息子は、私が妊娠3ヶ月のときに、切迫流産の危機を乗り越えて
          生まれてきてくれました。
          「小さい耳でもいいから生まれてみようかなー」なんてお腹の中で
          考えていた時期なのかも・・・と勝手に思っています。
          おぎゃーと産声を上げた瞬間、先生と助産婦さんが目と目で何か話しているのが見えました。
          何だろうと思いながらも黒い大きな瞳のわが子を見て、あー産まれたぞーと
          息も荒く大興奮。
          今思えばこの時看護師さんは、息子の耳が見えないように私に顔を
          見せてくれたのです。お心使いに感謝。
          私が分娩台で休んでいる間、廊下で先生と家族が話しているのが聞こえ、そのとき
          小耳症を告げられたそうです。家族や、親戚に同じ耳の人がいないか聞かれたそうですが
          遺伝性ではありませんでした。 
          
          それから、彼の小さい耳との付き合いが始まりました。
          帽子をかぶせては、早く髪が伸びないかな、小耳症のことを周りの人に
          伝えるべきか等、思いは尽きませんでした。
          結果、よほど他人の不幸を喜ぶ人以外の方には(ご近所にいませんか?)話してきました。
          皆さんの反応は意外とあっさりしていて、「手術で治るんだよね」くらいなものです。
          もう少し悲劇のヒロインにさせてって感じです。
          不安だらけだけどあなたの笑顔で幸せ!と、私も能天気。

          親が強く明るくならないとね。なんて事が言えるのは、同じお耳のお子供さんを持つ
          お母さん方や信頼できる先生に出会えた今だから言えるのかも知れません。

          時間の流れは、心の痛手を解決してくれる一番の薬かもしれませんね。

          息子を育てていくうえで、お耳が小さく聞こえなくてごめんね。という思いは
          私の心の中にいつもあります。
          でも、息子には「かわいそう」「ごめんね」と言った事は一度もありません。
          「変てこりんな耳だけど大好きだよ」と寝る前に撫でてあげます。
          本人も、赤ちゃん耳と称してずっと手術はしないと豪語しています。

          息子には耳が小さいことは、身長の高い人と低い人がいるように特別なことではないと
          言い聞かせています。
          これからも今のまま、素直な気持ちで自分を受け入れていってくれることを願っています。
          この耳があるのが、彼なのです。

こみみのつぶやき
小耳症交流会にも参加してくれたママさんから1通のメールが届きました。

それは第二子の「女の子が産まれたました!」という内容。
湯気が見えそうなホヤホヤ赤ちゃんの写真も一緒です。
かわいいなぁ 温かくていい匂いがするんだろうな。

以前電話で話したとき「2人目も小耳症だったら・・と言う心配は誰にも言えないけど
その時は大丈夫。長女で耳のことも子育ても鍛えられているから」と言ってたっけ。

このサイトを開設してから何度か2人目・3人目を「出産しました」と連絡をいただきましたが
出産するまでの間小耳症のことを心配し続けてきたのは言うまでもなく
それを母としてぐっと飲み込み、子宮という宇宙のように神秘的な場所に仕舞ってきたのだと思います。

産まれ来る子供に何があっても受け入れる、親として当たり前の事が
少し不安になる瞬間もあったでしょう。

でも今目の前にいる赤ちゃんはすやすやと眠り、家族の気配を感じながら静かな音を聞いている。
よかったね おめでとう。
遠くからその喜びを感じ取っています。

つぶやき ひとつぶ

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