第3節 特殊動詞   【目次】  【前文書】  【次文書】  【HOME】
2003/02/04 更新

 本システムで特殊動詞として品詞設定されているのは、サ変動詞サ節動詞サ促動詞サ名動詞ザ変動詞ツン動詞デス動詞マス動詞の8種類である。カ行変格活用動詞(カ変動詞)は「来《く》る」のみなので、品詞設定はせず各活用形を個別に辞書登録している。
 同様の扱いをしているのが、「単独サ変動詞」である。例えば「登録をする」という場合の「する」を動詞終止として登録しておく類である。

 一般文法で「サ行変格活用動詞」とされる動詞を、本システムではサ節動詞サ促動詞サ名動詞ザ変動詞の4種類に分類している(サ変動詞は、サ節動詞サ促動詞サ名動詞の総称)。その理由は、主に未然形に活用語尾の違いが見られるからである。詳細は未然形の項で説明する。


1 カ変動詞

 カ行変格活用動詞「来《く》る」については、以下の18種・23語を辞書に登録してある。
    基本格節   来《こ》し                
※回想の助動詞
    連用文節   来《こ》れり               
※完了の助動詞
    サ五動詞   来《き》た     来《きた》
    ラ五動詞   来《き》た     来《きた》
    サ下動詞   来《こ》さ                
※使役の助動詞
    マ下動詞   来《こ》さし               
※使役の助動詞
    ツン動詞   来《く》
    ザリ未然   来《こ》
    推量未然   来《こ》
    ナイ未然   来《こ》
    受身未然   来《こ》
    動詞連用   来《き》
    清音連用   来《き》
    可能連用   来《こ》れ
    動詞終止   来《く》      来《く》る
    動詞仮定   来《く》れ     来《こ》しか
    音便仮定   来《く》り
    上下命令   来《こ》


2 単独サ変動詞

 単独サ変動詞については、以下の15種・19語を辞書に登録してある。
    基本格節   せし                   
※回想の助動詞
    ツン動詞   す
    ザリ未然   せ
    推量未然   せ
    使役未然   さ
    ナイ未然   し
    受身未然   せ
    動詞連用   し
    清音連用   し
    動詞終止   す     する    せる
    動詞仮定   せ     すれ    せしか
    音便仮定   しり    すり
    五段命令   せ
    上下命令   しろ


3 サ変動詞

 一般文法でいうところのサ行変格活用動詞を、本システムではサ節動詞サ促動詞サ名動詞ザ変動詞の4つに細分化している。このうち、サ節動詞サ促動詞サ名動詞の総称がサ変動詞である。
470-10 サ節動詞=サ変動詞           攻撃《こーげき》する
475-10 サ促動詞=サ変動詞           達《たっ》しりゃあ
480-10 サ名動詞=サ変動詞           愛《あい》せよ

 以下に掲げる10種類の活用語尾は、サ節動詞サ促動詞サ名動詞に共通するものになる。
    サ変動詞+せし=基本格節        進言《しんげん》せしも    
※回想の助動詞
    サ変動詞+す=ツン動詞         活用《かつよー》すんのよ
    サ変動詞+し=ナイ未然         律《りっ》しない
    サ変動詞+し=動詞連用         愛《あい》しました
    サ変動詞+し=清音連用         即《そく》し
    サ変動詞+す,する=動詞終止       活用《かつよー》するのよ
    サ変動詞+すれ,せ,せしか=動詞仮定   称《しょー》すれ
    サ変動詞+しり,すり=音便仮定      お願いすりゃ良かろう
    サ変動詞+せ=五段命令         進言《しんげん》せ
    サ変動詞+しろ=上下命令        活用《かつよー》しろ

サ変動詞の品詞結合図


4 サ節動詞

 サ節動詞とは、サ変名節のうしろに「する」「させる」などをマス空けなしに結合するために設定された品詞である。なお、「タリ名節+と《と 》」もサ節動詞として扱う。
110-80 サ変名節=サ節動詞
    タリ名節+と《と 》=サ節動詞     矍鑠《かくしゃく》とする

 以下に述べる条件のもとに、サ変名節サ節動詞に転換する。詳細は文節の種類についての説明を参照。
@ 直前の文節がないか連用文節の場合はサ節動詞になり、連体文節の場合はサ節動詞にならない。
A 直前の文節が漢体文節の場合は、当該サ変名節が漢字のみで2文字以上ならサ節動詞にならず、 それ以外ならサ節動詞になる。

 サ節動詞サ変動詞に転換して、共通の10種類の活用語尾を後続できる。
470-10 サ節動詞=サ変動詞

 サ節動詞に特有の活用語尾は、次の5種類である。
    サ節動詞+せ=ザリ未然         転換せ
    サ節動詞+せ=推量未然         転換せしめる
    サ節動詞+さ=使役未然         転換させる
    サ節動詞+せ=受身未然         転換せられる
    サ節動詞+せる=動詞終止        転換せるのだ

サ節動詞の品詞結合図


5 サ促動詞

 サ促動詞とは、「察《さっ》」「律《りっ》」「罰《ばっ》」のように、漢字1文字で語尾が促音であるサ行変格活用動詞である。

 サ促動詞サ変動詞に転換して、共通の10種類の活用語尾を後続できる。
475-10 サ促動詞=サ変動詞

 サ促動詞に特有の活用語尾は、次の7種類である。
    サ促動詞+そ=推量終節         罰そ
    サ促動詞+しさ,せさ=サ下動詞      罰せさせる       
※使役の助動詞
    サ促動詞+せ=ザリ未然         罰せ
    サ促動詞+せ=推量未然         罰せばこそ
    サ促動詞+し,せ=受身未然        罰せられる
    サ促動詞+そう=推量名節        罰そう
    サ促動詞+せ=可能連用         罰せない

サ促動詞の品詞結合図


6 サ名動詞
2003/02/04 更新

 サ名動詞とは、「愛《あい》」「益《えき》」「供《きょー》」のように、漢字1文字(音読み)で語尾が促音以外であるサ行変格活用動詞である。「旅《たび》」などは、漢字1文字ではあるが、訓読みのためサ名動詞ではなくサ変名節になる。

 サ名動詞サ変動詞に転換して、共通の10種類の活用語尾を後続するほか、一般名節にも転換する。
480-10 サ名動詞=サ変動詞
480-20 サ名動詞=一般名節           を告白する

 サ名動詞に特有の活用語尾は、次の5種類である。
    サ名動詞+そ=推量終節         愛そ
    サ名動詞+さ=五段未然         愛さない
    サ名動詞+せ=受身未然         科せられる
    サ名動詞+せ=可能連用         愛せない
    サ名動詞+そう=推量名節        愛そう

サ名動詞の品詞結合図


7 ザ変動詞

 ザ変動詞とは、「する」「させる」の代わりにザ行の語尾「ずる」「じさせる」などが付くサ行変格活用動詞である。「生《しょー》」「感《かん》」「ご覧《らん/ろー》」「軽《かろ》ん」などが該当する。

 ザ変動詞の活用語尾は、次の14種類である。
    ザ変動詞+ぜし=基本格節        感ぜし頃       
※回想の助動詞
    ザ変動詞+じさ=サ下動詞        感じさせる      
※使役の助動詞
    ザ変動詞+じ,ず=ツン動詞        感じんのです  感ずんのです
    ザ変動詞+じ,ぜ=ザリ未然        感じず     感ぜざり
    ザ変動詞+ぜ=推量未然         感ぜばこそ
    ザ変動詞+じ=ナイ未然         感じない
    ザ変動詞+じ,ぜ=受身未然        感じられる   感ぜられる
    ザ変動詞+じ=動詞連用         感じます
    ザ変動詞+じ=清音連用         感じています
    ザ変動詞+じる,ず,ずる,ぜる=動詞終止  感じる
    ザ変動詞+じれ,ずれ,ぜ,ぜしか=動詞仮定 感じれば    感ずれ
    ザ変動詞+じり,ずり=音便仮定      感じりゃあ   感ずりゃあ
    ザ変動詞+ぜ=五段命令         感ぜ
    ザ変動詞+じろ=上下命令        感じろ

ザ変動詞の品詞結合図


8 サ変動詞類の比較

 ここで、単独サ変動詞・サ変動詞サ節動詞サ促動詞サ名動詞ザ変動詞の活用語尾を比較した表を掲げておく。

                    ※3ヶ所の(さ)は、五段未然からの派生である。

    前置語
結合結果

単独サ変動詞

サ  変  動  詞

ザ変動詞

サ節動詞

サ促動詞

サ名動詞

推量終節

 

 

 

サ下動詞

 

 

しさ

 

じさ

ツン動詞

,ず

五段未然

 

 

 

 

ザリ未然

※(さ)

,ぜ

推量未然

※(さ)

使役未然

 

※(さ)

 

ナイ未然

受身未然

,せ

 

,ぜ

動詞連用

清音連用

可能連用

 

 

 

終止名節

せし

せし

せし

せし

ぜし

動詞終止

,する,せる

,する,せる

,する

,する

じる,ず,
ずる,ぜる

推量名節

 

 

そう

そう

 

動詞仮定

すれ,せ,
せしか

すれ,せ,
せしか

すれ,せ,
せしか

すれ,せ,
せしか

じれ,ずれ,
ぜ,ぜしか

音便仮定

しり,すり

しり,すり

しり,すり

しり,すり

じり,ずり

五段命令

上下命令

しろ

しろ

しろ

しろ

じろ


9 ツン動詞

 ツン動詞とは、終止形が「る」で終わる動詞や複合動詞などから「る」を除いたものを、擬似的に動詞として扱うものである。単独サ変動詞の「す」とカ変動詞の「来《く》」がツン動詞として辞書に登録されているほか、次の8種類がツン動詞に該当する。
430-10 ラ五動詞=ツン動詞           んのよ
435-10 尊敬動詞=ツン動詞           下さんのよ
440-70 上下動詞=ツン動詞           んのよ
628-20 可能連用=ツン動詞           取れんのよ
630-20 進行連用=ツン動詞           何やってんのよ
    ザ変動詞+じ,ず=ツン動詞        感じんのよ
    サ変動詞+す=ツン動詞         愛すんのよ
    動詞接頭+来《く》=ツン動詞      迫り来《せまりく》んのよ

 ツン動詞は、「る」が「っ」(促音便)や「ん」(撥音便)に音便変化して、以下の10種類の語尾を後続する。
    ツン動詞+っから=カラ格節       感じっからねえ
    ツン動詞+んの=ノ格節         感じんのは誰だ
    ツン動詞+っからして,っけど,っけども,っけれど,っけれども=一般終節
                        感じっけども
    ツン動詞+っ=カ類終節         感じっかいな
    ツン動詞+んもの,んもん=ナ類終節    感じんもん
    ツン動詞+んもの,んもん=連用文節    ここも感じんもの
    ツン動詞+ん=デス動詞         感じんだよ
    ツン動詞+んめ,んめい=終止名節     感じんめい
    ツン動詞+っぺ=推量名節        感じっぺなあ
    ツン動詞+んな=禁止命令        感じんな

ツン動詞の品詞結合図


10 デス動詞

 デス動詞とは、「だ」「です」「である」などを後続できる品詞を総称して、擬似的に動詞として扱うものである。次の6種類がデス動詞に該当する。
300-50 一般終節=デス動詞           これをですね
310-50 終止終節=デス動詞           該当するでしょう
320-50 推量終節=デス動詞           安かろうでは駄目だ
360-40 漢体文節=デス動詞           随分立派ですこと
330-50 連体終節=デス動詞           見るのでした
    ツン動詞+ん=デス動詞         感じんならば

 デス動詞は、以下の11種類の「である系」語尾を後続する。
    デス動詞+で=デ格節          彼にではない
    デス動詞+なの=ノ格節         変なのが来た
    デス動詞+でして,なら,ならば=一般終節 彼にならば提供する
    デス動詞+でしょ=推量終節       彼にでしょ
    デス動詞+でっ=カ類終節        彼にでっかい
    デス動詞+だこと,ですこと,でっせ,どすえ,どすエ,や=連用文節   彼にでっせ
    デス動詞+なん=デス動詞        彼になんです
    デス動詞+でした=過去形        彼にでした
    デス動詞+じゃ,ぢゃ《じゃ》,だ=ダ名節 彼をじゃ
    デス動詞+でぇす,でえす,で〜す,でーす,です,どす=デス名節    彼をです
    デス動詞+でしょう,でせう《でしょー》=推量名節         彼がでしょう

 デス動詞と間違いやすいものにデス名節がある。デス動詞は「です」を後続する品詞であり、デス名節は「です」を後続した結果である。

デス動詞の品詞結合図


11 マス動詞

 マス動詞とは、「ます」「ました」「ましょう」などを後続できる品詞を総称して、擬似的に動詞として扱うものである。「ま」の部分は活用しないので、次の4品詞に「ま」を後続したものがマス動詞に該当する。
    可能連用+ま=マス動詞         書けま
    進行連用+ま=マス動詞         書いてま
    動詞連用+ま=マス動詞         書きま
    命令連用+ま=マス動詞         下さいま

 マス動詞は、以下の13種類のサ変動詞類似の語尾を後続する。
    マス動詞+せず=基本格節        書きませず
    マス動詞+しょ=推量終節        書きましょ
    マス動詞+して,せいで=ハモ終節     何と言いましても 書きませいでは分からぬ
    マス動詞+っ=カ類終節         儲かりまっ
    マス動詞+し=ナ類終節         書きまし
    マス動詞+し=ヨ類終節         書きまし
    マス動詞+さ,し,すこと,っさ,っせ=連用文節        書きまっせ
    マス動詞+せぬ,せん=終止名節      書きません
    マス動詞+した=過去形         書きました
    マス動詞+ぁす,あす,す,する,〜す,ーす=マス名節      書きます
    マス動詞+しょう,せう《しょー》=推量名節         書きましょう
    マス動詞+すれ=動詞仮定        書きますれ
    マス動詞+せ=上下命令         書きませい    いらっしゃいませ

 マス動詞と間違いやすいものにマス名節がある。マス動詞は「ます」を後続する品詞であり、マス名節は「ます」を後続した結果である。

マス動詞の品詞結合図


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