麗しの島 台 湾 平成12年2月13日〜15日(火)
 
2日間の宿となる環亜大飯店
2日間の宿となる環亜大飯店
 3月1日付で本社復帰することになった。出向先での5年間は、過ぎてみればアッと言う間だが多事多難であった。晴れて出向が解かれるのを記念して、にわか台湾行きとなった。すべてがM旅行代理店に勤める弟まかせで、初めて福岡空港から発ったが、時間的にも経費の面でも関空とあまり変わらず便利なことを再認識した。

 エバーエアー
(長榮航空)機は、ほぼ2時間で中正国際空港に到着した。日本との時差が1時間あり、台湾時間の午後4時過ぎである。曇天で気温は22度あり、夏上着を着ていると汗ばむほどだが、何故か現地の人はみな秋衣装である。
 保保旅行社の徐氏が出迎えてくれる。知人I氏を思わせる風ぼう。徐さんの指示に従い、早速に空港で1万円(2,715元)を両替してから迎えの車でホテルへ向かう。車内で「事前準備もなくにわかに旅立った」ことを前置きし、数カ所の希望観光地や食事場所、足裏マッサージも経験したいなど告げると、徐さんが整理して段取りしてくれる。

 2日間の宿、環亜大飯店でチェック・インをすませてから夕食場所の「鼎泰豊」へ。于玲さんご推奨でもあるし、いろんなガイドブックにも必ず紹介されている小吃店である。案の定客が行列をなしているが、徐さんが交渉してくれ「30分待ちだが特別に頼んで割り込みさせてもらうから10分ほど待って」と言われ隣の本屋で時間をつぶす。
 2階に上がるとまだ数組が席の空くのを待っている。真っ先にうわさの“小籠湯包”を注文すると、えびシュウマイなどと一緒にあつあつのせいろで運ばれてくる。気をつけて食さなければ舌を焼く。ほかにジャンボ春巻き、牛スープなどうわさに違わず美味しくいただく。店の入口では数名の店員がせわしくギョーザの肉詰めをしている。
台北の夜市巡り 人が溢れる士林
 
身動きできないほどの人がひしめく士林の夜市
身動きできないほどの人がひしめく士林の夜市
夕食後の散策に台湾の生活の一部でもある夜市へ。夜市は各所にあるが、今日は士林、明日は華西街をのぞくことにする。夜市の入口にペット屋があり、人形かと見まがうようなかわいい仔犬に思わずビデオカメラを向けると、徐さんに「(撮影すると)叱られる撮るなら夜市の入口だけ」と制される。

 訪れたのが夜8時台でピークだったのか、身動きできないほど人がひしめき合う。拡声器を使っての客の呼び込みや、行き交う人々の喧騒、さまざまな食べ物を調理する湯気と一緒に立ち込める匂いなどに圧倒される。あらゆる商店や屋台が並び通路にまでワゴンやシート敷きの露店を広げる。時折警察のパトロールに大騒ぎして店を畳んで逃げ惑う光景も…。特に買いたいものもなく食指も動かぬが、お寺の門前でマンゴドリンク(30元)を注文する。徐さんにも勧めたが断られた。目の前でマンゴにミルクと砂糖と水までたっぷり加えてミキサーで交ぜるだけ。生水を加えたのには驚いたし、徐さんが断った理由も分かった。甘いだけで特段美味しくない。家内と二人でやっと空ける。
中国四千年の秘宝眠る国立故宮博物院
 
旅のメイン 故宮博物院
旅のメイン 故宮博物院
今回の旅のメイン、故宮博物院は世界四大博物館のひとつ。1965年、ここ台北の北東約8kmの士林區外雙渓の山あいにゆったりとたたずむ。とにかく広大なので、館内をくまなく見てまわると一日あっても足りない。

 まず徐さんが3階から1階までの見どころを、駆け足でワンポイントコメントを加えて回ってくれる。その後、携帯電話型のインフォームユニットを100元で借り
て、再度小1時間鑑賞して回る。ヘッドホンマークのある文物の番号を押すと日本語の説明が聞けて便利。

 特に印象に残ったのは清代の翡翠細工「翠玉白菜」で、同作品をあしらった名刺入れを土産に購入する。1階「華夏文化と世界文化」では、パネルや展示物で世界文化と対比しながら華夏(中国)文化全体が分かりやすく把握できる。はるか4千年前の祭祀器や玉などに精緻な彫刻が施されて驚嘆する。よくぞこれだけ集めたものと感心すれば、「もとは北京の故宮・紫禁城に所蔵されていたものだが、近代中国混乱期に数回の散乱・破壊・略奪の危機があったため、この世界的な民族遺産を守るべく、その大半の重要な文物は北京から南京、そして台湾へとはるばる運ばれ大切に保存されてきた」そうで納得。

 昼食には台湾料理を所望し「青葉」へ案内してもらう。八宝菜、イカ団子、青菜、ビーフン、蛤スープ、大根スープ、カニなどを三人で食べ、しめて2,130元。
台湾の靖国神社、中国宮殿式霊廟・忠烈祠
 
中国宮殿式霊廟 忠烈祠
中国宮殿式霊廟 忠烈祠
西に圓山大飯店がそびえ、前を基隆河が流れる市街北部にある。明朝の宮殿様式を模して1969年に建てられた華麗な霊廟である。

 辛亥革命や抗日戦争で犠牲になった数十万の将兵が祭られている。日本で言えば靖国神社。
衛兵の交代儀式
衛兵の交代儀式
1時間ごとに行われる衛兵の一糸乱れぬ交代儀式が見もので、丁度午後2時のそれに出くわしビデオに収める。
直立不動の衛兵
直立不動の衛兵
眉ひとつ動かさず微動だにしない直立不動の若い衛兵の前で、相次いで記念写真を撮る観光グループが多く見られる。
蒋介石総統の偉業たたえる 中正紀念堂
中正記念堂
 蒋介石総統を偲び、11年の歳月をかけて建てられた、台湾最大の公共建造物。青の屋根瓦と大理石の白い壁は「青天白日」を表しているそう。2階には蒋介石の巨大なブロンズ像が、彼の政治思想である「倫理・民主・科学」のスローガンをバックに鎮座し、その両脇を衛兵が不動の姿勢で守っている。ここでも忠烈祠と同様の交代儀式が見られた。
 2階テラスからは広い敷地内の向かって右にコンサートホールの国家音楽庁、左には京劇などが行われる国家戯劇院が見える。どちらも黄色い屋根瓦と赤い柱の華麗な中国式建築だ。夜のライトアップされた姿も幻想的で美しいことだろう。
 広場ではクレーンで巨大な龍ランタンの最後の飾り付けにかかっている。
 台湾では2月4日が旧正月、15日が小正月で、1階館内にはランタン・フェスティバルの見事な飾り付けが一杯でムードを盛り上げる。
 紀念堂の広大な敷地の入口には「大中至正」と書かれたアーチがそびえ、今年の干支をかたどった巨大な数頭の龍の飾り付けの最中である。

 昨年の地震の影響で工事が遅れているそう。2月18日のテレビでは、完成された見事な龍ランタンが「8億円」と報じられたいた。
 夕食には四川料理で有名な、開店して36年の老舗「中華川菜餐廳」へ。麻婆豆腐、エビ、うりスープなどで2,090元。食事中に印鑑やボールペンを売りに来る。印鑑は断りボールペン6本5千円を求める。
台湾総統選挙は三有力候補が互角の接戦

 折りしも台湾では総統選挙を控えており、2月19日から正式な選挙運動がスタートし、3月18日に投・開票される。選挙戦は事実上、終盤戦に入っており、各候補者は対中政策や金権政治改革などを主な争点として、激しい舌戦を繰り広げている。
 総統選には、与党・国民党の連戦・副総統(63)、最大野党・民進党の陳水扁・前台北市長(49)、無所属の宋楚瑜・前台湾省長(57)の有力三候補のほか、野党・新党の李敖氏(64)、無所属の許信良・前民進党主席(58)の計五人が出馬。それぞれペアを組む副総統候補とともに、有権者の判断を仰ぐ。


もうひとつの夜市華西街は龍山寺のそば
 かっては屋台街であったが、今では観光夜市として近代化され、通りの両側には海鮮料理のレストラン、フルーツショップ、漢方薬店、土産物屋が並び、ガイドブックでもお馴染のスッポンや蛇の生き血ショーが店頭で繰り広げられ、その前には人だかり。士林のような混雑もなく雰囲気も多少違う。
 
 近くには1738年に建立された台北最古の寺廟・龍山寺がある。下町情緒が残り東京・浅草寺にあたるようなお寺。道教のさまざまな神様が祀られており、どんな願いごとでもかなえてくれるそう。おみくじは凶(下下)が百分の一と、幸運の確率が高く、ちなみに徐さんの引いたものは上上。おみくじ棒で占う「巫竹」でも、また百が出たそう。夜九時前なのに多くの参拝客で賑わっている。ひざまづいて熱心に祈る姿も見受けられた。
旅の疲れをリフレッシュ疼快・足踏みマッサージ
 台湾最大規模の「帝國世界視廳理容名店」はリラックスワールド。カラオケボックスの様な一室に通されると3台のベッドがあり、マッサージ用衣服に着替えて、家内と隣り合せでそれぞれうつ伏せになる。90分コースの全身マッサージと足の裏マッサージにチャレンジする。小姐さんがまず首の後ろを熱い蒸しタオルで、繰り返し温シップマッサージ。胸の上から首筋まで萬金油の様なオイルを塗ってマッサージ。うなじやこめかみは親指できつく押さえる。

 これと平行して足の裏マッサージは、男性のマッサージ師。クリームを塗って手の指の第2関節を使ってぐいぐいと強く押す。覚悟はしていたもののかなり痛い。メインの足踏みマッサージも思わず声が出るほど痛い時がある。土踏まずから始まり、土踏まずの外からふくらはぎ、ふとももと踏む。あまりの痛さに身体が固くなる。小姐さんが「痛い ?」と言うから「痛いけど気持ちいい」と答える。途中から足裏マッサージ師が「足の裏が角質化しているが垢スリはどうか?」と言うから、ついでにやってもらう。今度は選手交代し何度も両足の裏を熱いタオルで蒸してから、やすりで削っていく。最後に「お土産にどうぞ」と、粗いカツオ節の様な残がいを示す。

 全工程約2時間で終わったのは午後11時。料金は2人で2万2千円払い、140元の釣り。車でホテルまで送ってくれる。
イエローキャブは安いが、運転は荒い
 市内の移動には専らタクシーを利用した。黄色いボディ(イエローキャブ)に「出租汽車」または「計程車」の表示をつけており、基本料金は1.65kmで65元。以後、走行350mごとに5元プラスで、最後にメーター表示金額に20元をプラスして支払う。料金は安くてせいぜい100元前後だが、運転は荒っぽくヒャッとすることもある。どのイエローキャブも結構古くて痛んでいる。
北の喧騒を離れ郊外の淡水へ
 
97年の開通のMRTに乗って淡水へ
97年に開通のMRTに乗って淡水へ
3日目は残された時間もあまりない。97年に開通したMRT淡水線に乗って台北郊外の淡水へ。中山から17駅目の終点が淡水で、時間にして30分足らず。途中の車窓には街を抜けると緑の田園や丘陵が広がる。
車窓には田園や丘陵が広がる
車窓には田園や丘陵が広がる





 「淡水河口にあり“台湾のベニス”と呼ばれる美しい街で、東洋風と西洋風が渾然一体となった、台湾の中でも一風変わったエキゾチックな街。夕日が川面を染める夕暮れ時が素晴らしい」とガイドブックのふれこみだが、時節柄と朝の9時過ぎという時間帯もあるのか、人通りが少ない閑散とした街。近くには淡江大学があり徐さんの奥さんの出身学校だそうだ。旅から帰って聞けば于玲さんの母親、昨年5月に神戸で会った従姉妹の陳さんも同大学の卒業だそうだ。名物“鉄の卵”の鉄蛋を求める。海鮮料理店も多くて安いそう。

 市内に帰ってから「昇恒昌台北市區免税店」で最後のショッピング。三人の息子にセリーヌのネクタイ、ハスの実、乾燥パイン、からすみなどを求める。

 台湾には耳慣れた地名があったり、日本語を上手く話す人が多いのは、とりもなおさずその背後に日本統治の歴史があることの証左だ。韓国ほどではないにしろ、台湾でも根強い反日感情はあるはずだ。またしても今回の旅で、日本がアジアの国々に対して行った侵略や蛮行という痛恨の過去を決して忘れてはならないと再認識した。