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本編(うちの子にかぎって「転校生はスーパーヒーロー?!」)

 

さあ、また新しいシリーズの始まりです。今度は5作品目、うちの子にかぎって「転校生はスーパーヒーロー?!」。このインドア派の城では、初めて

1時間の単発ドラマを書いていくことになりました。今までと違う新鮮さを感じると言いたいところですが、実を言うと、この話だけは出来れ

ば書きたくなかったなと思っております。もちろんそれにはちゃんとした理由があるわけですが、まあそれは本編が終わった後

番外編でお伝えすることにします。ふーん、だったら本編とばして番外編だけ見ようかな・・・。いやいや、本編もしっかり見てほしいです。あ、さっ

く行きましょう。いきなり全部を作るなんてとても無理なので、第1章〜第4章(最終章)に分けていきたいといます。

ではまず、大事な大事なストーリーの第1章からどうぞ!

 

もう第1章の話は知っている。早く他の章を見たい人は、こちら(第2章第3章最終章)へどうぞ。

  

◎主な登場人物

 石橋先生:この物語の主人公。5年3組担任の男性教師。生徒思いのやさしい先生。

 石橋涼子:石橋先生の奥さん。夫の石橋先生は下の名前が明らかにされてないのに対し、なぜか彼女はある。

 竹田義一:5年3組の男子生徒。クラスの男子の方のまとめ役。よく喋るし、よく目立つ。

 石野正代:5年3組の女子生徒。別名『アマゾネス』。クラスの・・特に男子達から恐れられている。はっきりいって最強!

 小林稔:5年3組の男子生徒。PTA会長の息子だが、気が弱く勉強も苦手。

 深見信哉:5年3組の男子生徒。勉強は出来るが、そのせいか少々理屈っぽい。

 小坂先生:石橋先生と同じく、5年生を受け持つ男性教師。ドジで3枚目キャラ。生徒達からも、よくからかわれる。

 上原秀人:5年3組に転校してくる男子生徒。勉強も出来、スポーツも万能、女子達にもモテ、たちまちクラスの人気者となるのだが・・・

 黄金コンビ:5年生の時はほとんど勉強していなかったナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー(第1章)

まずは、5年3組の給食時間の風景からスタートしました。物語が始まったからと言って、朝一番の登校風景から始まるとは限りません。石橋先生、

そして3組のみんなも給食を食べていますが、なぜか先生はなかなか食事が進まない様子・・・。しかし、食が進まないのは、先生だけではありませ

んでした。「先生! 小林がまた残してます。」 この竹田の一言で、クラス全員が小林のほうを注目します。さらに言われてしまう小林。石野からも

「ちゃんと食べなさいよ。」と言われ、他のみんなからも「PTA会長の息子でしょ? 恥ずかしくないの?」 「パパに叱られちゃうわよ〜。」などと、半

ばバカにされたような言い方をされてしまいます。「おう小林。小林。どうしたんだお前? 好き嫌いはダメだぞ。」 「まずいんだもん。」 「そんな事な

いだろう。」 「ウソ! 先生だって、まずそうに食べてたくせに!」とフォローするのは、小林の隣の席の木村真純という女の子。これを聞いた2、3

人の男子が、「よ。ご両人。」 「かばっちゃって・・・」と言って冷やかします。そうです。彼らの言う通り、実はこの2人、出来てます。しかし石橋先生

のほうは、いま木村に痛いところを突かれたので、それどころではありません。「いやいや、先生だって食べてるぞちゃんと。ほら。うん、おいしい。

食べろ食べろもっと。」と、やや無理しながら手元にあるマカロニサラダを食べております。

 「世界中にはさ、食べるものが無くて、飢え死にする子たくさんいるんだぞ。

  社会科で勉強したろ? こうやって食べられるだけでも幸せだと思え。な。食べろ食べろ。」 

さすがは先生ですね、決める時はビシッと決めます。しかし、給食を残そうとしている生徒が、実はもう1人いました。どうやらまたもや竹田がそれに

気づいたようです。「あれ? 石野も残してやんの。」 おいおい、あんたさっき小林に向かって「ちゃんと食べなさいよ。」と言ってたくせにという所で

すが、彼女が残すのは、好き嫌いが原因ではありませんでした。「パンって案外カロリー高いのよね。」 おお、よく見たらパンが丸々残っています。

パンだけじゃありません。牛乳までも・・・。どうやら本格的に痩せようと試みているようですが、ここで竹田が言ってはならない事を言ってしま

います。「ダイエットって顔かよ。」 この発言に同調するように、男子達の口から笑い声が漏れます。しかし、言われた石野は当然ムッとした顔。

残っている牛乳の瓶を片手に持ち、竹田の元へと向かいました。そして何と、

 竹田の頭にその牛乳をかけました!

当然びっくりする他の生徒達、さらに、

 「なめたらあかんぜよ!」

と、なぜか土佐弁で一喝。さらには、片足を椅子の上へ乗っけちゃっています。いやぁ〜ここはもう、うちの子にかぎってファンにとっては、忘れ

られない1シーンと言っていいでしょう。私も本当に驚きました。ただ、この石野役をやっていた女の人は、このシーンをやるのが嫌で嫌で仕方なか

ったそうですが・・・いやいや、実にサマになっております。さあ、話を戻しましょう。石野のこの強烈な仕返しの前に、竹田はもう完全に涙目状態。こ

れぞまさに、ヘビに睨まれたカエルです。そして、周りの生徒たちの形勢もすっかり逆転しました。さっきまで、盛り上がっていた男子達は沈み、一

転して女子達から大きな拍手が沸き起こりました。やはりまだ5年生だと、男子と女子の仲はあまり良くありませんね。石橋先生も、ボー然とこの有

り様を見守るばかり・・・。一方その頃、この吉祥寺本町小学校の校門のところに、1人の生徒が来ていました。

 

さて、ここで画面はオープニングへと移ります。このオープニングで第6話の主な登場人物紹介があるんですが、私の本編では、この上でまずやっ

ているのと、最終章でも今度は芸名も含めての紹介をしますので、このオープニングでの紹介は省かせていただきます。ただ、いつもの通り、サ

ブタイトル紹介だけはやっておきましょう。

 〜転校生はスーパーヒーロー?!〜

いいですね、このサブタイトル。特に「?!」マークが、最後までどうなるか分かんねーぞという感じがしてなりません。さあ、では再び本編をお楽しみ

下さい。

 

次の日になりました。昨晩は竹田もきっと、生まれて一番長くシャンプーをしたことでしょう。舞台はまた、5年3組の教室です。朝一番の授業開始前

といったところでしょうか・・・。生徒たちも静まり、教卓に石橋先生がやって来ました。「みんななぁ、今日からこのクラスに新しい友達が来た。言うま

でもないが、みんな仲良くしてくれよ。いいな?」 少々ざわつきながらも「はーい。」と答える生徒達。「よーし。じゃあ入ってくれ!」 さあ注目です。

どんな転校生なのでしょうか? ドアが開き、転校生の足元が見えてきました。おおこれは! 先ほど校門のところにいたあの生徒と同じ足です。

ゆっくりと教卓へと歩いていく転校生。その間、女子達はうっとりとした表情を見せ、逆に男子のほうは、竹田はじめやや面白くない顔を見せており

ます。ということはこの転校生は・・・・・・やはり男子、そしてやはりイケメンでした。いや、この当時はイケメンなんて言い方は無かったでしょうね。さ

あ教卓に立ったこの転校生。みんなに一礼をし、これから挨拶をします。では、その声を聞いてみましょう。

 「こんにちは、上原秀人です。北海道札幌から、父の仕事の都合で引っ越してきました。

  好きな科目は、社会と理科。嫌いな科目は特にありません。

と、これを聞いた途端、クラスのみんなが少し驚きました。特に、勉強はクラス一と言っても過言ではない深見は、何ィ〜!?というような顔をしてお

ります。さらに、これだけではありませんでした。「それに、少し英語を勉強しています。I have been studying English for three years. Speaking

English is very interesting for me. My hobby is various kind of sports. I like baseball,tennis and swimming.」 ・・・ってちょっとちょっと! 私もこれ以

上編集するのはキツイので、これくらいで勘弁してもらいたいんですが・・・何だ何だ、要するに、英語を3年間勉強していて自分にはそれがすごく面

白い、それから趣味はスポーツで、中でも好きなのが野球、テニス、水泳・・・ということですか。この事をいま英語でスラスラと言ってくれちゃった上

原。見事ですね〜。「少し英語を勉強しています。」と言いましたが、その「少し」というのも、何だか嫌味に聞こえる気がしないでもありません。ともか

くこの上原、今の自己紹介でクラスのほとんどの女子のハートを掴んだことは間違いありません。そんな上原を何も言わずに横目で見

ている石橋先生・・・。

 

1時間目の授業が終わったところでしょうか、場面は職員室へと変わります。先生たちも、今は休憩時間。石橋先生はじめ、5年生の先生たちがこ

こに揃っています。そして、さっそく転校生上原の話になりました。「いやぁ〜しかし・・・さすがに驚きましたね・・・。」 「私のクラスじゃなくて良かっ

た・・・」と本音を吐くのは、若い女性教師の中野先生。そこへ小坂先生も「・・・あ、中野先生も英語はダメですか?」と会話に入ってきました。いきな

り「中野先生も」と言うくらいですから、彼女も気づいたのでしょう。「あ、小坂先生もですか?」と返しました。「・・・あ、池田先生は?」と、今度はベテ

ラン女性教師の池田先生に聞いてみる小坂先生。すると・・・・ 「英語はともかく、転校生っていうのは気をつかいますよね。」っておいおい、あんた

逃げたな! なぜ素直に私も英語はダメだと言えないんだ! でもそんな事を誰もツッコむこともなく、すぐに石橋先生が喋ります。「そうなんです

ね。転校がきっかけで非行に走ったり、登校拒否になったりってのは、よくあるそうですからね・・・」 「いや実は・・・」 それを聞いた中野先生が、

「またフラれたんですか?」と間髪入れずに言ってきました。ま、まだ何も言っていないのに・・・。さすがに小坂先生も、「転校生の話でしょ今。」と少

しムッとします。「すいません・・・」とすぐに謝る中野先生。では、改めて話を聞いてみましょう。

 「・・・いや私も転校したことがあるんです、小学校の時に。

  で、なかなかクラスに溶け込めなくて、自閉症になりました。」 

「小坂先生がですか?」と、少し意外そうな顔つきをする池田先生。「その時の担任の先生が素晴らしい方で、立ち直ることが出来たんです。そのと

き私は、将来教職に就くんだと決めたんです。」 「素敵なお話ですね。」と、いつの間にか隣に座って聞いている中野先生。そんな小坂・中野の両

名に、「ぜひそういう先生になっていただきたいわ、若いお二人にも・・・。ねえ石橋先生?」と期待を寄せる池田先生。「そうですね。」と、同感した石

橋先生もそう答えました。

 

さあ、今度は再び5年3組の教室。理科の授業の真っ最中です。「・・・じゃあ、どうして凹面鏡には光が集まって、凸面鏡には光が集まらないん

だ?」 「そんなの当たり前じゃない。」と、一番分かっていなさそうな奴がすぐに言い返しました。「当たり前だ。だけど、当たり前だけども、その原理

はどうなってる? 分かる者?」 そう言われると、竹田だけじゃなく他のみんなもすっかり黙ってしまいました・・・。「これちょっと難しいけどもな、だ

けど、習ったことの応用だぞこれは。」 さあ、竹田は自分が分からないからなのか、深見に答えさせようとします。小声で、「深見。英語で(上原に)

差つけられたんだ。ここは頼むよ。」と言いますが、当の深見も首をひねり分からない様子。「誰かいなのか分かる者? 手挙げて。いないか?」と、

そろそろ諦めモードになってきた先生。しかしここで、上原が手を挙げました。「よし。上原いってみろ。」 「はい。入射角と反射角の関係だと思

います。」と言いながら席を立ち、黒板へと向かいました。そして、チョークで書きながら説明をしていきます。「鏡の面は全体に曲がっていますが、こ

う来た光に対して、鏡の面はこうなり、従って反射された光は凹面鏡の中に集まります。凸面鏡も、同じ理由でこうなります・・・」といった感じで、視

聴者の人達にも分かるように丁寧な説明をする上原。ただ、ちょっとカッコつけすぎか・・・。石野の口から「キザな奴。」という言葉が出ました。さて、

この上原の解答は正解なのでしょうか? 先生の声を聞いてみましょう。

 「その通りだ。よーし、席に戻っていいぞ。みんな、上原に拍手だ。よく出来た。」 

みんなから拍手を受け、さわやかな笑顔で席に帰っていく上原。いや、みんなじゃないですね。石野、深見、竹田は拍手しておりません。特に竹田

は、ものすごく面白くなさそうな顔をしております。

 

理科の授業が終わり、体育の授業になりました。今はどうか知りませんが、小学校の担任の先生は全科目を自分の受け持ちの生徒達に教えない

といけないので大変です。すでに運動場では、男子の50メートル走のテストが行なわれており、西川環と松山忠男の2人の生徒が今走り終わった

ところです。そのタイムを、石橋先生が測っていました。「松山9.2秒。西川が9.8秒。」 勢い余ったのか、西川は見学している女子達の輪にま

で、走り入っていきました。それを受けて怒る女子達。

 「レベルの低い戦いやってんじゃないわよ。」

と言う石野を筆頭に、「危ないな〜。」という声が飛び交っています。「参加することに意義があるんだから。」と負けん気の強い西川も言い返します

が、「オリンピックじゃないっての。」 「オリンピックも金取らなきゃ意味ないわよ。」と、たちまち返されます。しかし、今の言葉を聞いた西川が

信じられない行動に・・・! 「金なら持ってるぜ。」と言って自分の股間を指差し、女子達に近づいていきました。うわぁ〜、これぞ小学生ならで

はのセクハラ。当然、女子達は嫌がりました。さあ、座興はここまでです。次の走者は、竹田と上原。「位置について、よーい・・・」という掛け声でクラ

ウチングスタートを取る2人。上原は真っ直ぐ前を見ていますが、竹田は上原のほうをチラッと見ました。絶対に負けたくないのでしょう。さあそして

笛が鳴りました。いいスタートを切った2人。ほぼ互角といったところでしょうか・・・。ところがここで、さっき西川に嫌がらせをされた女子達が立ち上

がり、「上原君、がんばって〜。」と声援を送りました。ただし、石野だけはフンという感じで座ったままです。その声援が力をくれたのか、ゴール手前

で上原が竹田を振り切り、(まあたった2人ですが)1着でゴールインしました。当然女子達は大喜び。さらに、

 「上原7秒2。 3組の最高タイムだ。」

さっきの理科の授業の時と同様、みんなから拍手を受けました。当の上原も、「はい!」とやはりここでも笑顔。この番組のサブタイトル通り、まさに

スーパーヒーローとなりました。

 

さあ、今度は下校時間です。校門前ですれ違った用務員に「さようなら。」と言って帰っていく上原。そこへ、「上原君。」と3組の女子が5人やって来

ました。「ねえ、5年3組ってどう?」という質問に対し、「うん、とってもいいクラスだと思うなぁ・・・。色々とまだ分からない事も多いんで、よろしく。」

答える上原。5人もすっかり満足し、「そうだ。歓迎会やりましょうよ、今から。」 「賛成!」 「上原さん、甘いものお嫌い?」と勝手にどんどんと話を

進めております。その勢いに負けたのか、「いや、今日はちょっと・・・」と言ってしまう上原。「塾?」 「そうじゃないけど、野暮用で・・・」 「あら、残念

ね・・・。」 

 「それじゃ、今度必ず。」

と言って得意の笑顔を見せ、帰っていきました。それを見た5人も、自然に笑顔になり、「バイバイ。」と手を振って上原を見送りました。「学園生活が

バラ色になりそう。」 「・・・あ、灰色。」 と言う5人の前に現われたのは、竹田率いる男子4人でした。竹田に深見、それからさっきの50メートル走

で辛くも西川に勝った松山、あと竹田と同じくらい背丈のある梅沢一弘の4人です。実はこの4人、この第6話の前半ではいつも一緒にいるんです

が、徐々にそうならないようになってきます。まあその理由については、また後ほどお話する事にしましょう。「プール行くんだけどさ、一緒にどう?」

と、女子5人を誘う竹田達。しかし、「冗談! あんた達と遊んでる暇はないの。」とあっさり断られてしまいました。それだけでなく、「ったく何考えてん

のかしら。」 「一緒のプールに入るのなんか、ごめんだわ。ねー。」 「バーカ。」などと言われてしまいました。最後の「バーカ。」というのがいいです

ね、思わず笑ってしまいました。

返す言葉も無くなってしまった竹田達。トボトボと歩いております。「変な奴が転校して来ちゃったな・・・」と言う松山。「しょうがねー、スカッと泳ごう

ぜ。」 実はすでに、プールのところまで来ていました。ところが、『本日はプール清掃のため臨時休業致します』と書かれた貼り紙が・・・。「え〜、そ

りゃねーよ・・・」と言う梅沢。「すっきりしないなぁ・・・」と深見も不満気です。とここで、竹田が思いついたように言いました。

 「そうだ! 富士山見に行こうぜ!」 

っておいおい、明日も学校がある小学生が、今から富士山に登山だなんて何考えてんだ! と言いたくなりましたが、そういう意味ではありませんで

した。竹田の言うこの富士山とは、銭湯の浴槽の壁に貼ってあるドデカイ絵のことでした。その銭湯に来た竹田達。プールで泳げなかった腹いせな

のか、4人とも海水パンツ姿で入っていきました。これを見て驚く周りの人達。その中には、あの小坂先生も来ていました。ゆっくりと気持ち

良さそうに温まっていた小坂先生ですが、竹田達に妨害されてしまいます。浴槽の壁に手をつき、バタ足をする竹田達。うわ、マナーもへったくれも

あったもんじゃありません。そのバタ足で出来てしまったお湯しぶきにかかって苦しそうな小坂先生。しかし竹田達は、小坂先生の存在にすら気づ

いておりません。「狭すぎて泳げないよ。」と言う松山。「しゃーねー、しゃーねー。」 「どうする?」と言う梅沢。「何のこと?」と聞き返す竹田。

 「転校生。気に食わねーよ。スポーツ万能の秀才なんて。一発ガツンとやってやんないとよ!」

という提案をした梅沢でしたが、「今どき流行んないよイジメなんて。」 「同感。」と反対されてしまいます。というより、バタ足をしているこの状況でち

ゃんと会話をしているところが凄いです。ここでようやく松山が、後ろに誰かいるらしい事に気づきました。「・・・あ、悪いおじさん。」 言っときますが

悪人という意味じゃありませんので・・・。「悪い」と謝っていますので・・・。松山に続き、他の3人もバタ足をやめました。「あれ、小坂先生!?」と松

山。「あれ、先生なんでこんなとこに?」 「先生優雅ですね、昼間っから・・・」と、たちまち竹田達に囲まれてしまう小坂先生。「のんびりしちゃっ

て・・・」 「いつも来てるんですか、ここ?」と、さらに言われまくっています。「風呂付アパートとお嫁さん、早くほしいですね。」 「僕達、おーえんしてま

。」 「がんばってくださーい。」と、今度はお湯までかけられてしまう小坂先生。たまらず、「がんばってじゃないよ! それよりね、お風呂場へこう

いう風に海水パンツはいてきたらいかんだろ!」と言い返します。

 「いやぁ、お見せするほどのモンじゃありませんから。」

と言って股間を押さえ、ふざけた顔をする竹田。さらに、「先生はどうですか?」と逆に興味を持つ竹田達。小坂先生は、うるさい!見られてたまる

か!といった感じで、さっさと浴槽から出て行きましたが、その途中、石鹸を踏んで転び、そのまま風呂桶の積んであるところまで突っ

込んでしまいました。「あ〜痛!」と言う小坂先生。竹田達も、ホントに痛そうだなという感じで見ております。さすがは小坂先生、いつなんどきで

もドジぶりは健在です。

 

さて、騒がしい場面から一転します。何とここは、上原の自宅の部屋。当の上原本人も、今ここにいます。しかし、何だかいつもの上原とは違

ようです。妙な音楽を聴き、鏡の前に立っております。そして、その表情は至って無表情。あの今まで見せていた笑顔は、一体どこに行ったので

しょうか・・・? さらに、「色々とまだ分からない事も多いので、よろしく。」と、鏡に映る自分の表情の変わり具合を確認しながら言っております。1回

だけではありません。「それじゃあ、今度必ず。」 「それじゃあ、今度は必ず。」と繰り返しやっております。まだ納得いかないのか、音楽を止め、もう

一度鏡の前で「それじゃあ今度は必ず。」と言いました。それにしても、これは一体どういう事なのでしょうか・・・? 静けさを通り越して不気味ささえ

感じられてきます。

 

ここで第1章が終了です。一部を除いてですが、転校して来てたった1日でクラスの人気者となった上原秀人。しかしこの第1章の最後のほうで、ど

うもちょっと引いてしまうような一面も持っていることが判明しました。まあ何にせよ、物語は始まったばかり。この後まだまだ、色んな騒動や波乱が

起こっていく気がします。

第2章は、こちらです。


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