第6章 動詞 【目次】 【前文書】 【次文書】 【HOME】
動詞 ─┬─ 五段系動詞 ── カ五動詞・ガ五動詞・サ五動詞・タ五動詞・ナ五動詞・バ五動詞・
│ マ五動詞・ラ五動詞・尊敬動詞・ワ五動詞
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├─ 上下系動詞 ── 上下動詞・カ上動詞・カ下動詞・ガ上動詞・ガ下動詞・サ下動詞・
│ ザ下動詞・タ上動詞・タ下動詞・ダ上動詞・ダ下動詞・ナ下動詞・
│ バ上動詞・バ下動詞・マ上動詞・マ下動詞・ヤ上動詞・ヤ下動詞・
│ ラ上動詞・ラ下動詞・ワ上動詞・ワ下動詞
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└─ 特殊動詞 ─── サ変動詞・サ節動詞・サ促動詞・サ名動詞・ザ変動詞・ツン動詞・
デス動詞・マス動詞
本システムでは、動詞を五段系動詞・上下系動詞・特殊動詞の3グループに大別する。
五段系動詞は一般文法の四段・ラ変・ナ変活用の動詞に該当する。上下系動詞は一般文法の上一段・上二段・下一段・下二段活用の動詞に該当する。特殊動詞は一般文法のサ変活用動詞を細分したものの他に、本システム独自の擬似動詞を3種類追加している。
カ変活用動詞は「来る」だけなので、本システムでは動詞としての品詞設定はせず、各活用形を個別に辞書登録した。
以下、各動詞について説明するが、「動詞に後続する品詞変換語」を「活用語尾」と呼ぶことがある。また、活用形の名称には本システム独自のものが出てくるが、本章では詳しい説明はせず、「活用形」の章で説明する。活用形の語例も掲げない場合がある。
五段系動詞には、カ五動詞・ガ五動詞・サ五動詞・タ五動詞・ナ五動詞・バ五動詞・マ五動詞・ラ五動詞・尊敬動詞・ワ五動詞の10種類がある。品詞名は4文字に簡略化している。例えばカ五動詞は、カ行四段(五段)活用動詞のことである。
一般文法でいうナ変動詞はナ五動詞とした。文語のハ行四段活用動詞はワ五動詞に包含されている。また、ラ変動詞はラ五動詞に包含されている。一方で、ラ五動詞の一部を尊敬動詞として独立させた。このように、一般文法と多少異なる品詞分類になっているのは、品詞結合機能に着目して分類した結果である。
カ五動詞とは、一般文法でいうところのカ行四段(五段)活用動詞に該当する。「書《か》」「背《そむ》」などがカ五動詞として辞書登録されている。また、一般名節などに品詞変換語が付いてカ五動詞を形成する結合規則が6種類ある。
一般名節+づ,付《づ》,め=カ五動詞 活気付《かっきづ》く
ナリ名節+づ,付《づ》,め=カ五動詞 婀娜《あだ》めく
清音連用+ちょ,と=カ五動詞
覚えとけよ
濁音連用+ど=カ五動詞 運んどいて下さい
動詞接頭+貫《ぬ》,行《ゆ》=カ五動詞
射貫《いぬ》く 更行《ふけゆ》く
擬態語+つ,付《つ》,づ=カ五動詞 ぶらつく
カ五動詞の活用語尾は、次の9種類である。本システムでは「連体形」は設定しない。
カ五動詞+か=五段未然 書かない
カ五動詞+き=動詞連用 書きます
カ五動詞+い=清音連用 書いた
カ五動詞+く=動詞終止 書くのだ
カ五動詞+け=可能連用 書けない
カ五動詞+け=動詞仮定 書けば
カ五動詞+け=五段命令 書けよ
カ五動詞+こ=推量終節 書こね
カ五動詞+こう=推量名節 書こうとも
「い」は、一般文法では「き」のイ音便とされているものである。「い」の結合結果は動詞連用ではなく清音連用としているが、これは動詞連用とは異なる結合機能をもつためである。詳細は清音連用の項を参照のこと。
なお、「行《い》く」については、促音便の連用形(清音連用)「行《い》っ」が存在するが、ほかには「逝《い》」など少数のものに限られるので、「っ」を活用語尾とはせず、「行《い》っ」などを清音連用として辞書登録することにより対応した。

ガ五動詞とは、一般文法でいうところのガ行四段(五段)活用動詞に該当する。「稼《かせ》」「脱《ぬ》」などがガ五動詞として辞書登録されている。
ガ五動詞の活用語尾は、次の9種類である。
ガ五動詞+が=五段未然
ガ五動詞+ぎ=動詞連用
ガ五動詞+い=濁音連用 ※「ぎ」のイ音便
ガ五動詞+ぐ=動詞終止
ガ五動詞+げ=可能連用
ガ五動詞+げ=動詞仮定
ガ五動詞+げ=五段命令
ガ五動詞+ご=推量終節
ガ五動詞+ごう=推量名節

サ五動詞とは、一般文法でいうところのサ行四段(五段)活用動詞に該当する。「探《さが》」「犯《おか》などがサ五動詞として辞書登録されている。
五段未然がサ五動詞に転換するほか、動詞接頭に付いてサ五動詞を形成する品詞変換語がある。
600-40 五段未然=サ五動詞 身に詰まされる 準備を欠かさない
※上は、尊敬の助動詞「す」に該当する。
動詞接頭+止《さ》,過《そ》,触《ふ》ら=サ五動詞
言い止す 言い過す 言い触らす
サ五動詞の活用語尾は、次の10種類である。
サ五動詞+さ=五段未然 探さず
サ五動詞+し=動詞連用 探しゃあいい
サ五動詞+し=清音連用 探してる
サ五動詞+す=動詞終止 探すんです
サ五動詞+せ=可能連用 探せた
サ五動詞+せ=動詞仮定 探せども
サ五動詞+せ=五段命令 探せい
サ五動詞+すり=音便仮定 探すりゃあいい
サ五動詞+そ=推量終節 探そな
サ五動詞+そう=推量名節 探そうよ

タ五動詞とは、一般文法でいうところのタ行四段(五段)活用動詞に該当する。「立《た》」「分か《わか》」などがタ五動詞として辞書登録されている。
タ五動詞の活用語尾は、次の9種類である。
タ五動詞+た=五段未然
タ五動詞+ち=動詞連用
タ五動詞+っ=清音連用 ※「ち」の促音便
タ五動詞+つ=動詞終止
タ五動詞+て=可能連用
タ五動詞+て=動詞仮定
タ五動詞+て=五段命令
タ五動詞+と=推量終節
タ五動詞+とう=推量名節

ナ五動詞とは、一般文語文法のナ行変格活用動詞、一般口語文法のナ行五段活用動詞に該当する。「死《し》」「去《い》」などがナ五動詞として辞書登録されている。
動詞連用がナ五動詞に転換する。これは、連用形に付く完了の助動詞「ぬ」に該当する。
620-30 動詞連用=ナ五動詞 夏は来《き》ぬ 夜は明けにけり
ナ五動詞の活用語尾は、次の9種類である。
ナ五動詞+な=五段未然 死なない
ナ五動詞+に=動詞連用 死にたい
ナ五動詞+ん=濁音連用 死んじゃった ※「に」の撥音便
ナ五動詞+ぬ,ぬる=動詞終止
死ぬる時
ナ五動詞+ね=可能連用 死ねない
ナ五動詞+ぬれ,ね=動詞仮定
死ぬれども
ナ五動詞+ね=五段命令 死ねい
ナ五動詞+の=推量終節 死のか
ナ五動詞+のう=推量名節 死のうか
「ぬる」は一般文法では連体形とされるが、本システムでは動詞終止としている。

バ五動詞とは、一般文法でいうところのバ行四段(五段)活用動詞に該当する。「運《はこ》」「及《およ》」などがバ五動詞として辞書登録されている。
バ五動詞の活用語尾は、次の9種類である。
バ五動詞+ば=五段未然
バ五動詞+び=動詞連用
バ五動詞+ん=濁音連用 ※「び」の撥音便
バ五動詞+ぶ=動詞終止
バ五動詞+べ=可能連用
バ五動詞+べ=動詞仮定
バ五動詞+べ=五段命令
バ五動詞+ぼ=推量終節
バ五動詞+ぼう=推量名節

マ五動詞とは、一般文法でいうところのマ行四段(五段)活用動詞に該当する。「励《はげ》」「含《ふく》」などがマ五動詞として辞書登録されている。
マ五動詞の活用語尾は、次の9種類である。
マ五動詞+ま=五段未然
マ五動詞+み=動詞連用
マ五動詞+ん=濁音連用 ※「み」の撥音便
マ五動詞+む=動詞終止
マ五動詞+め=可能連用
マ五動詞+め=動詞仮定
マ五動詞+め=五段命令
マ五動詞+も=推量終節
マ五動詞+もう=推量名節

ラ五動詞とは、一般文法でいうところのラ行四段(五段)活用動詞に該当する。ただし、本システムでは文語文法のラ行変格活用動詞(「有《あ》」など)もラ五動詞に含めている。「取《と》」「計《はか》」などがラ五動詞として辞書登録されている。
次節で説明する尊敬動詞は、ラ五動詞に転換することによりラ五動詞と同じ活用もする。
435-10 尊敬動詞=ラ五動詞 下さります
ラ五動詞は、他の品詞に品詞変換語(接尾語や助動詞など)が付いて形成されることが多く、以下の15種類がある。
一般名節,サ変名節+がか,掛《がか》,掛《が》か,ぶ,振《ぶ》=ラ五動詞
芝居がかる 学者ぶる
ナリ名節+が=ラ五動詞 嫌《いや》がる
ラ五動詞+め,んめ=ラ五動詞
あんめり ※推量の助動詞「めり」の特殊形
ク活形容+ぶ,振《ぶ》=ラ五動詞
偉《えら》ぶる
*活形容+が=ラ五動詞 うれしがる
**形容+か=ラ五動詞 若かりし 良からぬ
※上は、形容詞のカリ活用と呼ばれているものである。
ザリ未然+ざ=ラ五動詞 知られざる ※否定・打消の助動詞「ざり」
ナイ未然+なくな《なく な》=ラ五動詞 信じなくなる → シンジナク□ナル
※上は、 信じなくなる → シンジ□ナクナル という変換を避けるために設けられている。
動詞連用+け,やが=ラ五動詞
明けにけり 死にやがった
※上の「け」は、回想の助動詞「けり」に該当する。
清音連用+ちょ,と=ラ五動詞
頑張っちょるな ※「頑張っておる」の短縮
濁音連用+ど=ラ五動詞 本を読んどった ※「読んでおる」の短縮
可能連用+ちょ,と=ラ五動詞
よく書けとる ※「書けておる」の短縮
進行連用+やが=ラ五動詞 ふざけてやがる
動詞接頭+摺《ず》,づま,詰《づ》ま,どま,止《ど》まetc.=ラ五動詞
下げ止《さげど》まる
動詞終止+べか,べかな,べかめ,べかんな,べかんめ,めetc.=ラ五動詞
書くめり ※これらは推量の助動詞である。
ラ五動詞はツン動詞に転換する。ツン動詞とは、「見る」「走る」「書ける」「ふざけてる」など、終止形が「る」で終わる動詞から「る」を除いたもので、「見っけ」「走っかい」のように「っ」が付く活用(促音便)や、「書けんのよ」「ふざけてんなよ」のように「ん」が付く活用(撥音便)をする。
430-10 ラ五動詞=ツン動詞 取んなよ
※上の「取んなよ」は、「取ってはいけない」の意味である(つまり「取るなよ」の撥音便)。「取りなさい」の意味でも「取んなよ」は使われるが、それは「取りなよ」の撥音便であるから、結合規則「ラ五動詞+んな=強制命令」の結果である。
ラ五動詞の活用語尾は、次の12種類である。
ラ五動詞+ら=五段未然 取らない
ラ五動詞+り=動詞連用 取ります
ラ五動詞+っ=清音連用 取った ※「り」の促音便
ラ五動詞+る=動詞終止 取るわよ
ラ五動詞+れ=可能連用 取れない
ラ五動詞+れ=動詞仮定 取れば
ラ五動詞+れ=五段命令 取れよ
ラ五動詞+んな=強制命令 取んなさい
ラ五動詞+ろ=推量終節 取ろか
ラ五動詞+ろう=推量名節 取ろうか
ラ五動詞+んな=未然形容 取んない ※「取らない」の撥音便
ラ五動詞+んね=形容音便 取んねえ ※「取らねえ」の撥音便

尊敬動詞とは、ラ五動詞のうちの「仰《おっしゃ》」「御座《ござ》」など、一部の尊敬語動詞を独立させた品詞である。これらはラ五動詞としての活用のほかに、特有の語尾「い」を伴って連用形類似(命令連用)の活用をする。(一般文法では「い」は「り」のイ音便ということになっている)
他の品詞に品詞変換語が付いて尊敬動詞が形成されるのは、以下の4種類がある。
推量未然+っしゃ=尊敬動詞 黙らっしゃい
動詞連用+っしゃ=尊敬動詞 書きっしゃい
進行連用+らっしゃ=尊敬動詞 寄ってらっしゃい
強制命令+さ=尊敬動詞 食べなされ
尊敬動詞はラ五動詞に転換することによりラ五動詞と同じ活用をする。
435-10 尊敬動詞=ラ五動詞 下さります
尊敬動詞に追加される活用語尾は、次の「い」である。
尊敬動詞+い=命令連用 下さいます

ワ五動詞とは、一般口語文法でいうところのワ行五段活用動詞に該当するが、文語文法のハ行四段活用動詞をも包含する。「笑《わら》」「払《はら》」などがワ五動詞として辞書登録されている。
清音連用などに「ちま」「ちゃ」「じま」などが付いて、「〜してしまう」が短縮されたワ五動詞が形成される。
清音連用+ちま,ちゃ=ワ五動詞
行っちまう 歩いちゃった
濁音連用+じま,ぢ《じ》ま,じゃ,ぢゃ《じゃ》=ワ五動詞
飛んじまった 死んじゃう
可能連用+ちま,ちゃ=ワ五動詞
書けちゃう
ワ五動詞の活用語尾は、次の9種類である。
ワ五動詞+は《わ》,わ=五段未然
笑は《わらわ》ず 払わない
ワ五動詞+い,ひ《い》,ゐ《い》=動詞連用 笑ひ《わらい》ます 払います
ワ五動詞+っ,う,ふ《う》=清音連用 笑ふ《わろー》た 払ってよ
ワ五動詞+う,ふ《う》=動詞終止
笑ふ《わらう》ぞ 払うよ
ワ五動詞+え,へ《え》,ゑ《え》=可能連用 笑へ《わらえ》ず 払えない
ワ五動詞+え,へ《え》,ゑ《え》=動詞仮定 笑へ《わらえ》ど 払えば
ワ五動詞+え,へ《え》,ゑ《え》=五段命令 笑へ《わらえ》よ 払えよ
ワ五動詞+お,ほ《お》=推量終節
笑ほ《わらお》 払お
ワ五動詞+おう,ほ《お》う=推量名節
笑ほう《わらおー》 払おう
