも、関東生徒会連合会長海槌亜悠巳のせいで

すよ。あれは一体何者ですか?」 すると校長は、誰もが望まない顔面ドアップで次のように教えてくれました。

 「彼女の父親はね、海槌剛三さんですよ。

  海槌亜悠巳は、日本の6大財閥の1つ、海槌家の令嬢なんです。

そう言って困った表情で腕を組む校長。なるほど、先ほど頼りない発言をしたのも分かるような気がします。逆にさすが校長と言うべきでしょうか、こ

の巨大な海槌家のことを少し知っているようです。

 

さあ、サキの回復具合も心配ですが、三井の容態のほうも心配です。今度は三井の入院している病室の様子をご覧いただきましょう。すでにドアの

ところに、「面会謝絶」と書かれたプレートが飾られております。面会謝絶でも、我々視聴者はもちろん見ることが出来ます。相変わらず瀕死の状態

が続いている三井。すぐそばには看護婦がいるだけ。実に静かな室内です。聞こえる音といえば、ピッピッピッという心電図の音だけ。この心電図

の波形が一直線にならないこと、サキも三平もそれだけは願っていることでしょう。さて、窓のところには、三平の姿が・・・。心配してやってきたよう

です。その三平が、

 「生徒会長さん。サキはあんたが本当に好きみたいだぜ。助かってくれよな。」

と、三井に対し、精一杯の心の声を送りました。

 

次に、今度はある喫茶店へと入った三平。そこでクラスメイトであるタロウを待ちます。しばらくすると、やって来ました。「タロウ。」と呼ぶ三平。「おう

三平。一体どこ行ってたんだよ、ずっと学校休んで・・・」と言いながら、三平と同じ席に座りました。「ごめん。ちょっと訳ありでさ・・・。実はお前を呼び

出したのは学校の様子が聞きたくてさ、例の3人組はどうしてる?」 「それがひでえもんだよ。海槌亜悠巳っていうのが乗り込んできてさ、もうメチャ

メチャ。なんでこんな事になっちまったのかな・・・。最初は自主管理が正しいと思ってたのに・・・。ところで麻宮くんだけどさ、死んだって噂だっての

知ってるか?」 「死んじゃいない。ある場所に俺と一緒に隠れてるんだ。」 「本当か!?」 耳打ちでサキの居場所をタロウに教える三平。「じゃあ

な。」と言って先に店を出て行きました。耳打ちで教えるとは、なかなか用心してますね。・・・と言いたいところですが、この2人のやりとりを1人の女

生徒が見ていました。さてその頃、サキはついに起き上がることが出来ていました。そして、空き缶相手にヨーヨーを投げる練習もしています。これ

で完全に復活か!? ・・・いや、まだまだ。こんな近距離なのに、空き缶にヨーヨーを当てることさえ出来ておりません。そこへ「ただ

いま。」と三平が戻ってきました。とっさにヨーヨーを背中のほうに隠すサキ。無理しちゃダメだろ・・・と三平に言われると思ったのでしょう。「美味しい

もんいっぱい買ってたぜ。」 「ありがとう。キャプテンと学校の様子は見てきた?」 「心配すんなよ。サキは体を治すことだけ考えてればいいん

だ。」と言いながら、買ってきたもので早速食事の準備を始める三平。その姿は、意気揚々としています。

 

意気揚々としている三平とは正反対に、友人のタロウは今とんでもない目に遭っております。バシッ!と殴られ、「助けてくれよ〜!」と泣き声を出し

ながらふっ飛ばされているタロウ。その相手は・・・・・・亜悠巳たちでした。亜悠巳と、横山、田川、宮原、それからさっきの喫茶店にいた女生徒もい

ます。なるほど、この女生徒もまた亜悠巳の配下だったわけですね。「麻宮サキが生きている!?」と興奮気味に言う亜悠巳。「知らないよ! 俺は

何も知らないよ!」と、精一杯とぼけようと努力するタロウ。

 「あの女、一筋縄ではいかないと思ったが・・・・これはまた面白くなってきたわ。

亜悠巳は無言で田川に指示しました。田川もやるべき事は分かっていました。タロウに近づき、「一体どこに隠れてんだ? 言うんだよオラ!」と往

復ビンタをしました。うわ、これは強烈です。さあ、今度は再びサキたちの隠れている小屋ですが、ここにあの例のバイク集団がやって来ました! 

やはり顔は白い面で隠されており、いつ見ても不気味です。彼らの来襲に先に気づいたのは、三平でした。「大変だサキ! 連中が現れた!」

とっさに起き上がるサキでしたが、「やめろ! その体じゃ戦うのは無理だ!」と三平は止めました。窓を閉め、机等でバリケードを作る三平。しかし

バイク集団はこれ以上襲ってくることはなく、何もしないで退散していきました。そういえば以前も引き上げていくシーンがありました。あの時は亜悠

巳にサキを銃で仕留めさせるという計らいがあったわけですが、果たして今回は・・・? 静かに窓を開けて外へ出てきたサキと三平。するとそこに

は、体を縛られているタロウの姿がありました。しかも、顔にはひどいケガも負っています。どうやら田川に往復ビンタされた後も、さらに殴られたよ

うです。「タロウ! しっかりしろ!」 すぐに縛ってある縄をほどく三平。「ごめん・・・。俺が居場所しゃべったんだ・・・。」と、泣きながら謝るタロウ。い

やいや、誰も責めたりはしません。三平が縄をほどいている間、タロウの足元に手紙があるのをサキは見つけました。その手紙は、亜悠巳からの

挑戦状でした。開いて文面を読むサキ。

 「午後三時までに日生病院へ来い こなければ生徒会長の三井律子が死ぬ 海槌亜悠巳」

すぐに三平の腕をつかんで彼の腕時計を見るサキ。時計の針は、すでに2時35分を回ろうとしていました。

 

ここでこの話の前半が終了です。三井律子の命をかけて、ついに亜悠巳と対決することになったサキ。そのタイムリミットはもう残り25分しかありま

せん。果たして三井を無事助け、亜悠巳を倒すことが出来るのか!?

後半は、こちらです。


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