普通種の採集
2014.7.12

 夏休みの小学生の自由研究のため、熱帯植物園で行っている「蝶の標本づくり」のお手伝いをすることになった。去年もやっていたらしい。

 小学生が蝶の標本を作り、それを自由研究の題材にしてもらうという事で、簡易的な展翅板を1年生部員二人が中心になって、現在作成中である。

 展翅板などの道具は揃えられても、標本になる蝶がいなければ話にならないので、今日は久しぶりの1年生部員二人も参加して、モンキチョウなどの蝶の採集をメインに活動することになった。

 朝9時20分頃に笹流れダムに集合した。今日は道南虫の会の安井さんも一緒に参加。

 待ち合わせ場所に全員集合すると、部長と1年生二人はなんとなく網を持って歩いて行ってしまった。

 ずっと歩いて行って見えなくなったので、電話で「戻ってこい」と連絡した。
電話で「戻ってこい」と言われて戻ってくる3人。左Mさん、真ん中部長、右I君

 今日は大人3人、生徒3人がいるので、大人+生徒で3ペアを作って一度解散し、それぞれで蝶を採集して戻ってくるという感じで、どのペアが一番採集できるか競う事とした。

 そのペアは私と部長、安井さんとI君、対馬先生とMさんになった。

 私と部長チームは中野ダムに向かった。
中野ダム

 中野ダムでは以前、モンキチョウをたくさん見たことがあるので期待したが、ご覧のような天候。シロチョウはたくさん飛んでいたけど、モンキチョウは少々である。

 そして、モンキチョウを見つけてもなかなか採集できない。部長、採集下手!!そう思って部長から網をもらって自分が採集しようとしたけど、自分もうまく採集できなかった。なんか、距離感が合わない。こんなはずじゃなかったんだけど。

 そんな中でも蛇を見たり、飛んでいた蝶としてはモンキチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、エゾスジグロシロチョウ、ルリシジミ、コムラサキ、シータテハ、ヒメウラナミジャノメ、コチャバネセセリ、コキマダラセセリ、キアゲハ。
 あと、種類はわからないけどミドリシジミの仲間にミスジチョウかオオミスジと思われる蝶も見られた。

 越冬のボロのシータテハもまだ見ることが出来た。
部長の手乗りになった越冬シータテハ

 天候は回復傾向にあり、晴れたりもするようになってきた。コムラサキを採集したかったが、素早すぎて自分も部長も採集できない。私が振った網の柄に偶然あたったコムラサキがそのまま地面に落ちたのを1頭だけ採集することが出来た。

 蝶の標本を小学生に作ってもらうための採集であれば、シジミやセセリなどの小さすぎるのは無理。それからスジグロシロなどは大きさはちょうどいいかもしれないけど、翅が薄すぎて難しいかも。そうなると、やっぱりモンキチョウとかコムラサキとか、翅が強そうなのがいい。残念ながら私たちのチームはたいして採集することが出来なかった。

 でも部長、大きなカッコいいオニヤンマを採集したので、Mさんに持っていくことにした。

 時間になり全員集合。それぞれのチームの成果を見せ合う。対馬先生チームがダントツの優勝だった。私たちのチームは・・・多分最下位。

 Mさんのお土産に持ってきたオニヤンマを見せると、Mさん喜んでくれました。
 Mさんの胸のワンポイントになったオニヤンマ

オニヤンマの顔。とても綺麗な目の色。でも標本にすると変色しちゃうんだよね〜

 指に乗せたり胸のワンポイントにしたり、写真を撮ったりしたあと、Mさんはオニヤンマを逃がしてあげました。優しいね。
オニヤンマを逃がすMさん

 対馬先生と安井さんはここで解散となるところだったのだが、「さっき変なカエルの死骸を見つけたので見てみないか?」と言われた。ペッチャンコになっているけど、どうも北海道に生息しているカエルではないような気もするというので、安井さん以外のみんなで見に行くことにした。

 そして対馬先生が「これ」と指差したのが下の画像。
ペチャンコのカエル

 そこには本当にペチャンコになって紙みたいになっているカエルの死骸があった。林道の中央にあったらしい。こんなペチャンコになるなんて、きっと車に轢かれたに違いない。可哀想に。でも頭に浮かんだのはトムとジェリーなどでよくトムがこんな風にペチャンコになっていたなということ。

 それからこの死骸の形が、「しぇー」に見えるという事。死骸を目の前にして不謹慎だが、どうしても「しぇー」に見えてしまい笑っちゃった。

 対馬先生はこのカエルの死骸を道路の中央で見つけて道路脇に寄せていたらしい。それにしてもこんなのよく見つけたなと思っていると、対馬先生はこのカエルの死骸をひょこっと摘まんで林道の向こう側に捨てた。

 まるでフリスビーのようにカエルの死骸は林道の向こう側に飛んで行った。
 
 無造作に投げ捨てたように見えたので「えぇ〜!」と言ったら、対馬先生は「捨てた方には川があるからいいんだ」と言った。

 なんで川があればフリスビーのように捨てていいのかわからない。でも、その「川があるからいいんだ」という何に対する言い分なのかよくわからない言葉を聞いて可笑しくて仕方がなかった。

 川にすれてば水を吸って元に戻るということを言いたかったのだろうか??そんなはず無いよね。

 対馬先生とはここで別れ、我々はもうちょっとどっかに行って自然観察をすることにした。

 Mさんに「今から行くとすれば鉄山か水無の林道だと思うがどっちがいい?」と尋ねてみた。Mさんは、「それなら水無」と言った。

 じゃ、水無の林道に行こうかと思った時、あることを思い出した。以前、Mさんにダンゴ虫でイヂメられた所じゃん!

 「ちょっと待て、また俺をダンゴ虫でいじめる気じゃないのか?」と聞いたら「そんなことは考えてもいませんよ」と嘘くさい口ぶりで言っていた。これはやばいと思った。

 水無の林道に到着して感じたのはコムラサキ、シータテハ、クジャクチョウがかなりの数いるということ。この3種の蝶が至る所で飛んでいたり林道に止まっていたり。

 部員の3名は網を持っており、採集したらそれを見ながら私からの解説。クジャクチョウが何故そう呼ばれているか。学名には芸者という文字が入っているとか、シータテハの翅の裏面を見ながらCの模様のところを観察したり、コムラサキの綺麗さを観察して、これはオスだけの特徴であるとか。

 3人が網を振るし、警戒心も強いのか、なかなか撮影は難しかった。
シータテハ夏型

 更に部長は蛇発見。先週の土日は蛇を見なかったが、今日は2回蛇を見た。だけどどっちもマムシではなかったので良かった。
今日の蛇

 林道を、網を振ったりおしゃべりしたりしながら歩き、時には雨がザーッと降ってきたりもしたが、森の空気を吸って日差しを浴びてとても気持ちいい。気温は暑く、湿度も高かったけど、平日の疲れがスーッと抜けていくようだった。

 自分は全然蝶の写真も撮れず、今日の活動記録の写真が不足していると感じたので、ソロソロと部員たちの前に進み、部員たちが見えない位先に進んだ。そうすると、たくさんのクジャクチョウ、シータテハ、コムラサキの写真を撮ることが出来た。

 また、エゾヒメシロチョウの夏型を見ることもできた。
クジャクチョウ+シータテハ2頭

 林道のクワの木には実がなっていて、I君が「食べるとおいしいんですよ」と教えてくれたので、どれどれと食べてみた。1つめは甘くて美味しかった。2つめと3つめはちょっと酸味が強かったが、汗をかいている所にはちょうど良い清涼感を得ることが出来た。

コムラサキ♂

 この林道を歩いているときには、ミヤマクワガタのメスを発見した。Mさんの手に乗せて写真を撮った。Mさんはこの「活動記録」に顔を出すのは恥ずかしいから嫌だけど、後姿とか、手とか、そういう所ならいいですよ。と言ってくれている。前回はトンボとMさんの手の写真を出したが、今日はミヤマクワガタ♀とMさんの手、やっぱり指長くない??
Mさんの手とミヤマクワガタ♀

 実はこの時、ミヤマクワガタのメスが歩いていた場所のすぐ近くにダンゴ虫がいた。私だけ気付いて引きつっていたが、部員に教えるとイタズラされると思い、ぐっと叫びたい声を押し殺して黙っていた。気付かれなかった。

 しかし、車に戻る途中、遂にMさんがダンゴ虫を発見してその手の中に納めた。その時のこっちを見てニヤッとした悪魔のような笑みはダンゴ虫と同じくらい怖かった。さっき、オニヤンマを逃がしてあげた優しいMさんはもうそこにはいなかった。
クジャクチョウ

 最後に万太郎林道にクワガタを探しに出かけた。クワガタは見つけられなかったが、やはりここでもクジャクチョウ、シータテハ、コムラサキは大量に見ることが出来たし、カラスアゲハの夏型を確認することもできた。