アサギマダラ捜索またもや失敗
2014.6.1

 今年は5月11日、5月25日とアサギマダラの捜索のために松前町に行っていたがいずれも確認することが出来なかった。そこから今日までの間では函館山で今年初のアサギマダラ確認の報告が入るなど、いよいよアサギマダラも北海道に渡ってきたという事で、3度目の捜索に対馬先生と出かけた。ちなみに、生物部の活動ではない。(テスト期間のため生物部の部員たちは活動できない。かわいそうに)

 朝の6時45分頃に対馬先生が自宅に迎えに来てくれて出発。木古内から上ノ国町に向かった。海岸沿いのスナビキソウに来るアサギマダラを捜索する前に、1本林道に入ってシャクの花に来ているアサギマダラを探そうという事になったが、林道直前の道路にいたのがこいつ・・・。

マムシ

 昨日の「活動記録」でも紹介した北海道で唯一毒を持つ蛇であるマムシ。見つけた瞬間震えた。近づきたくなかったが対馬先生が写真を撮れというので仕方なく近づいて撮影。もしかして対馬先生が手づかみして私の方に投げてくるのではないかとビビったが大丈夫だった。

 林道のシャクにアサギマダラの姿はなく、すぐに大安在というスナビキソウのある海岸に向かった。

大安在でアサギマダラの捜索

 しかし、大安在でアサギマダラを見つけることは出来なかった。そのかわりというわけではないが、ヒメアカタテハが飛んでいた。このヒメアカタテハもアサギマダラと同じく本州から飛んでくる蝶だ。北海道内では毎年たくさん見ることが出来るが、こいつはもう北海道に渡ってきているけど、アサギマダラはまだ少ないようだ。この先、昨年のようにたくさんアサギマダラを見ることが出来るのだろうか?

ヒメアカタテハ

 ここでの捜索はすぐに諦めて北の方に向かった。上ノ国町の神社の所(上ノ国八幡宮)に立ち寄り、そこから山に向かって(夷王山)歩いてみることにした。神社の神主さんのような人がいて、少しお話したらアサギマダラの事や上ノ国町に生息しているゴマダラチョウ、オオムラサキのを少し知っているようだった。

神社の鳥居に止まっていたアカタテハ

 その方は、「この神社に大きなエノキがあり、秋や春に何人かの人がオオムラサキを探しに来てエノキの根を掘り返す」というような事を言っていた。
 ここにオオムラサキがいれば凄い事だが、ゴマダラチョウなら可能性がるかもしれない。きっと誰かがゴマダラチョウの越冬幼虫を探しに来て、落ち葉をひっくり返して探しているのを、神主さんから見れば「エノキの根っこを掘り返している」と受け取っているのかなと思った。いずれにしても、好印象ではないので、幼虫探しも勝手にやるんではなくて、ちゃんと事情を説明して枯れ葉の裏を見させてほしいと言えば事情も分かってもらえて理解してくれるのかなと思った。

 対馬先生は色々神社の歴史などについてのお話をしていたようだったが、自分には何のことかさっぱりわからなかった。

神社の所にいたルリタテハ(越冬)

 けっこうお話し好きの神主さんで、私たちが「そろそろ山の方に行きます」と言うと、「帰りにお茶でも飲んでいってください」と言ってくれた。

 神社から山の方に急斜面(階段)を登って行くと、勝山館跡というのがあった。

勝山館跡

 昔、和人とアイヌの人たちは争う事が多かったんだけど、ここでは仲良く暮らしていたようだと対馬先生が教えてくれた。

勝山館跡からの眺め

 自分はこの場所が一体どんな所だったのかとか全然わからないけど、昔ここらへんに人が住んでいたんだなという事だけはわかった。神社からここまで来るだけでも急な坂で大変だったので、当時の人たちも大変だったろうなという感想しか出てこなかった。
説明している看板

 アサギマダラが来てるかもと思い、ここまで来てみたがいなかった。そして来た道を戻って神社へ。神社の神主さんは着替えをしていていかにも「神主さん」みたいな感じになっていた。本当にお茶をご馳走してくれると言うのでお呼ばれした。

 神主さんの奥さまは私たちを「エノキの根っこを掘り返しに来た怪しい奴ら」と思っていたらしい。でも、神主さんが「そういう人たちではない」と説明してくれたようだ。

 そして、この神社の歴史や色々なことを対馬先生と話していた。自分は何が何だかよくわからず、聞いているくらいしかできなかった。自分も分かった内容としては、今のこのような世の中になり、神社の経営も大変であるという事。なるほどなぁ〜、大変なんだなぁ〜と思った。

 神社の神主さんと思わぬ交流が持てて良かった。自分は人見知りなので対馬先生のように誰にでも話しかけられる性格ではないが、対馬先生のように社交的な性格だったら今回のような思わぬ交流が持てたり人脈が広がったりするんだろうなと感じ、ちょっと羨ましく思った。

 次に向かったのは江差の五厘沢という所の海岸。乙部に住んでいる道南虫の会会員の前田さんと連絡を取り合っており、合流することになった。
 「五厘沢の海岸で先に待っているよ」と前田さんから連絡が来たが、到着して見るとまだ前田さんは来ておらず、対馬先生が電話した。「あと30秒で来るって」と対馬先生は自分に教えてくれたが、2分くらいして前田さんが到着した。

 前田さんと一緒に本多さんという人も来ていた。私と同級生で高校が隣の高校(旧東高校)。自分が高校生で生物部の生徒だった時に一度会ったことがあるような方で、ずいぶん前になるがホームページの掲示板(今はない)にも書き込みしてくれた人だ。

 前田さん、本多さん、対馬先生、私の4人で五厘沢海岸のスナビキソウにアサギマダラが来ていないか探す。時間的には10時半過ぎになっており、太陽光線を浴びて砂の温度が上がるといなくなってしまうアサギマダラがいる可能性は少なかったが、場所の確認だけでもと。

 やはりアサギマダラの姿は見られなかった。
 ここでは綺麗な石?があるらしく、対馬先生が「石を拾っていこう」と言った。

 私としてはまず「綺麗な石って何?」という所から始まるのだが、対馬先生が言うには「面白い模様で平べったい石」だそうだ。

 よくわからないけど、とりあえず珍しい模様で平べったそうな石を拾って対馬先生に見せる」すると、「これダメ」とか「まぁまぁ」とか評価してくれるが、やっぱり評価基準がわからない。あまり真剣に探す気にはなれなかったけど、「まぁまぁ」と評価してもらった石だけ持って帰ることにした(いらないけど)

 

五厘沢海岸にて(左対馬先生、中央本多さん、右前田さん)

 そういえばここら辺では「束風」だかという独特の強い西風が吹くらしく、それが建物に直撃するのを避けるための防風壁みたいのがたくさんあった。

防風壁

 江差の五厘沢に来たという事は、ここはダイミョウセセリやヒメジャノメなどという、自分がまだ撮影したことのない蝶の産地でもある。地元の前田さんや本多さんもいることだし、発生地を教えてもらって確認することにした。

 まず最初に向かったのはダイミョウセセリの生息地。ただしここ4年くらいは見られていないらしい。
 車を止めて歩き出してすぐにギンイチモンジセセリが飛んでいるのを発見。前田さんが「ギンイチだ!」と言って追いかけていき採集していた。この姿を見て、「あ、もしダイミョウセセリがいても撮影は無理だな」と思った。

ギンイチモンジセセリを採集する前田さん

 結局ダイミョウセセリは見つけることが出来ず。食草(オニドコロって言ったかな?)すら見つけることが出来なかった。何か環境が変わってここの生息地では絶滅したのだろうか?

 そのあと、ヒメジャノメの生息地も一か所行ったけど確認できず。ここの生息地には去年はいたというので、まだ発生時期としては少し早かったようである。

 ならばと、少し内陸のポイントへ。内陸の方が気温が暖かいので、もしかしたら発生しているかもしれない。

 このポイントは里山みたくなっていて、とても感じが良かった。

ヒメジャノメの生息地

 やっぱりまだヒメジャノメは発生していないようだ。残念だがしょうがない。トンボや変な虫、ルリシジミやカラスアゲハなどは見ることが出来た。

わかんない甲虫


わかんないイトトンボ

 ちょっと奥に入っていた対馬先生が、大きなスズメバチを網に入れて戻ってきた。でかい!とにかくでかい!女王蜂かと思った。
私は「採集して持って行き標本にする!」と言った。前田さんが毒瓶(昆虫を殺すための毒が入った小さな入れ物)を持って来ていたので、それに一度入れた。

 ダメージを受けたスズメバチは死ぬ直前位まで弱ったので、本多さんが持っていたカメラのフィルムケースをもらい、それに入れて持ち帰ることにした。ただし、どうやって標本にするのかはよくわからない。

 ここで前田さんと本多さんとはお別れした。

 我々は一度五厘沢方面で対馬先生が昔ダイミョウセセリを採集したことがあるようなポイントに行ってみることにした。

 その途中、さっきスズメバチを入れたフィルムケースを見ると、死にかけていたスズメバチが少し復活していた。ケースの中でもがいている。スズメバチは暑いのが苦手なので、フィルムケースを車のダッシュボードに置いて太陽光線を浴びさせてスズメバチを殺そうとした。

 運転中の対馬先生は突然「スズメバチが可愛そうだ」と言い出した。フィルムケースでもがいている姿が目に入り、可哀想になってきたらしい。
 蝶を標本にするために採集して殺し、蝶の卵や幼虫を育てては成虫になったら標本にするために殺し、船でカレイ釣りに行って釣った魚を殺している、そんな対馬先生が一匹のスズメバチを可哀想だと言うなんてちょっと驚いた。ハンターなのに。

 「でも、毒瓶に入れたし、けっこう弱っているし、もうすぐ死ぬだろうからさ」と、あまり対馬先生のいう事に耳を傾けなかったが、また「可哀想だ」と言い出した。
 「きちんと標本に出来るかどうかも分からないんだから逃がしてやろう!」と対馬先生は言った。

 「え〜っ!」と思ったけど、元々採集したのは対馬先生だし、迫力満点で標本にしたらかなり良さそうだったけど、やり方もよくわからないし、そんなに可哀想だというんならしょうがないかと思い、逃がすことにした。

 車を止めてスズメバチをフィルムケースから地面に出した。スズメバチはちょっと暴れていたが、対馬先生が地面にいたスズメバチを葉っぱの方に移動させると、葉っぱの裏でしきりに顔を掃除するようなしぐさをしていた。このまま蘇るかどうかわからないけど、とりあえずスズメバチをここで逃がすことにした。もし、うまいこと蘇ったとしても、この先人間に迷惑を掛けないで生きていってほしい。

 ちなみに、対馬先生によると、蝶の採集の時には胸を押して一瞬で気絶させるし、カレイは殺すけど食べるからいいらしい。スズメバチは苦しそうにもがいていたから可哀想だったらしい。理解できるようなできないような・・・。

 肝心のダイミョウセセリは生息地は環境が変わっており、あまり熱心に探す所までいかずに諦めて函館方面に向かって帰ることにした。

 

逃がしたスズメバチ

 函館に向かって帰るときに、さっきスズメバチを逃がした場所を通ったので、スズメバチがどうなったか対馬先生が確認。同じ場所で「羽をブーンとはばたかせていたから多分蘇りそうだ」と言っていた。

 
 帰りは北斗市に抜ける中山峠という道を通って行くことにして、途中1,2本林道に入ったが蝶があまり飛んでいなくて成果はなかった。ただ、ツマキチョウのメスの写真を撮ることが出来た。ちょっと暗い写真だったけど。

ツマキチョウの♀

 そんな感じで今日の活動は終了となった。一番の目的のアサギマダラはまたもや発見できず、ダイミョウせせりやヒメジャノメもダメ。目標としていたことはほとんど達成できなかったけど、それ以外の印象的なことがたくさんあり、面白い一日だった。

 そして下の画像は五厘沢海岸で対馬先生が「まぁまぁ」と言うので持ち帰ってきた石ころ。(小さい白いのは前田さんか本多さんが拾ってくれたメノウという石)
 一体どこが「まぁまぁ」なのか、いまだにわからないし、持ち帰ってきてどうすればいいのかもわからない。この石に価値を感じた人がいれば安くお分けしますがいかがですか??

拾ってきた「まぁまぁ」の石