松下 ワールドボーイシリーズ


 このシリーズは、BCLブーム以前に短波放送を聞いていた人や、深夜放送ブームをターゲットにしていたものと思われる。感度も音質も良く、手軽に放送を楽しめるラジオだ。スリープタイマーなどのオプションもあり、ながら族や深夜放送ファンに受け入れられ、相当数が販売された模様。
 1967〜1973年頃までの発売で、有名なクーガシリーズの前作にあたる。MW・FM2バンドのものから短波付きのものまで多種多様。のちにタイマーが内蔵されたものも発売された。
 デザインも松下さんらしく、現在においても古臭さを感じさせないものもある。前面パネルはスピーカとチューニングダイヤル、タイマーだけで、他のスイッチ類やダイヤルスケールは上部に配置されたものもあって、今でもカッコイイと思ってしまうほど。
 大きさは大きいものではICF−6500とほぼ同じ。小さいものでは厚さはあるもののICF−SW30と同等である。
 価格は1万円台前半から1万7、8千円くらいと思われるが、当時としては決して安いものではなかったろう。どうなのだろうか? 今で言うとICF−SW7600GRやICF−SW77を買うのと同じくらいの価値なのだろうか?
 古いものですので、各機種に関する情報が足りません。いろいろ書いていますが、すべて私の推測の域を出ていません。情報提供をよろしくお願い致します。



 RF−670 
 (WorldBoy GO)    
 1967年発売(推定)
 定価 9200円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)
          FM(76〜90MHz)

 短波の受信には対応していません。チューニングダイヤルが特徴的で結構使いやすいです。子供の頃、祖父が枕元で使用していたラジオもこの方式でした。そのラジオは短波も受信できる3バンドでした。以前、実家で探しましたが見つかりませんでした。
 670は、なんのことない普通のラジオです。背面にAFC、バンド切替、TONE切替(LOW/HIGH)があります。左側面に電源兼ボリュームつまみ、前面左上のボタンはダイヤルライトです。音質は良好で、感度も実用になります。
 この他にRF-690(単なるWorldBoy)というラジオがある。



 RF−656 
 (1000GX WorldBoy)    
 1967、8年頃発売(推定)
 定価 9950円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)

 このラジオは、ワールドボーイシリーズの中でも古いほうの機種だと思います。大きな特徴は、チューニングダイヤルがMW、FMそれぞれが独立しており(上段がFM、下段がMW、針は一緒に動く)、Sメーターを縦にしたようにふたつ配置されています。このようなデザインは松下さんのラジオの中でも特異なものと言えると思います。また、前面右上にチューニングメーターが装備されています。イヤホンや録音出力端子も前面パネルに配置されており、これもめずらしい。左側面にタイマー端子があるので、外付けのタイマーがあったと思われます。右側面にチューニングダイヤル、上部に電源スイッチ、TONE切替(SOFT/MUSIC)、バンド切替、ボリュームつまみを配置。柔らかい音でSTVラジオを聞かせてくれます。

※ 定価情報提供 どんぐりさん



 RF−747 
 (GP WorldBoy)    
 1968、9年発売(推定)
 定価 11200円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)
          FM(76〜90MHz)

 短波は受信出来ません。ダイヤルスケール内にTONE調節とボリュームのインジケーターがあり、色が黄色のためかけ離れた印象があるが、デザインも似ていることからRF-750と兄弟機種と思われます。750と異なるのは電源スイッチが前面パネルから、AFCが背面から上部に移され、さらにLOUDNESSが装備されています(上部右側右端が電源、中央がAFC、左端がLOUDNESSスイッチ)。ダイヤルライトも装備されている。使用部品の750との対比は下記のとおり。
 RF-747 1-IC・8-TRANSISTOR / RF-750 11-TRANSISTOR・8-DIODE
 750同様、音質も良好。カラーバリエーションは他にもあったのかな?

※ カラーバリエーションは黒・グリーン・イエローがあったとのこと。定価等情報提供 札暢さん



 RF−850 
 (WorldBoy CUSTOM)    
 1968年発売(推定)
 定価 14500円  月賦定価 15400円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)
          SW(3.9〜12MHz)

 しっかりした造りが印象的なラジオ。短波も受信でき、感度、音質も良好です。
 主な装備は、AFC、ダイヤルライト、TONE調節しかありません。TONE調節はNEWS・SOFT・MUSICの3段階スライド式。ボリューム調節もスライド式です。電源スイッチが特徴的で、部屋の照明のスイッチのようです。上部のスイッチ類は右端が電源スイッチ、左側3つはスライドつまみで右側がTONE調節、左側がボリューム、中央がバンド切替スイッチです。前面パネル左側上部の黒いボタンはダイヤルライトです。



 RF−850D 
 (WorldBoy CUSTOM)    
 1969年発売(推定)
 定価 14500円  月賦定価 15400円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)
          SW(3.9〜12MHz)

 上記、RF-850の小改良型です。外見はスピーカグリルの色が黒からシルバーに変更されています。見たところ装備も同じですが、IC採用のシールが貼ってあるとおり、使用部品を変更した内部構造的な改良が施されているようです。

 RF-850 =12-TRANSISTOR・8-DIODE
 8F-850D=1-IC・10-TRANSISTOR・8-DIODE

 となっています。シールにある「MFB音響」ってなんだろう?
 ※MFB音響とは?・・・・Motional Feedbackの略、ナショナルが開発したヒズミ特性補正回路の呼び名です。音声電流に含まれる  ヒズミを完全に消し去り、ナマそのままのつややかな音を生み出します。とカタログに載ってるそうです。

※ RF-850/850Dとも定価等情報提供 札暢さん
※ MFB音響情報提供 札暢さん


 RF−750 
 (WorldBoy SS)    
 1969年発売
 定価 不明
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)

 この機種は短波は付いていません。ごく普通の2バンドラジオです。おもな装備は音質切替、AFC、ダイヤルライトです。電源、ボリューム、音質切替ともスライド式です。音質切替は3段階(MUSIC/NEWS/SOFT)です。AFCとバンド切替スイッチは背面にあります。
 ダイヤルスケールは大型で使いやすく、中には電源、TONE、ボリュームのインジケーターがあります。
 感度も悪くありませんが、音質は特筆もので良くとおる気持ちの良い音です。
 所有機はロッドアンテナが純正ではありませんが、各部ガリもなく状態は良好です。



 RF−828 
 (TX WorldBoy)    
 1973年3月発売
 定価 13900円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)
          SW(3.9〜12MHz)

 短波も受信できます。上部に「FM-SW-MW 3BAND RECEIVER」と銘打ってあるがその下に「SUPER SENSITIVITY-SUPER SELECTIVITY」と謳ってある。高感度、高選択度を強調したものだろう。そのとおりにロッドアンテナを畳んだままでFMも短波も多くの局が受信できる。
 おもな装備は、前面にAFC、ダイヤルスケール、上部に電源、ボリューム、TONE調節、バンド切替、ダイヤルライトを配している。背面にNSBクリスタル端子、左側面にはタイマー、録音端子などがある。選択度は現行機と比べるまでもないが、こういうラジオで聞いたほうがノイズが少なく明瞭に受信できる場合もある。



 RF−858 
 (GX WorldBoy)    
 1971年発売(推定)
 定価 15500円(タイマー付き)
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)
          SW(3.9〜12MHz)

 この機種の特徴は、プラスチックのカバーがあることと、外付けオプションのタイマーがあることです。
 主な装備は、Sメーター、ダイヤルライト、MW感度切替(DX/LOCAL)、FM AFC、Sメーター切替(VU/TUNE・BATT)、TONE調節はNEWS・SOFT・MUSICの3段階スライド式。ボリューム調節もスライド式です。
 チューニングは針が動くタイプです。タイマーは60分でのON/OFFが可能なダイヤル式。
 所有機は限りなく新品に近い完動品です。



 RF−848 
 (WorldBoy GXO)    
 1972年発売
 定価 15000円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)
          SW(3.9〜12MHz)

 BCLラジオっぽくなってきました。特徴はFMトランシーバー、マイクミキシング機能が装備されていることです。これに付随する機能として、前面パネルのマイクボリューム、上部左側のRADIO/MIC切替ボタン、マイク周波数調節つまみがあります。
 主な装備は、Sメーター、LOUDNESS、Sメーター(VU/TUNE・BATT)切替(以上、前面パネル)、ダイヤルライト、バンド切替、TONE調節(以上、上部)MW感度切替(DX/LOCAL)、FM AFC(以上、背面)。
 音質豊かで、感度も良好。ロッドアンテナを使用しなくてもFMを充分楽しめる。
 



 RF−868 
 (2000GX WorldBoy)    
 1971年発売
 定価 17800円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)
          SW(3.9〜12MHz)

 このラジオかっこいいですね。今でも古さを感じさせません。ワールドボーイシリーズの最高峰と思われます。ついにタイマーが内蔵されました。前面パネルの大きなつまみは、上がチューニングダイヤル、下がタイマーです。
 思い切ったデザインですが、枕元などで実際に使ってみると、RF-848のほうが圧倒的に使い勝手が良い。選局時など手前に倒さなければスケールは見えないし、ダイヤルライトを併用する時などは苦しい体制になる。
 ICF-500にも言えることだが、倒して使用することなどまったく配慮されていない。ちょっと考え方をひねって、スタンドなんか付けたら斬新なものになっただろう。
 そうするには現在の背面にスピーカを配する必要がある(そのほうが自然と思う)し、チューニングダイヤルも側面が良いだろう。ICF-500も倒すと底面側にスピーカが来ることになる。しかし、このスタイルは前面パネルが大きく使えるので全面スピーカみたいなものだから、音質は極めて良い。
 上部操作部は、スケールの上の4つボタンのうち右端がAFC/AM感度切替兼用ボタン。その他はバンド切替。左側上のつまみは右がボリューム、左がTONE調節。左端の小さなボタンはダイヤルライト兼バッテリーチェック。下のスイッチは左から赤いのが電源スイッチ、NEWS(このスイッチはいったい???)、LOUDNESS、インジケーター切替。
 このシリーズご多分にもれず、感度も良好。FMリスニングなんかには最高ですよ。。
 このラジオは相当数販売されたものと思われ、現在ヤフオク等においても常に出品され、程度の良いものは結構な高値が付いている。

 
 ←つまみ類は整然と配置され、すっきりしていて使いやすい。ダイヤルスケールも大きく見やすい。

※ NEWS(868Dでは、NEWS.P)スイッチ=明瞭度を上げるスイッチ  情報提供 札暢さん



 RF−868D 
 (2000GX WorldBoy)    
 1972年発売
 定価 17300円
 周波数カバー範囲:MW(525〜1605KHz)、FM(76〜90MHz)
          SW(3.9〜12MHz)

 同機は上記、RF-868にFMトランシーバー機能を追加装備したもの。これに伴い、前面のチューニングダイヤルとタイマーの間にマイク周波数調節つまみを追加。それから上面、電源つまみのとなり(左端)にRADIO/MIC切替スイッチも追加されている。
 そのほかの装備は868と同様だが、スピーカグリルのデザインが変更されている。
 RF-868との使用半導体数の対比は下記のとおり。

 RF-868 =1-IC・1-FET・8-TRANSISTOR
 RF-868D =1-IC・1-FET・10-TRANSISTOR

※ 発売年、定価情報提供 札暢さん



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