上磯ダム上流の春
2014.4.29

 今日は天気は良かったが気温がここ数日間よりも低かった。目標らしいものはなかったのだが、新入部員I君が「標本を作ってみたい」というので、その練習台になってもらうため、エゾスジグロシロチョウを数頭採集したかった。部長と新入部員Mさんも参加したが、対馬先生は今日は別行動。副部長のI君はお休みである。

 私を含め北斗市在住の部員4名で、以前も来た上磯ダム上流方面に向かった。

 最初車を止めたところから少し歩きながら蝶を探したがなかなか見つからない。やはり気温が低いのが悪いのか?それとも山奥に来すぎてまだシロチョウは発生していないのか?よくわからなかった。でも実際は時間が少し早かったんだと思う。

 ここでも春の花は咲いていてキクサギイチゲ、カタクリなど綺麗に咲いていた。その中で、よくわからない植物がひとつあった。

よくわからない植物

 この植物、触ると「パフッ」と粉が出る。花粉だろうか。確かおんなじように触ると胞子が出るキノコがあったと思う。ホコリタケだったかな?それとおんなじような感じだった。

 小さな川の横では水芭蕉が綺麗に咲いていた。上川で水芭蕉群落があったなと思いだしたが、ここで咲いていたのは2輪位。

水芭蕉

 蝶が全然いないので一度車に戻り、更に奥に進んでみることにした。以前部長ときたときには雪があってこれ以上進めないという場所があったが、今日ならきっと雪が融けて進めるだろうと思った。案の定、奥に進むことが出来た。

 奥に進みながら道路脇を見るとちょっとした沼みたいな所があったので車を止めてみた。大量のカエルの卵とエゾサンショウウオの卵があった。自分はこういうのが大好きなので嬉しくてちょっとテンションが上がった。部員たちは多分冷静だったと思う。

 大量の卵の上には孵化したばかりのオタマジャクシと思われるものがうごめいていた。

 帯広で環境調査の仕事をした時に、同僚の先輩がタモ網で大量のオタマジャクシをすくって、あまりの数の多さに「ギャァ〜!」と叫んだことを思い出した。「何でオタマジャクシごときに叫び声をあげるのか?」と不思議だったことと、その悲鳴がおかしくて大笑いした記憶があるが、今日のオタマジャクシはその数倍はあるだろう。ただし、孵化したばかりっぽかったので、これが少し大きくなったらまた凄いことになると思う。

 部長が写真を撮り、「これサンショウウオじゃないですか?」と言ったが、自分は「オタマだろ」と答えた。カエルの卵の上に大量にいたので、オタマジャクシだと思い込んでいたが、帰宅後に写真を確認すると、エラがかなり出ていたので、サンショウウオのように見える。

大量のオタマジャクシ?サンショウウオ??


拡大するとこんな感じ。これオタマじゃないよね。

 ちょっと引いて写した写真。下にはカエルの卵があり、その上に無数の孵化したばかりのサンショウウオと思われる子供がいる。カエルの子供はオタマジャクシと言い、魚の子供は稚魚と言うけど、サンショウウオの子供は何て言うんだろう??

うごめく無数の子供たち。嫌いな人が見たら気絶するかも


エゾサンショウウオの卵

 エゾサンショウウオの卵の下にはたいてい親が潜んでいるので、新入部員に親のエゾサンショウウオを見せたくて探ってみたらやっぱり親が隠れていた。しかし、ちょっと沼が広すぎて、捕まえることは出来なかった。

 この沼から少し車で進んだところで青くチラチラ飛ぶシジミが見れた。車を止めて採集してみることにした。ルリシジミ等にしたらちょっと大きいなと思いながら採集すると、交尾をしているスギタニルリシジミであった。網の中でも交尾しているのがそのままだったので、網から出して指に乗せてみた。逃げるかな?と思ったけど、そのままだったのでマクロレンズで撮影した。

手乗り交尾スギタニルリシジミ

 その後、この交尾中のスギタニルリシジミを草の上に置き、部長が撮影した。本当の意味での自然生態写真とは言えないけど、スギタニルリシジミの交尾も貴重なシーンだと思い、自分も撮影した。

交尾中のスギタニルリシジミを撮影する部長

 この場所をあとにし、車を進めていくと、崖崩れや木が倒れていてこれ以上進めないというところまで来た。そしたらここでは結構な数のスギタニルリシジミが飛んでいたので、撮影することが出来た。こっちは正真正銘の生態写真である。

 スギタニルリシジミは小さなシジミチョウなので、採集しても新入部員I君の標本作成練習台にはならないので撮影だけして楽しんでいた。

スギタニルリシジミ

 部長が「シラネアオイが咲いていますよ」と教えてくれた。結構な数のシラネアオイが綺麗に咲いていた。数年前の記録にも書いたのだが、自分は春の花でシラネアオイがあまり好きではない。きっと花が大きいのがあまり好きではない理由だと思っていたが、今日見たシラネアオイは十勝で見ていたものより少し花が小さく、色が濃いような気がした。こんな感じならけっこう綺麗だなと思った。

シラネアオイ


ヒトリシズカ

 私と部員たちとでそれぞれ自然観察等をしていた時に、対馬先生から部長に電話がかかってきた。「今どこにいるのよ?何か蝶はいたか?」と言うような内容だったのではないかと勝手に想像していたが、部長はスギタニルリシジミがけっこう飛んでいるというようなことを言っていた。部長が私に「スギタニルリシジミ、採集してほしいようです。電話代わってください」と言ったので、電話に出ると、対馬先生は、東京の知り合いが欲しがっているからスギタニルリシジミを採集してほしいと言った。どのくらい採集できるかわからなかったので「10頭は採れないと思いますよ」と答えて電話を切り、ここからスギタニルリシジミをみんなで採集することにした。

 こんな山奥で携帯が通じることがちょっとびっくりだった。

 スギタニルリシジミを採集し、胸の圧迫方法を部員に教えた。部長もこれまで採集はあまりしなかったようだが、自分から「どうすればいいんですか?」と聞いてきた。Mさんは蝶を自分で殺すのが乗り気ではなかったのか、聞いてこなかった。無理に殺させなくてもいいかなと思ったので、「やってみろ」と無理強いはしなかった。

 胸の圧迫はコツがいるというか経験がいるというか、網の中で蝶の羽をバタバタさせないようにすることと、蝶の大きさによって圧迫する強さも違う。こればかりば何度もやってみないとちょうどいい強さがわからない。

 特にこれから標本を作ってみたいという新入部員I君には早くコツを会得してほしいと思った。

 この林道、何故だかわからないけど、バイクが多かった。Mさんはバイクが好きらしく、モトクロスのバイクが通るたびにとても嬉しそうにしていた。

モトクロスのバイクをよける部員たち

 この場所では待っていると次から次へとスギタニルリシジミが飛んでくる。部員3人で網を振って採集を試みる。たくさん採集したがたくさん逃げられもした。発生初期と言うより最盛期と言う感じで、羽化直後のピカピカという感じのものはあまりいなかった。

 スギタニルリシジミだけでなく、シロチョウもたくさん飛んでいた。エゾスジグロシロチョウだと思う。けっこう山奥で、もしかしたら山奥ではまだ発生していないかなと思っていたが、昼が近くなり気温も少し上がった事でシロチョウが飛び出したんだと思う。

蝶を追いかける部員たち

 自分は採集はせずに写真を撮ったり網を振る部員たちを眺めたりしていた。斜面にはスミレも咲いていた。日曜日に函館山で撮影したスミレとは種類が違うようだが、やはり何スミレかわからない。

スミレ

 ここの場所に来るまで、エゾサンショウウオの卵や親がいる場所は何か所かあったが、山の斜面から流れてきた水を人工的に集めている構造物があり、そこの小さな水のたまりに何匹ものエゾサンショウウオがいるのを見つけた。部員たちを呼び観察した。
 ちょっと採ってみようということになり、採ってみた。水のたまりが小さく、簡単に3匹採ることが出来た。おなかがパンパンになっているものもいて、これはまだ産卵前だなと思った。写真を撮ってすぐに水に戻してあげたが、Mさんに「触ってみるか?」と言ったら「別にいいです」と言われた。ヌルヌルの両生類はあまり好きじゃないのかな??

簡単に捕まったエゾサンショウウオ

 部長とI君は蝶の採集だけではなく、斜面を登りタランボやウドを採りだした。なかなか野生児である。こういう姿を見るととてもたくましく感じる。自分なんてどれがウドだかさっぱりわからないし、こんな斜面を登って行く気にすらならない。

網を置き山菜を採集する部長とI君


部長とI君をみつめるMさん
(山菜が嫌いらしい)


蝶を採集した後、胸を圧迫するのに挑戦している部長

 新入部員I君のために採集したかったシロチョウも結構な数が採れたし、対馬先生から頼まれたスギタニルリシジミもまずまず採れた。一度林道を出て、他の林道に入ってみることにした。

 違う林道に入り蝶を探すがあまり見られなかった。越冬のルリタテハを採集することが出来た位。

 道路の脇にまた沼みたいのがあったので車を止めて観察してみることにした。そしたらカエルの卵とエゾサンショウウオの卵があったのだが、どうやら水位が下がってきているようで、カエルの卵はこのままでは干からびてしまう運命にありそうだ。それで、その卵を水のある部分に移動させる作業をした。多分1000匹以上の卵を助けた。(手が魚を触った後のように生臭くなった)

 更に、木の枝に産み付けられたエゾサンショウウオの卵は下の写真のように水面からむき出しになってしまっている。

水面からむき出しになったエゾサンショウウオの卵


ちょっとアップで撮影するとこんな感じ

 さすがにこいつを助けるためには沼の中に入り込んでいかなければならない。水に浸かっていることは浸かっているし、このエゾサンショウウオの卵はどうすることもできなかった。

 ここで本日の活動は終了することになり解散となった。

 自宅に戻ると妻が「お花見に行きたい」と言い出した。函館では昨日桜の開花宣言が出た。実家の母と犬のプー(名前)を連れて五稜郭に散歩がてら出かけた。桜の花は満開のものから3分咲き程度のものまで色々だったが、けっこうたくさんの人が来ていた。

あまり咲いていない桜と五稜郭タワー

 五稜郭のお堀にはカモメが来ていた。妻にしてみれば不思議な光景だったようだ。だけど、ちょっと行けば海があるんだから、お堀にカモメが来ていても不思議ではない。

お堀のカモメ


満開の桜と五稜郭タワー

 五稜郭の桜を見た後、昭和公園という所の桜も見に行った。

 朝から山に行き、帰ってきてすぐに桜を見に行き、けっこう疲れた一日になった。だけど山ではいろんな面白い体験ができ、とても楽しかった。