聖十字幼稚園は、子ども達、保護者、園の職員が共に成長するという願いを込めて、教育から「共育」の言葉を使わせていただきます。
聖十字幼稚園では、共育の根底を貫くものとして、キリスト教の価値観を全ての共育の基礎に置いています。その最も大切なものは、一人ひとりの人間は誰もが創造主であるところの神によって与えられたかけがえのない命と人格を持った存在であるということです。そして、それ故に人間同士が色々な問題にぶつかりながらも、共に理解し、力を合わせて生きていくということです。そのために
1.自分自身がしっかり自分の考えを持つ。
2.たくましく、共に生きるために、少しくらい困難や悲しみに負けない、強い意志と身体を作る。
3.自分のことばかりでなく、他の人のことも思いやることのできる、感性の豊かな愛の心を育てる。
当園はここに、共育の目標を置いてます。
いくら頭がよく、知恵が増え、あるいは上手に絵が描けたり、音楽や運動に優れたとしても、周りの人々への思いやりを欠いた利己的な人間に育ったり、人間のやることだけに全ての価値を置くような人間万能の、ごうまんな人間に育ったりしたら、本人にとつても、周りで一緒に生きる人々にとっても大変不幸なことです。そして、その共育は失敗です。幼いうちに正しい価値観を育てることは,ひとりの人間の将来にとって本当に大切なことです。将来、より良い社会を作り出すことのできる人間になるために、時には不幸や悲しみも含め,常に色々な問題の真実を見つめる眼を持ち、自分の周りの人々と共に、強く、たくましく、人間の本当の幸せを目指しながら生きていくことができたら、どんなに素晴らしいでしょう。
**** 最近の小学生や中学生・高校生の児童生徒の様々な問題行動を聞くにつけ、多くの皆様は心痛な思いをされていると思います。私たちは子ども達の問題行動の原因をもっともっと身近にとらえ、そして真剣になって考えて行かなければならないと思います。私たちは子ども達が幸せな時代を送るためにも,幼児期にどのような生活体験をしていかなければならないかを、皆様とご一緒に考えながら共育をして参りたいと思っています。次の「七か条」は子ども達の様々な問題行動を通して、これから子ども達が健やかに成長して行くための生活指針です。それはまた幼稚園の共育指針でもあります。 ****
子どもに必要な子育て「七か条」(幼稚園共育指針)
1.子どもの初期のしつけを大切にしよう
人間が人間となるためには,初期のしつけはきわめて重要であり,愛情だけをありあまる程与えるというのは不足です。愛情を与えることと、しつけのバランスを考えることが大切なのです。
0-3歳頃までの親子との「基本的信頼関係」を作り、その頃から初期的なしつけの段階が始まります。幼稚園時代の「しつけ」とは、基本的生活習慣での細かな生活面での「しつけ」のことだけでなく、友達と仲良くしたり、仲間作り等の社会生活をしていくための最低ルールを身につけることを最も大切な「しつけ」と考えています。
このようなルールを家庭と園で協力して、子ども達に伝えていきます。
そして、このような基本的な「しつけ」が小学校の低学年までに出来あがったところで、小学校中学年から中学校までに同姓仲間の友達グループが形成され,その中でよりいっそう対人関係、自分の感情のコントロール,人の気持ちを理解する力というものを学んで行くのです。
また、世の中には「許される行為」と「許されない行為」があるという、基本的な生活の枠組みを知ること、これがまず幼児期に知らなくてはならないことだと思います。
園での集団生活の中で、みんなで守らなければならないルールや善悪の判断を子ども達と一緒に考えたり、気づかせたりして行きたいと思います。友 達とどうすればよい関係が持てるかを、園での子ども達の様子や家庭の子ども達の様子を家庭と連絡を密にしながら、考えて行きたいと思います。
2.集団遊びを重視しよう。
子ども達は集団遊びの中で,対人関係の能力、自分の感情をコントロールする力、他人の気持ちを思いやれる共感性などを身につけていくことが出来ます。また子ども達は、遊びの中で創造力を高めていきます。保護者や先生など、他人から与えられた既成の価値観しか身についていないとすれば、私たちは物事を前例にならって進めるしかできなくなり、子どもの進歩はありません。遊びは子ども達の創造性を引き出し、また社会人として必要な対人関係の豊かさの基礎作りをしてくれているのです。
小さな幼稚園の特徴を生かし、全園児が一緒に遊べるようにし、その中でも異年齢の子ども達の集団遊びを大切にして行きたいと思います。子ども達の遊びが成立するためには、自由な時間,自由な場所(空間),自由な仲間の「自由な三間」が必要です。毎日の共育の中でそれらを大切にして「集団遊び」を活発なものにして行きたいと思います。
3.冒険心と好奇心を育もう。
今は社会も会社も,教育のシステムが出来上がっていて、冒険がなくなってしまっています。冒険心を持つこと、夢を見ることが難しくなっているのです。これが現在の子ども達に非常に不幸な感覚を与えているようです。
つまり、何か冒険をしてみようと思っても、全部そろっていて、求めるべきものが何もないように見えるのです。中身は混沌としていても、形式やシステムはきれいに出来上がっています。ですから、子ども達には何もかもが固定的で決まってしまっているように見え、なんの冒険心や野望もそそらないわけです。これは子ども達の「早く大人になって,あれをやりたい,ああなりたい。頑張ろう」という意欲を低下させているのです。
家庭では「親が先に手を出さない」ことがとても大切です。「これは危ないからやってはだめ」「***してはだめよ」などと、いちいち子ども達より先に手を出さないことです。過保護にならず,遠くからそっと子どもを見守れる我慢強さを持ちましょう。現実には、多くの親が子ども達ばかりに我慢を強いているのですから。
子ども達の遊びはもちろん、利根別自然休養林での共育、園近辺の自然を利用しての共育等、年長組による登山等、田植えや稲刈り、園農地での野菜作り等、ヤギなどの動物の飼育世話等、様々なことに挑戦して行きながら、子ども達の冒険心や好奇心を育もうと思っています。
4.マイペースで生きる強さを身につけよう
日本人はどうしても、他人の目を気にして生きようとする面があります。日本人に対人恐怖症が多いのも「自分が他人や世間からどう見られているのか」という、人の評価にとらわれやすいからです。心穏やかに、自分らしく生きていくためには、自分の内面を素直に出せること、また出したために他人から多少反応があったとしても崩れずにいられる強さを持つことが大切です。
親は子どもに「あなたはあなたのだから、自分のペースで生きていけばいいのよ」「あなたの人生は、あなたのものなんだよ」と言ってやり、親自身も子どものペースを尊重してやりましょう。また、「人がどう思うか」ではなく、自分自身の倫理観や「こう生きたい」という信念に従って、主体的に生きるように導いてほしいと思います。
また、「みっともないからやめなさい」「恥ずかしくなるから、やめなさい」というように、人目を気にした「しつけ」をすると、その裏返しで「人目がないところで何をしてもいいんだ」という心理を植え付けることになりかねません。
子ども達との話し合いを多く持ち、子ども達自らの発言を大切にして行き、子ども達の思いをきちんと伝えられることを大事にしています。また、先生や友達が話をしている時には、きちんと話が聞ける力を養いたいと思っています。毎日の共育では、絵本の読み聞かせ、先生自らの昔話の語り聞かせを大切にしています。
5.自立心を育てよう
「自分の人生は自分でつくるのだ」という自覚と気概をもって生きていくことができる、強い自立心がほしいものです。そのためにも親がやってやる代わりに、「自分でやってごらん」「自分でできるか、工夫してごらん」と励ましながら、「どこまでひとりでやれるかな」とそっと見守っていしてやることが大切です。
こういうふうに見守るのは、親の忍耐力と関わってきます。しかし、これによって、子どもの「自分でやっていこう」という自発性、自立心が育っていくのですから、じっくり見守って行くようにしてほしいと思います。
幼稚園では、親子の小鳥巣箱作り、子ども達が準備して行くお泊り会や運動会の行事、ヤギやウサギたちの動物の飼育当番等を子ども達が自ら行うことによって、子ども達のやる気と自信をつけさせて行きたいと思います。幼稚園の諸行事は、子ども達が準備をしたり、用意をしたりして行きながら、子ども達が主役の行事を作って行きます。このようなことを通して子ども達が自信を身につけ、それが対人関係を豊かにし、さらに多くの友達の仲間作りへと進んで行くのだと思います。
6.自己愛の肥大を防ごう
昨今の少子化の中で、母親の過保護によって「自分は特別な存在だ」「自分には特別な能力がある」といった過大な自尊心を持つようになった若者が増えています。自尊心が高いと対人関係が難しくなり、また人生につきものの失敗や挫折を乗り越える力も弱くなりがちです。
親がわが子だけを溺愛して、まわりの子ども達には無関心というのは、自己愛を育てているだけです。常に公平に自分の子どもを見る目を忘れないようにしましょう。ただし、公平で客観的な目を持ちつつ、一方では、子どもがどんなに失敗しても、自分の子どもとして愛情深く受容できる力を備えておいてください。
むしろ失敗や挫折した時にこそ、「いやあなたは私の子どもなんだから、我慢できるはずだ」と、子どもがくじけないように励ましてほしいと思います。
保護者の皆様の仲間作りとして「サークル」活動や、子育てについての話し合い「子育て井戸端話」、職員と一緒に「学習会」等への参加を通して、保護者の皆様が仲良くなっていただきたいと思います。そのことが保護者の皆様の子育ての不安を少し解消したり、子どもを守ること、それらが子どもの幸せにつながって行くものと思います。
7.心の交流を楽しもう
私たちの心の喜びというのは、人との交流の中にあります。親しい友人や地域の人々、家族との交流を通して、私たちはお互いがお互いを支えあうと同時に、人と心を交えることの喜びを感じることができるのです。人との関わりは生きる意味であり、生きる虚無観を防ぐのに間違いなく最も大切なものです。
月1回の特別養護老人ホーム「こぶし荘」の訪問、緑が丘老人クラブの皆様との交流、町内会等の地域の人たちとの交流、教育大の学生との交流、フィリピンのケソン市のスモーキーマウンティン(ごみの山)の子ども達との交流、そして幼稚園の開放で小さな子ども達、小学生達が遊びに来ることによっての交流等々、様々な人々と出会うことによって子ども達の対人関係が豊かになることを願っています。