第21話 「血」THE BLOOD
これまでエコエコシリーズを何話か書いてきましたが、薫(第15話の方)、哲也、千秋、秀美、愛倉と5人もの超極悪人が出てきました。自分の周り
にもしこんな人間がいるとしたら・・・考えただけで恐ろしいですね。さあ、この第21話ではどんな悪い人間が出て来るんでしょうか? そして前話に
登場した「アンリ」と名乗った謎のシスター。今回も陰で糸を引きながら現われるのでしょうか?
それでは、「血」THE BLOODをご覧下さい。
もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。
◎今回の登場人物
黒井ミサ:黒魔術を使う少女で主人公
岡本史郎:やり手の新人医師。しかし、その活躍ぶりを見せるシーンは一切なし。
岡本薫:史郎の妻。ある事がきっかけで人間離れしてしまう。今回の悲劇のヒロイン。
黄金コンビ:入院は32年間一度もしたことのないナレーション
(注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)
◎ストーリー
時間は真夜中、そしてトンカチで何かを叩きつける音・・・。っておいおい、まるで前回と同じようなスタートじゃないですか! いやいや、前回と
明らかに違う点が1つあります。それは、叩きつけている人物の顔がはっきり見えていることです。この人物が今回の登場人物の1人、岡本史郎で
あります。そして何を叩きつけているかと言うと・・・
八重歯が伸びドラキュラ化した成人男性
でした。その男は、史郎からトンカチで何度も胸を叩かれ、ついには大きな奇声を上げて息絶えてしまいました。しかし、それだけでは終わりません。
何を思ったのか、史郎はその死んだばかりの男から、注射器で血を吸い取りました。そして、死体のほうを自分の車に乗せました。向かった先は、
どこかの海辺。死体を車から出し、仰向けにして寝かせます。タバコを吸いながら夜明けを待つ史郎。夜が明けると、太陽の光を浴びた死体は、な
んと砂になってしまいました。なんか、第15話の月子の時を思い出します。あのとき月子は、ミサにひざ枕をされた状態で安らかに息を引き取りまし
た。これは、女同士だから感動シーンとなるもの。今回のような男同士だと、ただ気持ち悪いだけでしょう。いや、ていうか、やらないで欲しいです。
・・・さあ、死体は砂となったわけなので、当然服や靴だけが残った状態に・・・。史郎はその衣類を、わりと大き目のゴミ袋に入れました。そして、そ
れを袋のままどこかのゴミ置き場に捨てました。と、ここで今回はわりと早かったサブタイトル紹介。
〜「血」THE BLOOD〜
何やら吸血鬼っぽい話になりそう・・・。サブタイトルもそれに合わせたタイトルになっています。
さて、史郎が家に帰ってきました。カーテンの閉まっている暗い部屋の中で、妻の薫が寝ております。一応言っておきますが、この薫は第15話で出
た極悪非道の薫ではありません。それにしてもこの2人、普通の家庭として見れば、ちょっと感心できませんね・・・。夫が朝帰り、妻がまだ寝ている
なんて・・・。もちろん、そこを問題にするような話ではありませんので、さっさと本題に戻りましょう。カーテンにほうに向かった史郎。そろそろ起きる
時間だし、カーテンを開けるかなと思っていたら、なんとさらに閉めてしまいました。いや、この言い方だとちょっと分かりずらいですね。実は閉まって
いると言いましたが、わずかに開いていまして、そこを閉じて完全に部屋を暗くしてしまった・・・というわけです。それにしても何故でしょう・・・? まる
で、太陽の光を部屋に入れたくないような、そんな怪行動です。そして薫のいるベッドに座る史郎。・・・お、どうやら彼女、お目覚めのようです。そん
な彼女に「起こした?」と言う史郎。おぉ〜、ここでようやく登場人物のセリフが出ましたね。ここまで一声もなかったので、このまま物語が
終わるのかと思いました。さあ、人のセリフが出たら、今度は音です。史郎のポケベルが鳴りました。史郎はそれを止め、自分の勤務している病院
へ電話をかけます。「外科病棟をお願いします。・・・岡本ですが・・・あ、はい・・・はい、分かりました。」と言って切りました。そして薫に、「患者の容態
が急変したようだ。行かなきゃいけない。すぐに帰ってくるから・・・。」と言って、今帰ってきたばかりなのに、また出て行ってしまいました。この「すぐ
に帰ってくるから・・・。」というところ、何だか薫が普通じゃないから付いていてあげなきゃというのを感じさせるセリフです。そんな薫ですが、ここまで
まだ一言もしゃべっていません。起きた後あくびをした時に声を出したという程度でしょうか・・・。史郎が出かけるのを、不安そうに見ています。再び
車に乗る史郎。病院に向かうわけですが、途中でミサとすれ違います。ですが、史郎のほうは全くその事に気づかなかったでしょう。いや、気づけと
言うほうが無理です。しかししかし、ミサのほうは、通りすぎた史郎の車をいつまでもしっかりと見ていました。
さて、病棟内では、他の医者2人が史郎の事を話しながら歩いております。「最近岡本君はどうしたんだろう?」 「例の奥さんの件でしょう。」 「うー
ん事情は分からんでもないが・・・」 「有能な奴なんですが・・・」 と、視聴者にはまだまだ話の本筋は教えないぞという程度に会話をしてくれました。
まあ、今回は曖昧でしたが、こういった脇役陣のセリフというのは、陰で物語を支えてくれるといった重要さがあると思います。さあそんな史郎です
が、机に向かって何やら妙な資料を見ているようです。ていうかあんた、さっき電話のあった患者さんはどうなったんだ!? と言いたく
なります。それとも、もう診た後なのでしょうか? たぶんそんなとこでしょう。仕事を終え、今度は病院を出てきた史郎。死角となる位置には、ミサが
立っていました。それに気づかず、通り越して歩いていく史郎。ここでミサが声をかけます。「あなたにまとわりつく邪悪な風が、多くの血の匂いを運
んでくる。」 うわ、今回も黒魔術の少女らしい第一発言。相変わらず、一言一言に説得力がありそうです。これに驚いたのは史郎。パッと振り向き、
ミサに「なんだキミは?」と言い返します。「なんだキミは?」と言われると、私は思わず志村けんの変なおじさんを思い出してしまうのですが・・・。
昔からそうですが、これはもう頭の中で条件反射が働いてしまいます。さあ、そんなどうでもいい事は置いといて、ミサの忠告はまだ続きます。
「いい加減バカげた血の共演は、終わりにした方がいいわ。」
何も言えなくなってしまった史郎。まるで心の中を見透かされたような、そんな表情をしています。ミサを無視して帰ろうとする史郎。2、3歩あるいた
ところで再び振り向いた時にはミサの姿はありませんでした。さすがはミサ。空間転移能力(テレポーテーション)も難なく使えるようです。
またまた自分の家に戻ってきた史郎。行ったり来たり忙しいですね。家に戻っても医者らしく研究を続けております。フラスコや試験管のようなものに
囲まれてやっております。その時、部屋をノックする音が聞こえてきました。「はい。」と返事をします。ドアから顔を出したのは笑顔の薫。「ご飯よ。」
と史郎に伝えます。やっとまともにセリフを言ってくれました。
テーブルには、なかなか豪華な料理。そんな料理を囲んで向かい合わせに座る史郎と薫。・・・と、ここまではいいんですが、なぜかやはり室内は
カーテンを閉めております。さらに、電気をつければいいのに、なぜかろうそくに火を・・・。さっき薫が起きた時といい、どうも光を避けているよ
うに思えます。さあ薫のほうは普通なんですが、史郎は目の前の料理にちょっと驚いている様子です。そんな史郎に「結婚記念日忘れた?」とやや
笑いながら言う薫。ここで本当に忘れていたら、男としてちょっとカッコ悪いですね。でも、史郎は決してそんな事はありませんでした。「今日は具合が
良さそうでよかった。」と言ってから、「さてと・・・どっちだ?」と両握りこぶしを差し出しました。左手のほうを選んだ薫。「ビンゴ!」 その手の中には
薫にプレゼントする指輪が入っていました。さっそく嬉しそうにはめる薫。史郎もその様子を見て微笑んでおります。・・・と、その時でした。薫が突然
苦しみ始めました。ろうそくを消し、薫をおぶってベットに連れて行く史郎。さらに、苦しさでやや興奮気味の薫を縄で何重にも縛り、ベッドに張り付け
にして、身動きのとれない状態にしました。この時の史郎の冷静さが、妙にすごいです。普通ならこういう場合、やる方もちょっと抵抗ありそうにする
もんですが、史郎にはまったくそういう素振りはなく、黙々とやってのけていました。まるで、こんな事は今までにも何度もあったんだと言わんばかり
に・・・。なおも今度は、冷蔵庫から冷やしていた血液を取り出し、それを点滴をするような感じで薫の体内へと送り込みます。これで少し苦しさ
から開放された薫、次のように史郎に言います。「今の・・・今の私は・・・人の血を求める・・・怪物・・・。昨日も・・・私が噛んでしまった・・・人を・・・殺し
てきたんでしょ・・・? でも・・・あの人達には・・・何の罪もないの・・・。悪いのは・・・私なのよ。」 あー、やはりまだ落ち着かないようです。言葉も途
切れ途切れですから・・・。でもこれで、オープニングの史郎の異常な行動の説明がつきますね。トンカチで叩きつけられていたのは、薫に噛まれた
人でした。噛まれたせいで人間でなくなってしまい、八重歯の生えたドラキュラ状態に・・・。そしていま薫に点滴している血は、おそらく史郎がそのドラ
キュラ男から注射器で採取したもの・・・。だいぶ謎が解けてきました。こうなると今度は、薫がなぜそんな怪物になってしまったのだろうという疑問が
沸いてきます。「これはウィルス性の病気なんだ。だから絶対治る。治療法さえ分かれば、必ず治せるんだ。」と、薫を安心させる史郎。どうやら、薫
のほうは自分がなぜこうなってしまったのか、よく分かっていないようです。「夜の、闇の深さが分かる? もう、日の光がどんなんだったか忘れ
ちゃった・・・。また昔みたいに、海行きたいなぁ・・・。」 「また行けるよ。」と、やはり安心させる史郎。「ダメ。今行ったら私、火葬になっちゃう。」 「も
うすぐ、血清もできるはずだ。」 血清を作って一発に治すことが出来るのでしょうか・・・? それともそれはデタラメで、薫を勇気づけるためにそう言
っただけなのでしょうか・・・? ちょっとここでは、その辺の史郎の胸の内が分かりません。
「もし出来なかったら、私は永遠にこのまま、太陽の光を恐れ、闇の中に閉じ込められたま
ま・・・。その時は、私を殺して。」
さあ、夜になりました。お月さんがまんまると輝いております。満月と言っちゃうと、SEVENシリーズの忌まわしい事件を思い出しますので・・・。たま
にはこういう言い方もさせて下さい。またも研究室で何かを研究している史郎。ガタン!という音が聞こえてきました。最初は別に大した事はないだろ
うと思っていた史郎ですが、ハッとある事に気づきます。急いで薫の寝室に向かう史郎。やはり・・・薫がいません! あれだけ頑丈に縛って
いたのに・・・。カーテンを開けて家の外を見渡しますが、どうやらもう近くにはいないようです。その薫ですが、人気のない道路で、黒の艶っぽいジャ
ンパーを着て立っていました。それも、さっきまで苦しんでいたのがウソのようなハツラツとした表情で・・・。まるで、獲物の男を待っているような気配
です。・・・と思ったら、本当にそこに獲物が現われました。20代くらいの男でしょうか・・・? 何も知らずにニヤニヤしているこの男、きっと薫から誘
われたのでしょう。お互い抱き合う2人。史郎は、薫を必死で探しています。男の首からドクドクと血を吸い尽くそうとしている薫。その時、「待ちなさ
い!」と止める声が・・・。それは史郎ではなく、ミサでした。しかし既に時遅し。噛まれた男は、その場でグッタリ倒れこんでしまいました。ミサは、もう
自分の第一の武器を言っていいでしょう、短剣を取り出し、自分の指と交差させて十字を作り、呪文を唱え始めました。その呪文を聞いている薫は、
顔をゆがめてだんだん苦しんでいきます。「薫!」と、今度はミサを止める史郎の声が・・・。呪文から開放された薫は、その場を去って逃げていきま
した。今倒れたこの男も、このまま放っておけば吸血鬼化してしまう・・・。史郎は、すかさずこの男の胸をトンカチで打ち始めます。ミサはそれを見な
がら、「罪のない人々がどんどん死んでいく。一体いつまでこんな事を続けるつもり!? 早く彼女を殺しなさい。」と史郎に言いますが、「できない。
彼女を殺すなんて、僕には出来ない。」
「今の彼女は、果てしなく血への活動に支配された吸血鬼。」
「君は・・・。君は一体・・・?」 この女はすべてを知っている。そう言いたそうな史郎の表情が、しっかりと顔に出ております。
ここでこの話の前半が終了です。果たして史郎と薫の運命は!? ミサはこの2人に対し、一体どういった行動をとるのか!?
後半は、こちらです。