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本編(狂った信号)

 

始まりました始まりました! パンパンパーン♪パンパンパーン♪ ・・・というお馴染みの火曜サスペンス劇場のオープニングで始まりました。音楽

と共に、ストーリー中の決め手となるシーンが次々と写し出されます。そのシーンは最後の方では主演の人だけの映像となり、それが終わると、一足

早いエンディング曲と共に、タイトルと主演の人の芸名が出てきます。いや〜、いつ見ても興奮しますね。今はもう、なぜか火サスは知らない間に終

わってしまってますが、本当に復活させてほしいです。さあ、さっそく行きましょう。さすがにいきなり全部は作れませんので、第1章〜第8

章(最終章)に分けていきたいと思います。ではまず、一番肝心な部分と言っていいかもしれません、ストーリーの第1章をどう

ぞ!

 

もう第1章の話は知っている。早く他の章を見たい人は、

こちら(第2章第3章第4章第5章第6章第7章最終章)へどうぞ。

 

◎主な登場人物

 八巻初子:交通事故で子供を殺されてしまう悲運の主人公。

 八巻睦夫:初子の息子。物語始まってわずか数分ほどで殺されてしまう・・・。

 八巻三津子:初子の姑。初子とはあまり仲が良くなかった。しかし睦夫を亡くしてからは・・・

 国枝能子:睦夫を轢き殺した張本人。この物語の一番の悪者。

 小笠甚市:能子にいい加減な運転を教えた教習所の教官。

 飛田辰人:能子のパトロン。小笠のいる教習所を能子に紹介したのも彼。

 室戸喜久子:能子に車を貸したクラブ「コンコルド」のママ。

 真木刑事:年配のベテラン刑事。なかなか人情味がありそう。

 黄金コンビ:車の知識も無いわりにオープンカーを愛するナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー(第1章)

いきなり赤信号のドアップでスタートしました。そして、その信号機を覆うように出てきましたタイトル紹介、

 〜狂った信号

信号らしく、文字を赤と青に分けている。しかも「狂った」のほうを赤に選んだところが、またにくいです。しかし、このドアップ画面も束の間。この信号

は赤から青へと変わり、画面は一台の車を写しました。この車、種類は何でしょうか・・・? 一応外車という設定ですが、上で述べたように、私は車

の知識は全くありませんので、ちょっとよく分かりません。分かったのは、赤色だということだけです。さあ、その赤色の車ですが、何やら運転がま

まならない様子。後方の車からクラクションを鳴らされ、早く進むように急かされています。

 

早くも画面は変わります。ここは八巻家。見た目は、何となく旧家というか、古風あふれる感じです。その玄関前に、白い車が停まっています。どうや

ら、どこかに出かけるようですが・・・。ここで画面下に、「昭和58年5月5日」と出ました。おぉ〜、季節的にはちょうどこれを書いてる時と、ほぼ同じ

ですね。まあ偶然ですが・・・。さて、この車に乗っているのは小さな男の子、八巻睦夫です。その睦夫に、祖母の三津子が水筒を持ってやってきまし

た。「睦っちゃんはいいわね、ママとドライブ。はいお茶。・・・おばあちゃんのおみやげ何かな?」 「おいしいケーキ。」 やはり孫ってのは、かわいく

て仕方ないんでしょうね。こういうシーンを見ると、ほのぼのします。「ママ遅いなぁ・・・」 その母親ですが・・・あっ、電話をしています。「・・・今日です

か? 今日はちょっと・・・。いえいえ、そんなんじゃないんです。あの・・・子供とドライブなんです。ええ・・・」 外からは軽くクラクションの音が・・・。どう

やら早く来いと言っているようです。

ここでまた画面は変わります。例のおぼつかない運転をしていた赤色の車です。えー、予め言っておきますが、ここでは赤色の車の運転シーンと、

八巻家のシーンとが交互に出てきますので・・・。さあこの赤い車ですが、ひどい運転です。左方の壁にぶつかるわ、お地蔵様を轢き倒していくわ

で・・・。ホントバチが当たっても知りませんから・・・。さあ初子のほうですが、まだ電話が続いております。「え? それじゃあご契約してい

ただけるんですか? ありがとうございます。」 またまた赤い車のシーン。ようやくここで誰が乗車しているのか分かりました。乗っていたのは2人。

助手席に座っているのは室戸喜久子。その喜久子が、「ちょっと止めて。私降りるわ、怖くて乗ってられないわよ。」と言って降りました。そりゃそうで

しょうね。こんな運転をされたんじゃ、命がいくつあっても足りません。そして運転席にいるサングラスをかけた女が、この物語最大の問題児(まあも

ちろん成人女性ですが)と言ってもいいでしょう、国枝能子であります。さあ、能子1人となったこの車。喜久子を置いて再び走り出しました。さっきま

では、喜久子がいた分、多少は抑えた運転が出来ていたはず。それが1人になってしまったので、まさに野獣を街に放った状態になりました。

一方の初子は電話も終わり、出かける支度を・・・。やっとドライブに行けるのかなと思いきや、「ごめんね。来週連れてってあげるからね。」と言って

おります。これを聞いた睦夫は、子供心に到底納得できないでしょう。「ドライブ行きたい。約束したじゃないか。」と強く訴えております。これを聞いた

初子はさすがに下手になり、「睦っちゃん、この通り。」と手を合わせて謝っております。ところが睦夫は、

 「マンガ買ってくれる? ルパン三世。」

と、いっちょ前に交換条件を持ちかけました。これには初子もちょっとムッとしたようです。「あ。ママそういうこと言う子嫌いだな。」 と言うと、睦

夫が泣き出しました。「ほらすぐに泣く。男の子でしょ。」 ここで、睦夫の泣き声を聞いた三津子がやってきました。「どうしたって言うのよ、初子さ

ん。」 「お客様が今日がいいとおっしゃいまして・・・。それに今月あまり成績が良くないんです。」 なるほど。先ほどの電話で仕事が入り、ドライブが

中止になったというわけですね。「お弁当も出来たし、もう・・・1ヶ月も前から楽しみにしてんのに、可哀想じゃないの。」 「あ、睦っちゃん。チビにほ

ら、ご飯あげなくちゃ。約束したでしょ、もらってきた時ぜんぶ自分でやるって・・・」 ちょっとちょっとお母さん、そういう方向に話を持っていって、子供

を納得させるのはよくありませんよ〜。だったらあんたの約束したドライブはどうなるんだと言いたくなりますし、ごちゃごちゃ言わずにキッパリとダメ

と言われる方がどれだけマシかと思います。現に睦夫は、泣き顔から不服そうな顔に変わりましたし・・・。「何も無理して仕事しなくたって・・・。ケンジ

の保険金もあるし、困ってるわけじゃないのよ。」 ケンジというのは、初子の夫、つまり三津子の息子でしょうね。だいたい察しはつきます。これを聞

いた初子は、急に化粧をやめ、改まった顔になって次のように言います。

 「お義母さん。私、保険金当てにするよりも、働けるうちは働きたいんです。」

三津子はあまり満足いかない様子。きっと、もっと家に居てほしいと思っているんでしょう。

 

さあ相変わらず暴走を続ける能子の車。今度は狭い路地に入ってきました。おいおい、こんなとこに入ってきて大丈夫なんでしょうか? いや、大丈

夫じゃありません。「車両進入禁止」の標識がありましたから・・・。遊んでいた子供たちが危険を感じ、端の方へとよけて行きました。

ドライブ行きが中止になった八巻家一行。と思ったら、なぜか睦夫が自転車に乗って出かける準備を・・・。間違わないで下さい。自動車ではありま

せん。自転車・・・じ・て・ん・しゃです。今までの流れからして、自動車と読んでしまうかなと思いましたので、強調させてもらいました。やはり三津

子は留守番。睦夫は自転車で、初子はなぜか歩いて行くようです。「はい千円。ご本買いたいんでしょ?」と睦夫にお小遣いをあげる三津子に対し、

「お義母さん。やめて下さい、ホントにいいんです。」と断ります。「孫にマンガくらい買わせて下さいよ。この人(睦夫)なんかまだまだダダをこねたい

時なのに、じっと我慢してるんですもの・・・。」 いや、何も自分の孫をこの人なんて言わなくてもいいと思うんですが・・・。「我慢できない子になります

から・・・。父親がいない分、厳しく育てないとダメなんです。」 「それだけね、優しくしてやらなきゃいけませんよ。初子さん、少し厳しすぎますよ。」 

おぉ〜、まさに嫁VS姑といった会話です。ここはいったん、初子の方が先に折れました。「・・・それじゃあ、お願いします。行ってきます」と言って出か

けて行きました。睦夫のほうは「おばあちゃん、ありがとう。」と言って、初子の後を自転車で追って行きました。そんな睦夫に「バイバイ」と笑顔で見

送る三津子。

 

画面は、初子が睦夫と横になって歩いているシーンに変わります。ここで突然、「僕、マンガいらないよ。」と言う睦夫。それを聞いた初子はちょっと驚

いた様子。少し間を置いてから、「いいのよ。ドライブ来週行こうね。」と言って睦夫の頭を撫でております。世の中自分の思い通りにはならない事を

知った睦夫。義母の言葉でちょっと厳しすぎたなと思い始めた初子。これでまた一歩、親子の絆が深くなったかもしれません。さあ、さすがに初子は

歩きということもあって、自転車に乗っている睦夫は早く行きたがります。「僕、先に本屋行ってるよ。」という睦夫に対し、「睦夫、車に気をつけなさ

い。」と笑顔でそれを許しました。T字の交差点に先に出た睦夫。ここで悲劇が起こりました!

 右側から、再三登場していた能子の車が・・・!!

「あ!」と叫ぶも既に遅し。能子の車と睦夫の自転車がモロに衝突してしまいました! 自転車が車に勝てるわけありません。睦夫の体は完全に宙

を浮き、地に着いた時には、額と口から血が流れ、目を見開いたままビクともしなくなりました。これを目撃した初子は、完全に放心状態。そして、よ

うやく我に返った時には、倒れた睦夫のところまで来ていました。

 「睦夫・・・睦夫・・・睦夫・・・睦夫・・・睦っちゃん! 誰か・・・誰か救急車呼んで下さい! 誰

  か・・・! 睦っちゃん・・・睦っちゃん・・・睦っちゃん返事しなさい! 睦っちゃん! 誰か早く呼ん

  で下さい救急車! この子死んじゃう・・・。お願いします! お願いします早く! 早く救急車呼

  んで下さい!」

ものすごい叫びです。当然、人垣も出来てしまいました。さあそして、問題の轢いてしまった能子。彼女ももちろん動揺を隠せません。段々と体が震

え始めてきました。人垣の中の1人の男が、「おい降りろ!」と能子に言います。思わずアクセルを踏んで逃げようとする能子。これはもう、加害者側

の心理ですね。「おい逃げるのか!」 そうはさせじと、その男は一早く能子の腕をつかみました。観念した能子は、ついに車から降りました。「だっ

て・・・飛び出して来るんだもん・・・。横道から急に飛び出して来たのよ!」 「寝ぼけたこと言うな。ここは一方通行だ。」 「一方通行・・・?」 

「標識があったろ。どこに目つけてんだ!」と、能子はかけていたサングラスをその男に外されました。そうです。先ほど出てきた「車両進入禁止」の

標識。あれは逆を言えば、反対方向からしか車は通れませんという意味なので・・・。完全に能子に非があるわけです。そんな能子を、意識不明の

睦夫を抱えて睨む初子。すごい形相です。

 

さて、病院にやってきた初子。当然三津子にもすぐに知らせは行ったわけで、同じく病院に来ております。睦夫は・・・やはり意識が戻らないまま。相

変わらず、口から流れている血が痛々しくてたまりません・・・。どこかの手術室に連れて行かれようとしてるんでしょうか・・・? その手術室に寝かさ

れた状態で運ばれていく睦夫。「睦っちゃん・・・睦夫・・・。看護婦さん、助けて下さいね。睦っちゃん・・・・・先生、何とかして下さい。お願いします。」

と、先ほどの初子ほどではありませんが、心配で仕方ない様子です。一方の初子は、少し落ち着きを取り戻した様子。どちらかと言えば、あの放心

状態に少し逆戻りした感じです。

さあそして、加害者側の能子。もちろんタダで済むわけはありません。警察で取調べを受けております。立会いの刑事が、まず能子の免許証を見て

驚きました。「なんだ? 昨日免許とったばっかりか?」 いや、例えそうだとしても、あんな運転が許されるわけありません。「何キロで走ってた?」

「40キロ。制限速度は守ってたもん。」 「あそこは20だぞ。」 「え〜?」 「知らなかったのか? ええ!?」 どうでもいいんですが、この能子。とて

も取調べを受ける側の態度とは思えませんね・・・。ガム噛みながら化粧直しをしています。「だって・・・あの辺りはわき道や・・・幼児がご

ちゃごちゃしてるからさぁ・・・」 「今度は道路事情のせいか?」 「一方通行に入った時だって、誰かが教えてくれてたら・・・」 「注意しなかった歩行

者も悪いってのか?」 ホントにもう、言ってることムチャクチャです。そんな能子に、ついにこの刑事の怒りが爆発。「ガムなんか噛んでる場合か!

人を殺したんだぞお前!」 反発心の強い能子は、ふてくされたように、噛んでる口をさらに動かします。しかし今この刑事は、重要な事実を言いまし

た。そうです、この事故のせいで、

 睦夫は死んでしまったのです。

ただ、それならば、さっきの病院で息を引きとるシーンにした方が、ストーリー的には良かったのになと思います。なんとまあ、脇役の1人であるこの

刑事のセリフで、睦夫の死が知れた事になってしまいました。その刑事のセリフがまだ続きます。「教習所で何習ってきた? 適性検査受けてんの

かお前?」 これを聞いた能子は、ギラッとこの刑事を睨みます。・・・う、ちょっと恐いですが、さすがに初子の見せたあの形相に比べたら、まだまだ

劣っております。

 

ここで第1章が終了です。睦夫を失った初子、三津子の運命は!? また、彼の命を奪った能子はどんな裁きを受けることになるのか!?

第2章は、こちらです。


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