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第21話 「父さんを殺したのはお前だ!!」

 

野球には、サイクルヒットという記録があります。サイクルヒット、それはご存知の人が多数だと思いますが、1試合に1人の打者がシングルヒット、

ツーベース、スリーベース、ホームランの4つを全て打つことを言います。こういう言い方をしてしまうと、難しいんだなという感じはしますが、冷静に

なって考えてみれば、シングル、ツーベース、ホームランは言うほど難しいものではない。やはりスリーベースだけが、足の速さも必要ですし、一番

難しいんじゃないかと思います。だから、このスリーベースさえ何とか打てれば行けそうだなというイメージがあります。人生でも何か難しいことを1

つでもクリア出来れば、後はおのずと栄光だけが待っている。それが野球の記録で言うところのサイクルヒットではないでしょうか・・・。さあ、スケバ

ン刑事の方ですが、今のサキは、とてもじゃないですがサイクルヒットどころではありません。苦しんでおります。今回はどんな話になっていくでしょう

か・・・? では、第21話を
ご覧下さい。



もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。

 

◎今回の登場人物

 麻宮サキ:鷹の羽学園2年B組の女子生徒で主人公。その正体は、ヨーヨーで悪を懲らしめるスケバン刑事。

 野分三平:鷹の羽学園2年B組の男子生徒。サキに惚れている。

 沼重三:鷹の羽学園2年B組の担任教師。いったん解雇はされたが、また学園に戻ってきた。

 
海槌麗巳:日本支配を目論む海槌一族の長女。その日本支配に向け、いよいよ記者会見を開くことに・・・

 海槌亜悠巳:日本支配を目論む海槌一族の二女。麗巳と共に記者会見に出席する。

 海槌久巳:日本支配を目論む海槌一族の三女。同じく麗巳と共に記者会見に出席する。

 海槌剛三:日本支配を目論む海槌一族の主。サキを海槌一族に入れることを相変わらずあきらめていない。

 神恭一郎:サキを見守る暗闇機関のエージェント。いつもクール。

 黄金コンビ:このスケバン刑事の主題歌『白い炎』をカラオケで歌って「男が歌うな!」と言われたことのあるナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー

さあ、サキのマンションの部屋から物語スタートとなる大事な第21話。今回はいつものナレーションの前に、剛三、サキ、両名のセリフを振り返って

みましょう。

 「サキ。お前は私の娘だ。お前の母麻宮ナツは、私の愛人だったのだ。

  私の愛人だったのだ! 私の愛人だったのだ!!」


 「そんなはずがあるもんか! 剛三が母さんの愛人だったなんて・・・。

  私が剛三の娘かもしれないなんて・・・! そんなバカなことがあってたまるか!!」


この「私の愛人だったのだ」というのは、もちろん剛三が3回も言ったのではなく、サキがそのように聞こえただけ。それだけ、サキにとっては衝撃的

なものだったという事ですが、それも含めてナレーションの人が言ってくれます。では、今度こそそのナレーションを聞いてみましょう。

 海槌剛三の言葉は、鉄のトゲのようにサキの心に突き刺さり、サキを苦しめていた。

 だが、剛三の言葉が真実なら、すべてが納得できるではないか。

 母がなぜ父と争い、父を殺してしまったのかも・・・。

サキの脳裏にまたまたよみがえるあの忌まわしい出来事・・・。燃えさかる家の中で血のついた包丁を手にしたサキの母親が、その場でグッタリと倒

れてしまうあの忌まわしい光景がよみがえりました。しかも今度は、その場に1人男が倒れて死んでおります。この男が、サキの父親に間違いない

でしょう。しかしこの火事のシーンは、何度見ても心痛むものがあります。実際に体験しているサキ本人は、たまったもんじゃないでしょう。しかもこ

れは、サキがかなり幼い時の出来事です。ヨーヨーを見つめながらその時の思いを振り返っているサキ。・・・と、ヨーヨーが出ましたので、ここでい

つものヨーヨーのオープニングシーン。そして、ここから物語が本格的に始まっていきます。



オープニングシーンが終わっても、まだマンションから出てこないサキ。そのマンションに、三平がやって来ました。いきなりドアを開けるような事はも

ちろんしません。ちゃんとチャイムを鳴らし、「サキ。三平だよ。」と声をかけました。返事がないのでもう一度チャイムを鳴らすも、やはり返事があり

ません。三平があきらめて帰ろうとした時、サキが出てきました。その思いつめた表情を見て、「どうしたの?」と聞く三平。するとサキは、

 「三平、お別れだよ。」

と言って、さっさとどっかに行ってしまいました。何が何だか分からないという様子の三平。「サキ!」と、当然あとを追います。走っていこうとするサ

キでしたが、「サキ! 待ってくれ!」と三平にすぐに追いつかれました。「お別れって、一体どこに行くつもりなんだ?」 何も答えないサキ。口数は

あまり多くないサキではありますが、ここまで喋らないのも珍しいです。

 「まさか・・・! 海槌家に乗り込む気じゃないだろうな!?」

そう聞かれても、何も答えず早々と行こうとするサキ。そのまさかのようです。「やめてくれ! あいつらは君を殺そうと待ち構えてるんじゃないか!」 

 「私なんか死んだっていいんだ。生きてたって何の価値もあるもんか!」

「どうしたんだ一体!? 俺に訳を話してくれ!」 三平の粘り勝ちです。とりあえず足を止めて、サキは静かに喋り始めました。「・・・剛三が私に

言ったよ。母さんは剛三の愛人だったって・・・。私は剛三の子供かもしれないんだ。」
 「何だって!?」 「殺人犯の娘だけどさ、私のたった1つの

心のよりどころは、私が父さんと母さんの愛の結晶として生まれてきたって事なんだ。それが海槌剛三の娘かもしれないなんて・・・。私は自分が許

せないんだよ。」
 おお、『愛の結晶』とはいい言葉ですね。今度どこかで使わせてもらいましょう。さあ、再び歩き出すサキ。「呪われた子なんだ私

は。」
 「バカ! 何が呪われた子なんだ! 呪われてこの世に生まれてくる子供なんて1人もいるもんか! 君はとても素敵な女の子じゃないか! 

君に死んでほしくなんかない!」
と、熱弁をふるう三平。そして、

 「好きなんだ! 君が好きなんだよ!!」

と、何とここでプロポーズをしました! いやいや、ここでも何も、今のこのタイミングこそプロポーズにはもってこいタイミング、ここで言わな

きゃ男じゃないという瞬間でもありました。そして視聴者たちもまた、三平のサキに対する思いは知っていましたし、告白の言葉がいつ出るかも待っ

ていたに違いありません。さっきまで海槌家に乗り込む気満々だったサキも、さすがに足が止まり、驚いた顔で三平を見つめております。それに対

し、三平も目をそらすことなく、超マジな顔でサキを見ております。さあ、こうなると次に何が気になるかは、もはや言うまでもありません。そうです。プ

ロポーズに対するサキの返事です。ところが・・・。サキはちょっと笑みを見せただけで、無言のまま行ってしまいました。しかし、今度は行った先は

海槌家ではなく、母ナツのいる刑務所でした。とここで、本日のサブタイトル紹介。 

 〜父さんを殺したのはお前だ!!〜

すでに面会室まで来ているサキ。今日こそはナツに会うことが出来るのでしょうか・・・?



サキと一緒に三平も、そして神も来ていました。しかし、もちろん彼らはサキと同じように面会が出来るわけありません。廊下に置かれてある椅子に

座って、サキが戻ってくるのを待っております。さあ、サキのところに、看守さんに連れられてナツがやって来ました!

 ついに2人、ご対面です!

この対面した時の2人にまず注目してみましょう。身を乗り出すようにすぐナツの顔を見るサキに対し、ナツは俯き状態から徐々に顔を上げ、サキ

の顔を見てきました。まさに正反対ですね。ナツがゆっくりと椅子に腰かけ、サキと向かい合いました。さて、どっちが先に喋りだすでしょうか・・・?

「・・・母さん。」 サキが先に喋りだしました。「サキです。サキは17歳になりました。母さん。今まで何度面会を申し込んでも、母さんは私に会ってく

れようとはしなかった。なぜなの? なぜ私に会ってくれなかったの? そんなのってひどいよ・・・。冷たすぎるじゃないか! 小っちゃい頃の私が、

どんなに母さんに会いたかったか・・・。考えたことがあるのかよ!」
 もう途中で涙声に変わっているサキ。グッとこらえながらさらに続けま

す。「私がスケバンになったのはね、母さんに捨てられたからと思ったからなんだ。けど、忘れよう。そう思っていくら暴れてみても、思い出すのは、

母さん、あなたの事だけだった・・・。母さんは父さんを殺した。恨もう。そう思ったよ! だけど、憎めなかった・・・。母さんに会いたい。会いたいって

その気持ちでいっぱいだったんだ!」
 さっきと同じように、またも途中で涙声に変わったサキ。それにしても、長いセリフが続きましたね。いったん

区切って正解でした。さあ、泣けるシーンはここまでです。音楽も止まり、いよいよ本題へと移ります。「・・・母さん。私はあなたにどうしても尋ねたい

事があるの。どうしても。答えてもらわなければならないの。」
 ここまでずっと申し訳なさそうに下を向き、そして一言も喋っていないナツ。今のサキ

の言葉で、顔を上げました。

 「母さんが海槌剛三の愛人だったっていうのは、本当なの?

  私は父さんの子なの? 海槌剛三の子のなの? 答えて母さん!」

もちろん前者であってほしい。果たして天国か!? それとも地獄か!? これが今のサキの心境でしょう。さあ、ナツは何と答えるでしょうか!? 

しかし、何も言おうとしません。「なぜ黙ってるの!? 黙ってるなんて卑怯だよ! 私はね、本当の事から目をそらして生きるような、そんな弱い人

間にはなりたくないの! 答えて! 母さん!」
 我々視聴者も、そろそろナツの声が聞きたいものです。まだ一言も発してないので、何を喋るの

か、というよりも、どんな声なのかが異様に気になってきます。さあ、そのナツがついに口を開きました。・・・が、

 「サキ・・・。お前は私の娘ではないのよ。私もお前を娘だと思ってないわ。」

と、まるで突き放すようなキツイ言葉を吐くナツ。おいおい、第一声がそれかよ。これは酷すぎます。しかもこれでは、今のサキの質問の答えになっ

てないし・・・。「母さん・・・」と、サキももう言葉も出ません。さらに、「忘れてちょうだい。もう二度とお前に会わないわ。」と言って、ナツは即座にこの

面会室から独房へと戻っていきました。

 「母さん! 答えて! 本当のことを知らないでどうやってこれから生きていくんだ!?」

さっきまで涙声にはなっていましたが、何とか堪えていたサキ。しかし、とうとうここで泣き崩れてしまいました・・・。



ナツのいる刑務所を出たサキは、とある川原に来ておりました。こういった落ち着いたところに来たところで、サキの気持ちが晴れることはないで

しょう。ショックだったはずです。さあ、サキだけではありません。三平もここに来ております。神はもう帰ったのでしょうか・・・? 「サキ・・・」と、心配

そうに声をかける三平。「母さんは何も答えてはくれなかったんだよ。海槌の愛人だったって事を、認めるようなもんじゃないか・・・。」 「サキ、だけ

どさ・・・」
 「イヤだイヤだ! 私が剛三の娘かもしれないなんて考えただけでも身の毛がよだつよ! もう生きてはいけないよ・・・」 完全に意気消

沈状態のサキ。三平がたまらず言いました。

 「サキ! 落ち着くんだ! 誰の子だって関係ない! サキはサキだよ!

  俺は今ここにいるサキが好きなんだ!  それでいいじゃないか!」


サキの両肩をしっかりつかんで男らしく説得する三平。いやもう、今回の三平は本当に男ですね。今のところ、神の出る幕はないって感じです。その

三平がさらに続けます。「サキ。この世に許せない大人はいっぱいいるよ。だけど俺たちはそんな大人には絶対にならないんだ。それが俺たちの誓

いだよ。俺、サキと一緒ならそれが出来ると思ってるんだ。」
 「三平、ありがとう。でも私はもう本当のことを知らなければ、もう一歩も先へは進めな

いんだよ・・・」
 と言って、三平の胸にグッタリとなるサキ。とその時、この静かな川原に、

 銃声が響き渡りました!

ハトがいたら絶対に飛んで逃げていくだろうというくらいの、すごい銃声です。そして、その後すぐ聞こえてくる「アッハッハッハッハ・・・」という甲高い

笑い声。銃声にこの笑い声、ということはここに来た人物はもう決まっております。そう、海槌亜悠巳です。しかも今日は、あの自慢のバイクでのお

出ましです。さらに、亜悠巳だけではありません。妹の久巳も一緒です。その久巳も、なぜか今日はバイクです。その2人が並んで止まりました。

 「サキ! ラブシーンはもう終わりだ!」

と言って、サキに銃を向ける亜悠巳。さらに、

 「お前が私たちと同じ血を持ってるなんて我慢できないんだ! 殺してやる!」

と言ってアーチェリーを構える久巳。「てめえら!」 と言い返されてひるむ久巳ではありません。容赦なく矢を放ってきました。その矢がサキの左腕

にかすり、微量ですがその腕から血が流れてきました。その自分の血を見ながら、

 「ふざけんじゃないよ! 何が同じ血だい!

  私の血は海槌一族のようにドス黒い色をしてるものか!


と、吠えるサキ。さあ、今度は亜悠巳が銃をぶっ放してきました。「三平!」 相手はバイクに銃にアーチェリー。片やこちらは三平をも守らないとい

けない。今のこの状況では、とてもじゃないが亜悠巳たちには対抗できないと考えたサキ。ここは三平と一緒に走って逃げることにしましたが・・・。

果たして無事逃げ切ることが出来るでしょうか・・・?



ここでこの話の前半が終了です。気落ちする暇さえ与えないような、亜悠巳たちの奇襲攻撃。サキはこのピンチから逃れることが出来るのか!? 

そして、相変わらずハッキリしないサキと剛三の関係。サキの本当の父親は一体誰なのか!? ここまでで前半が終わりましたが、まだ沼、麗巳の

2人は登場しておりません。剛三もナレーションのセリフで出ているだけで、神もまだワンシーンのみの登場なので、この2人もまだ登場していない

のと同じです。後半では、きっと彼らの活躍の場がありそうなので、それもまた見ものです。そしてさらに、サキが体験したあの火事の事件には、実

はサキも知らなかった重大な秘密が・・・! それは一体何なのか!?

後半は、こちらです


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