三角くじ?と晩春の蝶
2014.5.18 |
今日は生物部の活動ではなく、個人的な活動になった。
昨日の活動で、エゾスジグロシロチョウ、スジグロシロチョウ、ヤマトスジグロシロチョウの見分け方について道南虫の会の掲示板に質問をした結果、対馬先生が自宅に保有している大量のエゾスジグロシロチョウ、スジグロシロチョウ、ヤマトスジグロシロチョウの標本箱を見ながら一緒に検証してみようという誘いを受けた。
これらの見分け方についてはやはり難しく、肩脈だけで判断できないとすれば、生態写真での判別も難しそうだ。
当HPの蝶の写真館も、掲載している写真が古い物ばかりで、最近写した良い写真もあるためそろそろリニューアルしようかと考えている。そこで、これまではエゾ?スジグロシロチョウとして紹介しているものを、きちんと分けて紹介したいと思い、今回のエゾスジグロシロチョウとスジグロシロチョウの区別をきちんとできるようになりたいと考えていたのだ。
対馬先生の自宅にお邪魔し、大量の標本を見ながら「翅の先っちょが黒いからエゾじゃない」とか、「黒い筋が太く見えるからこれはエゾスジグロシロ」とか言いながら検証していた。しかし、「これは・・・あれ??」と、一見区別がつかないようなものや、ある部分ではエゾスジグロシロに見えて、ある部分ではただのスジグロシロに見える個体もあったりして、全ての個体を一瞬で判断するのは難しかった。
これはばっちりエゾスジグロシロの特徴が出ている個体だね、というものや、スジグロシロの特徴がしっかり出ている個体もあり、そういうものであれば生態写真でも判断ができるかもしれないと思った。どちらか区別がつかず怪しいやつを無理に生態写真だけで判断するのはやめた方がいいなと思った。
検証している時に、道南虫の会の安井さんも登場した。
安井さんも一緒に検証していたが、やはり難しくて判断に困る個体もあったようだ。
で、これらの大量の標本のうち、3箱を私が自宅に持ち帰り、1頭1頭観察して判断してみることになった。すぐにはできないがきっとかなりの勉強にはなると思う。
検証をしたあと、函館市内のウラナミアカシジミがいるという場所に、幼虫を探しに行くことになった。ここには食樹であるコナラがたくさんあり、この数年、ウラナミアカシジミが大量に発生しているという。
自分が高校生の頃、函館にウラナミアカシジミがいるなんて知らなかった。というか、いなかったのかもしれない。
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ウラナミアカシジミがいるというポイントから函館山を望む |
ウラナミアカシジミはコナラの葉っぱに巣を作るらしい。葉っぱを丸めて中に潜んでいるということで、丸まった葉っぱを見つけてははがしていき、幼虫を探す。ただし、ウラナミアカシジミだけではなく、蛾の幼虫が出てくることも多いらしい。
私は丸まった葉っぱを見つけて、それをはがしてみた。なんだか、三角くじをしているような感覚になった。ウラナミアカシジミの幼虫が出てくれば当たり!蛾の幼虫が出てくればハズレである。(蛾の幼虫には申し訳ないが)
さっそくやってみた。 |
丸まった葉っぱを見つけてはがしてみる。当たるかなぁ〜!? |
↓
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ガーン、ハズレ・・・。蛾の幼虫でした。 |
気を取り直してまた葉っぱを探してみる。今度は複数の葉っぱがくっついていて、幼虫が食べたと思われる食痕もある。さて、ウラナミアカシジミの幼虫が出てくるかな?? |
今度の三角くじ。当たれ〜!! |
↓ |
ガチョーン!!またハズレ・・・。蛾の幼虫でした・・・。 |
そんなことを繰り返しながら10回、20回と三角くじを引いていく。そして、遂にアタリはひとつも無かった・・・。対馬先生や安井さんもアタリを引くことは出来なかった。まだ時期がちょっと早かったかもという見解であった。
ウラナミアカシジミの幼虫を探しながら、ワラビ採りもした。 |
ワラビ |
自分はワラビには特に興味が無かったが、採り方を教えてもらったので、せっかくだからと少し採った。10本か15本くらい。ポキッと折るときの感覚がちょっと心地よかった。
幼虫も見つけられなかったので、安井さんはここで解散。
私と対馬先生は赤川地区の蝶が多くいそうな場所に向かうことにした。
そこはちょっとした草原のようになっていて、最初はそれほどでもなかったけど、シロチョウ類やルリシジミなどが日差しと共に飛び出してきた。
ツマキチョウも飛んでいて撮影したかったが、なかなか止まってくれなくて、対馬先生の網の中に入れられた。
スジグロシロチョウらしい蝶もけっこう飛んでいた。さっき区別について勉強したばかりだったので、飛んでいる大半はスジグロシロチョウであると感じ、実際に網に入れてみてからよく観察した。私は肩脈での判別に未練が残っていたので、これらのスジグロシロチョウの肩脈に注目して撮影してみた。 |
スジグロシロチョウの肩脈1 |
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スジグロシロチョウの肩脈2 |
確かにスジグロシロチョウの肩脈はしっかり判断できる感じである。残念ながら時期的にまともなエゾスジグロシロチョウが飛んでいなくて比較はできなかった。来年は春一番からしっかり確認してみようと思った。
上の写真の蝶を逃がしたら葉っぱの上に止まったので、写真を撮ってみた。下の画像のような感じで、確かに普通に撮影しても肩脈はしっかり確認できる。 |
逃がした蝶が葉っぱに止まったので撮影
黒い筋も比較的太くないので、ただのスジグロシロチョウだろう |
あとはウスバシロチョウなんかもそろそろ飛び出してくるかなと思っていた。
対馬先生はもしかしたらちょっと早いかもしれないけど、可能性はあるというようなことを言っていたと思う。
そして、黒いアゲハが飛んできて、もしかしたらカラスアゲハかもしれないということで対馬先生が採集しようとした。もしカラスアゲハだったら道内で最も早い記録になるそうだ。一度網には入ったんだけど逃げられた。「カラスアゲハだったように見えたけど確実ではない」と対馬先生は悔しそうだった。
ちょうど対馬先生がカラスアゲハと格闘しているときに、ウスバシロチョウがヒラヒラ飛んできた。時期が早いかもしれないと思っていたが、今年は春の天気がなかなか良かったので、蝶たちの発生も少し早目のようだ。羽化したてと思われる綺麗なウスバシロチョウのオスを対馬先生が2頭採集した。
本当は写真に撮りたかったが、止まってくれなかったので撮影できなかった。
時間はお昼を過ぎ、対馬先生は一度家に戻らなければならないというので、一緒に戻り、私は自分の車に乗り換えて再度同じ場所にやってきた。
途中コンビニでおにぎりを買い車の中で食べてから同じ場所に戻った。
そしたらコミスジが飛んでいた。コミスジを見ると春が終わるような、初夏が始まったような気持ちになる。 |
コミスジ |
葉っぱに止まったコミスジを撮影していると、いきなり「何を撮っているのよ?」という声がした。自分一人しかいなかったはずなのに人の声がしたのでかなりびっくりした。対馬先生だった。
対馬先生もバイクに乗り換えてこの場所に戻ってきたのだ。先ほど一度自宅に帰った時に「俺ももう一回戻ってくるかもしれない」と言っていたが、こんなに早く戻ってくるとは。どうやらウスバシロチョウをもう少し採集したいらしい。
私は色々な蝶の撮影、対馬先生は採集。今日はウスバシロチョウの撮影は出来ないなと諦めた。しかし、先ほど2頭採集してから、ウスバシロチョウは一向に姿を見せてくれなかった。対馬先生が諦めて帰ろうとした頃になんとか1頭現れて採集されていた。結局見たのは3頭だけだった。道内最早タイ記録だったようだ。
今日は一眼レフとコンデジを持って来ていたので、ベニシジミを使って実験をしてみた。レンズやカメラの違いでどう撮れるか。まずは、一眼レフに100mmマクロで撮影したもの、次がコンデジのスーパーマクロで撮影したもの、最後が一眼レフの広角レンズ(10mm)で撮影したものである。
下の3枚ともトリミングなし。 |
一眼に100mmマクロ(もうちょっと近づけたかも) |
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コンデジのスーパーマクロ(もうちょっと近づけたかも) |
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一眼に広角レンズ(10mm) |
レンズやカメラの違いで随分雰囲気の違った写真が撮れて面白かった。
対馬先生が帰宅した後、1時間以上粘ってみたが、ウスバシロチョウは現れず、ツマキチョウはどこにも止まらずヒラヒラ飛んでいて撮影できなかった。
ルリシジミやオオモンシロチョウなどを撮影して帰ることにした。
帰る直前、人が現れたので少しお話した。フキを採りに来たという。フキなら昨日、中野ダムの奥でたくさんありましたよと教えてあげると、ダムの奥って遠いでしょ?と言われた。確かに歩いては行けないけど、車なら15分もあればけっこう奥まで行けるのにと思ったら、この方は自転車で来たと教えてくれた。あぁ、自転車ならさすがに無理かと思った。
しかし、この方、自転車で仁山のきじひき高原まで山菜取りに言ったと話し出した。仁山のきじひき高原って自転車で行くような場所か??と思った。それなら中野ダムの奥に自転車で行けるかも。
「自転車できじひき高原の帰りは車みたいに速くて楽しいよ〜」と教えてくれたが、全くもって自転車できじひき高原に行く気など起きなかった。 |
対馬先生から貸してもらった蝶の標本箱 |
今日は午後2時ころからは一人での活動になった。そう言えば函館に転勤してきてから一人での活動って初めてだったかも。帯広にいた頃は一人での活動が圧倒的に多かったから、やはり故郷に戻ると仲間が多いというか、サポートしてくれる人が多いというか、そういう事を感じた。
コミスジ、ウスバシロチョウなど、春の終わりを告げるような蝶たちと出会い、これからの1、2か月がとても楽しみになってきた。アサギマダラが見られるのももうすぐかな??
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