執念のゴマダラチョウリベンジ
2014.6.22

 昨日の活動では念願のヒメジャノメを撮影できて満足したが、第2目標だったゴマダラチョウに関してはろくな写真が撮影できなかった。しかも、部長のY君の方が良い写真を撮影していてちょっと悔しかった。

 昨日の帰り際、明日の活動について話し合った。対馬先生は釣りに行く。私と部長はどっか山に行こうという事になった。ただ、この日は松前や乙部方面までかなり車を走らせたので、明日は近場で活動しようかと言っていた。
 とりあえず、夜に電話をし、自分と部長で相談しながら明日の行動を決めようという事になった。

 自分としては近場で色々な蝶の観察をするのがいいかなと思っていたが、帰宅後昼寝をした後に起きたら、もう一度ゴマダラチョウの撮影にチャレンジしてみたいという気持ちが強くなっていた。

 とりあえず、8時ころに部長に電話をし、明日の活動について話し合った。部長は「どこでもいいですよ」と言った。それなら近場にしようかと言いそうになったところで、「もう一度ゴマダラチョウの撮影にチャレンジしようか!」という言葉が出た。そして、朝早く出発してゴマダラチョウの撮影に再チャレンジすることになった。

 ただし、ここのゴマダラチョウポイントは撮影できる可能性は非常に低い。蝶が飛んでいたとしても、かなり遠くであり、近寄ってこないので、木の葉に止まったとしても小さくしか撮影できないのだ。それで昨日もろくな写真が撮影できなかった。

 でも、1日中粘れば少しは近くの木の葉に止まる瞬間もあるかもしれない。なので、1日中ここのポイントで粘ろうと思い、長期戦覚悟で椅子も持っていくことにした。

 6時に部長宅に迎えに行き上ノ国方面に出発。

 ポイントに向かう途中、アサギマダラの調査をしていた大安在を通過するので、ちょっと一休みと言うかウォーミングアップを兼ねてアサギマダラがいるかどうかの確認をした。車を止めて200mか300mほど歩いてスナビキソウが生えている場所に行ったが、やはりアサギマダラの姿は無かった。

 車に戻る途中、草むらから道路に出て歩いたが、車に轢かれたと思われるベニシジミが道路に落ちていた。てっきり死んでいると思ったが生きていて、部長が手に取ったら、何故か指を吸いだした。道路脇の草に避けてあげた。この後、復活すればいいけど。

 帰宅後、ちょっと湿疹が。草むらを歩いた時にドクガの幼虫にやられたようだ。でもたいしたことは無い。

轢かれたベニシジミ

 大安在を後にして上ノ国のゴマダラチョウポイントに急いだ。今日は大安在で石拾いは無し。

 今日、朝早く出発したのは、もしかしたらゴマダラチョウが下草の方か道路の近くの葉っぱに止まって夜を明かし、気温が上がるのを待っているかもしれないと思ってだ。もし、そういう事があれば、昨日より少しは近くでゴマダラチョウの撮影ができるかもしれないと思ったからだ。

 ポイントには7時半ころ到着した。まだ葉っぱには朝露がたくさんついていて、ゴマダラチョウが近くにいればいいなぁと思いながら車を止めて降りた。カメラを準備して、車から数メートル歩きながら、道路脇から5,6m奥の木にゴマダラチョウがいないかどうか観察していた。しかし、次の瞬間、凄い事が起こっていた。

 一瞬心臓が止まった。

 な、なんと、自分の目の前にゴマダラチョウがいたのである!

 本当に本当に目の前。数メートル奥の木どころか、30cm以下である。

 びっくりして、車のところで補虫網を準備していた部長を呼んだ。でも大きな声で呼んだらゴマダラチョウがびっくりして逃げてしまうかもしれないので極力小さな声で。

 「おーい!ゴマダラいるぞ、早く来い!」

 部長も慌ててカメラを準備して私の方に来たが、まさかこんなに近くにゴマダラチョウがいるとは思わなかっただろう。

 自分もカメラの電源を入れてとりあえず一枚撮影。

びっくりしながら撮影したゴマダラチョウ

 ところが、あまりにびっくりしすぎて、しかも多分一瞬心臓が止まったので、手の震えが止まらない。カメラを持つ手がプルプル震えて上手に撮影できているかどうかわからない。

 この感じは去年、中札内村でアサギマダラを採集した時の感じに似ていた。

 これでホームページの「蝶の写真館」でゴマダラチョウのページが作れる。まさか、こんな近くで撮影できるなんて考えてもいなかったし、一日中粘って、少しは近くに寄ってきてくれる瞬間を期待していた感じなので、その期待の100倍位素晴らしい瞬間。しかも到着後1分以内の出来事である。

 ピントが合っていなかったり、震えてぶれてしまっていては困るので何枚も撮影したが、少し角度を変えたり、レンズをマクロや広角に変えて撮影したり。

 まだ心臓がドキドキしていた。

広角で撮影


マクロで真上から撮影

 ゴマダラチョウに関してはこれまで帯広から函館に帰省するときにこのポイントに立ち寄って惨敗したり、姿を見れたとしても距離が遠くてろくな写真が撮れなかったり、昨日だってまともな写真は一枚も撮れなかった。

 こんな凄いシーンが訪れるなんて、なんてラッキーなんだろう。朝早く出発して良かった!

 その後、翅の裏側を撮影しようかなと思って草を回り込んだとき、このゴマダラチョウは元気に飛び去って行った。

 ポイントに到着した瞬間に今日唯一の目標をクリアしてしまった。

 でも、この後も撮影のチャンスが来るかもしれないし、裏面の写真とか、そういうのを撮影できるチャンスも来るかもしれないから、もう少し粘ることにした。

 ゴマダラチョウは何頭か飛んでいて、時々葉っぱに止まる。昨日、「この木の葉に止まってくれたらある程度まともな写真が撮れそうだね」と言っていた5m位離れた木にも止まってくれた。

5m位離れた木に止まったゴマダラチョウ

 その後、ゴマダラチョウはたくさん飛んでいるものの、なかなか近くには止まってくれず、遠くを優雅に飛んでいるだけでなかなか良い写真は撮影できない。いきなり目の前のゴマダラチョウを撮影したのだから、それ以上のものを撮影しようったってそうはいかないのは当たり前だが、心はかなり余裕があって、もう撮影できなくても満足しているし、この後の予定も好きなようにできる。

 辺りを見回し、キアゲハの幼虫を観察したり、その他の生き物を観察したりしながら、同時にゴマダラチョウを観察するという感じ。

 部長が顔の可愛いイモムシを見つけた。

顔の可愛いイモムシ

 そんな感じでウダウダとゴマダラチョウの観察をしているときに、車のドアが閉まる音がした。振り向くと道南虫の会会員で、昨日、ヒメジャノメの案内をしてくれた前田さんと、6月1日の活動で前田さんと一緒に案内をしてくれた本多さんがいた。

 「あれ??どうしたの?」と思ったが、多分前田さんと本多さんも私たちがいたので「何してるんだ?」ってな感じだったと思う。

 前田さんと本多さんはゴマダラチョウの採集に来たようだった。たくさん網を持っていた。


ここに補虫網が5本

 ただ、撮影も難しいけど、採集もなかなか難しそう。なにせ、ほとんどが遠くの高い木の所を飛んでいて、こっちには中々やってこないからだ。

カメラを構えて撮影する部長とゴマダラチョウを観察する前田さん&本多さん

 前田さんと本多さんは果敢にも草をかき分けていきゴマダラチョウの採集を試みたが、今回はゴマダラチョウがなかなか降りてこずに採集には至らなかった。本多さんは私と部長に差し入れ(缶コーヒー)をくれた。ごちそうさまでした!

 本多さんがゴマダラチョウの採集にチャレンジしているとき、私は上の画像のガードレールに上ろうとしてアスファルトに転げ落ちた。現在キーボードを打つ左手首が痛い。

 前田さんと本多さんが去ってから、自分たちも少し粘ったけどやはり近づいてこなかったので諦めて何か他のことをすることにした。

 とりあえず道路を奥まで進んでみたが行き止まりでダメ。情報をもらっていた近くのお寺のゴマダラチョウを探そうかと思ったがこれもダメ。それで函館方面に戻ることにした。

 途中夷王山という所があって、一度行ってみたかったので寄り道することにした。
 駐車場があって、少しだけ歩いて登ったが、ほんの少しだけど疲れた。

 でも最高の景色だった。

夷王山山頂

 海のずっと向こうに島っぽいのが見えていた。奥尻島だろうか?

島なんだか雲なんだかよくわからない。

 風景を見ながら、ちょっとコンデジのミニチュアモードで撮影して遊んでみた。

山頂から麓の街をミニチュアモードで

 街の反対側には駐車場と風力発電と勝山館の資料館みたいのが見える。画像右下に見えるのは私の車。

ミニチュアモードで撮影

 夷王山を後にし、上ノ国から木古内に向かう途中、以前にも訪れた林道に立ち寄ってみることにした。去年、アサギマダラが50頭位花の蜜を吸っていたという苫符林道という所。アサギマダラがいないかな?ヒメジャノメがいないかな?ダイミョウセセリがいないかな?って感じで。

 その中で見られたのはヒメジャノメだけ。しかも1頭。昨日満足いくだけ撮影できたので、今日はそれほどヒメジャノメを撮影する気にはならなかった。

ミスジチョウ

 花にクモガタヒョウモンが来ていた。メスのようだ。何年かぶりでクモガタヒョウモンを見ることが出来たので撮影したが、夢中で蜜を吸っているのか、けっこうたくさん撮影できた。でも、花が白すぎてちょっと撮影が難しかった。

クモガタヒョウモンのメス

 部長がヘビイチゴと言っていたイチゴっぽい実がたくさんあった。ちょっと食べてみたくなり口に含んでみた。酸味も甘みも全くない、イチゴの風味もまったくなく、美味しくも不味くもなかった。

ヘビイチゴ?

 1頭だけ見つけたヒメジャノメ。草の間に入っていて撮影しづらい。部長が「ちょっと飛ばしてみますか」と網を振って脅かしたらどっかに飛んで行ってしまった。でも昨日撮影済みなので問題なし。

ヒメジャノメ

 ネコヤナギの葉っぱにへんてこりんなイモムシがいた。なんだろうと思ったら部長がシャチホコガの仲間と言った。自分は初めて見たけど、尻尾の所から2本何かが出ていてちょっと気持ち悪かった。だけど刺さるとか、毒があるとか、そういう事ではないらしく、ただの脅しらしい。まんまと脅かされた。

 この林道で両手の甲を蚊に刺されたようだ。ボッコリ腫れた

シャチホコガの仲間の幼虫

 林道を戻り車に乗ろうとしたときにダニのチェックをしたら数匹のダニが付いていた。ダニを取り払い木古内方面に向かったのだが、運転中、ズボンや服に何匹かのダニをまた発見。取り除きながら運転していたが、急に右脇あたりにチクッと痛みを感じた。触ってみると、どうもダニに刺されたようだった。車を止めて痛かったところを調べるとやはりダニがいた。
 ダニに刺された瞬間に気付いたのは初めてだ。

 帰宅後、この活動報告を作っている最中にもダニ2匹発見。しかも1匹は腹に食いついていた。

 部長にもけっこうダニが付いていたので、車を降りてダニを再チェック。ちょうど5月11日に廃線になった木古内〜江差間(42.1km)の踏切のところだったのでちょっと見学がてら遊ぶことにした。

 部長はチョウなどの生物も好きだが鉄道の撮影も趣味なので、ちょうど良かった。

廃線になった線路を撮影する部長

 汽車が来ることは無いので、線路脇を少しだけ歩いてみることにした。自分の心の中でスタンド・バイ・ミーの音楽が流れていた。

 部長はここで蛇を発見した。昨日に続き、また捕まえようと蛇に手を伸ばした。手を伸ばしてすぐに無言で後ろに下がった。
 自分はその時蛇を確認していなかったので昨日と違う部長の動きに「何だ?」と思ったら部長が、

 「マムシだった〜!!」と言った。

 小さい蛇だったが、口を開けてこっちを威嚇している。怖い!!

 部長はアオダイショウあたりの毒が無い蛇だと思って近づいたらしい。危ない・・・。

口を開けて威嚇するマムシ。怖すぎ!

 少し歩いて車に戻り、最後に得意の水無の林道に入った。が、ほとんど蝶の姿は見られず、カラスアゲハが吸水している程度で特に面白いことは無かった。


ミヤマカラスアゲハの♂

 今日は超ラッキーなゴマダラチョウとの出会いがあり、思っていた以上の成果が出せてかなり嬉しかった。

 反面、ダニに2か所刺され、蚊に2か所刺され、ドクガの幼虫に少しやられ、ガードレールから転んで左手首が痛い。
 部長がマムシに噛まれなくて良かった。

 でもラッキーとアンラッキーを差し引きしてもかなりラッキーな一日だった。朝6時から3時過ぎまで、一日中活動した。