※ 歯周病(歯槽膿漏)とは

* 一般的な治療法

* 保健以外の治療法

* どうして歯周病になるのか?

 右図のように「歯」は「根」の部分が「骨」に覆われて、しっかりとくっいています。
 歯周病(歯槽膿漏)はこの「骨」の部分を溶かす病気です。
 この病気を理解するためのポイントは「歯」と「歯肉」の間にある「ポケット」という「溝」です。
 ポケットは健康な人にもある溝で、正常値は3ミリ以下です。
  しかし、この溝の内が、不潔になると、そのすぐ下が「骨」なので、ポケット内で増殖したバイ菌からの毒素によって、「骨」が溶け始めます。
 そうすると、3ミリ以下だった、ポケットは、4ミリ・5ミリと深くなって行きます。
 それがなぜいけないかというと、テレビのコマーシャルでは「歯ブラシ」の毛先がポケットの中まで掃除している様に放映していますが、実際はそれほど深くポケット内を掃除できないようなのです。 
 その結果、「歯磨き」をしても、ただ、表面の歯肉をこすっているだけで、ポケットの奥深くまでは掃除できなくなります。そのため、ポケットはさらに不潔になり、バイ菌が増え、骨が減り、歯肉が腫れ、血膿が出るようになります。 (この間、痛みはほとんど無く病気は進行します。我々歯医者が「歯周病には病識が無い。」と言ういわれです。)
  そして、右図のように「骨」の支えが無くなり、「歯」が「ぐらぐら」して、咬むと、痛みが出てきて「歯」を抜かなくてはならなくなります。(一度無くなった「骨」は再生しません。)
 これが歯周病です。
高齢者では、「虫歯」よりもこの「歯周病」によって、「抜歯」をすることが多くなります。

* 一般的な治療法

 ・ 「歯周病」の治療は医療保険適応で受けることができます。
 ・ その治療法は、平成8年3月に日本歯科医師会が発表した、「歯周病の診断と治療のガイドライン」に出ている方法に沿って行われなければなりません。
 その方法とは、

1. 歯磨き指導 PMTCを含む
2.  歯石除去 歯石を取ること
3. 根面滑沢術
もしくは 盲嚢掻爬術
歯肉内の根面をすべすべにすること
歯肉内の内側のバイ菌に感染した肉を削ること
4. 歯周外科  歯肉の手術で、何種類かあります。
 最近一番流行なのは 「フラップ・オペ」(骨から歯肉を剥いで歯肉の内をきれいにする)です。
 (海士歯科診療所では、「歯肉切除術」〔歯肉を切り取る手術〕をよくやります。)
5.  メンテナンス  時々受診させて検査・治療すること
咬合チェックと暫間固定 適  時

  といった順番と治療法です。
・ 上の「どうして歯周病になるのか?」で説明したように「ポケット内が不潔になること」が最大の問題です。それを防ぐ方法がこの病気の治療と予防のポイントです。
 ですから、A 口の中とポケット内の清掃 (上の1・2・3 の治療)
       B ポケットそのものを減らす(ポケットが深いと清掃できないので、ポケットを浅くして清掃しやすくする)(上の4の治療)
が大切になります。特にポケットの深さが正常値(3ミリ以下)にならないと「患者さんだけの歯磨き」だけでは、ポケットの内まではきれいにできません。(ポケットが3ミリ以下だと、「歯周病の急性発作〔突然歯肉が腫れて、痛くなる症状〕」は起きない。と言う報告があります。)
 歯医者では上の1.2.3の治療をしているのが一般的です。(4・5ミリくらいのポケットはこの治療で治ることがあります。)
 問題は、4.の「歯周外科」です。
 これは麻酔をしてから手術をするので、術後の痛みのため患者さんの理解が得られなかったり、出血がすごいので歯医者自体が倦厭したりして、なかなかここまではできないのが実情です。(でもここまでしないと、6ミリ以上のポケットは治りません。)(ただし、「歯周外科」をすると、歯肉は縮んで歯根が露出します。) 

* 保健以外の治療法

治 療 法 欠  点 コ メ ン ト
ひたすら磨く法  ひたすら「歯磨き」をする方法。
上で6ミリ以上のポケットは手術をしないと治らないと書きましたが、 実は「歯磨き」でも治ります。ただし、、1回2時間・1日3回・1日6時間、歯磨き粉を付けずに「テレビをみながら」「お風呂に入りながら」「新聞を読みながら」ひたすら歯肉を磨きます。
・根性がいる
 お金はかかりません。
 古くからある方法で、歯科の世界では、常識の話ですが、実際には患者さんに受け入れられません。(普通の感覚では当たり前だと思いますが。) そして、この指導が出来ないと、先輩の歯医者からは「お前の努力が足り無いからだ!!」とか「歯医者としての自覚が足りない!!」とか「歯医者の免許を返上しろ」とかいわれます。
 実際に、この様な指導をすると患者さんは来なくなります。
再 生 療 法(GTR)  特別な薬と膜を使って、歯肉を2回手術して、歯肉の「骨」を作る方法。
 上で「骨」は再生しないと書きましたがこの方法を使えば、「骨」を作れます
  
・2回歯肉を剥ぐ
・医療保険が効かない
・できる「骨」の量  が不確実
 通常「歯周外科」では「骨」の再生はほとんどありません。ひたすら歯肉が縮んで、歯根が露出します。
 ところが、この治療法だと「骨」ができます。お金があって、痛みに耐えられる人にはお勧め。
エクストリュージョン  矯正歯科の「挺出」の技術を使う方法。
 
・医療保険が効かない
・時間がかかる(1 本付 半年)
 矯正歯科の技術を使って、「歯」を上へ引き上げると、「ポケット」が減って、「骨」もできます。
 私はこの方法がベストと思っていますが、「欠点」が気にかかって、治療に取り入れていません。
再   植  一度「歯」を抜いて再び植える方法。
(「挺出」させた状態で植えるのがミソ)
・医療保険が効かない
・一度「歯」を抜く
 抜いた「歯」を再植した時、再び根付いて予後が良好のためには、「根未完成歯」の方がベストです。
 でもこの方法でも治療は可能なようです。
 (結局、「骨」の再生のためには、一度歯周組織を破壊して、その再生を促すなかで、生体の「骨」再生機能を活用することにミソがあるような気がします。)
レーザー療法  レーザー治療器でポケット内の消毒をする方法。
 もしくは、「歯周外科(歯肉切除術)」に使用
・医療機関は無料で実施しなければならない。
・確実性に欠ける
 ポケット内照射は麻酔なしでできて、痛みはありません。ただし、治る人と治らない人がいて、「同じことをしているのになぜだ〜。」と思います。「レーザー」の代金は医療保険に含まれる規則なので、患者さんには「無料サービス」です。
 「歯肉切除術」で使用すると、「出血」も無く、「術後の痛み」も少ないので、治療が楽です。
インプラント治療  「歯」はあきらめて抜歯して、「インプラント(人工歯根)」を植える方法。 ・医療保険が効かない(しかもとても高額)
・2回手術が必要
 自分の「歯」と同じような使い心地です。
この後のページに詳述