横津と鉄山(オオミスジ)
2014.7.29

 本日は対馬先生と職場の同僚Kさんと、横津岳山頂に来た。Kさんは生物部の活動の視察。

 実はこのKさん。自分と小学校、中学校、高校、大学まで同じ。しかも中学校時代は部活動も同じ(柔道部で自分が3年生の時の1年生)
 そして、同じく今年函館に転勤になり、席も隣と言う、何か運命を感じる人なのである。

 ま、そんなこと置いておいて、横津岳山頂に来たという事は、もちろんアサギマダラを探すという事になる。

 運よくアサギマダラが観察できれば、視察に来たKさんにもマーキングをしてもらいたいと思っていた。

対馬先生から説明を受けているKさん

 ところが山頂ではアサギマダラの姿は見られない。春に本州から渡ってきたアサギマダラがほとんど確認できていないことから、8月のアサギマダラも少ない事が予想されていた。アサギマダラが横津岳の山頂で見られなければ「いなかった」という調査結果になるわけだから、それはそれで貴重な調査記録になるのだが、やはり気持ちとしてはアサギマダラを見つけて捕まえたいわけで、見られないという事は残念である。

 しょうがないので、山頂付近に飛んでいる他の蝶の採集を視察に来たKさんに見せた。

黒いアゲハを採集しようとしている対馬先生と、視察のKさん

 Kさんは横津の山頂に来るのも初めてだという事で、「山頂には売店とかがあるのか?」と質問していたのが笑えた。どうも観光地か何かになっていると勘違いしているようだ。

 対馬先生の網さばきを見て感激していたKさん。蝶の採集という事自体経験がないだろうから、見るものすべて新鮮に感じたのかもしれない。

 結局アサギマダラは現れてくれず、あまり願ってはいなかった「いなかった」という調査結果になった。この後見られるようになってくるのか、それとも全然見られないまま時期が過ぎてしまうのか・・・。

 横津岳にいた時間はそれほど長くはなかったが、そこから自分は鉄山の方に向かう。鉄山では今年アサギマダラの幼虫を採集しており、それを飼育した結果見事成虫になった。もしかしたら鉄山には他にもアサギマダラがいて、更にそれが羽化してヒラヒラ飛んでいないかな?と思った事と、高校生の時にゴマシジミがいたのでそれが発生していないか。またあまり見たことが無いオオミスジが見られないかな?更には高校生の時にムモンアカシジミを採集したことがあるので、これも写真に収めたいと思っていたのだ。

 林道に到着してまず目に入ったのが迫力のあるカミキリムシ。名前は正確にはわからないが、見た目からゴマダラカミキリかな?と思った。

迫力のあるカミキリ

 車を止めた場所から少し歩くことにした。蝶はそれなりに飛んでいて、何か期待できた。林道上に静止している小さな蝶を見るとサカハチチョウの夏型であったが、なんかちょっと変。それでよく観察してみると、右と左の羽の大きさがずいぶん違う個体だった。なんでこんなことになっているのか?よくわからないが、羽化の時に失敗したのだろうか?羽だけではなく胴体も曲がっているし、触覚も右側がちょっと曲がっている。それでもきちんと飛ぶことが出来ていた。

左右非対称のサカハチチョウ

 左右非対称のサカハチチョウを撮影し終えてちょっと歩いたところでミスジチョウのような蝶の姿が見えた。もしかしてオオミスジかもしれないと思い注意深く観察すると、予想どおりオオミスジであった。しかし羽がボロボロ。以前一度だけ撮影したことがある蝶で、もう少しいい写真が欲しいと思っていたところだったが、これじゃぁ以前に撮影したオオミスジの方がかなりまし。一応撮影だけしたが、これじゃぁどうしようもない。しかし、ここにオオミスジがいることが分かっただけでも収穫だと思った。また来年調査に来ることもできるから。

ボロボロのオオミスジ。これでも飛べる

 鉄山の林道ではエゾスジグロシロチョウの集団吸水が3,4箇所で見られた。集団吸水と言ってもひとつの集団の数はせいぜい10頭位。しかも水を吸っているのではなく、林道上の水気のあまり無い場所に集まっていた。何を求めてこんな濡れてもいない林道上に集まっているんだろう?

エゾスジグロシロチョウの集団

 以前、アサギマダラの幼虫を見つけた付近では、メスアカミドリシジミを見ることが出来た。とりあえず写真撮影したがオスだろうか?メスだろうか?と観察しているとちょこっと飛んで場所を移動した。その時の様子からメスであることが分かった。

メスアカミドリシジミの♀

 メスであれば是非羽を開いている所を撮影したいと思い、結構な時間待った。するとようやく羽を開いてくれた。ラッキー!と思いながら撮影したが、アンラッキーなことに翅はずいぶん痛んでいた。

メスアカミドリシジミの♀

 更に多く見られたのはキバネセセリ。去年は十勝地方で大量に見られた。アサギマダラの幼虫の食草であるイケマ。これの花の蜜を吸っているキバネセセリがたくさん観察できた。

キバネセセリ

 林道を決めた場所まで歩き、そこから引き返すことにした。すると、エゾスジグロシロチョウが産卵している所に出くわすことが出来た。

エゾスジグロシロチョウの産卵

 何という植物か分からなかったが、産卵するところを観察して蝶が飛び去った後に葉っぱを見ると2つの卵を見ることが出来た。

エゾスジグロシロチョウの卵

 エゾスジグロシロチョウの産卵や卵を見たのは初めてだったので喜んでいたら、最後にまたオオミスジが姿を見せてくれた。先ほどとほとんど同じ場所だったので同一個体かと思ったが、よく見ると羽がそんなに破れていない!

 ラッキー!
 あまり活発に飛び回ったりしなかったので、けっこうたくさん撮影することが出来た。オオミスジは少ない蝶であるという印象が強かったので、ここで出会えた事はかなりの収穫だった。

オオミスジ


オオミスジ