“新潟〜秋田” 編「自販機以上 それ以上、降る雪や 昭和は遠く なりにけり?」の巻
- A man away from home need feel no shame. -



ある日の週末、"ビレバン"に寄った時のこと、店内の一角に こーんな感じのコーナーが…




ディスプレイされてまして、





見れば 昭和40年世代が涙チョチョぎれる 懐かし系ムック本の数々…

そーいや あの頃は 小松崎 茂 先生の描く近未来の空想科学イラストに胸躍らせ、
怪奇画報の画風は、トラウマ級の怖さだったよね、

して、その中にあった 一冊。







ハイハイ、あった、あったよ、ありました!
深夜、国道沿いの一角に不夜城の如く煌々と蛍光灯の明かりを灯すトタン張りの建物、
中に入れば静寂で無機質な空間が支配する、ズラリ並んだ 食品自販機の数々…

そういえば見かけなくなったよね、「無人のオートスナック」
以前は深夜便トラックドライバーの憩いの場的役割も担ってたんだろうけど、
今じゃ24h営業はコンビニが取って代わり、後継者問題やら機械の老朽化 等で、
食品自販機を取り巻く環境は衰退の一途を辿っているらしい、正に絶滅寸前、風前のトモシビ!
こりゃ早く行かないと手遅れになる、っつーか 行くしかないよ もう!


ってんで、2回目のトラベル・ピース Panjandrum



に ケテーイ! !(^^)!

(厳密に言うと`縦断`するワケじゃないんだけど、なんかホラ、気分アガるじゃない? ^^; )


で、まず旅立つに あたり決めた自分なりのルール、

 現時点で稼働している食品自販機のある店舗を周る。(非稼働店は除く)
 2日間の3度の食事は全て 食品自販機で賄う。               

コレ以外は、どこに泊まろうが、何をしようがOK!
あとは 足の向くまま 気の向くまま、天下ゴメンの みちのく一人旅でござんす。







さて、自販機マニアに「聖地」として崇め奉られている場所が ございまして、





それが、新潟にある 


自販機コーナーのある建物に直接 泊まれることの出来る 唯一無二の施設。





で、来ちゃいました、ほぼ半日かけて。



エ、エモい、エモ過ぎる! 警戒心と好奇心が入り混じる なんかもう、
廃墟マニアの琴線に触れそうな 昭和遺構的 佇まい…





創業が昭和51年(1976年)… て ことは かれこれ40年以上 経っても、まだ「創業25周年 特別企画」 www





1Fの受付で手続きを済ませ キーを貰い、緊張の中 2Fへと続く階段を上ると、これまた雰囲気のある廊下へ。
(公楽園は1Fのゲーセン部分に2Fを増設した為、建物自体は中で繋がっては おらず、2Fに行くには外の階段を使って上がるのだ!)





ざわ.. ざわ..  ざわ.. ざわ..
  ざわ.. ざわ..  ざわ.. ざわ..














ガチャ…
















「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





て、「`いざなぎ景気´到来かっ!」www
なんかまるで 昔のテレビドラマのセットかと見まごうばかりの調度品の数々、懐古的 空気感…







でも、全体としては小ざっぱりとしてて、清潔感があるし、





お風呂だって申し分ナシ、ただ、全体的に古いだけなんだよね、
(アングラ感ハンパないけど…)





で、落ち着いたら1Fの自販機コーナーにGO!





さすれば…







そこだけ時が止まってしまったかのような、ただならぬ雰囲気w




入って左側がゲームコーナー、その反対側が飲食コーナーという カオス空間!




あった!
日清と明星(カップリーナ)と、トーストの自販機!
(手書きの看板がまたイイ味 出してる。)




太平洋工業 株式会社 -トーストサンドイッチ 自動販売機-
昭和50年(1975年)にデビュー、5年後の昭和55年までには300台が生産され、全国のドライブインや、
オートスナックに設置された懐かし自販機を代表する名機。 資料によれば、現在 稼働するものは全国でも
わずか20台足らず、30余年の時を経て今なお動き続けるその姿は、正に近代化産業遺産!





まー ノーガキはコレくらいにして、まずは、





250円を投入!





「トースト中」のランプが点灯!





ガタンっ!







持てない位のあっつあつのトースト
キタ━━(゚∀゚)━━!





んでもって、「オープン!」 あちち…







(チョ、見てくれが悪いのは、多分 包装に使われるアルミ箔が一般の市販品で代用しているから、
かつての純性アルミ箔(厚手タイプ)であれば 焼けた際の こびり付きは最小限なのかもしれないけどね。)





で コレがまた、







全体に染みわたるバターの風味と、まろやかなチーズが織り成す 絶妙なハーモニー、
しかも ミミはカリッと焼き上がり、中はふわ〜っと 柔らかい という このコントラスト、実に素晴らしい!

言ってしまえば、ただのホットサンドなんだろうけど、ココ公楽園で食べるトーストは また格別!
コレだけでも ココに来た甲斐がある!


「ホテル 公楽園」は、国道沿いの田んぼの中の一軒屋

(翌朝、部屋の窓から撮影)


なもんだから、こんな珍客も遊びに来るw




一旦 部屋に戻ったんだけど 暫くすると小腹が空いて、今度は部屋に持ってきて食べようと
また いそいそと1Fへ、公楽園はコレが出来るのがイイ!
( 一旦 外出なきゃなんないけど…


で、今度は「ハム トースト」をば チョイス。



これもまた、言わずもがな「ウマ―!」 (^0^)





さて、お腹も一杯になったことだし、今日のところは 明日に備えて就寝、
「おやすみなさーい…」



「夜の帳が下りる頃、ひとり静かに 公楽園」 ZZZ…






さぁ 翌朝、更なる「懐かし自販機」を求めて 「しゅっぱぁぁあああつ!」



「ホテル公楽園」から北東にクルマを飛ばす事、2時間弱、
次の訪問地   に到着!



ポピーとよさか」は、1980年頃 開店、日本最北端のトースト自販機を有する貴重なスポットとして知られ、
トースト自販機とめん類自販機が同一で稼働する、北陸地方としては唯一、全国でも珍しい施設。
多い時では日に70食を販売、日本全国から懐かしい味と風情を求め、訪れるファンは後を絶たない。





いつものように、店内で自販機の写真を撮ってもよいかと許可を頂こうとすると、
奥の厨房から出てきた お母さん、忙しい作業中にも拘らず手を止めて頂いた。



お母さんの お名前は「伊藤 スミイ」さん、ポピーとよさか で働いて30年以上にもなる
正に自販機と共に半生を過ごされてきた方だ。





しかも 伊藤さん、
なんと自販機の中を見せてくれるという(!)







「熱々で出てくるのは、自販機の中にオーブンがあってね、」




「こんな感じで2種類のトーストが入ってるの。」




「ドイツ生まれのニッポン育ち」 シンプルながら良く出来た内部構造に感動!





そして、「懐かし自販機」の筆頭と言えば、コレを語らずして食品自販機を語るなかれ、







富士電機 株式会社 -富士電機めん類自動調理販売機-
昭和50年(1975年)から平成7年の長きにわたり製造されたロングセラー機で、かつては街のあちこちで見かける
ことが出来た。 ドラムの上段・下段には“うどん”“そば”といった それぞれ異なるメニューの収納が可能で、どんぶり
ごと回転させて行うダイナミックな湯切り方式も、この自販機の最大の特徴である、現在 国内では約70台が稼働中。







「湯切りはこの中でやるの、全部 機械がやってくれるのよ。」




1台で2種類のメニューを販売可能とした独自の2段スパイラル構造。





いやぁ〜、食べるの忘れて見入っちゃった。





てことで、300円を投入、「天ぷらそば」を頂く。



待ってる時間すら楽しくさせる「ニキシー管」のカウントダウン表示 「3・2・1…」










チーン!…












もうね、懐かしすぎて涙でそう!
(゜-Å) ホロリ 年なもんで…





今は なんとかメンテを続けているんだけど、とうにメーカーが生産を中止しているため、パーツの供給は無く、
壊れてしまえば後は無い、機械が続く限り大切にしたい との事だけど、ファンとしては末永い営業を望むばかり。


「かき揚げ 美味しかったです、堪能させて頂きました、近くに来た際は必ず寄させて頂きます!」

最後に 伊藤さんにお礼を言って 次なる店舗へ。










国道113号を更にクルマで25分ほど走らせると  が見えて… 見えて…










んっ!?
(つд⊂) ゴシゴシ
















「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 _, ._
    (;゚ Д゚) …?!










ガ━━Σ(゚Д゚|||)━━ン!!
店 自体
「終っとるやないか〜い!」



「時すでに遅し」、店の前で ウダウダしてたら オーナーらしき方が いらして、なんでも この近くにコンビニが出来て
客足に影響が出たのに併せ、24時間の電気代(経費)が嵩み 昨年、惜しまれながらも閉店したとの事。

ここは、北陸唯一のラーメンが食べれる店舗としてチェックしていたところだけに、返す返すも残念!
懐かし自販機の置かれた現実を垣間見た感じが いたしやした。










ま、んなこともあるさ、めげない めげない、ってことで 次に向け 「しゅっぱぁぁあああつ!」



こっからは新潟を一気に北上、目指すは最終地点「秋田」の
数10分後、程なくして見えてきたのは紺碧の日本海!




いやぁー、アツがナツいね! それにしても何、このエメラルドグリーンの海!
(ウチの近くの醤油色した海とは大違い!)

で、近づいてみたら、この透明度!



「日本海サイコ―!!」 (^O^)





更に、酒田から少し過ぎたあたりで 「第一ババヘラ」 発見!







「夏の秋田のお約束」ってことで1本購入。
(ラーメン食べれなかったから、いいよね 。)





とか、なんとか言ってるうちに、秋田港(土崎港)に到着、
ナビに打ち込んだ住所に行ってみると…













佐原商店 お前もかぁぁあああー!!

(しかも、店舗があった場所は既に更地に…)











いや、確かに こないだもテレビに取り上げられ、オヤジさん、店たたむって言ってたもんね…


実は今回の旅で1番楽しみにしてた「ハンバーガー」の自販機があるという情報を掴んでただけに
膝から崩れ落ちるほどのショック、しばし ボー然、
(ま、これだけのネット社会なんだから最新情報は常にチェックしろよ、ってハナシなんだけど。)



ここで 近辺の方に聞いたら 「佐原商店さんは セリオンの中に入ったよ」との情報が、

セリオン」は道の駅やポートタワーを有する施設群の名称で、秋田港のランドマークとして、
観光名所にもなっている所、敷地内にある ガラス張りの屋内緑地空間「セリオンリスタ」に行ってみると…




入り口に「懐かしの うどん そば 自販機 営業中」の看板が! 



さらに中に入ると、のぼりを発見!



で、自販機の張り紙を見たら「5時」営業終了(着いたの6時チョイ前www)


 

施設の一角には富士電機の めん類自販機が1台、
脇に吊るされた七味のビンが 在りし日の「佐原商店」を忍ばせる。

暫くして「もう 閉まりますよ」と、戸締りに来た管理人さんに話を聞けば、この建物 本来 温室だから
気温が暑めに設定されてるんだけど、それでも 「うどん・そば」は よく売れてる とのこと。

お店をたたんだ今も社長さん(店主さん)は、チョコチョコと来られては手入れを されておられるようで、
機械を維持する為に稼働を終えた同様の自販機を収集してパーツを確保してるんだとか。







「セリオンポートタワー」の展望台から眺めた夕日は、それはそれはドラマチックでした。







「懐かし自販機」を訪ねる旅(新潟〜秋田 編)は ひとまずコレでオシマイ。


今回 4件訪ねた内 2件が閉店と、自販機を取り巻く状況の厳しさを実感、
かつては日本全国で活躍していた筐体も 1体、また1体と その姿を消そうとしています。

メーカーのサポートを終えた機械が生産から40年を経て稼働していること自体が奇跡であり、
それを維持する為、日々 努力をされて おられる方が いらっしゃるというのも、頭が下がる思いです。

今ならまだ、あの頃の味に逢いに行くことは出来るかもしれない。
そう遠くない内に今回 叶わなかった雪辱を晴らすべく、リベンジできればと思っています。
















                                                     なんちて (*^-゚)b