最終話 「聖戦」ANRI III
ふぅ〜、毎回思うんですが、こういうものを作るのって結構疲れます・・・。って、これからストーリーを書こうかって時に、そんな弱気でどうすんだ!っ
て感じですが・・・。さて、このエコエコアザラク THE SECONDも無事最終話まで迎えました。いや、話の内容としては、決して無事で済んではいない
んですが。実はこのエコエコアザラクは、ビデオ化されたものは4巻に分かれております。今お伝えしているANRIシリーズ3話分は、4巻目である
『聖戦』にすべておさめられています。そしてその『聖戦』が、この最終話のサブタイトルにそのまま使われております。最大の敵を倒して神聖な世界
を取り戻す、まさにその名の通りの最終ストーリーとなってきそうです。果たしてどんな盛り上がりが、そしてどんな結末が待っているのか!? で
は、どうぞご覧下さい。
もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。
◎今回の登場人物
黒井ミサ:黒魔術を使う少女で主人公
リョウ:大門村に住む謎の男。その謎は明らかになったが、カスミにナイフで刺され瀕死状態に・・・
黒井アンリ:ミサの妹。ミサと無事再会するかどうか、今回の最大の見物!
黄金コンビ:ついに黒魔術を使う夢を見てしまったナレーション
(注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)
◎ストーリー
さあ最終話。今回もいきなり凄い出だしになるんだろうなぁと心の準備をしていたんですが、画面に現われたのは、なんとミサとアンリが遊園地のメ
リーゴーランドに仲良く乗っているシーンでした。私は一瞬、番組が変わっちゃったのかと思ってしまいました。今まで幾度となくアンリを見
つけるのを失敗してきたミサ。早く助け出して一緒に遊んであげたいという思いが、こうして映像として出ているのでしょう。しかし、これだけではあり
ません。ご丁寧なことに、このメリーゴーランドに乗っている間に前回のハイライトシーンも次々と出てきました。シスター5人衆を返り討ちにしたシー
ン、ミサがリョウの腕に包帯を巻いていたシーン、アンリに化けたカスミにリョウがナイフで刺されたシーン、そしてそのカスミを辛くも倒したシーン、と
一通り出てきました。と同時に、メリーゴーランドのシーンも一旦これで終わりました。前回のあらすじを交えた、最終話らしい素晴らしいオープニン
グでした。
さて、画面はあの問題の包帯女へと変わりました。相変わらず不気味です。今日はまた、周りに置かれているたいまつが一段と燃え上がって
おります。例によって車椅子に座っている包帯女。その顔面が・・・いや、口元がドアップで写し出されました。その口がゆっくりと動き、「ミ・・・サ・・・」
と言いました。やはり、ミサの体を求めているのでしょう。そんな最終決戦の幕開けを思わせておいてのサブタイトル紹介。
〜「聖戦」 ANRI III〜
真っ黒の画面に白色の字という、まさに白黒つける時がやってきました。
さあ先ほども言いましたように、ナイフで刺され今にも息絶えてしまいそうなリョウ・・・。ミサに連れられ、河原までやってきました。河原の水を手です
くい、リョウの口元へと持っていったミサ。しかしリョウは、その水さえ飲むことはできません。それどころか、咳き込んで血を吐いてしまいました。そ
の吐血ぶりが、何とも痛々しいです。ミサは、そんなリョウを仰向けにして、自分の膝元に寝かせました。「・・・お前・・・さっき名前聞いたよな・・・」 リ
ョウは、やはり口を閉じた状態で、しゃべり始めました。
「リョウ・・・。親しい人はそう言うんだ・・・。」
って、あんた親しい人なんていたの!? 何かキャラ的にも一匹狼という感じでとてもそうは思えないんですが、ま、本人が言うんだから間違
いないのでしょう。「リョウ・・・。私は・・・」 「黒井ミサだろ?」 「知っていたの?」 「ミサ・・・。少しは自分のことを知ったほうがいい・・・。だからため
らうな。何があってもやり遂げろ。行くんだろ?」 ミサはしっかりと縦に首を振りました。もちろん行ってもらわないと・・・。アンリを見殺しにするわけ
にはいかないし、何より我々視聴者が許しません。ここでリョウは、見つめ合っているミサの顔を、さらに自分のほうへと近づけました。ここでまさか
のキスシーン!? いえ、違います。おでこタッチで、あるビジョンをミサに伝えただけでした。第25話で見せた瞬間移動といい、今回といい、どうや
らリョウは額に特殊な能力を持っているようです。さて、リョウが伝えたそのビジョンとは・・・シスター達が包帯女の体を舐めまくっている情景でした。
これ、私たちは何度か目にしているのでいいのですが、初めて見たミサはどう受け止めているでしょうか・・・? 「感じたか?」 「パンデモニアム?」
「奴らはあの場所をそう呼び、集まっている・・・。」 さあそんなリョウですが、どうやら終わりの時がやってきたようです。
「・・・な・・・れ・・・る・・・。お前・・・なら・・・なれる・・・。
この世に・・・とって・・・最後の・・・希望に・・・」
そう言い残し、ついにリョウは息を引きとってしまいました・・・! 短い間だったとはいえ、戦友の死を胸に、ミサの闘志は一段と燃え上が
ってきました。
そのころ、この大門村では、村人たちによる逆十字の札を貼って祭る儀式が行なわれておりました。ミサの体を器として差し出し、それによって神が
現われ、その神によってこの村が救われる。そう信じ込まされているこの村人たちの変貌振りは、もう異常を通り越したすごいものがあります。ある
意味、一番かわいそうな人達と言っていいかもしれません・・・。
さあ最後の・・・最後の戦いの時がやってきました。敵のアジトであるパンデモニアム。そこにシスターが5人ほどでしょうか、集まっております。魔方
陣の周りを取り囲み、妙な呪文を唱えております。やはり首領格のカスミが亡くなっても、敵の存在は消えておりませんでした。とそこへ、ミサがやっ
て来ました! 「アンリはどこ?」 もう、このセリフをこれまで何度聞いたでしょうか・・・。シスターたちは魔方陣を離れ、今度はそんなミサを囲んでき
ました。しかし、ミサも決してひるみません。いや、ひるむわけにはいきません。
「どこなのアンリは? もう一度言うわ。アンリはどこ? 答えなさい!」
とこの時、シスター達によって、ミサは別の場所へとテレポートさせられました。別の場所とは・・・そうです。包帯女のいる例の洞窟でした。先ほどは
最高潮の炎が辺りを囲んでおりましたが、今はそれはなく、小さなたいまつが両側に1つずつ置かれているだけでした。ついに向かい合った両者!
と、その瞬間、急に強烈な風が吹きました。その風によって、包帯女の顔の部分の包帯が、どんどんと剥がされていきます。ミサは風の勢いに押さ
れ気味になりますが、包帯女のほうは微動だにせず、至って平然としております。さあ風も納まり、顔の包帯も全部取れてしまいました・・・。そこに
現われたのは・・・
アンリの笑顔でした。
もう、さわやかすぎるくらいの笑顔であります。会えた! ついに会うことができた!! ミサの表情が、途端に嬉しさあふれる顔へと変わり
ました。「アンリィ〜!」と、思わず駆け寄っていきました。しかし、その喜びも束の間。笑顔だったアンリの顔が、一転して恐ろしい顔への変わり、さ
らに目を赤く光らせ、見えない強大な力でミサの体を吹き飛ばしました。そして、ミサに向かって次のように言いました。
「ここは神の領域。我はこの場所で神として崇められ、神として君臨する。」
えっと、ここで一度整理しておきましょう。まずアンリ自身は、残念なことに、もうこの包帯女の体内に納まってしまっております。そして、どうやらアン
リの意識はすでにないようで、包帯女、いやもう顔の部分が完全に見えてしまってますので、別名『ダイモン』と呼ばせてもらいましょう。アンリではな
く最大の敵ダイモンとして、今ミサの目の前に現われております。従って、上記のように、アンリではなくダイモンのセリフであることを強調するため
に、字を斜めにさせてもらうことにします。・・・さあ、何はともあれ、ミサにとっては今ここに最大の難関が待ち受けていました。ですが、このまま放っ
ておくわけにはいきません。「アンリ、いま浄化するからね。」 すかさず剣を取り出し、指でクロスさせて構えました。そして、「大地の精霊よ我が足
を伝いその力を体内の小宇宙と融合させ邪悪の吐息に包まれし者を純白に浄化し邪悪の根本を闇の彼方に消滅させ給え」と唱えて向かっていき
ました。この時のミサのセリフはまったく息継ぎがありませんでしたので、私もそれに倣って、句読点の使用を一切無しにしてみました。さ
あ、勇敢に向かっていったミサでしたが、まったく通用しません。またもや赤目のダイモンに返り討ちを喰らって、吹っ飛ばされてしまいました。「そ
の身を器として捧げろ。憎め。憎悪しろ。神の名において、お前のそのパワーを吸収する。」 好き勝手なことばかり言われてたまるか! ミ
サも負けじと言い返します。
「冗談じゃないわ! 人々に邪悪をなすお前が神を名乗るなら、私は悪魔で構わない。
悪魔となってお前を倒す!」
3度目の正直。またも剣をクロスさせ、「大地の精霊よ我が足を伝いその力を体内の小宇宙と融合させ邪悪の吐息に包まれし者を純白に浄化し邪
悪の根本を闇の彼方に消滅させ給え」と言って、3たび向かっていきました。がしかし、やはり吹っ飛ばされてしまいました。3度目の正直ではなく、
2度あることは3度あるの方になってしまいました。それにしても、最大の敵を目の前にしているとはいえ、主人公が同じ攻撃を3度も喰らって
しまうとは・・・。ここはもう少し頑張ってほしいところです。しかし足でしょうか、ミサは負傷してしまったようです。苦しむミサ。さらに、アンリの体を
取り入れたダイモンが、車椅子でじわじわとミサに近づいてきました。ミサ、このままやられるのか!? しかしここで、ダイモンの顔がハッと何かに
目覚めたような表情に変わり、車椅子も止まりました。そして、
「お姉ちゃん・・・。」
という声が・・・! そうです。字を斜めにしていません。つまりこれは、アンリ自身の声でした。先ほど私は、アンリの意識はすでにないだろうと申し
上げましたが、そうではありませんでした。ミサも、まるで負傷した痛みを忘れるような感じで、「アンリ!?」と言いました。「これ以上、押さえらんな
い・・・。逃げて・・・。」 ミサを襲おうとしている車椅子を必死に止めているアンリ。そのために、タイヤがカタカタと動いております。果たしてど
こまで耐えられるか・・・。しかし、それもここまで。アンリの言ったことは正解でした。再び車椅子が発進。そして、それにぶつかったミサは、またも吹
き飛ばされてしまいました。っておいおい、これで飛ばされたの4回目じゃないですか! いや、もうそれだけ敵が強すぎるということです。とここで、
今吹っ飛ばされた衝撃で、ミサの持っていたエルビスの書が地面に落ちてしまいました。これは第24話で樹梨に奪われそうになったものですが、リ
ョウの助けもあって、今こうしてミサの手元に無事あります。体を倒した状態になりながらも、そのエルビスの書に手を触れようとするミサ。その時、
母である奈々子の心の声が聞こえてきました。「何かあった時、これ(エルビスの書)に祈りなさい。きっとあなたの助けになるはずよ。」という救い
の声が・・・! 「ママ・・・。」 ミサは最後の力を振りしぼって起き上がり、エルビスの書を両手にとりました。懸命にそれを開けようとするミサ。し
かし、思う通りにいきません。そういえば、樹梨が言っていました。最後の希望を示すエルビス、だが過去において、その封印を解いた者は1人もい
ない!と・・・。つまり、それだけ開けるのは困難なのでしょう。しかし、これがもうラストチャンス。このままでは完全にやられてしまいます。あきらめ
ずに開けようとするミサ。しかし、
「どうして開かないのよ!? どうしてよ!? どうして・・・!!」
やはりダメです。さあ敵のほうは、一時アンリの意識が戻ったんですが、またも悪の権化ダイモンの状態に戻りました。 「所詮お前は誰1人救うこ
とが出来ない。友人も、妹も、両親も、誰1人として。私にその身を捧げるしか道がないことを思い知れ。」 どうしようもない悲しみと絶望に
打ちのめされるミサ。涙まで出てきました。とその時、ミサの流した涙の一滴が、エルビスの書にポトリと落ちました。果たしてこれは何を意
味するのでしょうか? それはまた後半に話すことにしましょう。
ここでこの話の前半が終了です。かつてないと言っていいほどの絶体絶命のピンチに陥ったミサ。果たして、大逆転勝利はあるのでしょうか!?
そして、ミサは妹アンリを無事な姿で救出することができるのでしょうか!? 長いこと書き続けたこのエコエコアザラク THE SECONDも、いよいよ
半話を残すのみとなりました。これまでの展開からして、もしかしたら最後の最後も悲劇的結末を迎えるのかもしれませんが・・・。締めくくりとなる素
晴らしいラストを期待したいところです。では、後半のお話も楽しみに待っていて下さい。
後半は、こちらです。