ぼくといっしょ

夢ママさん 2006.10.9 自宅にて
       Mちゃん5ヶ月

ある日メールが一通。
『身近に同じ境遇の方がいる!なんだか嬉しくってメールしちゃいました』と。

えー県内に同じ小耳症の方がいらっしゃたなんて
パソコンの前で感激したのを覚えています。
お会いしたくなるのは当然で、小さいお子さんを連れてご迷惑と知りつつ
ぴーなっつの森においでいただきました。

前日までの悪天候も何処へやら、秋風が心地よい休日でした。
何回経験してもこの日は落ち着かなくて、平凡な主婦には刺激が強いですね。

お昼近くママに抱っこされたMちゃんが、パパさんと4歳のMお姉ちゃんと到着。
薄ピンクのお洋服に包まれた5ヶ月のその様子は、ぷっくり優しく幸せな香りがしました。
Mちゃんのお耳、じゅんやより大きいお守りがぽちょんと付いています。
ひとさし指を差し出すと、ニギニギしてにっこり。

パパ同士で話したこと。
出産当時、涙に明け暮れた妻を見て「男は無力、何もしてあげられない」と
切実に感じたそうです。そんなことはありません。
私自身何も出来ないのです。そばにいてこの思いをこれからも共有して欲しい・・。

ご飯の後は、Mお姉ちゃん念願の森のスライダーへ。
坂道に弱音のじゅんやを尻目に、早足で頂上まで行き丸太のアスレチックを制覇。
カエルや虫も恐れない、しっかり頼もしいお姉ちゃん。
甘ったれのじゅんやが年下に見えるぞ(笑)
ズボンに雑草の種を沢山つけてみんなで手をつなぐ、暖かい手。

「また来るからね」「うん、まってるよ」
そよそよとした風と落ち葉が、車の後をついていきました。

A-POTさん 2007.7.31

<小耳症>で検索してお邪魔したA-POTさんのブログが、今回の貴重な
出会いのきっかけでした。
遅い梅雨明けが待たれた7月の末、ご家族で夏休みを利用しての帰国移動中に新幹線を
途中下車してくださいました。

実は9月に東北大学にお出でになることがあれば、開催予定の小耳症交流会に
是非お越し願いたいとご連絡したところ、夏休み帰国を利用しての今回の
“駅前交流会”となった訳です。

A-POTさんはアメリカ カリフォルニア、シリコンバレー (Sunnyvale市)
在住のバイオベンチャーに勤務。
2006年からは東北大学米国代表事務所の特任助教授(非常勤)も兼任され、お耳は小学校
就学前に形成しています。

我が家から新幹線の駅まで車で約50分
何度経験しても、お顔を見るまでの時間は胸が高鳴ります。
改札で待つこと「ばななさん!」と声をかられその興奮は最高潮に、娘さん息子さん奥様
そしてにこやかなA-POTさんと挨拶を交わしました。

駅近くの開放感あるティールームに移動して、ミニ交流会の始まりです。とは言ったものの
私はお耳のことよりアメリカでの生活の様子が気になり、学校の事など多くの話に
興味津々でした。そんな中、私がちょっと席を外した間にじゅんやとA-POTさんは耳を見せ合い
何やら言葉を交わしていたようで、母は的を得てなくて反省です。

小耳症でありながらも、遠くアメリカの地で人望厚くそのすばらしい才能を発揮なさっている
A-POTさん。
「この耳のお陰で自分を覚えてもらいやすいんだ」と
そして「今は髪を短くすることに抵抗はないよ」とにっこり語ってくれました。
A-POTさんのライフスタイルとアメリカの学校での様子
(ランチにピザが買えるという点)に大いに惹かれたじゅんやは、アメリカ行きを夢見るのでした。
英語頑張ってくれ。

熱かったティーポットの紅茶も残り少なくなったころ、お別れの時間がやって来ました。
記念にみんなで写真を1枚、駅のホームまでお見送りしました。
「今度は、ばななさんがアメリカに来る番だよ」とA-POTさん。
飛行機嫌いのばあちゃんの許しを得て是非カリフォルニアの
風に吹かれてみたいものです。

気さくで素敵な奥様、おばちゃんの話に付き合ってくれたお子様達
そしてじゅんやの支えとなって下さったA-POTさん
次回帰国の際は杉香る山奥まで足を伸ばして下さいね。
国を越えたこの出会いを与えていただき心から感謝します。

再会を誓って気軽に?遊びに行ける親戚ができたみたいで、東京行きの新幹線に
ちぎれんばかり手を振ったじゅんやと私でした。

レネちゃんとママ&アイアイさん 自宅にて
2008.3.20

レネママさんから頂いた
ハンドメイドのバックと針刺し

小雨降る田舎町の駅にバスから降りた3人。その小さな体に見覚えがある。そうレネちゃんだ。
レネちゃんはトリチャーコリンズ症候群&両耳小耳症。

人影少ない駅前で、念願叶ったご対面。
「はじめまして、レネちゃん。朝早くて疲れたでしょう?」「新幹線楽しかった?」と声をかけると
その都度こっくりうなずく。ぽっこり立ち尽くしてかわいい。
そんな様子をほほえましく後ろで見つめるアイアイちゃん。 レネママさんの義妹であり私のサイトの大切なお客様でもある。車に乗り込み、改めまして「はじめまして」   なんだか照れくさい。
早速レネちゃんと息子はプレゼント交換。もうずっと前から友達みたいないい雰囲気。

すこし街中をドライブして、道は山奥へと進んで行く。いつも皆さんが我が家に来てもらうときに
心配するのは「何もない所で楽しんでもらえるのかな」という点。
まだ花もなく川遊びの季節でもなく花粉だけが舞う3月、自然しかない。
でも逢いたい思いが何よりの楽しみに変る、自宅に着いて心配は吹っ飛んだ。
簡単なお昼ご飯とフキノトウの天ぷらを食べながら、話が止まらない。レネちゃんと息子は
そばに寄り絵を描いたり、雨だれのようにゆっくり時間が落ちていく。

傘を差して近くのお不動様を散策。天気が良ければ洗濯物揺れる二階のテラスで、レネちゃんと
コロコロしながらおしゃべりしようと思っていた。川原で石拾いもしたかったんだけどね。
でも花粉症の私とレネちゃんには、ありがたい雨だったのかもしれない。
くっついたり離れたりする子供達の傘。パソコンで見ていたあの子が今ここにいる。不思議・・。
ありがたい時代だなぁ。
アイアイちゃんはカメラを片時も放さず、今を残そうと目を輝かせていた。いい写真撮れた?
私も無心に撮っているときはこうなのかなと、ちょっと頬が熱くなった。
レネママさんは川のせせらぎに耳を澄ませ、おいしい空気を体に沢山仕舞っているようだった。

残念だったのは帰りの新幹線の時間を気にしなくてはいけないこと。二階建てMaxに乗るんだよね。
帰りは新幹線の駅まで送るよ。最後まで楽しくおしゃべりしよう。そう言えば耳の話しを忘れてた。
「今の小さい耳のままでいいよ」と姫と若殿のご意見で、それもいいかぁと思う親同士。
深いところでは色々悩み、考えているのだけど・・。

途中、南湖公園でひとはしゃぎ。みんな神社で何を願ったのだろうか。
レネちゃんの手を握って歩く私、細い指。息子の事忘れないでね。

新幹線の入場切符を握り締め、お別れの時間が迫ってきた。
レネちゃん、ママさん、アイアイちゃんホームで最初で最後の握手を交わし「またね」と誓った。
二階席に乗り込む3人。あっレネちゃん・・泣いてる・・・?
名前を呼び合い温度が高かった2人に、新幹線の窓ガラスは分厚く感じたことだろう。
レネちゃん泣くな。私まで目がむずむずしてきたよ。この涙はきっと花粉のせい、絶対そうだ。

無常にも発車のベルが鳴り、息子は走ってレネちゃんの姿を追いかけた。
息切って戻った彼が言う「逢いに行けばいいんだよね」