第15話 「サキ!罠にはまる」
当初の予定では、第15話、第16話、第23話、第24話は書かないつもりでいましたが、この度書くことにしました。少し前でしたが、東映チャンネ
ルでスケバン刑事の放送がありまして、私もたまたま契約をしておりましたので、せっかくでということで録画をし、それを元にこうして書くことに決め
ました。なので、実はそれを見たかったんだという人も、また違うのを期待していた人も、また初めから何も期待してなかった人も、みんな見てもらえ
たらと思います。では、第15話のほう、どうぞご覧く下さい。
もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。
◎今回の登場人物
麻宮サキ:鷹の羽学園2年B組の女子生徒で主人公。その正体は、ヨーヨーで悪を懲らしめるスケバン刑事。
野分三平:鷹の羽学園2年B組の男子生徒。サキに惚れている。
沼重三:鷹の羽学園2年B組の担任教師。今回も出番は少ないが、サキの心強い味方となるか・・・
海槌麗巳:日本支配を目論む海槌一族の長女。アメリカから日本に帰国し、ついに動き始める。
海槌亜悠巳:日本支配を目論む海槌一族の二女。帰国してきた麗巳と共に、再びサキに戦いを挑む。
海槌久巳:日本支配を目論む海槌一族の三女。同じく麗巳と共に、再びサキに戦いを挑む。
海槌剛三:日本支配を目論む海槌一族の主。3人そろった娘たちの腕を確かめる。
神恭一郎:サキを見守る暗闇機関のエージェント。いつもクール。
黄金コンビ:上の8人の名前の文字数を平均したら丁度4文字になるなぁ、というどうでもいい事に気づいてしまったナレーション
(注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)
◎ストーリー
さあ、これまでの第11話から第14話を軽く振り返るナレーションから、この第15話は始まります。では、そのナレーションから聞いてみることにしま
しょう。
関東生徒会連合を率いて鷹の羽学園を制覇しようとした海槌亜悠巳の魔の手を辛くも避けた
サキは、続いて亜悠巳の妹・久巳の陰謀からピアニストを目指す不幸な少女・椎名純子を
救った。だが今、それよりもはるかに恐ろしい敵、海槌家の長女・麗巳がサキの前に
立ちはだかろうとしていた。
サキは、亜悠巳にも、そして久巳にも苦戦を強いられました。その2人よりもはるかに恐ろしい麗巳とは、一体どれほどの力を持っているのでしょう
か・・・? のっけから既にやばい雰囲気が漂ってきております。麗巳たち3人は、新東京国際空港から海槌重工へと向かいました。もちろん、高級
車でです。海槌重工へ着いた3人。麗巳にとっては久々の我が家なわけですが、特に懐かしがる事もなく、亜悠巳、久巳と一緒に2階の剛三の部屋
へ行きました。そして剛三と会った麗巳。これも久々のことです。「お父さま、ただいま帰国しました。」 「綺麗になったな、麗巳。どうだ? アメリカ留
学の成果はあったかな?」
「新戦略理論、ポリティカルシミュレーションテクニック、確率論、意思決定科学・・・。
いつでもお父さまの計画のために役立てることが出来ますわ。」
・・・と、私にとっては何1つとして分からないことを言ってくれる麗巳。新戦略理論の『新』なんて、もしかしたら『真』のほうが正しいのかもしれませ
ん。「お父さまのほうは順調ですの?」 「無論だ。だが、これたちに命じておいた学園統合作戦は少し苦労しているようだな・・・」と、亜悠巳たちの
ほうをチラッと見て言う剛三。麗巳も、「聞いてますわ。」と亜悠巳たちをチラッと見ました。剛三と麗巳の挟み撃ちの視線を感じずにはいられない亜
悠巳と久巳。自分たちの失態を恥じるように目をそむけています。剛三は麗巳に、
「小手調べのつもりで手伝ってやってくれ。お前の手腕を見せてほしい。」
と言いました。これからとんでもない事をしようとしている彼らなんですが、その割にはセリフのほうは何だか淡々としてるなぁと感じたところで、いつ
ものヨーヨーのオープニングシーンの登場。そして、ここから物語が本格的に始まっていきます。
本格的に始まっても、まだサキの登場とはならず、引き続き海槌三姉妹のシーンです。剛三の部屋から今度は麗巳の部屋へと移った3人。黙って
席に腰かけた麗巳に、まずは亜悠巳が言い訳をしました。
「私たちが悪いんじゃないわ! あいつのせいよ! 麻宮サキ!」
さらに、
「あいつを殺してよ麗巳姉さま! 復讐してやりたいの!」
と、つった右腕を見ながら言う久巳。今の言い方、サキに対する恨みは相当のもので、ただでさえキツイ目が、今日は一段とつり上がっております。
片や、新東京国際空港からずっと穏やかでいる麗巳。その麗巳が、「麻宮サキを処分することは容易いわ。でも問題は、サキの背後にあるもの
よ。麻宮サキを使ってこの海槌家の行く手を阻むものものがあるとすれば、それこそ放っておけないわ。」と、2人に言いました。
「スケバン刑事の背後にいる真の敵、そいつをまず引きずり出すことよ。」
相手は現在、野球で例えて言うならば2番手ピッチャーが投げていて背番号1のエースピッチャーはまだベンチに控えている。そのエースピッチャー
をまずは引きずり出さなければなりません。この考え方は、さっき言ってた例の4つの理論のうちの1つなのでしょうか・・・? そこはちょっと分かり
ませんが、とにかくさすがです麗巳。さらに、壁にある日本地図に1つだけポツンとある示されている鷹の羽学園を見る麗巳。
「鷹の羽学園・・・。い
ずれにせよ、ここが戦略拠点となるわ。」
その本物の鷹の羽学園へと画面が変わったところで、今回のサブタイトル紹介。
〜サキ!罠にはまる〜
果たして麗巳の仕掛ける罠とは一体如何なるものなのでしょうか・・・。
さあ、鷹の羽学園のサキのクラスには、林たけしという1人の転校生が来ておりました。私の小学生時代は、自分のクラスに転校生がいっぺんに3
人も来たことがありますが、たいがい転校生というのは、このように1人であります。現在は放課後。たけしは他のクラスの女子たちに追い回され
て、タジタジ状態でいます。それだけイケメン・・・この頃はイケメンなんて言葉は存在していませんでしたが、つまりそれだけいい男であります。そん
なたけしが教室に戻ってきましたが、追いかけていた女子たちもついて来ました。そんな様子を見ているサキ、三平、タロウ、そして他の生徒たち。
「ようよう、この色男。」
と、三平が冷やかしますが、当のたけしは「朝から晩までこれじゃたまんないよ!」と嫌がっております。生徒が学校に晩まで
いるわけがないとは思いますが、とにかくワーワー騒ぐ女子たちの声が静まりません。しかし、それをいとも簡単に静める者がこの教室に入ってき
ました。美也子です。「てめえらうるせーな! ギャーギャー騒いでんじゃねーよ。ここは神聖なる教育の場だよ。うかれてんじゃねーよ! みん
な!」と言って、舎弟たちに女子たちを追い払わせる美也子。その目的は、自分がたけしに近づくためでした。「たけしくん。あなた運がいいわ。私い
まボーイフレンド募集中なの。」と、いつにない笑顔になり、何と投げキッスを・・・。あまりのことに、驚き顔で後ろに倒れてしまうたけし。この時
たけしは、第11話12話でちょいちょい出てきていた一子と目が合いました。少し照れくさそうに目を下に向ける一子。そんな事に気づきもしてない
美也子は、「ねえ、たけしくんってば・・・」と構うことなく体を寄せてきます。「勘弁してくれよ! これから部活なんだから・・・」と再びこの教室から逃げ
るように出ていったたけし。その後姿をうっとりとした顔で見ていた一子ですが、サキがその事に気づきました。さあ、こうして一騒ぎありましたが、よ
うやく落ちついたでしょうか・・・、タロウがまずは口を開きました。「すごいね・・・。転校以来、一週間でたちまちトップスターだぜ。」 「スポーツ万能、
成績優秀、容姿端麗・・・。だけどそんなの面白みに欠けるよな・・・」 「そう。軽薄なんだよ、ウチの女共は・・・」と、タロウ。「そうかな・・・。たけしくん
って素敵よね、一子。」と、わざとらしく聞いてみるサキ。「え!?」と驚く一子。しかし、もっと驚いたのは三平でした。「何だよサキまで・・・!」
「三平
くん、男のやきもち。」と。からかうように言って教室を出るサキ。「え、違うよ! サキ!」と、三平は完全にムキになって後を追いました。
サキに追いついた三平。今日も下校時は一緒に帰る2人。何だかんだ言って、仲はいいようです。「・・・ところでここんとこ、海槌姉妹はずっと陰を
潜めてるみたいだけど、神恭一郎のやつ、あれから何か言ってきたのか?」とハッキリした口調で聞く三平に対し、サキは「うん・・・」と何だか気乗り
しない返事です。
「なあサキ。もし何かあるんだったら必ず俺に教えてくれよな。
黙って1人で危ないマネしないでくれよ。」
「・・・うん。ありがと、三平。」と、ここはとりあえず素直に礼を言って頷きました。さあ、こっちから危ないマネをしなくも、向こうはケンカを仕掛けてき
ます。サキをこっそり監視している1台の車・・・。その車に乗っている男が、8ミリビデオでしょうか、サキを撮り続けています。そしてその様子は、麗
巳の部屋のモニターに映し出されております。それを見ながら、「麻宮サキ・・・。少しは手応えがあるかしら・・・」と、うすら笑いを浮かべている麗巳。
まさに高みの見物です。
日が暮れ、夜になりました。水が出っ放されたままの公園で、1組の男女がキスをしていました。たけしと一子です。一子がたけしの事を好きなの
は、さっきのシーンで分かっていましたが・・・。どうやらたけしも一子の事が好きのようです。その証拠に、「僕、一目見た時からずっと君のこと
を・・・」と言っております。「私も・・・」と返す一子。「ねえ長谷川くん、頼みがあるんだけど・・・」 「え?」 今さらながら言いますが、一子の名字は長
谷川と言います。「大したことじゃないんだ。君、麻宮くんや三平くんたちの友達だろ?」 「ええ、そうだけど・・・」 「みんなとってもいい友達で羨まし
いよ。僕、彼らの仲間に入りたいんだ。」 「なぁーんだ、そんな事なら・・・」 そんな一子の言葉を遮るようにして、「それで僕、ちょっとしたイタズラを
思いついたんだ。」と言うたけし。一子に何をやらせるつもりなのでしょうか・・・?
次の日になりました。日曜じゃないことは確かです。鷹の羽学園に生徒たちが来ているからです。校庭のところで英語を勉強している三平。何もこ
んな所でしなくても、教室ですればいいのに・・・。サキも付き添っています。「三平。それ、theじゃなくてaでしょ。」 「あ、そっか・・・」 そんな勉強中
の2人の前に一子が現れ、マジ顔で突然こう言いました。
「麻宮サキ。お前の正体は知れているんだ。その背後に誰がいるのかもな。」
昨日までサキたちと仲の良かった一子がなぜ突然こんなことを・・・!? 「一子どうしたの!?」と、当然サキは驚きます。勉強どころではありませ
ん。さらに、「お前の正体を暴いてやる。我々は決して敵を許してはおかない。」と、マジ顔を絶やさずに言う一子。そしてすぐさま、走ってその場から
去っていきました。「一子待ってよ! どういう意味!?」と、後を追いかけるサキ。三平はもうポカンとしています。一子の足が遅いのか、サキの足
が速いのかは分かりませんが、サキはすぐに追いつき、一子を捕まえることが出来ました。「一子。今言ったこと何のつもり? 答えて!」 さあ注目
です。一子はどう答えるのでしょうか? ・・・と、その時でした! どこからかナイフが飛んできて、それが一子の左胸に刺さりました!
「ウッ!」と声を上げてその場にしゃがみこむ一子。「一子! 一子! 一子!!」と悲鳴めいた声をかけ、刺されたナイフを思わず抜き取ってしまう
サキ。「一子・・・」 しかし、もう遅いです。
一子は亡くなってしまいました。
さあ、とっさにこの場に駆けつけた三平。そして・・・・・・たかし。「サキ!」と心配そうに声をかえる三平。しかし、たけしは違いました。
「人殺し!」
と、痛烈な言葉をサキに向かって発しました。
「違う! 違う!!」
と必死に言い返すサキ。しかしそれでもたけしは、「人殺し! 人殺し!」と連呼しております。ただならないこの状況に、三平やたけしだけじゃなく、
他の生徒たちも集まってきました。止まることなく続く、たけしのサキに対する「人殺し!」呼ばわり。みんなに向かって「違う! そうじゃない!!」
と言いますが・・・。一子が死んで手にナイフを持っている。この状況では、とてもじゃありませんが信じてくれません。「違う・・・。違う・・・」と、サキは
声まで弱くなってしまいました・・・
サキは当然警察署に連れていかれました。さっそく2人の刑事による厳しい取り調べが行われております。「お前が殺ったんだろ麻宮サキ! それ
以外にありえない。吐け。吐け!」と言って、サキの髪をつかむ若い方の刑事。サキはもう、すごい汗だくになっております。「・・・違う!! 絶対に
私じゃない・・・。一子は私の友達だった・・・。」 「いつまで強情を張りやがるんだ!」と、またサキの体を掴もうとする若い刑事でしたが、それを沢入
という少し年配のほうの刑事が「まあまあまあ・・・」と言って止めました。しかしそれにしても、どうしてこう取り調べの時の刑事っては、人数はいつ
も2人で、そのうち若い方の刑事は乱暴で、もう1人の刑事の方は妙に落ち着いているのでしょうか・・・。沢入が続けて言いまし
た。「なあ麻宮。協力してくれよ。無実なら無実で、何かそれを証明できるものはないかな?」 「だから神に・・・。神恭一郎に連絡とってくれれば分
かるんだよ!」 「寝ぼけるな!」と、若い方の刑事。「神恭一郎ね・・・。その神ってのは、どこにいるんだ?」 沢入がそう聞きますが、これにはサキ
はさすがに答えることは出来ません。「それが分からんじゃ、連絡のしようがないじゃないか・・・」と穏やかに言う沢入と、「おい!」と怒鳴る若い方の
刑事。この二段差攻撃の前に、サキの精神はもう限界寸前状態にまで来ていました。
一方、海槌家ではすでに、神恭一郎が何者なのかを調べていました。ということは、いま警察署でサキが言っていたことが、すでに麗巳たちの耳に
入っているという事でしょう。すごいです。「警察庁のデータベースに侵入して、神恭一郎の名をキャッチしました。」と言う麗巳のコンピュータ。そのコ
ンピュータのモニターに、神の顔が映し出されました。それを見た麗巳、亜悠巳、久巳ですが・・・。「こいつよ! 私たちの邪魔をしたのは!」 そう
です。亜悠巳と久巳は、すでに会っております。顔写真から今度はプロフィールの画面に切り替えてみた麗巳。そこに書かれているプロフィールを
読んでみました。「神恭一郎。1956年生まれ。ユニバーシアード入学。1982年ユニバーシアード卒業、帰国。同年、警察庁入所。以降の経歴、抹
消。データ抹消か・・・。面白いわね。」と軽く笑う麗巳。さらに、「亜悠巳。麻宮サキが逮捕された事について、警察庁内部に何か変わった動きが出
たというような報告は?」
と聞いてみました。「今のところ全くありませんわ、お姉さま。」 「かなり用心深い男のようね・・・」と、再び神の顔写真の画
面に切り替えて言う麗巳。とここで、さっきからずっと黙っていた久巳が喋りました。「こんなやり方、全然まどろっこしいわ。さっさとあいつを殺して
よ、麗巳姉さま!」 「相変わらずね、久巳は。まあちょっとお待ちなさい。」 自分の妹たちの性格は、もうしっかり熟知している麗巳。席を離れて立
ち上がり、そして2人にこう言いました。
「今ようやく神恭一郎という存在を確認しただけよ。
居所も突き止めなけきゃならないし、その背後にもっと大きな奴が隠れてるかもしれない。」
場面は変わって、再び警察署。ただ、サキはとりあえず釈放されました。・・・が、相当キツイ取り調べだったようで、もうボロボロになっています。そ
んなサキを、迎えに来ていた者が1人います。三平でした。「サキ!」 「証拠不十分で釈放だって・・・」
「当たり前だ! サキが一子を殺すわけないじゃないか!
ちっきしょう、こんなにボロボロになるまで痛めつけやがって・・・!」
と、真っ先にサキの身を心配している三平。この優しさが、三平のいい所であります。例え世界中の人間がサキと敵になったとしても、三
平だけは絶対にサキの味方をするでしょう。そういう男です。「そんなに酷い? カッコ悪いなぁ・・・」と、三平に言われて今の自分の顔を
想像して苦笑いするサキ。「・・・それで、どうするんだ?」
「学校へ戻るわ。真犯人は鷹の羽にいるはずよ。一子のためにも、絶対に探し出してやるわ!」
と、決意を新たにするサキでしたが、ここで誰かに見張られている気配を察知するサキ。「サキ、どうしたんだ?」 例のあの車がまた来て
いますが、その事にはサキはまだ気づいていません。目もかすみ、心も幾分弱まってしまっているサキ。このさき本当に大丈夫なのでしょうか・・・?
ここでこの話の前半が終了です。釈放という形でとりあえずは自由の身になったサキ。そして、一子殺しの真犯人を探そうとしますが、麗巳はこの時
すでに、二重三重の罠を仕掛け始めております。その事に、いや、麗巳が帰国してきた事すらまだ知らないサキは、この後一体どうなってしまうの
か!? 後半は、サキがジワジワと追い詰められる展開が予想されます。果たして、神の助けはあるのでしょうか!?
後半は、こちらです。