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第20話 「面」THE MASK

 

長かったSEVENシリーズも、ようやく終わりました。女子高生もいっぱい出てきて、私的にはすごく見ごたえがあったので、何だかちょっと寂しい気も

します。しかし、それとは反対に、物語のほうはここから徐々にクライマックスへと向かっていきます。前話ラストで秀美が呟いた「アンリ様・・・」という

言葉。それを手がかりに、ミサの妹捜索にも、さらなる磨きがかかります。この第20話では、それがもっと進展するでしょうか・・・? 

それでは、「面」THE MASKをご覧下さい。

 

もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。

 

◎今回の登場人物

 黒井ミサ:黒魔術を使う少女で主人公

 愛倉太:ファンタジックな画風で知られていた画家。しかし、2年前の火事をきっかけに画風が一変する。

 宮本奈美子:愛倉の婚約者。愛倉に会いにきたミサに嫉妬する。

 黄金コンビ:美術は家庭科の次に苦手だったナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー

時間は真夜中、そして包丁で何かを切りつける音・・・。いきなり不気味なスタートとなりました。何かというのは・・・やはり人間の体でした。もう既に、

血まみれの死体となっております。果てして切りつけていたのは誰か!? ・・・残念ながら、黒っぽい服装に隠れて誰なのか分かりません。さらに、

それだけで終わらないのが、エコエコアザラクのすごいところです。なんとこの人、死体から流れ落ちた血をシャベルですくい、一輪車(この場合の一

輪車は人が乗る方のではなく、物を入れて運んだりする工事現場でよく使われている方の一輪車です)の中に流し入れています。あふれるくらいの

大量の血がたまったところで、両手ですくって飲みほしています。もう人間のやることじゃありません・・・。血をこよなく愛している、まさに悪魔です。

飲む瞬間、顔が見えるかなと思って画面に注目してみました。ところがこの人、

 白く奇怪な面で顔を隠しております。

黒っぽい服装に白のお面、これじゃ完全に死神ですね・・・。そしてこのお面を付けた顔がどんどんと画面に近づいてきます。

 

さて、トラウマ必至のシーンが続いたところで、画面はがらりと変わります。『愛倉太 展』と書かれた個展会場・・・。そこに何やら金持ちっぽい人達

が大勢来て、彼の作品を見に来ています。しかも優雅にみんなワイングラスを片手に持って・・・。おぉ〜、私はこういうのは、どうも馴染みがなくて苦

手です。何だかワインの持ち方とか服装とか色々マナーがありそうで、肩が凝ってきます。さあそんな事を思っているうちに、会場に来ているある男

女2名がしゃべり始めます。「愛倉太は、昔からファンタジックな作風で知られていたんだ。でも2年前、アトリエの火事で大怪我してさ、両目・・・完全

に失明したんだ。」 「え〜? だって今は書いてるんでしょ??」 「それが、一年前奇跡的にカムバックしてさ、医者は絶対回復不可能って言ってた

けど・・・。それからさ、愛倉の作風が変わっちまったのは。こんな気味悪い悪魔や怪物の絵ばかり書くようになっちまった・・・。」 と

ここで、愛倉の書いてきた作品が次々と画面に現われます。なるほど、確かに気味悪いです。よく絵というのは、死体を書くほど質の悪いものはない

と言われますが、彼の絵はそれに匹敵するくらいの怖さを感じさせます。さらに今度は、別の男性2名が次のように語り始めます。「おいあれ、雑誌

のグラビアみたいだよ。」 「愛倉の代表作の『奈美子像』さ。脇にいる美人が、愛倉の専属モデルで婚約者の宮本奈美子って女さ。」 この男の言っ

た通りに、画面のほうも、奈美子と『奈美子像』を見せてくれます。「愛倉太は普通のかたとは違う感性で描いておりますので、まあご理解いただくの

は難しいかと思いますが・・・」と、当の本人もニコニコとこの絵を紹介しています。ここでまた、さっきの男性2名の会話に戻ります。「へー、しかしあ

んなバケモンに書かれてニコニコしてる神経って分かんねーよな。でもあれ、どっかの客が買ったんじゃなかったっけ?」 「知ってるか? 愛倉の絵

を買った奴は、みんな原因不明の怪死を遂げて、その度に絵が返品されているんだ。」 「呪われた絵か・・・。それでも買いたい奴っているんだな。」

ちょっと長めの会話をしたこの2人、ようやく話し終わり、その場を去りました。去ったその場には、ミサが立っていました。絶対に立ち聞きしていたで

しょうね。間違いありません。そのミサの所に、ちょっと太目の男がやってきました。この男、第17話で出てきたズボン脱ぎかけ男に似てるのは気の

せいでしょうか・・・? まあ、エンディングの登場人物のところを見て確かめることは出来るんですが、結構面倒くさいのでやめておきましょう。さあ、

慣れた手つきでワイングラスを回しているこの男、ミサに話しかけます。「お嬢さん知ってますか、愛倉太のアダ名。仮面画家って言うんだよ。」 「仮

面?」 「そう。愛倉はね、四六時中すっげー気味の悪い仮面をつけてるのさ。だぁーれもその素顔は見たことがない。噂じゃ2年前の火事の時にも

のすご・・・」と言ってる途中に急に驚いた表情になり、その場を去っていきました。そうです。愛倉がやってきたからです。「何かお気に入りの絵はあ

りましたか?」とミサに言う愛倉。確かにあの男の言った通り、気味の悪い仮面をつけています。しかもこの面、最初に登場した、死体の血を溜めて

飲み干していた人物のものと全く同じに見えます。どう考えても、何か関係がありそうです。そんな愛倉にミサは、

 「さすが、本物を見て書いただけの事はあるわね。

と、まるで見透かしたかのように返答します。と、ここでようやくサブタイトル紹介。

 〜「面」THE MASK〜

このタイトルと同時に、面を付けた愛倉のドアップ画面が現われました。そしてそれが徐々に小さくなりながら、本編スタートです。

 

個展も終わり、自分の部屋でくつろぐ愛倉。その部屋にミサを招いています。「その面は『ピックマンの面』。中世の悪魔崇拝者たちが儀式に使った、

大勢の生贄の血が染みこんだ呪われた面よ。私の一族は、何百年にも渡ってその面を封印してきた。だけど2年前、何者かによって盗み出され

た。」 と、ここで部屋に入ろうとドアノブに触れようとした奈美子でしたが、ピタッとその手が止まりました。今のミサの話に心当たりがあるんでしょう

か・・・? 部屋の外で2人の会話を聞くことにしたようです。「魔術、悪魔、呪い・・・素晴らしい。フフフ、絵描きにとってはインスピレーションの宝庫

だ。君には想像も出来まい。この面が見せてくれる、人間の想像力や美の観念を超えた、あの世界の美しさが・・・。今まで芸術家が到達できなかっ

た究極の美だ。どんないわれがあろうと構わない。」と言いながら、ついに面を外し、素顔を見せる愛倉。火事のせいでさぞかし肉もただれ酷い顔に

なっているんだろうと予想していましたが、普通の顔でした。いやいや、今回の話はオープニングから結構怖いシーンが続いているので、一息つけて

良かったです。おそらく2年という月日が、傷だらけの顔を元に戻してくれたのでしょう。さあ、愛倉のこの酔いしれた発言に対しミサは、「それは人間

が見てはならない世界よ。」と忠告気味に言います。今の言葉にちょっとピクっと来たのか、愛倉は少し睨むようにミサの方を向きます。ここでなぜ私

が「見ます」ではなく「向きます」という言い方にしたのか・・・。その答えは次の会話で分かります。「・・・・・・・見えないのね?」 「その通りだ。僕は失

明している。だが、これを付ければ見える。この面が見せてくれるんだ。これはもう、僕の目そのものだ。誰にも渡すものか!」 と再び面を付けた愛

倉。しかし、なぜか突然苦しみだしました。「先生!!」と、ドアの外にいた奈美子が慌てて入ってきます。「その面は魔界の光景を見せ、その代償と

して人の命を削る。あなたの命もだいぶ削られているわ。面は破壊するわ。」と言って、ミサは得意の呪文を唱え始めます。今回は呪文の途中に、

「サタン、我に力を与えたまえ。」というセリフも交えながら。それにしても、悪魔が宿っている面を破壊するのに、サタン(悪魔)に力を借りるのは

ちょっと変な気もしますが・・・。あまりの呪文の凄さに「やめて!!」とミサに立ち向かう奈美子。しかし、素人が魔術を持った人間に勝てるわけがあ

りません。奈美子はあっけなく吹き飛ばされてしまいました。なおも呪文を続けるミサ。愛倉は、今破壊しようとしている面を付けているため、もちろん

苦しんでします。・・・が、ここで面を通してミサの美しさを感じた愛倉は、

 「美しい・・・。分かった・・・。返す!」

と言います。それを聞いたミサも呪文をやめ、「返して。」と右手を差し出します。「1つだけ条件がある。」 「条件?」 「君の絵を書かせてくれ。」 

「私の絵?」 「こんなもの、君に比べたら・・・」と、『奈美子像』を床に叩きつける愛倉。それを間近で見ていた奈美子は、たまったもんじゃありませ

ん。この愛倉の行動に、すっかり顔がこわばりました。「君の本当の姿、僕にはハッキリと見えた。言葉でなんか言い表せない。魔界の官能的な美

だ。それは君だ。」 ていうかこの男、いちいち言う事がすごいですね。想像力とか観念とか官能的とか・・・。よほど知的な人間なんだと思い

ます。「君を書かせてくれるなら、喜んでこの面は返そう。再び暗黒の地に戻っても、悔いはない。君を書きたい、僕の最後の作品として。お願い

だ!」と言って土下座までしています。すごい執念です。「分かったわ。約束よ。」とOKするミサ。逆に奈美子の顔は、さらにこわばります。そりゃそう

ですね。愛する人に自分の絵を叩きつけられ、なおかつ、若い女の子の方に興味が行っちゃうと、誰だって嫉妬するでしょうし、面白くもありません。

しかし、ミサはそんな奈美子の事なんてお構いなしって感じで、着ているものを次から次へと脱ぎ始めます。何も脱がなくてもいいのに・・・。

最後にとびっきりの絵を書かせてやろうという、いきな計らいでしょうか・・・? 靴下、スカーフ、上着、スカート・・・と、どこまで脱いだか分かりませ

んが、さすがに大事な部分は画面には出てきません。これをしちゃうと、番組が思いっきり変わってしまいますから・・・。しかも、ミサは純粋的なイ

メージが強いですから、ファンとしても行き過ぎたシーンは嫌がることでしょう。そんなミサをモデルに最後の絵を書く愛倉。「美しい・・・」とご満足の様

子です。さあ、ついに書き終わりました。「猶予は1週間。その時、面を返してもらうわ。」と言って、ミサはいったん愛倉と別れます。しかし、気が気

じゃないのは奈美子です。「先生。どうしてあんな約束してしまったんです? そのお面返したら、また見えなくなってしまうのに・・・」 心配して言って

いるのにも関わらず、愛倉はまるで無視するかのように聞いておりません。いや、今書いたばかりのミサのイメージが、まだ強烈に残っていて、人の

話なんて聞いてられないといった方が正解でしょう。「そんなにあの子がいいんですか?」 ここで何故か、部屋が勝手に薄暗くなります。まるで、何

かが起きるんだと言わんばかりの暗さです。

 

さて、夜も更けてきました。無事個展も終え、会場では1人の警備員が見回りをしています。何しろ、有名画家の絵がたくさんあるわけですから、見

回りは絶対に欠かせません。歩いているうちに『奈美子像』を見つけたこの警備員。その絵に懐中電灯を当て、「うわぁ、これかい新しい買うたや

つっちゅうのは・・・。ムチャムチャ気持ち悪いで。趣味悪いのぉ。」と何故か関西弁で言っています。関西弁は出来るだけやめてほしいというのがあ

ります。というのは、結構変換に時間かかりますから・・・。思えば、第15話の高津の時も、ちょっとやりにくかったです。さあそんな話は当然置いとい

て、気持ち悪さのせいか、その絵から早く離れようとした警備員。しかし、突如異変に気づき、もう一度その絵を見ようとします。するとその瞬間、絵

から何らかの力が働き、その呪いの力で、警備員は呻き声をあげ、あっけなく死んでしまいました・・・。その場に居合わせなかったミサですが、やは

りただの少女ではありません。その出来事にすぐに気づいたようです。あぁ〜それにしても、登場してすぐ死ぬなんて・・・。脇役の一種のパターンで

すね。これなら、長時間でもいいから、死体の役をやった方がまだいいかもしれません。この警備員が死に、『奈美子像』の口からは、血がダラダラ

と流れております。ただでさえ気味悪い絵なのに、また気味悪くなりました。

 

次の日になりました。場面は尚も『奈美子像』のある会場。ただし今度は真夜中ではないということで、美術館らしいいい音楽が流れております。そ

の『奈美子像』を見ている奈美子。そこに、昨夜の異変を感じとったミサがやってきました。「その絵の呪いで、また人が死んだそうね?」 「フン、単

なる偶然だわ。」 奈美子はもう、来たな恋敵〜!というような顔になっております。「あなたがモデルの絵なのに、気にならないの?」 「優れた

作品には、不幸な伝説はつきものよ。不吉な噂が大きくなればなるほど、この作品の価値も上がるはず。モデルとしては光栄だわ。」 うわ、危なさ

を感じさせるようなセリフです。「そう。でもそれは、私があの面を封印するまでの話。」 「え?」 「あの絵は若い女性の血を好む。これ以上犠牲者

を出さないためにも、あの面は封印するわ。」 この発言に対し、奈美子の顔はますます険しくなります。それと同時に、警備員が死んだ時のあの呪

いが、再び『奈美子像』に現われます。まさかミサを殺そうとしているんじゃ・・・!? しかし、ミサには全く通用しませんでした。それどころか、かすか

に笑っている感じすら見受けられます。さすが黒魔術の少女、余裕です。「明日は約束の日、面を取りに行くわ。」 ちょっと待ってくれ! いつの間に

6日間も経ってしまったんだろう・・・? だとしたら、私が書いてきた途中の日替わり具合も、ちょっとおかしくなるんですが・・・。まあ、細かい事は抜

きにしましょう。ミサはそう言ってその場を去りました。やはりと言いますか、奈美子は立ち去るミサを黙って睨んでおります。

 

一方、愛倉は相変わらず面をつけたまま、ミサの絵を書いております。モデルのミサはとうに帰ってしまったので、ある程度書き終わって最終チェッ

クと言ったところでしょうか・・・? とその時、目の前の絵が燃え始めました。なんでだ!? 愛倉はもちろん驚きます。そして、2年前に火事

に遭ったあの忌まわしい記憶がよみがえります。これまで書いてきた自分の絵が火事で燃えてしまう・・・。消しに行こうとする愛倉。止めようとする奈

美子。しかし、それを振り切って行ってしまった。なるほど、それで火が目に当たってしまい、失明したんでしょう。おそらく、そんなところだと思いま

す。さて、画面のほうも、2年前のシーンから現シーンへと戻ります。火事を思い出し、頭を抱えて苦しむ愛倉。そこへ、奈美子がやって来ます。「先

生・・・。」と穏やかに言います。「奈美子・・・。もう少しだって言うのに・・・。」 とすがりながら泣いております。なんせ、6日間書き続けてきた絵が急に

燃えちゃったわけですから・・・。そんな愛倉の頭を、まるで幼い子供のように撫でる奈美子。「血を欲しがってるんですね。」 「もっと見たい。あの麗

しいまでの美を、ずっと見続けていたいのに・・・。」と、もう完全に泣いております。

 「先生。あの子を選んでおきながら、どうして私の胸で泣くんです?」

と、ちょっと皮肉っぽく言う奈美子。しかしその後、視聴者側に向かって、例の険しい顔を。ていうか、あんたの険しい顔はいい加減見飽き

た。と言いたくなりますが、これでもう、奈美子が何か企んでいるなということは、だいたい想像つきそうです。

 

ここでこの話の前半が終了です。果たして、ミサは約束通り面を取り返すことができるのか!? オープニングで血を飲み干していた人物は、一体

誰なのか!?

後半は、こちらです。


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