※ 歯 科 週 報

日 付 今 日 の 話 題
19年05月20日(日) *** 新説? 虫歯菌の突然変異 ***
 保育園・小・中学校の「学校歯科医」をしている。ここ数年、虫歯の数が減っている。
 正確には、「虫歯の多い家庭の子」と「虫歯の無い家庭の子」の2極化がみられ、その内「虫歯の無い家庭の子」の数が増えているのだ。
 これは、「フッ素含有の歯磨き粉」の使用が増えていることと、我々「歯科」の「歯磨き啓蒙指導」による、公衆衛生の普及による「口腔清掃」への関心の高まりのためだろう。と考えていた。

 しかし、そうではないのではないか? と言う意見がある。

 その先生も「学校歯科医」なのだが、「虫歯のない子供の歯でも歯垢が多い」と指摘する。
 そして、それでも虫歯にならないのは、「虫歯菌 (S.ミュータンス)」の「突然変異」が起きて「虫歯になる病原性の少ない菌」に変わってきているからではないか? と言うのだ。

 確かに、私自身、「口腔内が不潔でも虫歯のない子供が多い」という事実には思い当たる節がある。

 もしかすると、「虫歯」と言う病気は「虫歯菌」の病原性の弱体化という、根本的な要因によって消滅することになるのかもしれない。
19年04月29日(日) *** 「口腔ケア」の普及 ***
 去年の4月「介護保険」に「介護予防」というのが導入された。「高齢者の加齢による衰えを予防し、要介護度が重症化するのを防ごう。」というのが目的だった。

 その中に「口腔ケア(口腔機能の向上)」が導入された。
 数々の研究の結果、「口腔ケア」を行うことで、
  1. 栄養摂取状況が改善し、全身の健康状態がよくなる。
  2. 誤嚥性肺炎・インフルエンザを予防できる。
  3. 嚥下機能の低下を防止できる
  4. 認知症を予防できる。
と言うことが、科学的(エビデンス)に実証された、からだった。

 それから1年、「口腔ケア」はあまり普及していない。

 福祉関係者や病棟管理者にとっては、日常業務としてすでに「口腔ケア」を実施しているものと思うが、これをより一般の高齢者へと広げていくにはいろいろ障害があるようだ。

 厚労省からは「マニュアル」が出ているが、それがひどく解かりづらい。
 しかも、実施にあたって対象者独りひとりに対して、5種類の複雑な文書を必要とするし、だれが、どのように実施していくのかはっきりしない。報酬もかなり安い。
 歯科衛生士や言語聴覚士が係わることになっているが、地域の福祉施設で歯科衛生士や言語聴覚士を雇用しているところなど、ほとんど無い。
 だから、歯科医院に勤務している歯科衛生士がボランティアで活動しているのが、実情である。
 今後、高齢化が進行する中で、エビデンスのある内容が廃れていくことはないと思うが、社会全体に普及していくには10年以上かかるのではないだろうか?

 5月20日には島根県歯科医師会において「口腔機能向上」のための研修会が行われる。 
19年03月18日(日) *** フリーアクセスを制限 ? ***
 2006年の医療改革によって、来年には「75歳以上の後期高齢者を対象とした新しい保険制度」を創設することになっている。
 厚労省は、その骨格部分に「かかりつけ医」制度の導入を考えている。
 
導入の利点は

 1. 高齢者の抱える複数の疾患を総合的に診断・治療し、心のケアも行える。
 2. 介護保険のケアマネージャーとも連携をとり、患者の生活に合わせた在宅療養のアドバイスができる。
 3. 積極的な訪問診療を行える。
 4. 痛みを緩和するケアなどの、末期医療に対応できる。

と説明されている。

 この制度の導入に伴い、「医療保険」のお金を管理している、保険者側(「国民健康保険中央会」「健康保険連合会」など)は患者さんが「かかりつけ医」以外の医療機関を受診する 「フリーアクセスを一定程度制限するべき」との意見を出している。
 (フリーアクセス:保険証があれば「患者さん」は「いつでも」「どこでも」好きな医療機関を受診できる制度)

 これに対して医師会側(「日本医師会」「日本歯科医師会」など)は「フリーアクセスと現物給付はどれが崩れても「国民皆保険制度」は維持できない。フリーアクセスを阻害してまで「かかりつけ医」を導入する目的は何なのか?」と言っている。

 どちらが本当に「患者さん」のためになるだろう?
19年03月03日(土) *** 診療時間延長 ***
 海士歯科診療所は4月より診療時間の延長をして、PM17:30まで診療することになります。

 これは、日本の厳しい社会情勢から、国家公務員の就業時間の管理を、民間企業なみに厳しく実施することが決まったためで、これに準じて地方公務員も就業規則を厳格に守る観点から、今までPM17:15までの就業時間を15分延長する措置が採られることになったためです。
 
 これによって、歯科診療所の受付締め切りは延長となり、「学生」や「勤労者」の皆さんが受診しやすい環境となります。
19年01月21日(日) *** 将来の国の姿 ***
 島根県歯科医師会は毎月「島根歯科」と言う、歯科医師会会員向けの、広報誌を出している。
 その中で、「年頭所感」として、「島根県歯科医師会 会長 仲佐喜昭 氏」が次のような分析をしている。

 「・・・・・・経済財政諮問会議は、本会議で、今回の改革は国の歳出の抑制が最も大きな狙いであり、医療に対して政府が保証する範囲については、今までの「必要に応じた給付」から「負担可能な範囲内での質の高い給付」へ転換すべきとの考え方を示し、今後5年間で国費1.1兆円の伸びを抑制するために、07年度政府予算においても2.200億円の歳出抑制を実施しなければならないとしています。・・・・・・この規制改革会議の考え方は、市場経済主義の競争原理を医療分野にも全面的に押し付けるものであり、金があれば治療するが無ければいたしかたないという考えに立脚したものとしか思えません。国民の誰もがいつでも安心してどこでも医療が受けられる日本の優れた制度を、私たちは絶対の守る義務があります。・・・・・・」

 と言うものだった。

 今まで、新聞を読んでいても、これほどはっきりとした「政府からのメッセージ」は読み取れなかったのだが、県歯科医師会会長としての情報力から来る内容なのだろうと驚いた。

 「国民皆保険制度」の中で、今後は、「医療の必要性」ではなく「お金の負担可能な範囲」で「治療を実施する。」とする考え方は、医療人としては受け入れられないことは、もっともなことである。

 しかし、昨年の4月の改革に見られるような、「厚労省」にやられっぱなしの「歯科医師会」の姿をみると、一般国民が気が付いた時にはすでに、政府が目指す国ができあがっているのではないか? と思える。
19年01月02日(火) *** 「2006ベストスマイルオブザヤー」 ***
 その年の笑顔が最も印象に残った有名人に贈られる 「2006ベストスマイルオブザヤー」(日本歯科医師会 主催)に女優の「黒木瞳さん」とハンマー投げ選手の「室伏広浩さん」が選ばれた。

 この選考にはおもしろいエピソードがある。

 本当は、男性の有力候補に、野球選手の「新庄剛志さん」が挙がっていた。
 彼の所属チームの「日本ハムファイターズ」は2006年に優勝していて、さらに、彼自身は引退表明もしていたから、十分に2006年の顔としての資格があったし、その笑顔はとてもすばらしいものだったからだ。

 しかし、一部の歯科医師からクレームがついた、
 「彼の笑顔はたしかにすばらしいが、異常なほどに歯の色が白いし、異常に歯並びが揃っている。彼はアメリカにもいたし、おそらく歯科治療をかなり受けているはずで、それは不自然な笑顔ではないか?」 と言うものだった。
 それに対して、「歯科治療を受けていない有名人しか候補になれないのであれば、だれも候補がいなくなる。」と言う意見も出ていた。

 どうなるのかと思っていたが、結果をみると、前者の意見が通ったのだなとわかる。
18年12月09日(土) *** 中国製の技工物 ***
 10月に、民主党の大久保 勉 参議院議員が国会に提出した「質問主意書」の回答の中で、厚労省は「海外技工物の取り扱いについて」次のような見解を示した。

 「どのような補綴物(冠や入れ歯)などを用いるかは、個別の事例に応じて歯科医師により適切に判断されるべきもので、歯科技工士法の目的から逸脱することにならない」
 というものだった。

 歯科では、「安い人件費」で作成される「中国製の安い入れ歯」で、日本製と同じ「診療報酬」を得て収益率を高くする方法が考案されていて、それに対して、「日本の技工士免許を持たない中国人に作らせた入れ歯を保険の医療として提供するのは違法ではないか?」との反論もあった。

 厚生省は、これを「歯科医師の裁量権の範囲内」として容認することにしたようだ。
 もちろん海士歯科診療所はこんな「中国製」を使用する気は さらさら ないけれども、今回の決定で、都心の歯科激戦地では、今後どうなるかは判らない。
18年11月25日(土) *** 社会保障制度の見直し ***
 今回4月の診療報酬の改定によって、歯科が大変だということは既に書いた。
 しかし、4月の改定では、医科でも福祉施設でも厳しい改定が行われている。

 医科では、訪問診療(往診)に対して「24時間対応」の義務化が課されて「片手間訪問診療」ができなくなったし、「看護婦や医師の数」と「機能分担」が「施設基準」としてリンクされて、実質的な「中小病院の淘汰」が行われることになった。

 厚労省は今後、中途半端な「町の病院」を認めない方針で、基本的にはプライマリィケアを担う診療所が中心となり、それに、それぞれの専門性のある地域中核病院などとの「病診連携」や「診診連携」を進める方向性にあることを示した。

 この計画により、向こう5年で、現在38万床ある病床を、急性期の患者さん用の15万床まで減少させ、いわゆる「社会的入院」を無くす意向のようである。
 これに伴い、今、所定の人員配置を整えるために、病院間では生き残りをかけて、熾烈な「看護婦獲得競争」が行われている。

 福祉の現場でも「障害者自立支援法」の成立を受けて、財政的に無制限な「障害者支援」を打ち切る改革が進行している。

 どこも厳しいのである。
18年11月11日(土) *** 1本 5万円のインプラント ***
 私が「インプラント」に出会ったのは、20年ほど前だった。
 当時でも医療保険は効かなくて、高額な治療費が必要だったが、「5年保てば成功」と言われていてとても使い物になるものではなく、当然、医療訴訟も多くて、かなり問題になっていた。
 しかし、それでも「入れ歯」は嫌だということで、「インプラント」を選択する患者さんがいて、それを供給する歯科医もいた。

 私はとても「これは使えないな。」と考えていたが、それでも、「患者さん」の「入れ歯嫌い」を思うと、いずれは「インプラント」は歯科の将来を担うと考えていて、その動きをウォッチするために20年前から「日本インプラント学会」に所属して研究してきた。

 それから20年・・・「インプラント」は進化して、材質・形・術式全てが変わって、「10年保って成功とする、20年保つのも当たり前」と変わった。
 10年ほど前に現在の形の「インプラント」が現れてくるようになってからは、いよいよ「インプラント」の時代が来ると考えて、その実用化に向けて研究してきた。

 5年ほど前、現在の「インプラント」が主流になるにつれて、「インプラント」が歯科の主流になると考えた・・・。

 確かに、今や歯科では「インプラント」は当たり前の治療と言われるようになった。しかし、その広がりは私の予測したほどのスピードでは広がってはいない。

 ある歯科専門誌に次のような記事が載った。
 「インプラントが普及していると言われているが、私の家族・親戚・隣 近所の人でインプラントを入れた人はいない。本当にインプラントは普及しているのだろうか?」
 と言うものだった。

 なぜ、普及しないのかを考えると、今でも「インプラント」は医療保険が効かず高額な治療費が必要だし(1本20万円が主流 : 今は不況だし。)
 外科手術が必要なので、失敗した時の医療訴訟も多い。
 その辺になかなか普及しない理由があるのだろう。と思った。

 日本には約30種類のインプラントがある、みなチタン製で、骨内型の歯根形態のものだ。
 しかし、研究してみると、使う器具、供給会社、値段、術式が微妙に違う。 そして、それぞれの利点を組み合わせれば、安全に、安く「インプラント」が実施できることが判ったのだ。

 「検査に3万円」、「1本に付き 冠せも含めて5万円」、より安全な術式を完成させて、器材の準備も終わり、後は患者さんを見つけてやってみるだけ、というとこまで来て、それから1年・・・。

 未だ踏み切れずにいる。
 「インプラント」の治療をすれば、その患者さんに対しての責任が生ずる、「インプラント周囲炎」の問題があるから術後の患者さんの管理が大切である。
 そして、「インプラント」は医療保険が効かない、独特の管理法があるから、その治療をした自分しか、その患者さんの管理をできないだろう。
 この治療をすれば、「この島を離れられなくなるかもしれない・・・。」
 「インプラント」の治療は私にとっていろいろな意味での「覚悟」が必要なのだ。
 そこで、立ち止まって、悩んでいる。
18年10月22日(日) *** 「口腔ケア」 ***
 「誤嚥性肺炎」と言う病気がある。

 高齢のために、「嚥下 (飲み込む力)」の能力が落ちてきた人に診られる病気で、食事の時や、眠っている時に、「口の中に残った食べカス」や「歯垢などの細菌」が、気管の方に入って、肺炎を起こすと言うもので、食事の時の注意深い介助と眠る前の念入りな「口腔ケア (口の中の掃除)」によって防げると考えられている。
 老人ホームや居宅の寝たきり老人に対する介護の分野で大切だとされていた。
 この考え方は数年前から、歯科の中では語られてきたが、真偽のほどはよくわからなかった。

 4月の介護保険の改正で、この「口腔ケア」が「介護予防」として拡大されて導入された。

 国の財政難による「社会保障費」の削減ということで、医療も福祉も報酬が大幅に削られている。
 しかし、そんな状況の中でも、「口腔ケア」の拡大を認めたということは、厚労省で「口腔ケアによって肺炎が防げる」と言うデーターがそろい、その必要性を認めてのことと思われる。

 したがって、歯科は今後この分野での活動を増やしていく努力が必要なのだろうと思う。
18年10月01日(日) ***  明細の判る領収書 ***
 今月から全ての医療機関に「明細のわかる領収書」の発行が義務化された。
 今までも、一部医療機関(例えば海士診療所)では発行されていたのだが、義務化によってすべての医療機関で、「今日の治療は、何の治療が何点なのか?」 がよく判るようになる。

 今回の措置は「患者さん」に医療費がいくらかかるか明示する役割を持っていて、これによって医療費を抑制できればと言う思いがある。
 受付窓口で、「明細のわかる領収書」を発行するためには、電子レセプトを導入しなければ、とても対応できないほどの、事務量になるので、今まで手計算だった医院は電子化を進めざるおえなくなる。

 さらに、厚労省は2011年には、全てのレセプト(診療報酬明細書)を紙ではなく、フロッピーもしくはオンラインで通信することによって、提出させようと考えていて、そのための布石として、今回の措置がなされたと考えられている。
 レセプトの電子化・規格化によって社会保険事務局のパソコンへの入力の手間が減り、しかもそのデーターベース化によって、患者さん独り一人ごとの「月ごとの縦覧検査」が容易にできるようになるため、診査や査定がやりやすくなり、医療費を抑制できると考えているからだ。(すでに、「介護保険」では実用化されている。)

 海士歯科診療所では、既に「電子カルテ」導入を果たしており、対応済みなのだが、2011年を迎えれば、返戻や減点が増えるかも知れないと、不安な思いがある。
18年09月16日(土) *** 湘南宣言 ***
 医療保険の診療報酬は「中央医療協議会 (中医協)」にて決定される。今年度4月の改定は、あの「1億円事件」のために 歯科側委員2名が出席禁止になっている中で決定された。
 そのためもあって、メチャクチャな改定が行われたことは、すでに書いた。

 厚労省の「日本歯科医師会」に対する不信感は大変なもので、今後の「歯科医療保険制度」の抜本改革については、「日本歯科医学会」との間で協議して、その内容を「歯科医師会」と議論する気はないそうである。
 その理由は、過去に「歯科医師会」が出した、「臨床データ」や「会員アンケート」などの信憑性に疑問があり、科学的根拠が乏しいと考えているからだという。
 
 そんななかで、「日本歯科医師会」は4月1日より大久保 新会長を迎えて、新しい執行部のもと5月に「湘南宣言」と言うものを発表した。

 これは、日本の歯科界を構成する主要な組織である、「日本歯科医師会」「日本歯科医学会」「日本歯科医師連盟」「歯科商工業界」が今後の歯科医療に関する重要課題を共有し、共同して対応することを互いに確認した上で採択されたもので、今後の日本の歯科医療の方向性を示す重要な宣言であった。

一. 国民の理解を求めながら、現状を踏まえ保険外併用療養費制度への取り組みを前向きに検討する。

一. 有効な歯科医療新技術を保険制度に導入し、良質な医療提供につとめる。

一. 歯科保健・医療が高齢者の健康に貢献することを確認し、普及するようつとめる。

一. わが国の歯科医療における重要課題を共有し、共同して検討すること

といった内容で、

 しごく、もっともなもののようにみえるのだが、歯科内で問題視されているのは、「混合診療」に邁進すると宣言している点で、昨年までは、「日本医師会」と伴に「混合診療反対」をとなえていたのに、突然、変化したように見え、今後の「医師会」との関係がどうなるかが注目されている というわけだ。
18年09月09日(土) *** 「受付事務」 臨時職員 募集中 ***
 現在、「海士歯科診療所」では、「受付事務」の 臨時職員 を募集しています。
 現在の職員が、家庭の事情により退職するのに伴うもので、「歯科の受付事務」の仕事は、パソコンによる事務が主なものです。

 1.「新患」の患者さんの「電子カルテ」への入力
 2.「再診」の患者さんの受付、「電子カルテ」への入力
 3.「電子カルテ」に基ずく、診療終了後 の「一部負担金」の精算
 4.次回の「予約」の決定
 5.「電子カルテ」に基ずく、「日計表」の作成
 6.「電子カルテ」に基ずく、月ごとの「レセプト」の作成と提出
 7.「カルテ」の管理
 8.「予約簿」の管理
 9.その他 歯科の雑務 等

 など が主な仕事になります。

 休日、給料などは、海士町役場の規定によりますので、詳しくは 「診療所事務局」 TEL 08514-2-0200 浜見 事務長 まで 問合わせを お願いします。
18年08月19日(土) *** 歯科訪問診療 パワーアップ ***
 海士歯科診療所の裏には「特別養護老人ホーム」の「諏訪苑」がある。
 もともと、「医療」「福祉」の一体を目指して計画された事業によって、町が一地域に「老人ホーム」や「健康福祉施設」「診療所」をまとめて建設したのだ。
 海士歯科診療所では、その理念から、積極的に「訪問歯科診療(歯科の往診)」を展開していたのだが、「歯科衛生士」の不在に伴い、「外来診療」の忙しさから、この1年くらいは「往診」の「受け入れ」を控えざるおえなかった。
 5月からの「新 歯科衛生士」の加入によって、ようやく元のような「往診体制」がとれるようになった。
 さらに、買い替えに伴い廃棄予定だった、「歯科用ユニット (歯医者用のイスとライト)」 を「諏訪苑」に据え付けることに成功したので、
 「患者さん」にとっては「車イス」で治療を受けるより、「首」の姿勢が楽になり、
 「私」にとっては、屈み込む必要がなくなる分だけ、診療が楽になり、
 「諏訪苑」にとっては「歯科診療所」へ輸送しなければならない「症例」が減って、たいていの治療が「諏訪苑」内でできるようになった。

 良い事ずくめで、今後も「寝たきり」の「患者さん」たちの治療をがんばろうと思っている。
18年08月05日(土) *** 寝たきり老人には 総義歯 がいい ? ***
 兵庫県歯科医師会が平成16年5月分のレセプトにより、70歳以上を対象として調査した結果、「75歳以上では、咬合状態の悪いグループの医療費が高くなる」との結果が発表された。
 「咬合状態が悪い = よく咬めない」 ほど 「大きな病気になり易い」と解釈でき、やはり「よく咬んで食事をすることが、健康のもとになる。」ということが、数字で証明されたことだと思う。

 海士歯科診療所では「歯科の往診」をしている。
 その治療のなかで思うのだが、「寝たきり」になった人や「痴呆」の人に対する看護は、「総義歯の人」のほうが圧倒的に楽なのである。

 本人にとっては義歯は不自由なものであろうし、「何でも食べられる」とはいかないのだが、「口の中の清掃性」や「虫歯や歯の痛みなどのトラブル」「治療のしやすさ」は「総義歯」の方が優れている。
 なまじ「歯」が残っていると、「口腔ケア」が行き届かない現状では、「虫歯や歯周病による患者さん自体の苦痛」や「口腔清掃の難しさから来る誤嚥性肺炎の問題」が大きいように思う。
 
 私は歯医者だから「歯を全部抜いて総入れ歯にする方がいい」と主張するつもりは無いが、健康の維持のために、「死ぬまで自分の歯で何でも良く咬める」状態を維持し続けると言う 理想的な社会を目指すのであれば、今後一層の「歯科訪問診療体制の充実」「口腔ケアの充実」が必要になってくる。

 しかし、今回の「外来」に対する医療費の削減状況を考えると、財政的には、とても無理なのではないか? と思えるのだが・・・。
18年07月22日(土) *** 8020の達成は医療費を減らす *** 
 厚労省が発表した、「平成17年歯科疾患実態調査」によると、80歳で20本以上自分の歯を保有する人の割合は、6年前の前回調査に比べて、8.1%伸びて、全体の20%を超えていることが判った。
 「8020運動」が国民皆に確実に定着しつつあることを示していると考えられる。
 
 さらに、我が、「東北大学大学院歯学研究科」の渡辺 誠教授の
 「 8020運動  に基ずく歯と健康に関する実態調査事業」によると、
 「8020」達成者と非達成者とでは、医科医療費に2倍以上の差が生ずることが判った。
 
 つまり、歯が多く残っている人の方が「何でも食べれて」「顎の運動も活発」なので、体全体の健康が保たれるとの研究結果である。
18年07月08日(土) *** 歯科医師の逆襲 ***
 4月の医療改正は大変だった、と言う話しは書いた。うちの診療所はあまり減収にはなっていないけれども、ネットや歯科専門誌の情報によると、全国的には大変な事になっているようで、「1.6%削減のはずが、10%もの減収はおかしい。」との論調が主なものだ。

 そこで、歯科医師政治連盟を通して、自民党の歯科関係の議員に国会で質問してもらおうとしたのだそうだけれども、「中医協で決まったことに関しては、国会議員は何もできない。」との返事だったとのことで、「今は、歯科医師会の新会長ら執行部と厚労省幹部が水面下で、交渉中だから おとなしく我慢してくれ」との話しが出たという。
 (前回も 水面下、で自民党に1億円の献金をして、それがばれて、お仕置きに中医協からはずされて、今回のような懲罰的な診療報酬削減になったのに、未だに体質改善ができてないのね・・・。)

 という訳で、全国の歯科医師は不満を抱えながらも黙って治療を続けているわけだが、中にはもう我慢できない人達が出てきている。

 民主党に「桜井 充 参議院議員」という人がいる。私の母校、東北大学医学部の内科医で、昔から「歯科医療」に関心が高い人だった。

 歯科医の一部有志が、何もしてくれない「歯科医師会」や「自民党」にみきりをつけて、その人にお願いをして、

 6月13日に 参議院厚生労働委員会 にて 
           歯科診療報酬に関しての国会質問

 6月14日に 「歯科医療に係わる診療報酬点数などに関する質問主意書」の国会提出

 などを果した。
 (厚労省の返事は、内容のはっきりしないものだったが、何がなんでも、「今回の改正」の変更はしないと言う「意志」だけは感じられるものだった。)

 6月29日には茨城県歯科医師連盟の一部有志が、この「桜井 氏」を招いて、「民主党職域支部」として「民主党歯科医師会支部」を設立した。

 今までは自民党一辺倒だった「歯科」の世界が今回の厳しい改正を機会に変わろうとしている。
18年07月01日(土) *** 医療改革の影響 ***
 医療保険の診療報酬は、2年に一回、「中医協 (中央医療審議会)」において決定されることになっている。
 今年は改正の年で、4月に改正になった。 

 「中医協」の決定によって、歯科は1.6%削減、薬剤を含めて、約3%の削減のはずだった、しかし、現実は10%近くの削減になるだろうと感じるほどの大改革になった。 
(例えば、「かかりつけ歯科医」の廃止 ・ 「13種類におよぶ指導文書の配布義務化・・・通称「紙出し」 ・ 初診時に患者さんの同意と署名をもらう 通称「ネーム書き」 などなど。)

 一説には、「あの1億円問題」で、「中医協」に歯科側の委員が一人りも参加できない間に、勝手に素人集団で、「歯科」の診療報酬を改正したために起きた出来事だと言うが・・・。

 「医科」ではそのような、改正が行われなかったのだから、何か「歯科」への報復行為(いやがらせ)みたいにも思えたのだが・・・。

 今回、4月分の「島根県」の「社保関係分の歯科診療報酬」の集計結果が送られてきたが、昨年(改定前)の4月分との比較では0.5%の減少に止まっているとなっていた。
 「紙出し」「ネーム書き」と今までとは違う、診療行為に時間をとられて、さぞかし収入は落ち込んでいくだろうと心配したのだが、海士歯科診療所でも実質はそれほどの減収にはなっていないので、もしかしたら、1.6%削減という改定は本当なのかもしれないと思う。

 ただし、今回の改正では、「補綴関係」の治療が多いと収入の影響を受けにくいようなので、まだまだ安心はできない。
 秋には、「中医協」の検査部門が「診療報酬」の変動を追跡調査してどう変化したかを公表することになっているようなので、その結果待ちということかもしれない。
18年06月17日(土) *** 「変」 な話し ***
 いくつかの「歯科専門誌」を取っている。
 その中に、「歯科診療所の経営を考えるなら、自分で抜歯せずに、大学病院に紹介を!」というおかしな記事があった。

 「1本の前歯の抜歯」の保険診療収入は1500円である。それに対し「大学病院」に対する「紹介料 (情報提供料)」は2500円である。
 つまり、自分で麻酔して抜歯をするよりも、「紹介文書」を書いて患者さんに持たせた方が、1000円儲けが多いというのだ、
 ず〜と保険診療をしてきたけれども、こんなことには初めて気が付いた。

 一般的に「歯科の診療報酬」より「医科の診療報酬」のほうが高く設定される傾向にある。(「医科」は「命」がかかっているからショウガナイけれども。)
 「抜歯」は歯科の独自の治療行為だから、低く評価され、「紹介料」は「医科・歯科」同じに評価されるから高く評価されるので、こんな逆転現象が起こっているのだろうと思う。

 海士歯科診療所は離島にあるから、「紹介状」などを出しても「患者さん」に迷惑なだけで、その存在意義も疑われる。
 それに、「歯医者」は自分の医療技術に「変に」こだわるので、自分にできる事を他に紹介するのは「プライド」が許さない。
 だから、自分で「抜いても」損だとしても、「大学病院」へ紹介など しないけれども。

 「自分の手を汚すより、手紙を書く方が儲かる」 と言う、評価は何かおかしいのではないか?
18年06月04日(日) *** ホームページの引越し ***
 海士町は離島である。

 だから、「インターネット」の普及は遅れるだろうと思っていた。しかし、役場の政策によって、「ADSL回線」の普及を促進する「モデル事業」にいち早く乗り出し、数年前から「ADSL」による「インターネット」環境が整っていた。
 それを利用してこの「ホームページ」も運営してきたのだが、年を経るごとに「NTT」などの大手の「回線」の整備が進み、「プロバイダー」も「より格安」で「より充実したサービス」が受けれるようになって来た。
 正直、何年も前から「乗り換え」を検討してきたのだけれども、なかなかふみきれないでいた。

 もともと「プロバイダー」は「モデル事業」でお世話になった「山陰ネット」という「ローカル」なところを ず〜と利用してきたのだが( 私は結構 義理堅いのよ。)、「ローカル」ゆえに、今後の「サービス向上」にも期待できず、大手の料金とサービスの良さから、いよいよ「NTT」の子会社の「ぷらら」に「プロバイダー」を変更することにした。

 この変更によって「ホームページ」の容量も「10M」から「30M」へアップしいずれは「動画の配信」もしたいな〜と考えている。
(でも何を配信しよう? 「手術」のビデオではエグすぎるし・・・ ?)

 ということで「引越し」です。新しいURLは

    http://www17.plala.or.jp/okimiya/

になります。
18年05月28日(日) *** 学校保健統計 ***
 文部省による、平成17年度「学校保健統計調査」によると、
 学校生徒の「疾病・異常の罹患状況」では、「虫歯」が幼稚園〜高校の全ての段階で、最も高く、次は「裸眼視力1.0未満者」が高かった。

 虫歯罹患率は
   幼稚園 54.4%
   小学校 68.2%
   中学校 62.7%
   高校  72.8%
 で、高校になるほど「虫歯」が多くなる。
 これでも、全体の「虫歯罹患率」は毎年、減って来ており、「虫歯」は減ってきている。

 学校医をしていると感じるのだが、保育園・小学生の間は「親」の「子供」に対する「感心」がとても高くて「子供」の「健康管理」にも熱心なのだが、「中学生」当たりからだんだん「子供の自立」が強調されてきて、「親」の「感心」が薄れて、「健康管理」も「子供の自己責任」が強くなる傾向にあるように思う。
 
 しかし、「中学生」当たりではまだまだ「子供たち」は未熟なので、「虫歯」などの「命」に係わらないような「病気」に対する「感心」が薄いのが、実態でそれが「高校生」での「虫歯」の増加に繋がっているのではなないだろうか? と考えている。
18年05月13日(土) *** 停電 パニック ***
 それは昨日の 午前11時ごろに突然起きた。 まだ、患者さんがいて、治療の最中のことだった。
 内科などの他の施設を調べてみると、何ともなく、歯科診療所だけの出来事だった。
 すぐに「ブレイカー」が落ちたのだと判って、電源を回復したが、「ブレイカー」が落ちているということは、「漏電」の可能性を示唆していた。

 思い当たる予兆はいくつかあった。「ユニット」のうち1台は「意味不明のエラー表示」を出しているし、「停電」直前には「吸引機 (バキューム)」の吸引力が急激に低下したからだ。

 歯科診療所には様々な機械がいっぱいあって、何かしら不具合があることは珍しくはない。特に離島では、業者さんも数ヶ月に一回しか来ないので、整備が追い付かない。

 それでも何も問題なく診療できていた。
 今回も、たいしたことはないと考えていた。診療を続けようとして、「バキューム」を入れたとたん、また「停電」になった。

 「停電」による最大の問題は「電子カルテのパソコン」の「データー」や「HDD」が壊れることだ。「診療記録」を失うとその「復旧」は大変なことになる。
 「受付さん」が慌てて「バックアップ ができていないから 気を付けて!!」と言った。

 「電気屋さん」に来てもらって調べてもらったら、「バキューム モーター」の破損によるもので、修理不可能とのことだった。
 「往診用のユニット」で残りの「患者さん」の治療を済まして、急遽、午後の患者さんの一部の予約を「キャンセル」させてもらって、対策のための時間を作った。

 幸い、「バキューム モーター」は小型のものを2台連結して使っていたので、何とか1台用に配線し直して貰い、出雲の「歯科材料店」から予備の「バキューム モーター」を貸し出してもらえることになった。
 
 出力は落ちるが何とか応急処置で診療体勢を整え、午後の「患者さん」の治療を終わらせて、やっと一息となった。
 「レセコン」は無事で、「データー」も壊れていなかった。
 つくづく最近の「パソコン」は丈夫だと思った。昔、持っていた「95の頃のパソコン」は「停電」で「HDD」がいかれて痛い思いをしたが、今回のは何回もの「停電」にも「びくともしない」のだから・・・。
 
 思えば、私が海士に来た頃に買った「バキューム モーター」なのだから、15年以上も使ったことになる。

 さすがに限界だったのだろうと思う。
18年04月30日(土) *** 歯科衛生士が来た ***
 家庭の都合で、昨年6月に前の「歯科衛生士さん」が退職してより、11ヶ月、ようやく新任の「歯科衛生士さん」が来た。

 都会ですら、「医師」「看護師」「薬剤師」「歯科衛生士」などの「医療職」が不足していて、いつでも求人がある状態だ、そこへもってきて、町などの「地方自治体」は財政難から、職員給与の大幅カットを実施している。
 町内放送やホームページなどで、「求人」はしていたのだが、しばらくは、「問合わせ」すら無かった。
 今でも、「島前病院」「海士診療所」では「看護師」が不足しているし、「隠岐病院」では「産婦人科の医師」の確保ができずに「産婦人科」が休診になっている。
 十年ほど前の豊な時代なら、「国土の均衡ある発展の思想」のもと「僻地にも都会並みの医療を」と多くの「ボランティア的医療スタッフ」が確保できたのだが、財政難の、「選択と集中」の時代では、「選択」からもれた「僻地」では「人材」の確保が難しい。

 今回は、「テレビ番組」の取材に取り上げてもらえたから、ようやく「問合わせ」が増えて、町の「Iターン促進政策」も功を奏して「採用」が決まったのだが、もしも、「テレビ」が無ければ「歯科衛生士の確保」は難しかったろう。

 とにかく、新しい力が手に入ったのだから、なるべく早く、かつてのような「診療体制」を取り戻せるように「がんばろう」と思う。 
18年04月22日(土) *** 医療改革 A ***
 4月の改定の大混乱で、未だに時間が足りない。
 特に問題なのは、「紙出し」と「電子カルテシステム」にある。

 「紙出し」とは、今回の改革の特徴の一つで、全ての「指導管理項目」に対して、「患者さん」に説明した内容を文書にして、「患者さん」に手渡し、しかも、コピーをとってカルテに貼ると言うことなのだ。
 歯科医師会はこれを「紙出し」と言い、「患者さんの、歯科治療に対する自覚を促すため。」と説明している。
 しかし、診療する全ての「患者さん」に文書を1〜2枚作って渡すことは、大変なことだ。もらう「患者さん」もありがた迷惑ではなかろうか?
 それに、「医科」でも「患者指導」はあるが、「紙出し」はしないそうで、何で「歯科」だけなのかはよく判らない。

 とにかく、決まった事なので、やらなければならないのだが、実際やってみると、これがかなりな手間なのである。
 そこで、何かいい対策が無いか「がたがた」しているうちに、時間がかかっている状況だ。

 さらに困ったのが「電子カルテ」で、今回の大改革に「パソコン」が対応できずに「エラー」だらけで、これへの対策にも貴重な時間がとられて大変なのだ。
 業者は月末の「レセプト」までには対応すると言っているが、見ていて気の毒なほどの有様だ。

 2年前にも、厚労省はかなりの改革をしたのだが、今回はそれを「全部チャラ」にするような大改革をしている。まさに「朝礼暮改」で、なんでこんなことをするのかよく判らない。「歯科」」への「いやがらせ」みたいにも思える。

 あえて思い当たるのは、「あの1億円」くらいか・・・・・・?
18年04月08日(土) *** 医療改革 ***
 4月から「診療報酬改定」があった、今回の改定は大改革で、いろいろなことが根本から変わった。

 とくに大きな変化は「予防歯科」の分野で起こった。
 「歯周病」は治りにくい病気だ。歯周ポケットが5〜6ミリあるような中等度の歯周病の場合、「歯石除去」をして、「根面清掃」をしてもなかなか正常値の3ミリ以下にはならない。
 だから、不潔にしておくと、歯周病は重症化して、歯が抜けていくことになる。
 そのため長期の管理を必要とし、歯石を除去し、根面清掃をし、口腔内の清掃をするなどして、維持管理してようやく悪化を防いでいるのが現状の医療レベルであった。

 しかし、今回の改訂では「歯石除去」と一回目の「根面清掃」までは保険が認められたが、それ以降の「根面清掃」は無料でやるように。 となった。
 しかも、歯冠部の清掃研磨は3ヶ月に一回ということである。
 そして、その代わりに、「患者さんによる自己管理」を促すために、前回書いたような、大量の自己啓発の文書を発行するように義務づけられたのだ。

 この改革によって、「長期管理」は途中で打ち切り、「患者さんの自己管理」へまかせるという、治療方針の変更へと誘導されていくことになるのだろう。
 我々が口腔清掃の補助をすることで、ようやく防げていた「歯周病」の悪化が、はたして 「患者さんだけの自己管理」「自己責任」 だけで、くいとめることができるかどうかはとても怪しい。
 だから、結局、この改革は、「抜歯」を早める結果になるのだと思う。

 確かに、「医療保険」は「医療 (病気を治す)」のための財源で、「病気を予防」するためにあるのではない。 と言う話しもわかる。 
 国にお金がないということで、医療費を抑制するために、このような形で「予防医療」を断念せざるをえないということなのかもしれない。

 しかし、歯周病が悪化すれば、行き着くところは「抜歯」である。そうすれば「義歯」を新たに作り変えなければならない。
 医療費は、その方がかえって高くつくのではなかろうか?
18年03月21日(火) ***  四月より診療報酬改正 ***
 4月から「診療報酬」の改定がある。今回は薬剤も含めて3.15%の値下げになる。歯科は1.65%の値下げのはずだったが、今回の改正を見る限り、診療形態によっては10%もの値下げにもなるだろう。
 その分「患者さん」の経済的負担は減少するけれども、診療所の経営には厳しくなる。

 今回の改正の特徴は「治療計画の説明」「各種管理・指導」時すべてに「文書」を発行しなければならないことだ。
 数えてみたが、全部で8種類、ほとんど毎月何かの指導文書を発行してそのコピーをカルテに貼り付けなければならないことになっている。
 「歯科の健康管理は患者さんの自覚が大切だから。」というのがその理由なのだが、はたして毎月発行される「文書の山」がその自覚を呼び覚ますのか?

 乞う期待
18年03月11日(日) *** 「歯胚銀行」 構想 ***
 テレビのニュースで「親知らずの「歯胚」で肝臓の治療ができる。」との報道をしていた。

 どう言うことかというと、「顎の骨の中」には「歯の卵」がいっぱい入っている。その卵のことを「歯胚」と言う。「歯」は「顎の骨」の中で一定期間「成熟」して、決まった年齢になると「口の中」に生えてくるのである。
 「親知らず」は18歳〜25歳くらいで生えてくる、人によっては「生えない」人もいる。「親知らず」は「歯科」的には、咬むのに不必要な歯と考えられていて、痛みが出たりするとすぐに抜歯する傾向にある。

 一方で、「未分化細胞」というものがある。これはもともと、全ての細胞 に変化する能力がある( 肝臓でも神経でも肺にでも なんでもできる )。
 韓国で「論文偽造」のもとになった「SE細胞」はこの「未分化細胞」のことで、これを「卵子」から作り出すための研究だった。

 どうも「歯胚の細胞」にはこの「未分化細胞」が含まれていたようで、「歯胚の細胞」を肝臓に入れたら「肝臓の細胞」になったというのだ。
 そこで、15〜16歳の時に「親知らず」の「歯胚」を摘出しておいて、「歯胚銀行」のような所に預けておいて、年をとってから「肝臓病」や「神経損傷」などの病気の時に、その細胞を使って病気が治せるのではないかと考えられるというわけだ。
 
 夢としてはおもしろいと思うが、しかし、現実論になると「歯胚」の「摘出」は大変なことだ。
 「普通の親知らず」の「抜歯」でさえ、顔が変形するほど腫れるなどということはざらに起きるのに、「歯胚」は「顎の骨の中」にあるのだから、「歯肉を剥いで」「顎の骨を削って」「歯胚を取り出す」ことが必要なわけで、はたしてその苦痛に「患者さん」達が耐えてでも、将来の病気のための「保険」として「歯胚摘出」を望むのかは、はなはだ疑問だと思う。
18年02月26日(日) *** 歯ぎしり と 破折 ***
 歯周病のメンテナンスをしている患者さんで、清掃状態が良く、歯肉のコントロールもできているのにもかかわらず、一部のポケットが急激に深くなり、垂直性骨吸収が進行して、抜かなくてはならなくなるような症例がある。
 また、虫歯も歯周病も無いのに、急に歯に痛みが出たり、水がしみたりする症例もあったりする。
 これらは、歯に小さな亀裂が生じ、それが徐々に広がって、そのすき間に感染が起こることによって発症するのだと考えられている。
 歯に亀裂が入るのは、食事中に硬いものを噛んだから ということもあろうが、睡眠中の「歯ぎしり(ブラキシズム)」によるものも多い。
 睡眠中は無意識なので、力の加減ができない。そのために、「歯並び」や「口の形」によっては、特定の歯にものすごい力が掛かる。それによって、歯の破折が起こると考えられている。しかも眠っているので、「本人」の自覚は無い。
 「歯ぎしり」は特殊な人だけの問題ではなく、精神的なストレスによっては誰にでも起きるので、診療する側も常に注意しなければならないことなのだ。
18年02月19日(日) *** 歯科 と アスべスト ***
 歯科は「冠」をかぶせたり、「義歯」を入れたりする。これは患者さんによって、形や大きさが違うので、オーダーメイドになる。
 そのため、金属を溶かして型枠に流し込む「鋳造」と言う技術を使う。金属を溶かすためには高熱が必要になる。
 そこで、安くて熱に強い材料として「アスベスト」が使われてきた。
 「鋳造炉」「遠心鋳造機」「アスベストリボン」「アスベストブロック」などアスベストを使った器材が多くある。
 今回の「アスベスト騒動」で、うちの「技工室」でもいくつかの器材を袋詰めにして、お蔵入りにした。基本的には、破壊でもして、粉が飛び散らないかぎりは害は無いのだが、なんとなく気持ちが悪いための処置だった。
 もちろん患者さんの口に入れる、完成品には「アスベスト」は付着していないので、心配はいらない。
 しかし、吸い込まなければ問題は無いとはいえ、私達 「歯科医師」や「技工士」は学生の頃から使用している材料なので、気持ちは穏やかではない。
 げんに「中皮腫」や「肺ガン」で亡くなった「技工士」の存在が報告されているので、他人ごとではないのである。
18年02月12日(土) *** 歯科医療が日本を変える ***
 先週は松江で、「島根県歯科医学会」があった。

 民主党の参議院議員の櫻井 充 先生の「歯科医療が日本を変える」と言う講演を聴いた。
 私と同じ 仙台出身で、東北大学医学部の大学院を卒業した内科医であるが、妙に「歯科」についてくわしい先生だった。

 「新しい付加価値を付けることができた業界」が「今 元気のいい業界」だ。「歯科界」は「どんな新しい付加価値」を供給できるのか?
 
 「往診」とは、医科では「医者が病院」を出た瞬間から「往診」になるのに、「歯科」では「患者さんの家に入って、治療器材を広げないと」 往診にならない。「歯科」では、なんでそんなことを「厚労省」に対して認めたのか? 
 「訪問診療専門 の歯科医院」を排除しようとして 足の引っ張り合いをするから ・・・ 。
 せっかく、「訪問診療」は新しい患者を開拓できる機会だったのに・・・、「落ちていく業界」ではよくあることだが・・・。

 「車イス」の患者さんで、「ちゃんと咬める入れ歯」が入ると「立ち上がる人」がいるそうですね・・・、東日本学園のデータで、「ちゃんと咬める入れ歯をいれると 呆けない」と言うものもあるし、「咬めるようになると脳の血流が良くなる」と言うデーターもある。だけども、「歯科のデーター」はみんな「調査対象」が少なくて「厚労省」を説得することができない。
 今、大学は「独立法人化」して「お金」が欲しいのだから、「自民党」に1億円も献金なんかしてないで、歯科医師会がお金を出して、そういうことをう事をもっときっちり研究して、「入れ歯」を入れることで、「寝たきり」が減るとの、きちんとしたデーターを出せば、「厚労省」も医療費が削減できるので、きちんと「歯科」を評価して保険点数を付けてくれるのですよ。
 
 わたしら「内科医」が「車イス」の人を立ち上がらせるのに「リハビリ」したり、何日もかけてどれくらい苦労するかご存知ですか?
 それが、「入れ歯」をきちんと入れれば「立てるように」なるんならどんなにすばらしいことか、何も全部がそうならなくとも3人に1人でもそうなれば、年間4000億円の医療費が削減できるのですよ。
 そうすれば、患者さんも助かるし、あなた方「歯医者」も助かるし、厚労省も助かる。国民も皆 「歯科」を評価してくれる。

 何も私はあなたがた「歯医者」を助けたいなんかとは思っていない。でもこのことが、「患者さんたち」のためになると信じるから言っているんだ・・・!!

  私は思った。  ああ・・・、正義の味方なんだ・・・ 。
18年01月29日(日) *** 僕達 の 失敗 ***
 「歯周病」の治療の基本は「口腔内の清潔」である。そのために「歯磨き指導」は「要」となる。
 「歯周病」の治療として、「歯科医院」側で「口腔清掃」をしても、「食事」をすれば、「口腔内の清潔」を維持し続けることはできなくなるので、「患者さん」側での「歯磨き」による毎日の「口腔清掃」が治療の決め手になるからだ。

 しかし、「歯磨き指導」をしていると、「歯科」側と「患者さん」側との意識のギャップに苦しむことになる。

 患者さん:「ず〜と通っているのに なかなか治らないのね。」
 歯医者 :「口の中のここと、ここが磨けてないからですよ。」
 患者さん:「おかしいわね、毎日3回 歯磨き してるのに。」
 歯医者 :「磨いている のと 磨けている のは違いますから。」

 と言うことで、「歯磨き指導」に入っていくのだが、何度指導しても、まず、「歯ブラシ」をうまく動かすことができない。しかも、それが習慣化していくことが難しい。さらに、「糸ようじ」や「歯間ブラシ」の併用をしないと本当にはきれいにならないので、完全にきれいな状態を維持することができない。

 と言うことで、なかなか成果が上がらない、「歯科」側が熱心になればなるほど、「患者さん」はだんだん遠のいていくことになる。

  思えば、我々「歯科医」は間違ったのかもしれないと思っている。

 かつて、50年〜30年ほど前、「歯科医院」不足で「虫歯」の治療が急務であった時代があった。
 そのころ、「歯医者」は「虫歯予防」を中心に考えて、「3・3・3運動」とか「食べたら磨こう」とか「一生自分の歯で食べよう」とかのキャッチフレーズで「歯ブラシ」の重要性をアピールしてきた。
 そのかいあってか、今や国民のほとんどは「歯磨き」をするようになって「虫歯」の数も減ってきた。
 そこで、最近は「歯周病」の治療がメインになってきたのだが、「歯周病」は「きちんとした歯磨き」ができないと治らないことが判ってきた。
 「虫歯予防」と違い「歯周病」は厳密な「口腔清掃」がないと治らないのだ。

 そこで、「歯科」側は「厳密な歯磨き指導」をするのだが、それが難しいので拒絶反応が出てしまうのだと思う。

 国民にしてみれば、「歯磨きをしろ」と言うから毎日磨くようにした。「1日3回磨け」というから3回磨いている。その上さらに何を求めるのか?
 ということではないだろうか?
 
 人々を指導するのに、どんどん「ゴール」を遠ざけていくやりかたは、、不信感を煽るだけでいかにも悪い手法であった。
 やるからには始めから、歯間ブラシや糸ヨウジなどの補助器具も含めて完全な指導をピーアールすべきだったのかもしれない。
18年01月15日(日) *** 「治療」から「予防」へ ***
 日本の「医療保険」は「美容」と「予防」は「保険」になじまないとして、「保険適応」はされていない。
 そのため「審美歯科」「矯正歯科」「予防歯科」は「保険外 = 自由診療」とされてきた。
 しかし、近年「予防」の重要性がクローズアップされ、少しずつだが「予防」も「保険適応」されるような方向性が出てきている。

 かつて、私が東北大学を卒業した頃は、「歯科治療」の主流は「虫歯と入れ歯の治療」だった。当時まだ「歯周病」の治療方法は、試行錯誤の時代で「歯科医師」の間でもどのように治療を進めるかは決まってなかった。
 しかし、その後平成7年に日本歯科医師会により、「歯周病治療のガイドライン」が示され、全国一律の「治療方法」が実施されるようになった。
 国民的な「公衆衛生思想」の普及などにより、「虫歯と入れ歯の治療」は減少傾向になっており、最近は「歯周病治療」の重要性が高まってきた。

 「歯周病」の治療の基本は「歯ブラシ指導」と「歯石除去 (スケーリング)」による「歯・口腔内の清掃と清潔の維持」にある。 (歯周病に効く薬はまだ開発されていない。)
 そして、この治療方針は「歯科疾患の予防方法」にだぶるのだ。

 そのため、治療技術的には「歯周病」の治療を進めることは「予防歯科」を進めることと同じことになり、「医療保険」で「予防歯科」部分が給付されるような形ができあがってきたのである。
18年01月09日(月) *** 治らない潰瘍 ***
 昨年から、なかなか治らない「舌下部潰瘍」の治療に苦戦している。
 発症は昨年の11月末頃だった。はじめは「大きな口内炎だな〜。」と言う印象だった。
 海士歯科診療所には「半導体レーザー」がある。
 この機械は「難治性口内炎」に良く効き、乳児の「リガ・フェーデ病」などの治療にも大活躍してきた。
 だから、今回もすぐに良くなるだろうと楽観視していたのだ。

 しかし、治らない。
 普通の口内炎は難治性でも、遅くても2週間もすれば良くなるのだが、今回は良くなるどころか、逆に大きくなった。
 さすがにこれはおかしいと思い、「内科」とも相談の上で「生検 (病理検査のための組織の採取)」を行い、「島根大学医学部」にある「難病研究所」に「病理検査」を依頼した。

 人間の心理とはおかしいもので、始めは「大きい口内炎」と思って診ていたものが、「痛み」も強いし「形も悪い」ので、にわかに「凶悪な悪性腫瘍」に見えてきた。
 しかし、以前にも書いたように「口腔ガン」はいろんな形をしているので、「見た目」では判らない・・・。

 何と、「病理検査」の結果は「ただの潰瘍」と出た。
 ではなぜ治らない?

 私は困惑したが、一応はひと安心、今日も20回目の「レーザー照射」と「消毒」をした。
17年12月29日(木) *** テレビの威力 ***
 今年は6月に「歯科衛生士さん」が退職した。
 6年間、一生懸命働いてくれて、とても助かっていたのだけれども、家庭の事情で、本土へ帰ったのだ。
 そのため、後任の募集を4月から始めていたのだけれども、9月を過ぎても「問合わせ」すら無かった。
 「これは2年先まで衛生士なしでガンバルしかないかも・・・。」と覚悟していた。
 「東京テレビ」の番組に「月10万円で暮らせる町&村」という番組がある。 その番組が、海士町を題材にして企画され、丁度、医科診療所でも看護師、検査技師、薬剤師の募集をしていたこともあって「求人天国 海士町」として、まとめて「テレビ」で募集を呼びかけることになった。
 正直、全然期待してなかったのだが、すぐに全国各地から反響があった。
 「歯科衛生士」の問合わせだけでも5件あり、この度その中で、九州出身の人の採用が決まった。
 移住・転職の準備などで、実際の勤務は4月からとなるのだが、今までのような「見とおし」の効かない状況よりはよほど良い。
 患者さんをはじめとして、関係各所にはいろいろとご迷惑をおかけしていますが。春からは再び、以前のような「医療サービス」が提供できるようになると思います。
 今度の「衛生士さん」は、新技術の「インプラント手術」のサポート経験者なので、「海士歯科診療所」での「インプラント治療」にも大きく貢献してもらえるものと、期待しているところです。

 しかし、やはり「テレビ メディア」の宣伝効果はたいしたものですね〜!

 今年は、きつかったですが、来年は、良い年でありますように・・・。
 良いお年を・・・。
 
17年12月17日(日) *** 「臨床研修制度」の落とし穴 ***
 来年4月より大学卒業後の新人歯科医師を対象にした、「歯科医師臨床研修」(昔のインターン制度)が始まる。
 医科ではすでに、去年の4月から始まっていて、新人医師は、医科では2年間、歯科では1年間「臨床研修」を受けないと正式な医師とは認められないことになった。
 今年は一方で、地方・僻地での医師不足が深刻化している。毎年「医師」は卒業して増え続けているので、なぜなのか不思議だったのだが、それはこの「臨床研修制度」に理由があったのだ。
 医科では昨年より「臨床研修」がはじまった。今回の制度では、新卒医師が自由に「研修場所」を選べるようになり、しかもこの制度の開始に伴い「民間の臨床研修病院」も格段に増えた。
 その結果、「研修必修化」前の平成13年には「大学病院」で研修を受けていた者が71.2%あったのが、今年平成17年には49.2%と激減し変わりに「研修病院」で研修を受ける者が、50.8%と、新人医師の半分が「民間の臨床研修病院」での研修を受けるようになったと言うのだ。
 新人医師は最初の数年間は「最初の研修病院」に定着して仕事をする傾向が強いから、「医師」の「都会指向」とあいまって、「都会の研修病院」に医師が集まり、「大学病院」では医師不足が起こったようなのだ。
 研修の必修化前までは、大学での研修があたりまえだったので、それが「大学の医局制度」の維持に役立っていて、地方・僻地の病院へは、「教授」の命令で、各医局から医師の派遣が行われていた。
 しかし、今回の件で、「大学の医局」の医師が不足し、これまで派遣していた医師を大学へ呼び戻したために、地方・僻地の病院の医師がいなくなるという事態が起こったのだ。
 「医局制度」は「教授」を頂点とした閉鎖社会で、何かとその弊害が言われてきたけれども、強権によって、「医師達」に不人気な「地方・僻地の病院」への「医療の確保」を行うには必要な制度だったのかもしれない。
 今回の研修必修化に伴い、「医師」の働く場所の「自由選択権」が強化されたことは、喜ばしいことなのだが、「地方・僻地の病院」への「医療の確保」は難しくなった。
 その対策として「医科大学への僻地推薦枠制度」など新たな対策も考えられているけれども、今後地方は「医師確保」のための「補助金の強化」などの新たな経費を強いられることになるのだろう。
17年12月03日(土) *** 歯科で脳梗塞・心筋梗塞の早期発見 ? ***
 歯科の「パノラマレントゲン」と言う検査機器で「骨粗鬆症の早期発見」ができるらしいことを以前書いた。
 今度は、同じこの「レントゲン写真」で「頚動脈の石灰化度」を診ることによって「脳・心血管障害のリスク判定」ができるという研究が発表された。
 九州歯科大学による研究で、「歯科用パノラマレントゲン写真」を使って、頚動脈の石灰化像を調べたところ、石灰化のある人は無い人に比べて、血管障害になった経験がある人が多いことが判った。
 血管障害の既往歴がある人は再発する率が高いことから、「頚動脈の石灰化」が血管障害の予想因子のひとつになると考えられているのだそうだ。

 歯科用のレントゲンは内科の先生にはあまり知られていなくて、しかも、我々歯科医はもっぱら「口腔疾患」にしか感心が無かったので、こういった「内科の疾患」が「パノラマ」から読めるということは、医科・歯科の間の盲点になっていることなのかもしれない。
17年11月20日(日) *** 「学校のフッ素洗口」 ***
 保健所が、今年度の「歯科保健事業計画」の説明に訪れた。
 その中で、「小学校のフッ素洗口」に関して、「隠岐地区と雲南地区が一番立ち遅れている。」との説明があった。
 島根県では、平成11年から「フッ素洗口モデル事業」を6年計画ではじめていて、その評価をしてから、「フッ素洗口による虫歯予防」を推進する予定になっていた。
 隠岐地区では、旧 都万村の「都万小学校」で行われていたが、今回の「町村合併」に伴い、担当医の「都万歯科診療所」の歯科医師が退職したことによって、中断しているとのことだった。
 海士町でも「学校のフッ素洗口」を実施したいとの思いはず〜と持っていた。
 しかし、「学校でのフッ素洗口」の実施主体は、あくまでも「学校長」と「養護教諭」ということになっているため、海士町で実施できるかどうかは「学校側」との調整によって決まる。( 「先生方」は「保護者」の判断と言っているらしい。)
 「学校医」としては「子供たちの虫歯」を減らせるならば、あらゆる努力を払うべきだと思っているが、「事業の実施主体」が、その情熱を持っている「歯科関係者」とは別人に任されていることが、「フッ素洗口」の普及を妨げている原因の一つだと思っている。
17年11月12日(土) *** 歯科で骨粗鬆症の早期発見 ? ***
 歯科では「パノラマレントゲン」と言う検査機器がある。下顔面全体の骨の写真を見ることができるもので、内科には無い機械である。
 これで下顎の骨の形を測定することで、骨粗鬆症をスクリーニングできることが判ってきた。
 これにより、歯科医院で骨粗鬆症の早期発見が可能になるというのだ。
 骨粗鬆症は、患者が気付かぬうちに進行するため、早期に発見することは、骨折を予防し、寝たきりの高齢者を減らすことに役立つと考えられる。
 愛知県・広島県・千葉県などの各県の歯科医師会で、モデル事業が始まっており、歯科医院に「骨粗鬆症の早期発見の窓口」としての新しい付加価値が加わるかもしれない。
 しかし、骨粗鬆症の診断・治療はあくまでも「医科」なので、「医科」との連捷が大切となるだろう。
17年11月05日(土) *** 日米 虫歯 考 ***
 「 CSI : 科学捜査班 」 と言う アメリカのテレビドラマがある。
 「 SKY パーフェクTV 」 や 「 WOWOW 」 と言った衛星放送で放映されていて、アメリカの警察の鑑識課の刑事の活躍を描いた、いわゆる「刑事ドラマ」である。
 なかなかおもしろいので、よくみるのだが、先日「ドキリ」とする「シーン」があった。

 検死官が「死体」の検査をしている時、
 「この人は虫歯が多いのね・・・。  フッ素の入っていない水道水 で歯磨きしている国 に長い間住んでいたのね・・・。」
 
 と言う「シーン」だった。

 アメリカでは「フッ素が水道水」に添加されていて、そのことが「虫歯予防」に役立つことは「 WHO (世界保健機関) 」でも証明されている。
 テレビドラマでもこんな「シーン」が放映されるくらいだから、アメリカでは一般的な常識になっているのだろう。

 歯科の世界では常識だが、日本では一般的な知識ではない。
 日本では未だに、「フッ素を水道水に添加しても、虫歯が減るとは限らない。」との議論もあるし、 どこから来るのか?反対派と言う人達が出てきたりするので ( 「水道水のフッ素化」は 癌患者 を増やすと言うのだ。 アメリカ人と日本人とは体の作りが違うとかで・・・? )、「水道水のフッ素化」を実施している地域は無い。
 数年前にも沖縄県の ある村で、 「水道水のフッ素化」が計画されたが、反対派の出現で失敗している。
 だから日本ではあと20年くらいしないと「水道水のフッ素化」による「虫歯予防」は無理なのだろうな〜と考えている。
 
 ドラマの方の被害者は、結局「ドミニカ人」だったが、
 「虫歯が多いのは、フッ素の入っていない水道水 で歯磨きしている国 に長い間住んでいた から」 
 と言う フレーズは 「歯医者」にとっては絶句するシーンだった。
17年10月23日(土) *** 「とまと」が「歯周病患者」を救う? ***
 「ホームページ」の引越しに伴う「トラブル」などもあって、先週の「歯科週報」はお休みでした。
 「リコピン」と言う栄養素がある。
 主に「トマト」などに含まれるもので、これが、「歯周病」に対して良い影響があると言う研究発表があった。
 アメリカの「NHA-NES V」と言う研究機関の研究では、「歯周病」と「うっ血性心不全」とには関連性があり、「歯周病」の患者が「リコピン」を摂取することで、「うっ血性心不全」のリスクが軽減されることが、データー分析によって判ったと言うのだ。
 近年、歯科の世界では、「歯周病」と「心臓病」は関連があるとの考えが主流である。(私の考えではまだダークゾーンだなと思うけれども・・・)
 そこで、「トマト」をいっぱい食べると「歯周病」の患者でも「心臓病」に成りにくくなるという話しである。
17年10月09日(日) *** 「100%キシリトールガム」の購入がお勧め ***
 イタリアの研究者が「ユーロ腫瘍学誌」(10巻2号)に
 「人工甘味料 アスパルテーム (APM) が 白血病・リンパ異常を誘発する」とする研究結果を発表した。
 「アスパルテーム」は砂糖の約180倍の甘さを感じさせる人工甘味料で、「キシリトール」などの代用糖使用の際に「甘さの調整」のために使用されている。
 「アスパルテーム」の生体為害性は、1970年代に「発がん性」について、アメリカで話題になったが、その後、それらの指摘を否定する見解が主流になっていた。
 しかし、「アスパルテーム」を使用した食品が、欧米を中心とした先進国で、急速に増えていることから、今回改めて「アスパルテームの生体為害性に関する研究」が行われたらしい。
 そのため、この論文は、世界中で議論を呼んでいるそうだ。

 日本では、「ダイエット飲料」と「虫歯予防」のための「市販のキシリトールガム」の一部などに含まれている。
 ただし、歯科医院用の「100%キシリトールガム」には「アスパルテーム」は含まれていない。 
 ちなみに、左の写真の向かって
 左が「アスパルテーム含有の市販のキシリトールガム」
 右が「アスパルテームを含まない、歯科医院用の100%キシリトールガム」
である。
 同じ 「ロッテ(株)」の製品 で、ほぼ同じ価格なのに、「アスパルテーム」を「含む製品」と「含まない製品」がある理由はよく判らない。

 「アスパルテーム」の生体為害性については、まだはっきりとしないところがあるが、「虫歯予防」のために「白血病」になる「リスク」を高める必要は無いので、歯科医院用の「100%キシリトールガム」の購入をお勧めする。
17年10月01日(土) *** 「短縮歯列」論 ***
 先週は連休で「海士中学校」の学園祭などがあって、この「歯科週報」はお休みでした。
 近年ヨーロッパでは「短縮歯列」が認められる論文が多く出されているという。
 人の正常な歯の数は28本 (親知らず4本は必要ないとされているので除く) 、14本の歯が上下でかみ合うことで、正常な食生活を営むことができると考えられている。
 しかし歳をとると、虫歯や歯周病で「歯」は失われていく。通常「奥歯 (大臼歯)」から無くなる傾向が強い。
 「大臼歯」が無くなると、噛みにくくなるので、そこに「入れ歯」を入れたり「ブリッジ」を入れたりして噛めるようにする。このような治療を「補綴」という。
 「短縮歯列」とはこの「大臼歯」が無くなっても、「補綴」をしなくていい(正確には、14本の歯が上下でかみ合っている必要はない)と言う考え方で、「噛む力は落ちるけれども、命を維持するには支障は無いので、補綴はいらない。」との考えである。
 このようなデーターは日本にもある。
 今から二十年程前に「愛知県歯科医師会」が行った「疫学的研究」で、「入れ歯なしで、食事に不自由を感じない最低の歯の数は20本が限度である。」(つまり8本まではなくてもいい?)というものだった。
 いま「日本歯科医師会」は「8020運動 (80歳で20本歯を残そう)」を展開している。
 なぜ「8020か?」というと、このスローガンができる以前は「(入れ歯無しで)一生自分の歯で食べよう」だった。
 これでは具体性に欠けるということで「一生」=「80歳」、「入れ歯なし」=「20本」ということで、「8020」となった。
 日本の歯科界では「短縮歯列」を認めておらず、「大臼歯」の「補綴」はすることになっている。
 ヨーロッパの「短縮歯列」は「経済的」な側面(医療費の削減)が影響していると言われているので「医療的な根拠」はまだはっきりしていない。(特に、何本あれば健康に支障が無いのか?がまだ判っていない)
 でも、日本でも「長引く不況」で「医療費の削減」が叫ばれている中、「大臼歯の補綴」は「保険医療」からはずす。
 なんてことにならなければいいけれども。
17年9月17日(土) ***  「スポーツドリンク」はダメ ***
 「虫歯」は「虫歯菌」が「砂糖」を分解して生産する「酸」によってできる。
 そのため、「炭酸」などを含む「コーラ類」は一番「歯」に悪いと言われていた。
 しかし、「General Dentistry」紙 によると。 「スポーツドリンク」や「栄養ドリンク」の方が、「コーラ類」よりも3〜11倍も「歯」にダメージを与えることが、判ったのだ。
 「スポーツドリンク」や「栄養ドリンク」の方が健康的な「イメージ」が強いのだけれども、どうやら「歯」には悪いようだ。
 夏には「缶飲料」をよく飲むけれども、「スポーツドリンク」はやめた方がよいらしい。
 ちなみに、「緑茶」には「虫歯予防」の効果があるので、飲むならこちらの方がお勧めである。
( 子ども達は運動後、「スポーツドリンク」をよく飲む傾向があるので、「緑茶」に変えるように指導する必要がある。)
17年9月10日(日) *** コレステロールは歯周病の危険因子 ***
 最近の新聞報道によると、
 岡山大学の予防歯科の研究で、「コレステロールの取りすぎが歯周病の原因になる。」ことが確かめられた。
 「コレステロール値が高い人に歯周病が多い。」ということは分かっていた。
 今回の研究で、「コレステロールを大量に摂取すると、歯と歯肉のすき間 (ポケット) に細菌が入るのを防ぐ機能が変化して、細菌が入りやすくなり、歯周病が悪化する。」ことが確認されたのだ。
 「喫煙」と「糖尿病」が歯周病の進行を早める「危険因子」とされていたが、「コレステロール」は「第三の危険因子」となる、と考えられるのそうだ。
17年9月04日(日) *** 「夢」の「無口蓋義歯」 ***
 先週は海士町で最大のお祭りの「きんにゃもにゃ祭り」がありました。
 いろいろ忙しくて「歯科週報」はお休みでした。
 
 虫歯や歯周病で「歯」が抜けていって、何も無くなると、「ごはん」が食べにくくなるし、見た目も悪いので、「総入れ歯」を入れることになる。
 「歯」が無いのに「総入れ歯」が口の中でくっ付いていられるのは「吸盤」の原理による「陰圧」によってである。
 作る側から言うと、「上の総入れ歯」の方が「吸盤」が作りやすいので、より「吸い付き易い」入れ歯を作ることができる。
 しかし、「吸盤型の総入れ歯」は「咽の奥」まで入れ歯を入れなければならないので、慣れないと 「おえっ〜!」 が出る人がいる。
 そのため、「気持ち悪く無くなる」まで、入れ歯の後ろの方を削るのだが、すると「吸盤」が失われ、「陰圧」が保てずに口を開けると 「パカっ!!」と落ちるようになり、「吸着が甘い総入れ歯」になる。
 だから削る加減が難しい。
 
 より、気持ち悪くないように、「総入れ歯」の真ん中すべてを削ってしまった「総入れ歯」を「無口蓋義歯」という。
 歯科の一般常識では、よほど「残っている骨」がしっかりしていないと、「陰圧」は得られないことになっていて、患者さんには「違和感」がなくて、快適なのだが、「口を開ける」と落ちやすいのが弱点になる。

 ここに、絶対落ちない「無口蓋義歯」について「宣伝」している「本」がある。その「本」によると、

 「江戸時代」、名工と言われた 「左 甚五郎」 が傍らにあった2枚の「木片」に「かんな」をかけて、その二つを合わせると、一体化して決して引き剥がすことができなかった。
 と言う伝説があるのだと言う。

 「その歯医者の先生」が言うには、現代の技術と材料を吟味して、「ミクロン単位」で「口の型を採れば」、全体重をかけてもはずれないような「無口蓋義歯」が作れるのだ と言うのだ。
 (ただし、「保険治療」ではできないので、片顎だけでも 150万円 だとか・・・。)

 私は、この話しに感動して、「東北大学時代の同級生」で宮城県で開業している友達に TEL してみた。

 友 :「ああ〜、その本読んだよ。」
 私 :「すごいね〜、そんなの作りたいね〜。」
 友 :「そんなもの ウソ に決まっているじゃない。 なんでも、うまくいかなかった患者さんに訴えられて、訴訟になっているらしいよ。」
 私 :「 ・・・ 。」

 夢の「総入れ歯」は本当に「夢」か?本当にできたら「皆」喜ぶだろうな〜。
17年8月20日(土) *** 「虫歯」 考 ***
 「盆休み」で、先週は「歯科週報」はお休みでした。

 「虫歯の状況」を全世界比較で見ると、「日本」は後進国である。
 以前の状況から考えると、「口腔衛生の知識」はかなり浸透しているし、実際に「歯磨き」をしている人も多い、また、「口腔衛生」への感心も高まっているし、「白く美しい歯」への憧れも高まっているようには思う。
 しかし、日本では、85歳以上の人では、「歯」がほとんど残っておらず、12歳での「虫歯経験本数」は欧米の倍以上だという。
 経済的には先進国なのに、なぜ「虫歯予防」は後進国なのだろうか?

 「砂糖の消費量」が多いほど「虫歯の量」が増えるというデータがある。豊なために、「虫歯」が多いのか?
 日本人の生活環境が「深夜化」しているという。「生活習慣」が乱れると、「歯磨きの習慣」が崩れたり、「食事の時間」が延びて、「虫歯」が増える原因になる。それがいけないのか?
 アメリカでは「水道水のフッ素化」が行われていて、「フッ素による虫歯予防」が進んでいる。日本では遅れている。 それがいけないのか?

 とにかく「欧米」に比べて、「日本人」は「口腔衛生」に対する「意識」が乏しい、その「覚悟の差」が現在の状況を生んでいるのだと思う。
17年8月07日(日) *** 「虫歯」の「母子感染」 ***
 夏休みである ・・・。
 ということで、先週は島外へ出かけていたので、「歯科週報」はお休みでした。
 「虫歯」は「虫歯菌(ミュータンス菌)」によって起きる病気である。
 そして、この病気は「母子感染」によって起こるとする説がある。
 「生まれたばかりの赤ちゃんの口の中」には「虫歯菌」がいない。なのに日本人の90%は「虫歯菌」に感染している。
 では、虫歯菌はどこからくるのか?
 そこで出て来た説が「母子感染説」で「虫歯菌」は母親などの周囲の大人・兄弟からの唾液を通して感染するのだろうと考えられている。
 「キスをする。」「自分で使ったスプーンなどで食べ物の与える。」「食べ物を口移しで与える。」などの何気ない行為で感染するらしい。
 虫歯の多い人は「虫歯菌」が多い、すると唾液中にも「虫歯菌」が多いので「感染力」がそれだけ強いだろうと考えられる。

 そこで考えられる予防方法は、
 1. 周囲の人はフッ素配合の歯磨き粉で朝晩二回以上「歯磨き」をして、「虫歯予防」をして、「口の中の虫歯菌」の量を減らし、感染力を弱める努力をする。
 2. 周囲の人は「キシリロール」のガムなどを食べて「虫歯予防」をする。
 3. 周囲の人は虫歯の治療をして「口の中の虫歯菌」の量を減らす。
 4. 赤ちゃんに「自分で使ったスプーン」を使ったり、口移しで食べ物をあげることをやめる。
といったことになる。

 しかし、今の日本人の「生活習慣」を考えると、どれも難しい感じがする。
17年7月23日(土) *** 受付の I T 化 ***
 ようやく「電子カルテ」にも慣れてきて、普通に「診療業務」の流れの中に溶け込んで来た。
 そこで判ってきたことは、「診療所経営」にとても役に立つ機械だということだ。
 今までは、「手書き集計」だったので、その日の「収入」もはっきり把握できなかったけれども、「経営支援」という機能を使うと、その日の「来院患者名」ごとの「治療料金」が「細目」ごとに表になって集計されて来て、「今、診療所ではどんな治療が中心になっていて」「どんな治療が経営に役立つのか」が統計として分析できることになったからだ。

 「医療機関」が「利益  利益」だけでは問題で、 「経営事務」の効率化で、診療所経営に余裕が出て 「黒字」が維持できてさえいれば、 うちは「公立」なので、「過剰なもうけ」にこだわりすぎる必要はないと思っている。
 「経営」の効率化ができれば、「その分の利益」は「保険外」の「自由診療料金」(矯正・メタボン・インプラント など) の値下げなどで、「患者さん」に「利益還元」していけばいいと考えている。
17年7月17日(日) *** 「事故」にご用心 ***
 「海士歯科診療所」では「成人歯科健診」もしている。
 「若い人」で、「小な虫歯1本」」「歯周病なし」「歯並びもきれい」で「一回の簡単な治療ですぐに良くなりますよ。」という人がいた。
 「歯医者とは縁の無い人ね。」と思っていた。

 ところが、「急患」で来院した。「事故」で「前歯を折った」と言う。
診ると、無残にも「一番目立つ上の中切歯が2本、根元から折れていた。」
「歯の神経を取って、継ぎ歯にするしかない。」状態だった。
 「あんなにきれいな歯だったのに、何で?」とショックを受けた。
 「縁の無い人」と思っていても、この仕事は何が起こるか判らない。「嬉しくはない縁」だけれども・・・。

 「事故」は「若い人」に多い「学校の部活動」で「ボールで打って前歯が抜けました。」なんて子供も来院する。
 その度に「こんなに若いのになんてもったいない!!」と思う。
 「歯」はいっぱいあるから、あまり大切にされていないような気がする。

 もっとも「怪我をした患者さん本人」こそが、「痛いし、今後が不安だし、悲しいし」と大変な思いをしているのだろうけれども・・・。
17年7月09日(土) *** 海士町糖尿病健診 2 ***
 今年も「糖尿病健診」が 6月25・26日 に行われた。
 松江・鳥取から「医師団」を招いて、「内科」「眼科」「脳神経科」「歯科」がまとめて「健診」を実施して、「栄養指導」も行うと言う、「全国」でもまれな、「総合的な糖尿病対策となる健診」である。
 平成4年からの実施で、十数年分の健診データーがあり、今、資料のまとめをしている。
 「糖尿病」の全国的な広がりのなかで、「全国的」に注目を集めている「健診」で、この「資料」から「健診」を受けることで、「糖尿病をコントロールできる。」ことが判れば「全国的に画期的な健診」となるだろう。
17年7月02日(土) *** ガンの検査 ***
 「スタッフの家の不幸」「海士町糖尿病健診」と連続で、休日返上となったので、2週間連続で「歯科週報」は お休みでした。 ( いずれ「歯科月報」になったりして・・・。)
 「海士歯科診療所」は隣に「内科」が併設になっている。そのため、「口腔ガン」の検査をしている。
 口の中を診ていて「何か変な歯肉だな?」と感じたときは、経過観察の上で患者さんの同意を得てから、「組織片」を採取して「病理組織検査」をしてもらうために、「内科」の「検査室」から「検査施設」に「資料」を送ってもらっている。
 この離島にきてから今まで、17年間で5例の「口腔ガン患者」を診た。そのうち3例がこの「病理組織検査」で見つけた。
 東北大で学生だった頃「口腔外科の教授」は
 「君達の大半は開業医になるのだろうから、一生のうちに一例でも「ガン」の患者を診れれば良い方だろう。その時のためにこの「ガン」の講義がある。」
と言っていた。
 それが5例では多いのでは? と思ってしまう。
 でもたぶん、あれは「都会」での話しで、都会ではそう言う患者さんは「大病院」や「大学病院」へ行ってしまうから、うちのような「診療所」で「標本を採取」するようなことが無いからなのだろう。
 5例の「口腔ガン」はそれぞれ見た目が全然違った。
 「化膿した抜歯窩のようなもの」「棘のような乳頭腫のような形のもの」「赤黒い饅頭のような腫瘍」「白く変色したもの」「カリフラワー状の傷のようなもの」だった。とにかく見た目では判断できないのだ。
 こう言うことを書くと無闇に心配する人もいると思うが、 これらに似ていても「病理検査」をしてみると「正常」との診断が出るものが大半なのである。
 実際には「口腔ガン」の患者さんはほとんどいない。だから、心配はいらない。
 「ガン」は痛くないと言われる、でもこの5例の人たちは皆 「ピリピリと痛い」と言っていた。
 だから、私は「口腔ガン」は痛いものと思っている。
17年6月11日(土) *** 増える「通信販売」 ***
 バブル崩壊以降 日本は長い不況である。
 「保険医療」は「皆の保険料」と「国の補助金」と「患者さんの一部負担金」によって賄われているので、ここ数年の政府の「財政赤字」がひどさから、「保険点数 (医療機関の収入源)」は「マイナス改定」が続いている。
 そのため、「保険医療」中心の「診療所経営」は大変で、最近では「事務用品」でも「歯科消耗品」でも「割引率」の大きい「通信販売」の利用が増えている。
 むかしは「歯科材料屋さん」からの購入がほとんどで、いろいろな話しをしながら、「情報交換」も兼ねて「歯科用品」を注文をしていたのだけれど、ここ数年は「歯科の通信販売会社」が増えて、「品揃えも多く」「安い」のが「魅力」で「通販」で多くの商品を買うようになった。
 その分、昔の材料屋さんとの付き合いが少なくなって、寂しい感じだけれども、いまの経済状況では、今後もこの傾向は続くのだろうと思う。
 時代の流れを感じるな〜。
17年6月04日(土) *** 苦戦!! 電子カルテ ***
 パソコンをする皆さんは、新しい機器を導入する時に同じように苦労していることと思うが、この2ヶ月間、やはり「電子カルテ」の立ち上げに、「苦戦中」である。
 「新しいデーターベース」を作らなければならないし、「診療」の度に「電子カルテ」に入力しなければならないし、「新しい機械」は相性の問題からか「誤作動」を繰り返している。
 慣れてくれば、うまく行くことは判っているけれども、軌道に乗るまではかなりの「ストレス」になる。
 しかも、この「システムの導入」に伴っての「人員」の異動もかさなっているため、かつてのような「円滑な診療所運営」に戻るのには、まだしばらく時間がかかりそうだ。

 「人はより高く跳ぶためには、一度 かがまなくてはならない」 と言う。

 今回の事を、よりよい「海士歯科診療所」の構築のための試練と考え、この際「未来」に向けての「改革」を一気に進めようと思っている。
17年5月28日(土) *** 厚労省公認 虫歯予防ガム ***
 「虫歯」は「歯」が「虫歯菌」によって出される「酸」によって溶かされることによりできる。
 その「酸」は「虫歯菌」が「砂糖」を分解することによって作られる。

 では、「虫歯菌」が分解できないような「砂糖」ならば、「虫歯」にはならないのではないか?
 こうして開発されたのが、「砂糖代換 甘味料」の「キシリトール」である。
 これを利用した「ガム」は、いくら長時間噛んでいても「虫歯」にはならない。
 そこで、発売以来
 1. 「酸」を作らない。
 2. 唾液の分泌を増やすので、「虫歯菌」の繁殖を抑え、「歯」の再石灰化を促進する。
 3. 食後、一時的ではあるが、歯磨きの代わりに、「歯」の汚れを取ることができる。
 ということで、「虫歯予防」をうたい文句に急速に広まってきた。

 最近はこれに、もっと積極的な「再石灰化促進物質」 である、「カゼインホスフォペプチド」「フラノン」「リン酸化オリゴ糖カルシウム」を加えた「ガム」が開発された。
 その「商品名」は、「リカルデント」 「XYLITOL +2」 「ポスカム」で、しかも、これらの再石灰化機能を「厚生労働省」が認めて、「特定保健用食品」として許可している。
 食後、すぐに「歯磨き」できない時にお試しあれ。
17年5月21日(土) *** 「学校歯科健診」の感想  〜 歯並び編 〜 ***
 「学校健診」をしていて、最近目立つのは、「保護者」からの「歯並びが悪いのではないか?」という相談である。
 平成7年の「学校健診」の改正によって、「不正咬合」を詳しく審査することになり。それに伴い、「保護者へのアンケート」の実施されるようになっていて、健診時に質問を受けるようになっている。
 昔は「歯並び」などにはそれほど感心はなかったが、最近は気にする「保護者」が増えている。
 「不正咬合は予防できるのか?」 と言うと、なかなか難しい。
 正直、小学校5〜6年生くらいにならないと、「乳歯との生え変わり」が終わらないので、あまり正確なことは判らない。その年齢以後で、「不正咬合」ならば「歯科矯正」で治療するしかないだろう。
 ただし、小学校 1〜4年生で気をつけるとすれば「前歯部の反対咬合」と「前歯部の叢生」のチェックである。
 早目に対応すれば「口全体」に「不正咬合」が及ぶのを防ぐことができる可能性がある。
17年5月14日(日) *** 「学校歯科健診」の感想  〜 虫歯編 〜 *** 
 5 ・6月は「小・中学校」の歯科健診の季節である。
 最近は昔とちがって、「虫歯」の数は劇的に減っている。しかも、「治療を受けている子」が増えていて、「未処置の子ども」は少なくなっている傾向がある。
 健診をしていての感想は、「虫歯の無い子」と「未処置の子ども」は「2極化」していて、しかも「家族性」があると言うことだ。
 つまり、「2極化」とは「虫歯の無い子」はほとんど「虫歯」が無いか、「治療」を受けているが、「虫歯のある子」は「虫歯」がいっぱいで、しかも「治療」をしていないと言うことで、
 「家族性」とは「虫歯が多くて、治療を受けない子ども」はその「親・兄弟も虫歯が多くて、治療も受けない」傾向があるということだ。
 昔は「遺伝」のせいで、「虫歯の多い家庭」は「歯の質」が弱いから、「虫歯が多い」 ・・・ 「しかたがないよね 〜。」と考えられていた。
 しかし、最近では、「虫歯」は「生活習慣病」で、その家庭の「砂糖の消費に対する食習慣の意識」「間食のとり方」「歯磨きの習慣」「虫歯治療への意識」が大きく係わっていると考えられていて、それが、「家族性」を導いていると思われる。
 この辺の「指導」が大切なのだろうと思う。
17年5月07日(土) *** 「歯科衛生士」  募集中 ***
 「ゴールデンウィーク」である。ということで「旅行」に出ていて先週の「歯科週報」はお休みでした。
 6月に「歯科衛生士」が退職することになった。とても一生懸命「働く人」で、助かっていたのだけれども、「家庭の事情」により「本土」に帰ることになったのだ。
 4月末から「歯科衛生士 の 募集」をしているけれども、まだ「応募者」は一人もいない。
 「海士歯科診療所」は「歯科衛生士」の定員が1名しかいないので、このままだと6月からの「診療」には「多大な支障」が出るのだろう。
 かつては、自民党は「国土の均衡ある発展」をスローガンとして、国民的にも「僻地での医療活動」を賞賛する風潮があったけれども、今では「死語」になっている。
 「町の財政」も厳しくて「給与」的には報いが少ない仕事だけれども、「医療資格を 正義の味方 として生かせる 場所」 だと思っている。
 都会で「人生の意味」を模索しているような人で、「僻地で正義の味方」をやりたい人は、どこかにいないだろうか? 
17年4月23日(日) *** 個人情報保護法 ***
 4月1日から「個人情報保護法」が施行された。年間5、000人以上の「個人情報」を扱う「事業者」が対象になり、違反者には「罰則」もあるという法律である。
 「海士町」は今、人口 2,500人程度だから、「海士歯科診療所」はこの法律の対象からは外れるものと考えている。
 ただし、この法律には「法律遵守の努力義務」ということも盛り込まれていて、「対象 事業者」でなくても「法律を守るように努力しなければならない。」 らしい。
 「医療情報」はまさに「個人情報」の最たるもので、「住所」「氏名」「年齢」「電話番号」「保険証番号」「病名 ・ 既往歴」など、「他人」に知られたくない情報の「テンコ盛り」である。

 この「情報の管理」には下記の二つのポイントがあると思っている。
 1. 「他人」に「医療情報が漏れない」ようにすること。
     「カルテ」「検査データー」「メモ」などの文書の管理、「パソコン」「フロッピー」などの「デジタルデーター」の管理、「外来・入院患者さん」のうわさ話しや氏名公開への注意 など
 2. 「本人」に対する「医療情報の公開」をすること。
     「レセプト」「カルテ」の公開原則 ( 「レセプト ・ カルテ」は「患者さん」のものだ !? )

 「歯科」では「全 チェアー の完全個室化 」なんて話しも出ていて、「薄利多売」( 安い治療費で、なるべく多くの患者さんを診るように・・・ )の「保険医療」の精神とは反するような方向性の議論もなされている。
17年4月16日(土) *** 電子カルテ 導入 ***
 先週から「診療所」に「電子カルテ付きレセコン」を導入するため大忙しだったので、「歯科週報」はお休みでした。
 「医療保険」を扱う「医療機関」は、毎月「レセプト」という書類を「社会保険事務局」などに提出して、その月の「保険治療の請求」を申請する。
 今までは、「パソコン」並みの「事務員さん」がいたので、全て「手書き」で「レセプト請求」ができていて何も問題は無かったのだが・・・。
 近年、国 ( 経済財政諮問会議 等 )は平成18年度までの「医療事務の合理化」「レセプトの電子化」を目標にしていて、いずれは「介護保険」で行われているような「フロッピーディスク」で「医療保険の事務請求」をすることを目指している (ただし、計画は遅れているようだ。)。
 そのため、海士歯科診療所のような「公共医療機関」が「事務の電子化」をするのに、「県」から「補助金」が出ることになった。
 「制度」が変われば、いずれは「自腹」でも整備しなければならないことだが、今は「町」は財政難なので、この機会を利用して、「電子化」の整備を終えておかないと大変だということで、今年度の「レセコン導入」となった。
 4月1日の「個人情報保護法」の施行に伴い「社会保険庁」は「医療機関の承諾なしでの レセプトの開示」を決めた。
 私はいずれは「カルテ」の開示も要求される時代が来ると思っていて、今回導入する「レセコン」は「電子カルテ 一体型 のレセコン」にすることにした。
 これならば、「カルテ」も「ワープロ書き」になって読みやすいし、間違いも格段に減るからだ。
 導入して分かったのは、「事務仕事」が直接「治療現場」に入って来るという煩雑さが欠点であることだった。
 質の違う仕事が増える分「集中力」が削がれる。果たして慣れることで解消できるのだろうか?
 利点は 「事務の合理化」 ができたことなのだろうが ・・・ このことがはたして利点になるか欠点になるかは今は判らない。
 「レセコン」導入に伴い、FAX は「独立回線」になりました。
番号は  08514−2−1081  です。
17年4月02日(土) *** 「夢の薬」 ***
 「う蝕検知液」と言う薬がある。
 「虫歯」で悪くなった「歯質」のみを「赤く」染め出す作用のある薬で、約20年ほど前に開発された。
 当時は、これで染まった部分だけを削れば、悪いところだけを取り除いて、良い部分だけ残せるので痛みも出ずに、臨床的にとても有効で、「夢の薬」と思われた。
 しかし、これは「染まりすぎる薬」だったのだ、そのためこれを使って削ると、痛みが出て、しかも神経まで出てくることがあった。
 だんだんこの薬は使われなくなっていた。
 この度、久しぶりに新しい「う蝕検知液」が発表された。開発者は前回の開発者と同じで、今回のは「ニューバージョン」になる。
 今回も 「これで染まった部分だけを削れば、悪いところだけを取り除いて、良い部分だけ残せるので痛みが出ずに虫歯を治療できる。」 と言っている。
 はたして今回こそは、本当に「夢の薬」となるのか?
17年3月26日(土) *** 「発明家」は「開業医」 ***
 先週は連休だったので、旅行に行っていて「歯科週報」はお休みでした。
 以前、山梨大学で、「エナメル質再生技術」が開発されたことを書きました。その開発者は、47歳の女性で、「歯科開業医さん」なのだそうです。(3月17日の朝日新聞に写真入りで紹介されました。)
 今は「東京医科歯科」の大学院にいるそうですが、さすがにこういった「臨床」にすぐ役立ちそうな発明は「現場」の人でないと思いつかないだろうなと思いました。
 「開業」しながら「研究」というのもすごいと思います。早く実用化されるといいですね。
 (ただし、普通虫歯になると「プラスティック」や「金属」でつめるのですが、当然そこは虫歯にはなりません。でも「エナメル質の再生」ではそこは生活習慣を変えないと、再び虫歯になるでしょうから、「歯ブラシ指導」や「食事指導」が重要になるのでしょう。)
17年3月12日(土) *** 「横着」はダメ ***
 歯科には、「歯垢」を除去するための「うがい薬」として「リステリン (ファイザー製薬)」という薬がある。
 定期的にこの薬で「うがい」をするだけで、「歯垢」がきれいに除去できるというのが「うたい文句」で、アメリカ本土では「リステリンには歯垢除去、歯肉炎に対してデンタルフロスと同じ効果がある。」として、「フロスは捨てよう」をキャッチコピーに宣伝していたそうだ。
 しかし、この度「ニューヨーク・マンハッタン連邦地裁」が、「リステリンの効果は、歯肉から歯垢を直接除去できるデンタルフロスには及ばない」として「誤解を招くテレビCM」の中止を命じたそうだ。
 「リステリン」は日本の歯医者でもよく薦める薬だけれども、やはり「歯垢除去」には「歯ブラシ・デンタルフロス」による「物理的清掃法」の方が「化学薬品による清掃法」よりも効果が高いことを示していて、「口の中をきれいにする。」には「うがい」だけでの「横着」な方法ではダメだということである。
 今のところ、やっぱり 「ハミガキ 命」 しかないの・・・ ネ。
17年3月05日(土) *** 1歳過ぎたら 「おしゃぶり」やめよう ***
 2月28日の読売新聞によると、
 「小児科と小児歯科の保健検討委員会」が
 「おしゃぶり」を常用している子供では、使用しない子供に比べて、「開口」という「不正咬合」になりすい。
との見解を発表した。 と報じた。
 特に2歳半以降も使用しつづけると、「咬み合せ」の問題が残るそうだ。
 そのため、
 @ 言葉を覚える1歳を過ぎたら、常用しないようにする。
 A 遅くとも2歳半までには使用を中止する。
 B 「おしゃぶり」を使用している間もなるべく一緒に遊んで、子供と触れ合う。
 C 4歳以降も「おしゃぶり」が取れない場合は、情緒的な発育を考慮して、小児科医に相談する。
といった注意が必要とのことだった。
 「乳幼児健診」をしていると、「指しゃぶり」のクセから、「開口」になっている子供さんを時々診るが、クセを止めると、「矯正」などしなくても自然と咬合が治っていくことがよくある。
 最近は、「あかちゃん」を泣き止ませるために「おしゃぶり」を使う「おかあさん」が増えているそうだが、上記の注意をよく守って、異常が起こればすぐに「おしゃぶり」は止めたほうがいいと思う。
17年2月26日(土) *** 新しい虫歯治療 続編 ***
 先週、「東北大チーム」が「ハイドロキシアパタイト (HA)」を「歯」の表面に生成する技術を開発したことを書いたが、今度は、2月24日付けの「山陰中央新報」で、「山梨大学とFAP歯科研究所」のグループが、「歯」の表面に塗るだけで、「エナメル質」と一体化する「人工エナメル質」を開発したとの報道があった。
 「初期虫歯」に塗れば、「歯」を削ることなく治療でき、塗ることで「歯のエナメル質」を強化できるので、「虫歯予防」にも役立つそうだ。
 「東北大チーム」の方法に比べて、「歯に塗るだけ」という簡単さが「臨床的」に優れていると思う。
 ただし、今は「エナメル質」の「初期虫歯」だけしか治療できないそうで、現在「象牙質」までの「深い虫歯」も治療できるように研究中だそうだ。
 臨床的に有効で、新しい治療法が次々と出てくることは、我々「臨床家」にとってはとても嬉しいことで、「大学の先生方」にはガンバッテほしいと思う。
17年2月19日(土) *** 新しい虫歯治療 ***
 「虫歯」になると「歯」に穴が開く、だから、「虫歯治療」とは「その穴」を「埋める(詰める)」ことが本質となる。
 では、何で埋めるのか?今までは、 アマルガム・金箔・金属(インレー)・レジン(プラスティック) などが使われてきた。
 昨日の「山陰中央新報」によると、「東北大学 (ちなみに私の母校)」の研究チームが、「ハイドロキシアパタイト (HA)」の「膜」を「歯の表面」に生成することに成功したそうだ。
 「HA」は「歯」を作っている主成分なので、「虫歯治療」のために削った部分を「HA]で埋めることによって、「歯」と同じ「白いエナメル質成分」で修復できることになる。
 「HA膜」は今までの治療材料と比べて、「密着度」が高く、「経年劣化も少ない」そうで、「HA膜」の硬度は「元の歯」と同等で、「歯ブラシ」で磨く実験でも剥がれなかったそうだ。
 今後は「臨床研究」に移るそうで、「虫歯治療」だけでなく、「知覚過敏の治療」や「虫歯予防」にも応用できるそうである。
 なかなかすばらしい研究で、すごいと思った。
 でもこの研究をしている先生の名前には心当たりが無くて、卒業してから20年も経つと学校のことにも疎くなるものだな〜と感じた。
17年2月11日(金) *** 抗生物質の副作用 ***
 抗生物質には「ペニシリン系」「セファム系」「テトラサイクリン系」などの、いくつかの種類がある。
 その中に「マクロライド系」という種類の抗生物質があって、その特徴は「化膿止めとしての作用は弱いが、副作用が少ない」ことにあった。
 ところが昨年、「マクロライド系だけれども効き目が強くて、しかも副作用が少ない。」と言う「ケテック」という薬名の新薬が発売された。
 歯科では、「歯周病や根尖病巣の急性発作」などで、顔が変形するほど「歯肉」が化膿して、腫れたりする患者さんがいるので、私は「強い抗生物質を短期間」処方することが多い。
 「画期的な新薬」として、販売元の製薬会社では鳴り物入りで販売攻勢をかけていたが、近頃重大な「副作用」が発見された。
 それは、「突然 意識不明」になると言うもので、そのために「交通事故」まで起きてしまったのだ。
 (山口県で起きた事故で、今「歯医者」が訴えられて、係争中である。)
 「抗生物質」、しかも「マクロライド系」で、「意識消失」の副作用とは、どういう「作用機序」でそうなるのかは、とても考えられないことであるが、現実に日本中で、350万人中15人ほどの事例が報告されているそうで、処方するには注意する必要が出てきた。
 製薬会社からは、「自動車」や「農業・土木の作業機械」の操作をする患者さんにはよく「意識喪失の副作用」の説明をするようにと言われたが、現実的には、「運転する患者さん」には別の「抗生物質」を処方することで対処することになるだろう。
 「効きがいい」ので残念だが、「ケテック」は外来治療ではあまり使えなくなると思う。
 (とても珍しい事例である。)
17年2月05日(日) *** 「歯周病」は早産の一因 ***
 鹿児島大学の「歯周病教室」の研究によると、「歯周病」で歯肉の炎症が悪化した「妊婦」は、健康な人より約 5.1〜5.7倍早産になりやすいと言う調査結果が出た。
 「歯周炎」による「サイトカイン」が血中で増え、「子宮の収縮」を誘発するらしい。
 外国の研究では、「歯周病を治したら、早産は 10%が2%まで減った。」との研究もあるそうだ。
 これから子供を欲しい女性は「歯周病」の治療や予防にも感心を持ってほしいと思う。
17年1月29日(土) *** 「少子高齢化」と「歯科大学」 *** 
 「歯医者」になるためには、「高校」卒業後、「歯科大学」に進学して、6年間勉強し、「歯科医師国家試験」を受けて、「歯科医師免許」を取得しなければならない、しかも、平成18年度からは、さらにその上に、2年間の研修医(インターン)期間が必要になった。
 都合8年間も「勉強」が必要なわけで、なかなか大変である。
 世の中は「不況」で、「資格重視」の傾向ではあるが、「少子高齢化」で、「歯科大学」への受験者は減少傾向にあり、1992年をピークとして、2002年には65%も受験者が減ったそうだ。
 現在日本の「歯科大学」は国公私立27大学29学部があるが、1970年代には1年間に生まれる子が約200万人いたのに、2002年には115万人を下回るようになっていて、いずれ「歯科大学」でも「人口減少」による「入学定員割れ」が起こるだろう。と予想されている。
 「大学」には入り易くなる世の中が来るようだが、果たして「人材」として「歯医者」の「資質」は担保されるのだろうか? 
17年1月23日(日) *** 保険診療 抜歯編 ***
 基本的に歯科の「外科治療」は「保険治療」です。
 そこで、「抜歯」などの基本的な治療は全て「保険」で治療が受けられます。
 ただし、「インプラント」や「エムドゲイン」や「保険の効かない人工骨」などの「保険外」の材料を外科手術に使用すると、「保険治療」と認められなくなり、「自由診療」になるため、治療費が高くなります。
 (今の制度では 「保険治療」+「自由診療」 の組み合わせによる「混合診療」は認められていないので、保険が効かないと「材料費」のほかに、「手術料金」までもまるまる「自由診療」扱いになるため、かなり高額の治療費が必要になる訳です。)
17年1月15日(土) *** 保険診療 矯正治療編 ***
 「矯正治療」は原則「自由診療」です。
 厚労省の「美容」と「予防」は「医療」ではない。との考えから、「美容」のための「矯正治療」は「医療保険」の適用にはならないからです。
 ただし、「口蓋裂」の患者さんなどのための「矯正治療」は「医療保険」が効き「保険診療」は適用になります。
 もっとも、「口蓋裂患者」はそれほど症例数は多くないので、多くの「矯正治療」は「自由診療」のもとで、治療が行われているのが現実です。
 一般的には、「矯正専門医」の治療費は1口腔100万円〜80万円くらい。
「一般歯科の矯正治療」は60万円〜30万円くらいというのが相場であるらしい。
 (海士歯科診療所では、2年間管理で、35万円くらいで「矯正歯科治療」をしています。)
17年1月09日(日) *** 保険診療 歯周治療編 ***
      「2005年 新春 あけましておめでとうございます。」
 年末年始は旅行で島外に出かけていたので、「歯科週報」はお休みでした。
 では、「保険診療」シリーズ続きから・・・ 。
 「歯周病」はかつては「歯槽膿漏」と言われていた病気で、大きく「歯肉炎」と「歯周炎」とに分かれ、「歯周炎」は「骨」の損失を伴う場合を指します。
 30代以上の成人の80%以上の人にみられ高齢化と伴に、「歯肉の腫れ」「歯の動揺」を招き、最終的に「抜歯」→「入れ歯」 となります。
 治療方法は手順が決められていて、
 @ ブラッシング指導
 A 歯石除去
 B スケーリング ・ ルートプレーニング
 C 歯周外科
と進みます。
「歯周治療」は原則「保険治療」です。
 ただし、この手順どうりに治療してもなかなか良くならないために、いまでは、「長期管理」「メンテナンス」などの方法がとられるようになり、ず〜と「歯医者」に通って管理するような形になってきています。
 他の治療方法としては、「レーザー治療」や「骨を作る薬」などの治療方法がありますが、一応「自由診療」のオプションになります。
 (島根県では、「レーザー治療」は「保険診療」に含まれ、「無料」の扱いになっています。) 
16年12月25日(土) *** 保険診療 欠損補綴 ・ インプラント 編 ***
 タイトルに「保険診療」とあるが、「インプラント」は全て「自由診療」しかない。
 「歯」が無いから物が食べられない。ならば、再び「歯」を「顎の骨」に植えればいいという考えから生まれたのが「インプラント」である。
 「外科手術」を必要なことと、高額な治療費が必要なことが弱点ではあるが、今では多くの「歯科診療所」で手術をしていて、成功率95%以上、10年間は普通の「歯」と同じように食事ができるようになることから、「入れ歯」の違和感に拒絶反応のある患者さんにはお勧めである。
 この不況下、「高価格 (大阪で1本30万円、松江でも1本20万円する。)ので普及は遅れているが、海士歯科診療所では、器具・材料の選拓から始めて、1本10万円(18Kの金冠込み・税込み)で治療できる治療方法を研究中である。
16年12月18日(土) *** 保険診療 欠損補綴 ・ ブリッジ 編 ***
 「補綴治療」には「入れ歯」の他に、「ブリッジ」と言う方法がある。
 これは「無くなった歯」の隣り合わせの「歯」を2本以上削って、「冠」を使って繋ぐことで「欠損補綴」をする方法である。
 利点は「取り外しをしない。」「ほぼ自分の歯と同じように咬める。」「原則として保険診療である。」という点にある。
 そのため、患者さんには「入れ歯」よりも「ブリッジ」の方が評判がいい。
 一方、欠点は、「適応できる症例と材料が保険規則で限られている」ことで、無くなった歯の位置や本数で、「ブリッジ」にできる症例と、そうでない症例が決められていて、全ての症例をこの方法で治療できるとはかぎらないのである。
したがって、「保険診療」が効かない場合は、
 @「保険規則」に認められない「ブリッジ」をする場合
 A保険の効かない材料を使用している場合(セラミックスや14K以上の金合金)
となる。
16年12月11日(土) *** 保険診療 欠損補綴 ・ 入れ歯 編 ***
 歯科では「補綴」と言う言葉がある。はじめて聴くと「なんだそれ?」というような、「専門用語」である。
 「虫歯」や「歯周病」で「歯」を抜くと、そこが「空洞」になる。ここを「埋める治療」のことを「補綴する」という。
 「補綴」の方法には「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の三種類がある。
 そのうち、「入れ歯」は基本的に「保険治療」である。
 「保険治療」が認められるには条件があって、
 @ 「歯」に引っ掛ける「クラスプ」(鉤)が「保険適用」の設計であること。(「アタッチメント」や「コーヌスクローネ」は「自由診療」)
 A バーの設計が「保険適用」の設計であること。(金属床は「自由診療」ただし、「総義歯の金属床」は 「混合診療(昔の差額診療)」 可能)
 B 使用材料が「保険適用」の材料であること。( バーやクラスプの金属は「金パラ(12%金合金)」までが「保険適用」で、「14K以上の金合金」は「自由診療」 )
 と言った内容が必要である。
 ただし、「入れ歯」には「欠損」1本から認められるので、作る方は自由度があってやりやすいけれど、 患者さんにとっては「入れ歯」は「異物感が強い」「自分の歯のようには咬めない」「爺くさい」と評判が悪い。
16年12月05日(日) *** 保険診療 虫歯治療 ・ 冠 編 ***
 大きい虫歯の治療で、「支台築造」が終わったら、その上に「冠」をかぶせて治療終了となる。
 「支台築造」時に、かぶせる「冠」を「保険診療」にするか「自由診療」にするかを決めているので、その治療方針で「冠」を作る。
 まずは、「冠」の材料によって「保険か自由かが決まる。」
 「金パラ(12%金合金)」「コバルトクロム」「ニッケル」などの金属をつかったものと「プラスティク」は、「保険治療」
 「金合金(14K以上)」「セラミックス」を使ったものは「自由診療」になる。
 昔は「前歯」は「白い歯」なので、保険が効かないことがあったが、今は「金パラ使用のレジン前装冠」が保険でできる。
 「前歯」の「メタルボンド(通称:メタボン)(セラミックス製)」は丈夫だけれど保険が効かない。
 「臼歯部」は原則金属製なので「銀色」になる。「白い歯」にしたいならば「セラミックス製」になるので、「保険」は効かない。
 (小臼歯部で「プラスティク製」の「白い歯」の冠を保険で被せる方法があるが、すぐに割れるので、お勧めではない。)
16年11月27日(土) *** 保険診療 虫歯治療 ・ 支台築造編 ***
 大きい虫歯の治療の場合、「根管治療」が終わったら、「歯」に大きな穴があくので、咬合時の圧力に耐えるため、残った「歯質」を強化する必要がある。そのために、「支台築造(コア)」という治療を行う。
 この時点で、「保険診療で「冠」を被せるのか」「自由診療で「冠」を被せるのか」を選択することになっている。
 材料には、「セメント」「レジンコア(プラスチック)+ピン」「メタルコア(金属製のもので、銀合金が多く使われる。)」があり基本的には「保険診療」である。
 海士歯科診療所では原則的に「メタルコア」を使用している。その理由は、「吸水性がなくて残存歯質を腐食しにくい」「強度が強い」と言う利点ためで、他の歯科医院でよく使用される「レジンコア」は「吸水性と接着性の不良から、治療歯の予後が短い」と考えているからである。
 最新の知見では、「レジンコア+グラスファイバー」のコアがベストであるとの考えがある。
 これは「メタルコア」は「硬すぎて」残した歯の歯冠破折を起こすという弱点があるためで、「グラスファイバーコア」は「歯質」と同じ硬さなので、「歯冠破折」が起きないと言われているからだ。
 ただし、まだ国内では厚労省の認可は1種類しか認められていないそうで、しかも「吸水性と接着性」の問題の解決はまだ不明な点が多い、最新の材料なので、もう少しの間は今後の様子を見守ろうと考えている。
16年11月20日(土) *** 保険診療 虫歯治療 ・ 根管治療編 ***
 大きい虫歯はたいがい「歯髄(歯の神経)」にまで虫歯が到達している。
 そのような場合は「冷たいものがしみる」「甘いものがしみる」「自発痛がある」などの自覚症状が出ていることが多い。
 (ちなみに「冷たいものはしみないが、熱いものがしみる場合」は、歯の内で神経が死んで化膿している場合が多い。)
 その場合「根管治療」と言って、「歯の内の神経の治療」をする必要がある。
 治療の方法、使用薬剤にはいろいろの学派があって、いろんな治療方針があるが、基本的には「保険診療」である。
 「保険医」の規則に「保険診療が認められている治療を、保険外といつわって治療請求をした場合」、「混合診療」とみなされ、「保険医取り消し5年間の処分」となることになっているので、「根管治療」は全て「保険診療」になると考えていて良い。
16年11月13日(土) *** 保険診療 虫歯治療 ・ 充填編 ***
 虫歯の治療で、一番多いのは「小さい虫歯」に対する「充填治療」(虫歯の穴を削って、悪くなった部分を取り除き、そこに何かを詰めて治す)という治療方法である。
 穴に何を詰めるかの「材料」で、「保険」が効くか効かないかが決まる。
 「保険治療」では「レジン(プラスティック)」「アマルガム合金」「金銀パラジウム合金」が使える。
 「レジン(プラスティック)」は「歯の色」と同じ色が出せる。昔は変色したりして評判が悪かったが、改良されて変色しにくくなっていて、前歯部に多く使われる材料である。昔は弱いので臼歯部には使えなかったけれど最近は改良されて強度が増したので、臼歯部の治療にも使われている。
 「アマルガム合金」は古い材料だが、「使いやすさ」と金属なので「強度」が強ため臼歯部に使われる。殺菌作用があって良いのだが、色が「銀色」で「もろい」のが欠点、。しかも、「水銀」を材料に使うために「イメージ」が悪いので、最近は使用頻度が減っている。
 「金銀パラジウム合金」は「インレー」として使われる。「強度」が大変強いので臼歯部で使用されるが、「銀色」なので、見た目は悪い。
 これに対して、「保険外の自由診療」の材料には、「金合金」「セラミック」がある。
 「金」は「14K」以上は保険が効かない。硬くて丁度いい硬さで、色が「ゴージャス」である。
 「セラミック」は硬くて、色が「歯の色」も出せて理想的であるが、これも保険は効かない。
16年11月06日(土) *** 保険診療とは? 〜 プロローグ 〜  ***
 歯科には「保険診療」と「自由診療」がある。
 しかし、一般の人にはどこまでが「保険診療」で、どこからが「自由診療」なのかがわかりにくい。
 その辺に「歯科医療」に対する国民の不信感の原因があると思う。
 厚労省は「保険診療で全ての治療が受けられる。」と言っている ことは以前に書いた。
 では「保険診療」で給付される医療にはどのようなものがあるのだろうか?
 そのへんのことを順次書いていこうと思う。
 まず、押さえておかなければいけない点は、医療保険は「医療」の給付のためのものであって、「予防」や「美容」のための治療には原則として使えないとされている点である。(ただし、最近の傾向として、「予防分野」への給付の拡大が指向されているように感じている。)
 そのため、「PMTC」「フッ素塗布」「矯正治療」などは原則「自由診療」となって「医療保険」が効かないのである。
16年10月30日(土) *** 歯科の脱たばこ宣言 ***
 「日本歯科医学会」は喫煙によって歯周病などの危険が高まり、治療効果が大きく低下するので、たばこ社会からの脱却を呼びかける「脱たばこ宣言」をまとめた。
 歯科で「たばこの害」を語る時よく言われるのは、「口腔癌」になるということだが、実際の「口腔癌」の頻度が低いため、一般の人に対する「アピール力」は弱い。「癌」を言うなら「肺がん」との関係を言う方が説得力がある。
 むしろ、歯科で問題になるのは、「歯肉」などの粘膜に対する害毒で、「歯周病の悪化」「インプラントの失敗」に直接影響することである。
 この問題の方が、「歯の早期喪失」「咬合の悪化」「咀嚼障害」に広範囲の影響を与えているので、もっと強調されていいと思う。
 一方で、成人の喫煙率は今年6月時点で、29.4%と過去最低を更新して、ついに30%を割り込んだ。「健康志向」の高まりか、「不況」の影響かは判らないけれども、良い傾向である。喫煙率が最も高かったのは30代だそうだ。
 今後もこの傾向が続けばよいと思う。
16年10月23日(日) *** 新しい「イス」が来た ***
 海士歯科診療所では、患者さんが快適に過ごせるように、毎年少しずつ「設備投資」をしている。
 外装の塗装も塗り直して、外観もきれいになったけれど、内装でもここ数年は「歯科のイス(診療台)」の更新をしている。
 15年ほど前には1台 300万円〜350万円ほどで買えたのに、今ではこの不況にかかわらず、1台 450万円くらい必要になる。歯科では一番高い機械だが、診療台が無ければ、仕事にならないので、少しずつ買い換えている。
 「イスが広い」「タービン・エンジン・エアーの全てがライトが点く」「排唾管の吸引力が強い」「姿勢制御がコンピューター管理だ。」など、価格が高くなっている分、居住性・治療効率などの性能は格段に良くなっている。
 今回の「イス」の売りは「イスの柔らかさ」で、 「フィンランド製の形状記憶クッション」 が「ふかふか」で絶品である。
 来医院の時にはぜひ さわって、座ってみて欲しい。
16年10月15日(土) *** 「歯周病の予防」B ***
 以前に「歯周病の予防」Aで、

〔「歯ブラシ指導」はうまくやらないと、「患者さん」に嫌われるので、「PMTC(歯科医による口腔清掃)」が主流となってきている。
 本来「患者さん自身の完全な歯磨き」が理想であるけれども、「歯周病になった患者さん」の「生活習慣」を診てみると、「歯ブラシ指導」で「完璧な清掃状態を維持し続ける」ことは不可能で、むしろその間に「歯周病が悪化し続ける」状況になっている。
 とにかくなんらかの方法で、「口腔内を清潔に保つこと」で「歯周病の進行を予防」することが「歯」を残すためには重要だと思う。〕

と書いた。
 「日本歯周病学会」の「会員誌」の「平成16年9月号」に、日本歯科大学新潟校の論文として、
「歯周炎患者の長期メンテナンス治療の有効性の評価」
 と言う論文が発表になった。
 「平成11年歯科疾患実態調査」(厚労省による日本全国の歯科の状況の調査)結果を基準として、「10年以上の長期的なメンテナンス治療患者100人(2.383本の歯)」を資料として比較・検討した研究による論文で、
 結論として、「初診時に重度歯周炎であった患者でも、長期的なメンテナンス治療を継続することによって、高齢者まで歯の喪失を防ぐことができる。」と言う内容であった。
 自分で「完全な歯磨き」をするでもよし、「PMTC」を受けるでもよいから、、「口腔内を清潔に保つこと」ができれば、「歯周病の進行を予防する」ことができ、「歯」を失わないですむということが科学的に証明されたのである。
16年10月09日(土) *** 保険治療と自費治療 @ ***
 以前「保険治療」では最新治療は受けられないと書いた。では、「保険治療」とは何なのだろうか?
 厚労省は「保険治療で必要な全ての治療を受けることができる。」と主張している。
 確かに「保険治療」には必要と考えられる「全ての最低限の治療項目」が含まれていて、「最新の・・・」とか、「より快適な・・・」とか、「より長持ちの・・・」といった「贅沢」を言わなければ、「保険治療」で、全ての治療を受けられる。
 げんに、海士歯科診療所の治療の98%以上は「保険治療」で行われていて、それに対する苦情は少ししか出ていない。
 (ただし、厚労省が認めている治療法で、治療薬剤・機器を使用しなければ「保険治療」として認められない。その通りに治療しているかどうかの監査もある。違反していると「保険医」の取り消しもある。)
 では、「自費治療」は「保険治療」と比べて、どのような点で有利なのかと言うと、
 1. 最新性 ・・・ 3Mix ・レーザー・カリソルブ などの最新機器・薬剤による、保険治療より有効と考えられる治療が受けられる。
 2. 快適性 ・・・ 義歯のアタッチメント・インプラント・矯正歯科・顎関節症治療 などのより健常者に近い生活を取り戻せる治療を受けられる。
 3. 耐久性 ・・・ 義歯の金属床・メタルボンド・金合金 など保険治療より丈夫で美しい材料を使った治療を受けられる。
 という点にあり、逆に「自費治療」の欠点は治療費が高いことにつきる。
とくに患者さんの不信をかうのは、
 1. 割引が無い ・・・ 「保険治療」は7割引の治療費なので安い
 2. 不透明性 ・・・ 各歯科医院で勝手に料金設定をしていいので、同じ材料の同じ治療が歯医者ごとに違う。
 といったところにあるのだろうと思う。
16年10月02日(土) *** 日本の歯科治療と国際標準 ***
 欧米・アメリカでは「歯科」はいくつかの専門医制度に分かれている。「歯周病専門医」「歯内療法専門医」「補綴専門医」「矯正歯科専門医」「口腔外科専門医」などだ。
 それに比べて日本では、「歯科一般医」が「歯周病治療」「歯内治療(抜髄 等)」「補綴治療(入れ歯作り 等)」「矯正歯科」「口腔外科(抜歯・インプラント 等)」などのほとんど全ての治療を行う。
 この制度の差が「治療方針」の差になるようだ。
 つまり、アメリカでは、「歯髄処置の費用が高くて、それだけ患者さんとのトラブルリスクになるため、失活させて「歯」を残すくらいなら、抜歯して補綴する傾向にある。」また、「顎骨は多く残っていた方が、入れ歯もインプラントも安定が良いので、だめだと思ったら、すぐに抜歯して補綴する。」と言う。
 それにくらべ、日本では歯医者も患者さんも「残せる歯なら、残したい。」と考える。
  日本の「歯医者」は「歯質を削らず」「抜髄せず」「抜歯せず」を歯科医療のあるべき姿として考えていて、この辺は「国際標準(欧米型)」とは違うようである。
 どちらが正しいのかは、治療しながらいろいろと考えさせられる問題である。
16年9月25日(土) *** 事故で抜けた「歯」は「再移植」できる ***
 小・中学校の学校歯科医をしているので、時々「部活」などで、前歯を脱臼してくる子供が来医院してくる。
 事故などで抜けた「歯」は「再移植」することができる。もと通り抜けた所に植え直して、キチンと固定して、「歯」の中の神経の治療をすれば、再び何年も使用することができるのだ。
 もともと自分の「歯」だから、「インプラント」よりも生着効率がいい。
 ただし、この時注意しなければいけない大切なことは、「抜けた歯」を乾燥させてはいけないと言うことだ。
 「抜けた歯」の表面には「歯根膜」と言う「歯」と「骨」とを接着させる「細胞」がいっぱいついている。これが生きているかぎり「抜けた歯」は再び「骨」とくっつくことができる。乾燥するとこの「細胞」が死んでしまうので、「再植」後の「予後」がひどく悪くなる。
 学校の保健室には「抜けた歯」を保存する「保存液」が常備されている(はずだ・・・?)もしも、なければ、牛乳の中に入れてもいいし、それがだめなら、「水」の中でもいい(浸透圧の関係で、細胞にとっては理想的とは言えないけれども「乾燥」するよりはまし。)、それもなければ、「口の中」でしゃぶったままで「歯医者」に来て欲しい。
 そうすれば、「歯医者」は全力で、「再植」の治療をするだろう。
(ただし、「事故」以外の脱臼、例えば、「歯周病での自然脱落など」は長期間の感染があるため、再植はできない。)
 「歯が抜けましたから、捨てました・・・エヘへ 。」 は 最悪だ〜!
16年9月18日(土) *** 「農協」が「歯科の往診事業」へ ***
 「隠岐の島」には人の住む島が4つある。そのうち一番大きいな島を「島後」と言う。今までは、4つの町からできていたが、今回の「平成の大合併」により「隠岐の島町」という名の1つの町となる。
 この合併前に伴い、「都万村歯科診療所」の歯科医が退職した。今後「歯科診療所」が存続するかどうかは「新町」の判断によるのだろう。
 やめた先生は「松江市」へ移り、「農協のJAくにびき」と手を組んで、「歯科往診用診療車」を購入して、「歯科の往診」を中心とした「新しい事業モデル」の歯科医院として開業することにした。
 (正確には「歯科の往診」を専門とした「医療チェーン(長野県と新潟県にも分院がある。)」の一つの分院に勤務することになった。のだが・・・。)
 この「往診事業」には「県歯科医師会」は反対で、2年ほど前から、「JAくにびき」に対して実施しないように要望していたのだが、自分の知人が係わるような、このような、形で「往診歯科医院」が始まったことに少々驚いている。
 今後いろいろあるだろうけれども、「在宅福祉サービス」の向上のため、「身体の不自由な患者さんたち」の利便性の向上のために、正義の味方として、がんばって欲しい。
 「歯科の往診」は普通の診療より気力・体力を必要とするハードな仕事だけれど。正義感の強い先生のことだからなんとか持続させて、事業としてうまく成功させてくれることを願っている。
16年9月11日(土) *** 歯科と停電 ***
 9月7日(火)に台風18号が隠岐島を直撃した。そのため、16時30分ごろより海士町は「全世帯停電」になった。
 いつもはすぐに復旧するので、楽観していたが、「停電」はなかなか直らなかった。
 台風はさらに接近するようで、(テレビが見れず、パソコンも使えないので情報がほとんど無く、どの辺に台風がいるのかさっぱり判らなかった。)雨風が強くなり、「患者さん」も来なくなったので、その日はそのまま診療は無かった。
 翌日の9月8日になっても「停電」は直らなかった。台風の被害もひどく、家の屋根が飛んだりガラス窓が割れたりして、その修理に追われていた。
 歯科では、電気が来ないとまったく治療ができない。
 「ライトがつかないので、口の中が診れない。」「診療台が動かないので、患者さんの体位は取れない。」「タービンも動かないので、歯は削れない。」「エンジンも動かないので入れ歯も削れない。」「歯に詰めるレジンもライトが点かないと固まらない。」「水は出るのだが、下水は吸引モータが動かないので、排水を控えるようにとの役場からの放送が流れた。」
 ということで、「歯科」でできる治療は「抜歯」などの外科処置しかなくなって、とても診療はできない。
 「停電」は「送電線が塩をかぶった。」「電線が切れている。」「発電の主要設備に海水が入った。」などで「復旧の見込みは立たない」との情報が来たので、その日は「休診」にすることにして「予約患者さん」に変更の電話をした。
 診療所では台風で、「バキューム(吸引機)のトタン小屋」がバラバラに壊れて漏電を起こしていたので、その修理をした。
 結局、「停電」は15時ごろまで続いた。
 20年近く「歯医者」をしていて、いろんな所で暮らしたが、こんな「24時間近くもの停電」というのは始めてで、つくずく「歯科」は電気が無いと何も治療ができないものだなと思い知らされた。
16年9月04日(土) *** 「虫歯予防 (子供編)」 C ***
 島根県では、「8020運動」(80歳で20本の歯を残そうと言う運動)実現の一環として、「小・中学校でのフッ素洗口事業」を推進している。
 「乳歯」や「萌えたばかりの永久歯」は始めは「質」が弱いが年月を経るとしだいに硬く強くなる性質がある。その時に「フッ素」があるとさらに「抗虫歯効果」が高くなる。
 そこで、「学校」において児童に「フッ素洗口」をしてもらって「虫歯に対する歯の質」を強くしようという計画なのだ。
 古くは「新潟県」が県ぐるみで実施して効果を上げているが。あとに続く地域は少なかった。
 その理由は、「フッ素が多いと癌になる?(ウソ)」とか、「なんで学校でそこまでのことをする必要があるのか?(薬の管理は養護教諭の仕事)」とか「いまでも十分に子供の虫歯は少ない。(家族性があって多い少ないは二極化している。)」などの反対が出て、「地域歯科医師会」「学校」「PTA」の調整が難しいからであった。
 現在は「モデル事業」として県内いくつかの学校で実施されているが、これがうまくいけば10年後くらいには「小・中学校でのフッ素洗口」はあたりまえになって、「子供達の虫歯」がさらに減ったらすばらしいなと思う。
16年8月28日(土) *** 「咬合論」B ***
 「人類には理想咬合があるのか?」
 「ある!」と考える人は研究して、「独自の咬合論」を構築し、「患者さんの健康」を願って「咬合改造の治療」をし、「咬合セミナー」を開いて広く世の中にアピールする。
 私自身はこの件に関しては「半信半疑」だ。学会発表の公式見解ではまだ「確定」した「咬合論」は無い。
 でも、「咬合」をある種の形に整えたら、それまでの「痛み」(頭痛や肩こり 等)も治ったという報告は数多くある。
 私自身、「子供達の矯正治療」をしていて、「歯並びが良くなって咬めるようになるに従って、勉強への集中力や生活への意欲が出てくる」のを何人もの子供達で確認している。
 だから、「咬み合せ」と「心身の健康」には何か関係があるかも?
と思ってしまう。
 私は、今のところ「明らかな不正咬合に対する矯正治療」以外は「咬合改造治療」には反対である。(歴史的には「不幸になる患者さんが多い」から。)けれども、「理想咬合は絶対存在しない。」とも考えてはいない。
 おそらく、まだ何かのデーターが足りないのだろうと考えている。私が現役のうちに、いつか明らかになればいいと思っている。
(「セミナー」の先生方は皆、「自分がその法則を見つけた!」と言うのだけれど・・・。)
16年8月21日(土) *** 「咬合論」A ***
 「頭痛・肩こり・姿勢が悪いのは歯並びが悪いからだ!」
 「歯並びを治したら顎関節症が治った。」
 「歯並びを治したら車イスの人が立ち上がれるようになった!」
こんなキャッチフレーズを聴いたことがあると思う。
 「歯科」の世界でも一部の先生が実際にこのような広告で「歯科医師向けのセミナー」を実施していて、やはりと言うか、10種類ほどの学派がある。
 私もいくつかの「セミナー」を受講したことがある。「セミナー」の内容にはパターンがあって、その先生が信じる「理想咬合とは何か?」「その咬合をいかにしてつくるか?」「その結果患者さんはいかに治ったか。(患者さんからの感謝の手紙 等を見せてくれる。)」などについての講義だった。
 「始め」は半信半疑で聴くのだが、だんだん本当らしいなと思うようになり、「最後」には「自分でもやってみようかしら?」と考えてしまう。
 それでも、私は「咬合論は危険」という考えから、未だにその方法を実行はしていない。
 「咬合のセミナー」のイメージは「新興宗教の勧誘会」的なとても怪しい感じなのだ。
 だいたい人類共通の「理想咬合」が本当にあるとしたら、なんで10種類ほどの学派があるのだろう?「理想咬合」は1種類だけではないのだろうか?
 講義をする先生は「補綴学」の先生が多いのだが、では「日本補綴学会」では「歯並びを治すと頭痛・肩こり・姿勢が治る。」と言っているかというとそうではない。「不正咬合の治療」=「全身の健康」かどうかはまだ仮説の段階なのだ。
 それでも「不定愁訴」に悩む患者さんたちは、数百万円もの高い治療費(この手の治療は医療保険は効かない。)を払って。咬合の治療を受けているらしい。
 もしも、セミナーの言うように、歯並び全体を改造することで、「頭痛・肩こりが消え、姿勢が正しくなって全身に力がみなぎる。」ような治療ができるのなら「歯医者冥利に尽きる」のだけれど・・・。
 という邪念に、意志の弱い私は時々駆られてしまったりする。反省!
16年8月07日(土) *** 「歯周病の予防」A ***
 現行の「医療保険による治療」では、「歯周病」により破壊された「歯槽骨」の再生は不可能だということが判ってきた。
 (「自費(保険外)治療」では、「骨再生薬(エムドゲイン)」や「GBR(骨再生用膜)」の使用により少量の骨再生は可能である。)
 だから、「保険医」としては、「歯周病の予防」に治療の重点を移さざるえない。
 「歯ブラシ指導」はうまくやらないと、「患者さん」に嫌われるので、「PMTC(歯科医による口腔清掃)」が主流となってきている。
 本来「患者さん自身の完全な歯磨き」が理想であるけれども、「歯周病になった患者さん」の「生活習慣」を診てみると、「歯ブラシ指導」で「完璧な清掃状態を維持し続ける」ことは不可能で、むしろその間に「歯周病が悪化し続ける」状況になっている。
 とにかくなんらかの方法で、「口腔内を清潔に保つこと」で「歯周病の進行を予防」することが「歯」を残すためには重要だと思う。
16年7月31日(土) *** 「画期的な虫歯治療薬 開発?」 ***
 先週は私用で「歯科週報」はお休みしました。
 少し古い話題ですが、7月17日に「この世から虫歯が無くなる」というタイトルで、アメリカの学者が「虫歯根絶薬」を発明したとの発表があった。
 「虫歯」は「ストレプトコッカス・ミュータンス」という「虫歯菌」によって引き起こされる病気で、親から子へ唾液を介して伝染する感染症とされていて、2〜3歳までにこの菌に感染しなかった場合、口の中は新しい細菌を受け付けなくなるので、「一生虫歯にならない人」」になるといわれている。
 しかし、3年間、親の唾液が一切赤ちゃんの口に入らないようにするのは難しいので、日本人には3%くらいしか「虫歯菌を持たない人」はいないそうだ。
 今回の「薬」は「BCS3-L1」という細菌だそうで、口腔内で「ミュータンス菌」を撲滅しながら増殖して入れ替わる「菌交代現象」を応用して、「この菌の入った液体」を歯に塗ったり、うがいをしたりするだけで、「永久に虫歯ができない」ようになるそうだ。
 現在アメリカで臨床試験中で数年後には実用化する予定だそうだ。
 もしも、これが本当なら、我々「歯医者」は「虫歯の治療」から開放され、今後の仕事は、「歯周病」と「不正咬合」の治療や今までに「歯」を失った患者さんの「入れ歯」を「インプラント化」していく治療へ時間をシフトして行くことになるのだろう。
 でも、昔、「朝日新聞」で「これで歯周病は無くなる。」と発表された「抗真菌薬」は実は効かずに、未だに「歯周病」は無くなっていないことを考えると今回も「話半分」に考えていた方が良いかもしれない・・・。
16年7月17日(土) *** 「咬合論」@ ***
 前回「咬合論」について触れたので、その話しをしようと思う。
 歯科では、虫歯・歯周病などで、「歯」を失った人の治療をする。
 1〜2本の「少数歯欠損」なら、残った歯並びからだいたいの「歯の形」と「並び方」を再現できるので、治療は簡単だが、逆に「残存歯」が0〜3本のような「多数歯欠損」の場合には、「歯医者」の側で「歯並び」と「歯の形」を作らなければならない。
 そのためにできた学問が「咬合学」で、現在、日本には30以上の学派があり、それぞれに自分達の「咬合論」を信じて治療にあたっている。(このあたりはほとんど宗教に近い。)
 「咬合論」を語る場合は、まず、「人間には「理想咬合」と言うのがある。」という定義が前提になる。
 その上で、「我が咬合論」の「理想咬合の定義は・・・。」と続くわけで、その信じる「理想咬合」が30種類以上(場合によっては「歯医者」の数だけ)あるわけである。
 30年ほど前、日本では「ナソロジー」と言う学派が一斉を風靡した。
 「歯医者の多くが、人の咬み合せは「ナソロジー」学派の「理想咬合」のようにならなければならない。」と信じた。
 もともと、「多数歯欠損」の患者さんをどう治すか(どんな形の入れ歯を作るか?)のために生まれたはずの「咬合学」はこのブームの中で変質し、「人が健康に生活するためには「理想咬合」にならなければならない。」と信じる「学派」の「歯医者」を生み出した。
 彼らは「肩こり」や「体調不良」「原因不明の痛み」「顎関節症」などの原因を「不正咬合」のためと診断し、それを治療して「理想咬合」を作り上げるため、「全ての歯を削り、形を変えたり、冠を被せたりした。」
 もちろん、その治療は「医療保険」が効かないので「治療費」は数百万円に及んだ。
 この治療によって「不定愁訴」が解決した症例もあったようだが、逆に悪化した例があった。「ナソロジー」の「理想咬合」は不完全だったのだ。
 「高額な治療費を払い、しかも全ての歯を削られて、症状が悪化した」患者さんは「医療訴訟」に持ち込んだ。
 そんなこともあって、今 「歯科」」では「ナソロジー」を信じる人はほとんど居ない。 
 「ナソロジー」はその影響が日本全土に及ぶほど大きかったのでその「崩壊」以降「オクルージョン(咬合論) は コンフュージョン(大混乱)」と呼ばれるほど「咬合論」そのものに対する不信感がつよくなった。
 「ナソロジー」は滅んだが、「咬合学」は治療の必要性から滅ぶことはなく、むしろ、「独自の咬合論」が乱立することになって、今日の30学派以上の「咬合論」が生まれることになった。
 「歯医者」は今でも、皆何かしらの自分なりに、これこそ正しいと信じている「咬合論」をもって治療に当たっている。
 ただし、この歴史の教訓から、「やり過ぎ」にだけは注意するようになって・・・。
16年7月10日(土) *** 「歯周病と糖尿病」 ***
 先週は親戚の法事があって、「歯科週報」はお休みでした。だんだん「歯科週報」が「歯科 隔週報」になりつつあるのがこわいです。
 6月18日の「朝日新聞」に「歯周病が糖尿病を招く」という見出しの記事が載った。
 通常「糖尿病の人は身体が化膿し易いので歯周病が悪化し易い。」と考えられていた。しかし、この記事では、「歯周病の人は血液中に細菌が入り込み易く、その細菌が血糖値を下げるインシュリンの働きを邪魔するために糖尿病になり易くなる。」と言うのである。
 新説なので、真偽のほどは判らない。
 何年か前にアメリカで「歯周病が心臓病を起こし易くする。」と言う説が、誠しやかに流行った。「歯周病があるとCRPタンパク質が高くなり、そのことが動脈硬化を招くので、心筋梗塞に成り易くなる。」と言うものだったが、最近は、「歯周病が直接心臓病に結びつく確実な根拠はない。」と言う説も出ていて、やはりはっきりしない。
 「歯」の問題も「身体」の一部だから、当然、身体全体の病気と関係はあるだろうが、「歯が主因で全身の病気になる。」という説は無理があるような気がする。
 かつて大昔に、イギリスで「病巣感染説」と言うのが流行った。「歯の根っこの先にできた膿胞から出た細菌が血液中に入って心臓の内膜に取り付いて、「心内膜炎」や「リュウマチ」の原因になる。」と言うものだった。
 そこで、時の歯医者は片っ端から「歯」を抜きまくった。後にこの時代のイギリスの患者達は「総入れ歯」の人が激増し、歳老いて骨が痩せ細る中で「入れ歯」も合わなくなってとても悲惨な目にあったという。
 歯科の「咬合論」と「全身疾患関連説」が社会的には「核兵器」なみの破壊をもたらしてきた歴史を考えると慎重に考えねばと思う。
16年6月26日(土) *** 海士町 糖尿病健診 ***
 先週の土・日は「海士町 糖尿病健診」の開催のため、「歯科週報」はお休みでした。
 この健診は、「離島」ゆえに「糖尿病」関係の専門医の診察を受けられないような、「糖尿病患者」や「その境界型」と診断された住民または希望者を対象として、平成元年から行われている。
 「松江」「鳥取」など本土から「医師団」を招いて、「内科」「眼科」「神経内科」「栄養相談」についての「検査」「診察」「指導」が行われ、その内に「海士歯科診療所の歯科」も参加しています。
 「糖尿病」は「歯科」では「歯周病」との関連が深く。「糖尿病患者は歯周病が悪化しやすい。」と、されていて実際今までの「海士町」での健診データーからも「糖尿病患者の方が、健常者よりも歯が抜け易い」ことが確認されている。
 しかし、毎年約300人分、十六年間の「健診データー」が蓄積されているのに、未だ分析は済んでいない。
 今年から、「東京大学大学院 医療統計学教室」に依頼して、「健康診断と糖尿病」に関する諸問題についての「データー分析」をしてもらっているところで、何かの成果が出てくればすばらしいと思う。
16年6月13日(日) *** 「歯周病の予防」 @ ***
 以前にも書いたが、「歯周病」は「歯」を支えている「骨」が溶ける病気である。重症になると「歯」は「ぐらぐら」してきて抜け落ちる。
 原因は、「歯」と「歯肉」の間にある「歯周ポケット」の内が「不潔」になることにより、「細菌感染」が起こって「骨」が溶けることによると考えられている。
 そこで、予防のためには、「歯周ポケット内」を清潔に保てば良いということになり、「歯磨き」を推進、「磨け!磨け!ひたすら磨け!」と「歯科指導」に力を入れる事になった。
 しかし、「歯科関係者」の熱意が昂揚すればするほど、「患者さん」の熱意は後退し、「歯科医院で無駄と感じること」の「ベスト2」にランクインされるほど嫌われることになった。
 一方、「厚労省」は、平成8年に「歯周治療のためのガイドライン」を「保険医」に対して発表し、その治療方法を世に示した。
 しかしここでも、結果は思うよう様にはいかず、「歯周病」は「再発」を繰り返し、「骨」は再生することはなかった。
 「歯周病」の予防・治療は「袋小路」に入ったようにもみえる。この4月の「保険法改正」で、「歯周病の治療」よりも「歯周病の長期管理」の方向性が強化された。
 この改正は、「歯周病の完全治癒」を目標にするよりも「歯周病を永〜く管理して共存して行く」ことを選択したようにみえる。
 今回の改正で、「歯科指導」の強化と伴に、「PMTC」(歯科専門家による歯のクリーニング)の強化をうながしているので、長期間にわたり、患者さんの「清掃力」の強化と、われわれ「歯科専門家による「患者さん」の「歯」の歯磨き」がやりやすくなったと考えている。
16年6月6日(日) *** 睡眠時無呼吸症候群 ***
 今回4月の「保険法」の改正で、「睡眠時無呼吸症候群」という病気が「歯科」の「保険治療」に加えられた。
 「睡眠時無呼吸症候群」とは、肥満で、「上向き」で眠る人に多くみられる病気である。
 肥満などで「舌の肥大」や「気道の狭窄」が起きている人が、「就寝中」に「上向き」で眠ると、重力の力によって、「舌根」が「気道」方向に落ち込むために「気道の閉鎖」が起こり、「呼吸」ができなくなるというのが、この病気の原因である。
 臨床症状としては、「いびき」をかいて寝ていたのに突然「いびき」が聞こえなくなり、「呼吸が止まる。」それが何分間か続いてから、また突然呼吸が再開して、何も無かったかのように「いびき」をかいて寝続ける。本人は「就寝中」なので自覚は無く、たいていは家族が気が付く病気である。
 この「呼吸停止」で死ぬということはあまりないのだが、問題は「十分な睡眠時間」をとっているにもかかわらず、身体が「眠り」をとれていないので、「疲れ」がとれない。「昼過ぎ」になると突然「眠気」が襲い居眠りをしてしまうことになる。
 以前、「JR」の電車の運転手がこの病気で、「電車の運転中の居眠り」をしてしまい、社会問題になている。たかが「居眠り」だが、「仕事中の突然の睡魔を防げない病気」だとしたら、患者さん本人も周りの人達も社会生活を営む上ではえらい迷惑である。
 今回の改正で、「歯科」では「内科」と連携しながら、この病気の治療装置を作って、「保険治療」ができるようになったと言うわけである。 
16年5月29日(土) *** 「虫歯予防 (子供編)」 B ***
 「虫歯菌」が「S.ミュータンス」と言う細菌である。ということは判っている。この細菌が「砂糖」を分解して「酸」を作る、それが「歯」を溶かすので、「虫歯」ができる。
 だから、「砂糖」を食べなければ「虫歯」にはならない。そこに「代換甘味料」の開発意義があった。
 近年の「キシリトール」の開発と普及は目覚しいものがあり、「虫歯にならないお菓子」の開発へと結びついている。
 最近では、さらに進んで、「虫歯を予防するガム」や「歯磨き用のガム」まで出てきている。
 18年前、私が歯学生だった頃には「ガム・アメ・チョコレートなど」の甘いお菓子は「歯医者の天敵」と教えられ、そのように信じてきた。
 今になって「ガム」で「虫歯予防」というのは、頭の硬い私にとっては結構違和感のある話で、年をとったものだと感じる。
16年5月22日(土) *** 保険医療と最新医療 ***
 「虫歯の治療」は、「虫歯」にかかった「歯質」を削り取ってその部分をプラスチックや金属で補うことで行われる。
 その過程で、「歯の神経」が露出することがある。
 そのまま詰めてしまうと痛みが出ることが多いので、「医療保険」で認められている「薬」を付けてから詰めるのだが、「薬」が効かないで後日「痛み」が出て「歯の神経」を取らないといけなくなることが多い。
 そうすると、患者さんにしてみれば、「せっかく治療を受けたのに後から痛くなった。・・・この先生はへただ。」と考えて、患者さんとの信頼関係を損ねるという展開になる。
 最新の治療方法で「3MiX」という薬がある。
 ある種類の「抗生物質」を3種類混ぜ合わせて、自分の診療所で「自家製」する「薬」で、露出した「歯の神経」に使っても「予後」がよくて「歯の神経」を取らないでもよくなる、と言うものである。
 ただし、それぞれの「抗生物質」の値段が高いのと、「管理」が難しく「光に弱」くて「時間と伴に劣化する」ので、毎日作り直さなければならない。それなのに、「医療保険」は効かない。
 (正確には、そういう治療をやりたい医者はかってに、「医療保険」の料金で不採算の下に、やるようにとのことらしい。)
 「虫歯治療への3MiX」「歯周病へのエムドゲイン」「不正咬合治療への矯正歯科」「補綴治療へのインプラント」などの有効とされる最新の医療は全て「医療保険」では認められていないので、「保険外」で高額な医療費が必要か、「良医師」の不採算での持ち出しでしかこうした治療を受けられない。
 だから、こういった優良な治療法は全国規模では普及しない。
 今の日本の経済情勢では、今後もこれらの治療法が「保険医療」には入らないだろうから、今後も普及は難しいのだろう。
16年5月15日(土) *** 「インプラント」 D ***
 「インプラント」の治療ができると、「入れ歯」はいらなくなる。
 骨にがっちり食い込んでいるので、よく咬めるし、取り外しの煩わしさが無い。その辺が一番の利点である。
 しかし、1本当たりの値段が高いので、本数が多いとかなり高い費用が必要になるのと、それに「歯磨き」を一生懸命しないと、また「インプラント周囲炎」=「歯槽膿漏」になるのでその辺を煩わしいと感じるだろうことが、欠点になる。
 それぞれ利点と欠点がある。
 でも、「インプラント治療」はその難しさと高額な治療費ゆえに「トラブル」も多いのに、近年「歯科」では「インプラント治療」は拡大傾向にある。
 それは、それだけ患者さんの「入れ歯」に対する嫌悪感や違和感が強いからで、患者さんの「ニーズ」が高いことを意味していると思う。
 (「歯医者」の経営問題から、「インプラント治療」の推進がなされている側面もあるかもしれないが、「トラブル」の「リスク」を考えると、患者さんの「ニーズ」が無い治療がこれほど普及して行くとは考えにくいと思う。)
16年5月9日(日) *** 「歯周病」 B ***
 「歯周病は歯周病菌による感染症」と言うのが現在の主流の考えだ。
 そのため、「完璧な歯磨き」や、「歯石除去」などの「細菌除去」と「清潔に保つ」治療が治療方針になる。
 だから、「保険医療」では、この考え方に基ずいて平成8年に厚生省より「歯周病治療についてのガイドライン」が出され、そこに示された「マニュアル」通りに治療が進められている。
 しかし、この治療方法では、「歯周病」の進展を遅らせることはできても、完全には治癒させることはできないことが判ってきた。
 そこで、私は「歯周病は歯周病菌による感染症」と言う考え方だけでは、何かが足りないのだろうと考えている。
 今ではいつも、「その足りない原因とは何か?」を自問自答しながら患者さんの治療をしている。
16年5月5日(月) *** 「矯正歯科」 C ***
 「歯並びが悪い」人はまず一番に「審美性(見た目)」を気にして「矯正歯科治療」を受けることが多い。
 しかし、「悪い歯並び」は「完璧な歯磨き」の妨げとなるため、その周辺を「不潔」にして、「歯垢や細菌」の増殖を助けて、「虫歯」と「歯槽膿漏」の原因になる。
 老人になるにしたがい、「歯並びの悪い歯」から虫歯や歯周病で「抜歯する」症例が増えてくる。
 「歯」の数が減るとさらに「歯並び」が悪くなり、しかも、「残った歯」への負担が増えるので、だんだん、「歯」を失う速度が増して行くことになる。
16年4月24日(土) *** 「虫歯予防 (子供編)」 A ***
 「虫歯予防」のポイントは@口の中の細菌数を減らす事 Aフッ素の利用 B砂糖を減らす にある。
 @ 「口の中の細菌数を減らす事」は
 「歯磨き」を「上手に」「何回もする」こと
  (できれば朝・昼・夕食後と寝る前の 1日4回)
 子供は基本的に「手が不器用」なので、必ず保護者が1日1回は「確認の歯磨き」をしてあげなければならない。
 A 「フッ素の利用」は
 「完璧な歯磨き」の実施や「歯磨き」1日4回は実質難しいので、それを補うために極力「フッ素添加の製品」を利用すると良い。
 「水道水のフッ素添加」は日本では政治的に不可能だから、「フッ素液によるうがい」や「フッ素入り歯磨き粉」を使うといいだろう。
 B 「砂糖を減らす」は
 子供は「胃」が小さいので「おやつ」が欠かせない。そのため、食事の回数が増えることになる。
 「砂糖」は「虫歯菌」の栄養源となるので、「歯」と「砂糖」の接触回数や接触時間が長くなるほど「虫歯」に成り易くなる。
 だから、「おやつ」の内容が大切で、極力「砂糖」を使っていない「食品」を選ばなくてはならない。(「砂糖」の代わりに「キシリトール」を使った「おやつ」はおすすめです。)
16年4月10日(土) *** 診療報酬改定 ***
 「医療保険」は3割(老人は1割)を患者さんが、残り7割を「保険の支払機関」が負担する仕組みである。
 「医療機関」は患者さんの治療をすると、「支払機関」に「レセプト」という「請求書」を送る。この時「いくらを請求するかの取り決め」をしている。
 この「取り決め」は2年毎に変更することになっていて、今年は4月から変更になった。
 この変更は「日本の経済情勢」「政府の財政状況」「医療費の動向」等をにらんで、「医療機関」にどれくらいの報酬を払うかの「上げ幅(もしくは、下げ幅)」を「中央医療審議会」で決定し、それを受けて「厚労省と日本歯科医師会」とで具体的な「点数」の貼り付けをすることで行われている。
 今回の改訂幅は「0%」だったから、変更しなくてもよさそうなのに、かなり大きな制度変更になった。どうも「頻繁にする治療」の点数を引き下げ、「あまり利用しづらいような治療」の点数を引き上げたようで、海士歯科診療所では「マイナス改定」に働きそうである。
 離島の医療機関といえども、今の町の財政状況では、「採算」を無視するわけにはいかないので、「臨床」以外にも「経営」に気をくばらなくてはならない・・・、つらいところである。
16年4月03日(土) *** 「虫歯予防 (大人編)」 A ***
 私の臨床実感として、日本人は10年前に比べて「歯磨き」を多くするようになったと思う。それは、最近の「清潔嗜好」によるものかもしれないし、「我々歯医者」の努力の賜物かもしれない。
 90%以上の日本人は、子供も老人も「1日に1回」は「歯磨き」をするようになったと思う。その結果、確かに「虫歯」は減ってきた。
 しかし、「歯磨き」をするようになったからといって、「虫歯」は「ゼロ」」にはならなかった。
 患者:「先生、毎日「歯磨き」しているのに何で、「虫歯」になるんですかね〜?」
 医者:「それは「磨いている」のと「きちんと磨けている」のとは違うからですよ。
 患者:「・・・。」
そこで、「歯医者」では「赤染め」をして「歯磨き指導」をして「完璧歯磨き」への「道」へと患者を導こうとする。
 しかし、患者独自の自由な「歯磨き」を「完璧歯磨き」に変えることは、患者も医者も大変に難しい・・・。
 ある歯科専門誌の「歯科の患者さんへのアンケート」で「歯医者で無駄と思うことは?」という問いかけに、
 1位 待ち時間
 2位 できもしない「歯磨き指導」
・・・
と出た。
 それくらい「完璧歯磨き」を患者さんに毎日させるのは、難しいことなのだった・・・。
16年3月28日(日) *** 「虫歯予防 (大人編)」 @ ***
 先週・先々週と私用により島外に出かけていたため2週間もこの「歯科週報」をお休みしました。
 地方の田舎は「経済難」で大変ですが、東京の「有楽町」界隈は「景気の回復感」があり、とても華やかでした。
 「虫歯」は「S.ミュータンス」と言う「虫歯菌」が「砂糖」を分解して産生する「酸」によって「歯」が溶かされてできる「病気」であり、専門的には、「弱毒性の感染症」と考えられています。
 そのため、日本では、「虫歯の予防」のためには、「歯垢(細菌のかたまり)」を除去して、口腔内を清潔に保つことが一番大切であると考えられました。
 そして、古くは、「3・3・3 運動」 (1日3回、食後3分以内に、3分以上歯を磨きましょう。と言う運動)が提唱されたように、「歯磨きさえ完璧にできれば「虫歯」は無くなる。」と信じられるようになったのです。
 ところが・・・ 以降続く・・・。
16年3月06日(土) *** 「インプラント」 C ***
 先週は広島へ「インプラントのセミナー」へ勉強しに行っていたので、この「歯科週報」はお休みでした。
 インプラントの大阪での相場価格は「1本 30万円」と言われている。最新医療技術であるから、やむおえないのかもしれないが、庶民感覚からするとかなりの高額だと感じる。
 「インプラント」のセミナーでいろいろな開業医の先生の話しを聞くのだが、せっかく「インプラント」の勉強をして、設備投資をしても「インプラント」をする「患者さん」が少ないから、うまく行かないという話しをしていた。
 「日産」の「カルロス=ゴーン 氏」の本の中で、「物の値付け」の事に関して「・・・製品は一般の人々が購入できる手頃な価格で売られなければならない・・・」と言う文章がある。
 今日本には、約30種類の「インプラント」がある。
 それぞれいろんな特徴があるので、それらを吟味して、海士歯科診療所では「1本 10万円以下」で採算のとれるような「インプラント治療」ができるようにしたいと研究を続けている。
16年2月22日(日) *** 「虫歯予防 (子供編)」 @ ***
 乳歯にしろ永久歯にしろ生えたての「歯」は質が弱い。
 我々は見た目が同じ形の「歯」なので、みんな同じだと勘違いしてしまうが、「歯」は口の中に生えてから何年もかけて成熟して行き虫歯に強い「歯」に変わっていく。
 一般には「口の中のつば」からミネラル成分が「幼弱な歯」に取り込まれて、成熟して行くと考えられている。(異論もある。私は個人的には異論の方に賛成なのだけれども・・・。)だから、「フッ素」による虫歯予防が有効になると考えられる。(歯の成分がフッ素と結びつくと、「より虫歯に強い物質」に変わるため。)
 3歳くらいで乳歯が生えそろい、5〜6歳頃からは「永久歯の前歯」「6歳臼歯」が生えてきて、小学生で「生え変わり」が進んで行く。「歯の成熟」のことを考えると、この頃に「歯」を大切にすることは「大人」になってから大切にするよりもよほど大切な意味があるのだ。
16年2月15日(日) *** 「咬みたばこ」上陸 ***
 昨年10月中旬より、東京・神奈川の一部でスウェーデンの会社が「ファイヤーブレイク」(1箱10粒280円)と言う「かみたばこ」を試験販売している。
 「1粒にたばこ1本分のニコチンを含み、吸えない時の代用品となる」と言う、財務省の認可を受けた正式な「たばこ」だが、見た目は「ガム」のため「中学・高校などの子供達が手をだしやすくなり危険な商品」だとして医療、教育関係者が反発している。
 ニコチンは「歯周病」を悪化させるし、「インプラント」などの術後の失敗の原因になる。また、「口腔がん」との関係も指摘されているため、日本口腔衛生学会と日本口腔外科学会が「煙が出ないため、成人にも安全だと錯覚を与える恐れがある。」として、財務省に許可の取り消しを求める申し入れを行ったと言う。
 しかし、財務省は問題視していないようだ。
 今後、本格的に全国販売となれば、いまの日本の禁煙の流れから考えると、他人に迷惑をかけない「咬みタバコ」の出現は、「愛煙家」のニコチン中毒を深刻化させる可能性があるだろう。
16年2月7日(土) *** 「矯正歯科」 B ***
 海士歯科診療所では、「矯正治療」の年齢の上限を30歳にしている。しかし、世は「成人矯正」が「はやり」である。
 実際「成人」でも「歯並び」を治すことはできる。ただし、「子供」の治療に比べて難しい点は、
1.「骨」が硬くなっているから「歯」が動く時「痛み」が出やすい。
2.「歯」の動きが遅いので「治療期間」が少し長くなる。
3.「動的期間」終了後の「保定」に工夫が必要
などがあり、注意が必要である。
 この辺をクリヤーできれば、「子供」の「矯正」と同じにできる。
 うちで積極的に「成人矯正」を展開していないのは、「離島」で需要があまり無いのと、「料金設定」をどうするか悩んでいるからで、そろそろ「子供の矯正治療」は一段落してきているので、「成人矯正」も本格的に治療展開したいと考えている。
16年2月1日(日) *** 「再生療法」 A ***
 「虫歯」にしろ「歯周病」にしろ完全に悪化すれば、「抜歯」となる。
 抜いた後の場所には「入れ歯」を入れることになるが、その時「歯」を抜いた後の「骨」は萎縮して少なくなる。 そのため「見た目」も悪くなるし、「インプラント」は植えられない。
 「歯周病」も「骨」が溶ける病気で、その治療には「骨」を作る必要がある。
その方法が「再生療法」で、その材料には「自分の骨(自家骨)が」最良であることは分かっている(移植材の拒絶反応が少ないから)。でもその採取量は少ないから、別の材料が必要になる。
 人工材料で「骨補填材」とか「骨誘導材」はすでにいくつか開発されていて「整形外科」では医療保険で使用が許可されているけれども、どういうわけか、「歯科」では許可が出ないので、「医療保険」では治療はできない。
 今の経済情勢では、今後の認可も出そうにないので、この治療をするためには、しばらくは「自費治療」になるしかない。
 この治療法が全体に浸透せず、みんなに知られて居ない理由の一つである。
16年1月25日(日) *** 「歯周病」 A ***
 「歯周病」は「細菌感染により顎の骨が溶けることで、歯の支えが無くなり歯が抜けてしまう」病気であるが、最近の治療法は2つの考え方があるようだ。
 一つは、「スカンジナビア学派」と言われる考え方で、「細菌感染」なのだから、ひたすら清潔に「歯を磨き」「食生活に注意」をし、「フッ素を使って虫歯予防」をして「歯周病の歯でもなるべく抜かずに歯を残そう」と言う旧来から行われている「主流派」の考え方である。
 もうひとつは「アメリカン学派」と言うそうだが、「インプラントのためには顎の骨が多い方が長持ちする。」 → 「どうせだめな歯ならば、はやくにあきらめて抜いてしまって、顎の骨を残そう」と言う、「インプラント」の予後成績が良くなってきた最近の考え方である。
 海士歯科診療所の方針は当然「スカンジナビア学派」であるが、この場合「失われた顎の骨をいかに作り出すか」が問題となる。
 だから、今後「インプラント」が主流の治療法となって行けば、「アメリカン学派」の考え方が強くなって行くのだろうか?
16年1月17日(土) *** 「虫歯の治療」 A ***
 虫歯がひどくて「歯髄(歯の神経)」まで到達している場合、歯の神経の処置が必要になる。
 神経の処置には先生によっていろいろな考え方があるので、くわしくはいずれ書こうと思うが、一般的には「抜髄(神経を取る)」になることが多い。
 歯の神経は一部を除去すると「痛み」が止まることが多く
 (なぜか神経が一部取り残されても「自発痛」は止まる。「残髄」と言って神経が一部残ってるためにいつまでも痛みが消えないこともあるのだが、たいがいは「残髄」していても「自発痛」は止まってしまう。同じ治療をしても違う結果が出るのは、人体の不思議ではある。)
 何回かの治療で、歯の中の神経を除去してから、神経の入っていた「トンネル」に「防腐剤」を詰める。(この治療を「根管治療」と言い、この方法にも何種類かの方法がある。)この処置をしておかないと冠を被せた後で化膿したりして再治療になることが多い。
 なかなか細かくて難しい治療である。
16年1月12日(月) *** 「歯並びの悪さ」は会話障害を生み出す ? ***
 歯科の専門誌に「日本歯科評論」と言うのがある。
 その今月号の「国立保健医療科学院 口腔保健部長 花田信弘 先生」の「なぜ日本の歯科受診率は低いのか」と言う論文のなかで、「口腔保健に問題があるため会話を避けている人(35〜44歳)の割合」が日本では31%もいると言う統計が出ていた。
 私の臨床実感では、「日本人」は今でもそんなに「歯並び」や「口元」に気を使ってはいないように感じていたので(都会ではなく田舎のせい?)、3人に1人が口腔保健の問題で会話障害があるというのはとても多い数値ではないかと思った。(この統計がどのような質問から導き出されたものかはさだかではないが、むしろ最近の人には「コミュニケーション」の不足から来る精神的な弱さを感じるので、それを隠すために、「口腔」のせいにして回答したということはなかろうか?)
 この統計の数値を引用して、花田 先生は「小児期における矯正治療を目的とした歯科受診率の極端な低さが、その後の成人期における会話障害に陥る人の多さにつながっているのかもしれない。・・・歯や歯列の悪さが災いして、豊であるはずのの社会生活がおびやかされている実情を示し、小児期における歯科矯正の治療によりこの問題を改善しなければならないことを公衆衛生の専門家はもっと社会に提案すべきであろう。」と論じている。
 「なるほどそういう考え方もあるのか」と感心させられ、今度患者さんの「動機付け」の説明に使おうかなと思った。
16年1月04日(日) *** 2004年 の 抱負 ***
  あけましておめでとうございます。
年末・年始のお休みが長かったので、今年は仙台でお正月を迎えました。
 旅の途中、「米子〜東京〜仙台」と見て歩き日本全体の「不況」を目の当たりにし世の中の厳しさを実感して帰って来ました。地方の方ほど影響が深刻なようです。
 「仙台港」で2004年の「初日の出」を拝みながら「今年こそはインプラントを実施するぞ!」と心に誓いました。
 日の出の様子は表紙に載せてあります。ぜひごらん下さい。
 今年が皆様にとって良い年でありますように。
15年12月21日(日) *** 「骨」を作る ***
 体は傷つくと「再生・治癒」する。しかし「歯」は「再生・治癒」しない。だから、「虫歯」にならぬように予防が大切になる。
 もしも「虫歯」になると歯医者は「治療」として、「金属・セラミック・プラスチック」で「修復」する。
 「歯」が抜けると「入れ歯」か「インプラント」で「修復」する。この時大切になるのが「骨」である。「骨」が多いほど予後がいい。そして、この「骨」は「歯」と違って「再生・治癒」するため増やすことができるのだ。
 「骨」を自由に作れれば、「歯周病の治療」「インプラント治療」に役立つ。
 「骨」を作る方法はいくつかあるのだけれども、その材料は「日本」では「自家骨移植」が一番である。でも、採取する場所とその量が少ないのが弱点である。
 欧米では「戦争」の影響で、「他家骨移植」が許されていて、供給元になる遺体もあれば、「戦争による創傷」のためにその需要も多い。でも「日本」では許されない。
 また、「人工骨」もあるのだが、どうゆう訳か「整形外科」では「医療保険」が認められている材料が「歯科」では「保険適用」が許されていないため、1グラム2万円くらいして、とても高価で使えない。
 医療技術が発達してもそれが普通の人々に使えないのはなんでだろ〜?
15年12月13日(土) *** 「インプラント」 B ***
 今 「日本インプラント学会」では、「チタン製歯根型骨内インプラント」の「2回法」が主流の「インプラント」とされていて、ほとんどの歯科医はこのタイプの「インプラント」で治療をしている。
 「チタン製歯根型骨内インプラント」については前回説明したので省くが、「2回法」と言うのは、「歯肉を剥ぐ手術を2回」すると言う意味である。
 「インプラント」を骨の中に植えると、「骨」と「インプラント」が接着するが、そのためには3ヶ月〜6ヶ月間は「安静にする期間」が必要になる。そのため「インプラント植える手術」と「接着した後の継歯をする手術」の2回の手術をするので「2回法」と言っている。
 これに対して「1回法」の「インプラント」と言うのもある。(今はまだ主流派では無いけれども・・・。)
 これは「1回の手術でインプラントを植えて継歯まで入れてしまう方法」で、「痛い手術が1回で済む」のと「3ヶ月〜6ヶ月待たなくともすぐに咬めるようになるので。」医者も患者もこちらの方が利点が多い。
 しかし、「骨」と「インプラント」の接着がうまくいくのか?が問題で、この辺に研究課題がある。 
15年12月6日(土) *** 「8020運動」 ***
 歯科の「8020運動」と言う標語は、ほぼ世間に浸透してきていると思う。
 「8020」とは、「80歳で20本以上の歯を残そう、そうすれば入れ歯無しで暮らせる。」と言う標語で、今から十数年前にできた言葉である。(通常、人の歯は28本、これに親知らずの数0〜4本が加わる)
 当時、日本歯科医師会の標語は「一生自分の歯で食べよう」であった。しかし、あまりに抽象的なので、あまり効果がでなかった、そこで、「数値目標」を設定することにした。
 たしか「愛知県歯科医師会」データーだったと思うが、
当時「20本以上の歯が残っていると、入れ歯無しで何でも食べれる。」と言う疫学的調査結果が出ていて、この結果を利用して、日本人の「平均寿命」が80歳だったから、
 「一生自分の歯で食べよう」=「8020運動」
となった。
 今は「8004」くらいだけれど、私の「臨床実感」では、だんだん良くなって来ているような感じがしている。
15年11月28日(金) *** 「再生療法」 @ ***
 先週は3連休になった。そこで、その機会を利用して、「大阪」に「再生療法」の勉強に行ってきた。(そのため、この「歯科週報」の更新はお休みでした。ゴメンナサイ・・・。)
 「再生療法」とは「歯周病」の治療法の一つである。
 「歯周病(歯槽膿漏)」は「歯」を支える「顎の骨」が溶けていく病気であるが、いろいろと治療しても溶けた骨は再びできて来ることは無い。
 しかし、「再生療法」を使うと一度溶けて無くなった「骨」が再びできてきて、「ぐらぐらする歯」でも保たせることができるようになるのだ。
 「再生療法」にはいくつかの方法があるのだが、今回勉強してきた方法は「エムドゲイン」と言う薬を使う方法で、この薬を使うと「骨」ができる。
 この薬は数年前から歯科では話題になっているものだが、治療方法にいくつかの問題点が指摘されていたので、海士歯科診療所ではまだ使ったことはなかった。
 今回の研修会で、問題点の解決法が良くわかったので、症例さえよく選べば臨床応用はできそうだが、問題は治療費で、やはりと言うか「医療保険」がきかない。
 しかも薬代だけでも約2万円ほどするため、都会での手術費用の相場は歯1本に付き6万円以上するそうだ。この経済難の時にはたして「歯」1本に6万円以上の手術代を出す人がどれくらい居るか、この辺の研究が必要だろう。
15年11月15日(土) *** 幻の薬「カリソルブ」 ***
 スウェーデンの大学で開発された「カリソルブ」と言う「虫歯治療薬」がある。
 「虫歯」に塗ると、「虫歯の悪いとこ」だけを溶かすので、後はその「感染物質」を掻き出して「詰める」だけで治療完了と言う治療法で、あの「タービン」の「キーン」と言う音を聞かなくても「虫歯の治療」ができると言う方法である。(恐がりの人にはいいかも。)
 しかし、なぜか「医療保険」には入っていないため、東京などの一部の「歯科医院」でしか治療に使われていない。
 治療費も「虫歯1本に付き1万円の自己負担」となるようで、全国的には普及していない治療法である。
 私も興味はあるのだが、噂話だけで、未だ見たことの無い「幻の薬」である。
15年11月08日(土) *** 「インプラント」 A ***
 十八年前大学を卒業した時、今後の「歯科」では「矯正歯科」と「インプラント」が重要な治療法になると考えた、そこで私は、それぞれの学会に所属して勉強をしてきた。今回は国内での「インプラント」の歴史について話そうと思う。
 「インプラント」は最新の医療である。 だから、今までの「インプラント開発」の歴史は試行錯誤の連続だった(失敗も多かった)。
 日本では「大学病院」よりも「開業医」が中心となってその開発が行われた。
 それはおそらく「歯科」の特殊性(臨床医は「大学病院」よりも「開業医」のほうが多い)によるものだったろうし、それだけ臨床の現場では「入れ歯以上の医療を受けたい」とする患者達の要望が強かったことにもよるだろう。
 しかし、開発が「開業医」が中心に「患者の治療」のなかで行われたことで、その失敗が「インプラント」の名を汚し、信用を失なったことは、日本の不幸だったと思う。
 今の「インプラント」は4世代目にあたる。
 第1世代は「骨膜下インプラント」で、歯肉を骨から骨膜で剥がして、くもの巣状の「金属フレーム」を骨と骨膜の間にサンドウィチにして植えて固定し、その上に人工歯を付けて使うもので、感染すると歯肉から「金属フレーム」が露出してダメになった。
 第2世代は「ブレード型インプラント」で、骨の中に「金属プレート」を埋め込みその上に人工歯を付けて使うもので、歯肉からの露出は無くなったが、咬合圧で骨の中に食い込むようになり、ダメになった。
 第3世代は「歯根型・骨内インプラント」だったが「セラミック製」だった。当時最新鋭の「生体材料」で、骨と良く接着した。しかし、咬合圧で砕けて破折した。
 この当時は学会でも「5年保てば成功とみなす。」と考えられていた。「医療保険」が効かない高額な医療なのに「5年」しか保たないでは臨床現場では使えない。
 当然のごとく「インプラント」に対する「医療訴訟」が増えた。
 これら「インプラント開発」の試行錯誤から今のインプラントは「チタン製・歯根型・骨内インプラント」が主流となった。
 今では「大学病院」でも積極的に研究が進められ、 「インプラント」は「10年保ってあたりまえ、20年は保たせたい。」「生着率95%以上」と言われるようになり、ようやく安心して患者さんに臨床応用できるようになったと思う。
15年10月26日(日) *** 「歯科の往診」 A ***
 「内科」と違い、「一般の歯科医院」では「外来」で「通院可能」な患者さんを対象にした医療を行うのが普通である。だから、診ている患者さんが「亡くなる」という経験はそんなに頻繁に起こる訳ではない。(「口腔外科」意外は。)
 だから、「歯科の往診」をするようになって、始めに感じたのは「患者さん」の「死」である。
 「寝たきりの患者さん」の「余命」は、あたりまえだが「外来患者さん」よりは格段に短い。
 海士歯科診療所では、「往診の患者さん」でも「診療室」と同じ「医療」を提供することをモットーにしていて、そのための器材整備をしてきた。
 だから、「義歯」の治療だけではなくて、患者さんの体調が許せば、往診でも「抜歯」をするし、「根管治療をして冠を被せる治療」もする。
 そのため、治療期間は長くなり、長い期間我々「医療スタッフ」が「患者さんの家」に通うことになる。(ちょうど、「外来の患者さん」たちが「歯科医院」へ何回も通う様に)
 そのようにして、何ヶ月もかけて治療を終えた患者さんの「訃報」を2〜3ヶ月後に聞く なんてことがよくある。
 「往診」をはじめてもうずいぶん長いので、最近は慣れたけれども、始めの頃は「心」の中に「重い違和感」のようなものが残った。
 「患者さん」は「歯科の往診」を受けたことで、「少しでも美味しい、好きなものが食べれて、幸せな時間を過ごしてから、逝くことができたのだろうか?」と。
15年10月19日(日) *** 「歯周病」 @ ***
 歯周病学会の定説では歯周病(歯槽膿漏)について、
「歯周病とは口腔内の常在細菌のうちの嫌気性菌群による感染症で、それにより歯槽骨が侵されることで歯牙の脱落を招く病気」
 と説明される。
(専門用語が多いので解説すると、
「口腔内の常在細菌」とは「いつも普通に口の中にいる細菌」のこと。
「嫌気性菌群」とは「酸素があると育たない細菌のことで、しかも複数いる。」
「歯槽骨」とは「歯が植わっている顎の骨の部分」のこと 
となる。)つまり

 「歯周病とは口の中にいつもいる細菌のなかで、空気中では増殖できないタイプの細菌のうちの何種類かの歯周病菌による病気で、歯が植わっている顎の骨が侵されることで、歯が抜ける病気」であると解釈できる。

 ところが、この定説には異論がいろいろあって、
 (1) 歯周病菌は本当に「嫌気性菌群」なのか?
 嫌気性菌は空気中では増殖できないので、「歯周病菌」の研究には特別の施設と技術が必要になる。そのため、どの菌が「歯周病菌」かの特定が難しいために、出てきた疑問
 (2) 「歯周病菌」は「カンジダ菌(真菌:カビの一種)」である説
 5年ほど前に、ある開業医の先生が「朝日新聞」などで掲載した説で、いまだにセミナーなども開かれていて、根強い人気のある説。「歯周病学会」では否定されている。(私も「抗真菌薬」を使って治療をしてみたが、「歯周ポケット」の減少は見られなかったので、この説には否定的である。)
 (3) 本当に感染症なのか?
 歯周病の治療として、「スケーリング・ルートプレーニング」や「レーザー照射」をやる。「歯磨き」も一生懸命やる。でも「歯周ポケット」の減少は見られない。などと言う症例がいっぱいある。
 本当に「空気中では増殖できないような弱い嫌気性菌群による感染症」ならばなぜ治らないなだろう?
 それに、歯周炎は子供はならない、感染症ならばなぜ大人だけが掛かって、子供には掛からないのだろうか?(歯周病学会では「子供は骨の代謝が活発なので歯周病で歯槽骨は無くならないから。」と説明いている。)
 そこで、歯周病は「感染症」ではなく、「アトピー」のような「アレルギー」による皮膚病ではないか?とする説がある。

 このように諸説が亡霊のように出てくるのは、定説に基づいて組み立てられた治療術式で十分な治療効果が現れず、なかなか「歯周病」が治らないからだろうと思っている。
15年10月13日(月) *** 「矯正歯科」 A ***
 歯科の治療は時間・通院回数がかかる。
 特に、「歯科矯正」は時間が必要で「数年間」の治療期間が必要になる。
 「歯並び」を整えるには「顎の骨」の変形を促す必要があるからで、「歯の移動」とその後の「固定 (専門的には「保定」と言う)」に時間が必要になる。
 「歯」を動かす期間を「動的期間」と呼び、この期間の間に「歯並び」をきれいに並べる。
 「歯」は移動させてすぐに「固定」をはずすと、「骨」の弾力でもとの位置に戻ろうとする。(これを「後戻り」と言う)
 これを防ぐために「動的期間」の後に「保定」を行う。(この期間を「保定期間」と言う)
 「保定期間」は通常「動的期間」の2倍以上は必要とされていて、この期間の長さが「矯正歯科」の治療期間を長くしている。
 「動的期間」のみで「歯並び」をきれいにしてしまって、「保定期間」無しで治療を終わらせてしまえば、治療期間は1/3に短縮できる理屈だが、「後戻り」の問題をどうするかがカギになる。
15年10月04日(土) *** 虫歯の治療 @ ***
 虫歯ができると穴が開いたり、冷たい物・暑い物・甘い物がしみたりするようになる。だから大概、自分で虫歯ができたことが判る。
 (歯と歯の間とかに虫歯ができていると、レントゲン検査をしないと判らない時もあるけれど。)
 治療は「虫歯の穴」の感染物質を除去して、「詰める」か「被せる」かして「歯」の形を再現することで完了する。
 (神経が出たり、痛みが強かったり、以前に治療した歯の「再治療」の時は根の中の治療が必要な時もあるけれども。)
 この時、例の「キーン」と言う水の出るドリルを使う、この機械を我々は「タービン」と言う。「歯医者」が嫌いな人は、この音を聞いただけで嫌に成るそうだ。
 今、私が注目している技術に「硬組織用レーザー」と言う機械がある。これは、「レーザー光線」で、「虫歯の感染物質」を除去できる装置だそうで、「音」がまったくしないので子供や恐がりの人に喜ばれているらしい。
 海士歯科診療所には、この機械を開発した会社の「軟組織用レーザー」があるけれど、「歯肉の手術」をするのにとても重宝しているので、この「硬組織用レーザー」に期待をしている。
 しかし、今は価格が1000万円とメチャメチャ高いので「もっと普及して量産化でコストダウンができるといいな〜。」と考えている。
 そうすれば、「歯医者」から「タービン」の「キーン」と言う音が消えるかもしれない。
15年9月27日(土) ***  歯の痛み  ***
 歯科の病気は実際に自分の目で見れる場合が多いので、自分でチェックする方法の話をしようと思う。
 「歯が痛い」時、まずはその場所を特定する必要がある。たいがいは「あやしい歯を1本1本 指でやさしく押してみて、違和感がある歯が「患歯」である可能性が高い」
 次に、その原因を自分で診断する時のチェックポイントは、下記のような方法がある。
(1) 「歯」そのものの痛みか?  (歯の中の治療が必要な場合)
  虫歯があるか、治療の痕があるか(詰め物がしてあるか?冠が被っているか?)をみる。
 「冷たいもの」がしみる場合は「歯」の中の神経が痛んでおり、「熱いもの」がしみるのは、「歯」の中が化膿している場合が多い。
  「歯根の先」あたりの「歯肉」を指で押して痛い場合にも「歯」の中が化膿している場合が多い。
(2) 「歯肉」からの痛みか?  (歯周病・口内炎などで、歯肉の治療が必要な場合)
  「歯」が動揺していないか、「歯肉」が腫れていないか、「歯肉」を指で押すと「血膿」が出ないかをみる。
(3) その他
一番奥歯のあたりの痛みで、「親知らず」が生えずに歯肉の中に潜っている場合(レントゲン検査をしないと判らないことが多い)とか、
顎の関節の痛みとか、
関連痛 (「歯」の神経は「脳」の方で1本にまとまるので、上の「歯」の痛みを「下」の「歯」の痛みと感じたり、隣の歯の痛みを勘違いしたりすることがよくある。)
などがある。
(歯医者ではこれに加えてレントゲン検査とかポケット測定などの精密検査をする。)
 痛みの原因の診断がつけば治療法方がほぼ自動的に決まってくるので、「歯医者」でどんな治療をされるのかの予測ができ、覚悟が決めやすくなるだろう。
15年9月19日(金) ***  診療所に「パソコン」が来た  ***
 「自治体Web」の関係で、最近「診療所」に「インターネット」付きの「パソコン」が設置された。(OSが「Windows 95や98」の中古パソコン達だけど。)
 「自治体Web」では、「役場本庁」と各公共機関(診療所・公民館・学校・キンニャモニャセンター など)を光ファイバーで結び、「役場の情報」「いろいろな機関の行事」「議会中継」などの各種情報を「インターネット」で住民に配信することを一つの目的としている。
 さらに、いずれは、それぞれの「公共機関」を核として、各家庭へと「光ファイバー網」を整備して行き、海士町全体に「超高速インターネット網」を築きあげたいとの構想である。
 今回の「パソコン」配置はその一環で、これで役場からのいろいろな情報が「診療所」にもすぐに届くようになった。
 今制作中の「役場のホームページ」が完成すれば、配信される内容が、もっと充実していく予定なのだが・・・。  お楽しみに。
15年9月12日(金) ***  「インプラント(人工歯根)」 @  ***
 歯科の最新の治療法に「インプラント (人工歯根)」というのがある。
 「虫歯」や「歯周病」でダメになった「歯」を抜くと、物が咬めなくなったり、見た目が悪くなったり、発音が悪くなったりするので、歯科では「人工の歯」を入れて、咬めるようにする。
 その場合、保険の治療での「人工の歯」と言うのは、「ブリッジ」か「入れ歯」のどちらかになる。
 「ブリッジ」は少数歯欠損の場合の治療法で、「抜けた歯」の「両隣の歯」を削って「冠」を被せ、それを支えとして、「抜けた歯」の部分に「人工の歯」を固定する方法で、取り外しをしないので、一応今まで通りの感じで咬めるようになる。(良い歯を削るのはもったいないけど。)
 一方、「入れ歯」は多数欠損の場合の治療法で、「歯」の残りが少ないと「ブリッジ」は組めないので、取り外し式のいわゆる「入れ歯」となる。(「入れ歯」は異物感が強く、固定式に比べて安定が悪いし、取り外しは面倒だしと、始めて入れる人には評判が悪い。)
 そこで、第三の治療法として最近行われるようになったのが「インプラント(人工歯根)」である。
 これは、「抜けた歯」の部分の「骨」を「外科手術」して、「人工の歯を埋め込む」ことで治療する方法で、固定式なので使用感は良いし、隣の歯を削らなくてもいい。
 ただし、結構難しい外科手術が必要なのと、保険が効かないので治療費が高い(大阪での相場は冠込みで、1本・20万円〜30万円)のが難点で、今、海士歯科診療所では安全な手術法と、安い治療費の実現(できれば1本・10万円以下)に向けて、研究を続けている。
15年9月09日(火) ***  「矯正歯科」 @  ***
 「矯正歯科」の治療をしていて、思うことがある。
 一つは治療開始時期なのだが、「矯正セミナー」では、「患者さんが求めた時」がその時期と習ったのだが、私は今は違うことを目安にしている。
 乳歯列の時は(2歳〜6歳まで)様子見である。
 次に、5〜7歳で上顎の前歯4本が生え揃う。その時1〜2本が反対咬合になるときがある。この場合は、すぐに治療した方がいい。
 けれども、それ以外は、10歳〜12歳(小学校5・6年)くらいの、上顎犬歯が生えて来てから治療にかかった方が効率的だと考えている。
 (極力「矯正装置」をつけている期間は短い方がよいから。)
 あくまでも、矯正治療をやってきて考えた私の基準ではあるけれど・・・。
15年9月05日(金) ***  「歯科の往診」 @  ***
 東北大学を卒業してすぐ「航空自衛隊」に入った。
 「自衛隊」には当時から、「研修医」制度が完備されていて、2年間は「研修医」として給料を貰いながら、実際に「患者」を診ながら臨床の勉強をさせてもらえる期間がある。
 その時に「歯科の往診」の勉強もあった。
 自衛隊の基地は大概「僻地」にある。
 特に、「レーダーサイト」は山の上にあるから、街からはるか彼方に基地があって、「歯医者」には掛かれない。
 そこで我々「衛生隊」の出番である。
 始めに私は沖縄県の「那覇地区病院」に研修医として配属されたから、時々よく、ヘリコプターで、「奄美大島」とか、「宮古島」の「レーダーサイト」に「往診」に行った。
 「歯科」は基本的に「外科」である。だから、「麻酔」とか「抜歯」とかで、「出血」するような処置が多い。
 だから今でも、「歯医者」で、往診に行くのを嫌がる「先生」もいる。
 これは、やり慣れないと「医療事故」を心配してしまって、なかなか手が出せない分野である。
 その意味で、「自衛隊」のような、実践的な、「野戦病院的」な経験をさせてもらったことは、今は役に立っていると思う。
15年9月03日(水) ***  症例の片寄り  ***
 長らく歯医者をしていて、不思議に思うことがある。
 「急患」が来る。特に休み明けには多いのだが、時々症例に片寄りが出る。
 ある日は「入れ歯の破折」のみ3例とか、「抜歯」3例とか、またある日には「歯肉が頬まで腫れた」人が3例とか(「歯肉がそんなに腫れる人は毎日は来ない)、普段はあまり立て続けには出てこないような症例が片寄って来るのだ。
 まさか、「今日は外科の日だから、歯肉を腫らせて診療所に行こう。」などということはありえないから、何でこんなことが起きるのかよく分からないが・・・。
 現実にあるのだから、おかしい。
15年8月30日(土) ***  「歯医者のイス」 更新  ***
 診療所は毎年少しずつ設備投資をしている。今年は「歯科用ユニット」(いわゆる「歯医者のイス」ね。)の更新で、今日取り付け業者が来た。
 最近の「歯科用ユニット」は結構高くて、400万円くらいする。
 でもほとんどコンピューター化されていて、性能も良くなっていて、イスも新素材でできていて、ゆったりとして座り心地もかなり良くなっている。
 月曜日から運用開始ができる。楽しみね。
15年7月29日(火) ***  8月1日から「診療所」は禁煙  ***
 「タバコ」は「歯肉」に悪い。「歯」もヤニのために黒ずんで見た目が悪くなるが、それよりも「歯周病」にニコチンが悪くて、どんどん悪化する。
 「インプラント治療」(後ろのページ参照)は「歯肉」の手術が必要だが、「タバコ」を吸っていると術後の治りが悪い。「インプラント治療」の成功率は95%以上あるが、5%の失敗がある。その内、喫煙者の失敗が多い。「インプラント」をする「歯医者」には、「喫煙者」には手術をしないと言っている先生もいるくらいだ。
 海士歯科診療所の隣には、海士診療所(医科)がある。その所長先生は大変な「愛煙家」だった。でも、この時のために? 3ヶ月間禁煙された。そこで、8月1日から「医科・歯科診療所」は「全面禁煙」にすることになった。
先生は、「これで患者さんに「禁煙」指導ができる。」とおっしゃった。
 公的機関では、「禁煙」するように努力するように法律ができた。(平成14年8月制定の健康増進法 第25条「受動喫煙の防止」)
 丁度時節に合っていると思う。
 できれば、「インプラント治療」開始の準備として、医科と伴に、「禁煙指導」もできればいいなと思ったりして・・・。
15年7月27日(日) ***  島根県歯科衛生士会隠岐支部 発足  ***
 今日は休みであるけれど、「歯科衛生士会」の「隠岐支部」ができる、とのことで「西郷町」に出かけた。
 正直、私は「公衆衛生」は苦手である。今は、「治療・臨床に役立つセミナー」にしか興味が無い。
 (正確には、「公衆衛生」は認めている、だから、平成4年〜6年まで「国のモデル事業」を受けてまでがんばった。しかし、時代は変わった。「公衆衛生」は儲からない(あたりまえだが。)、だから、評価されない。
 そこで、「正しいことをしたければ、評価されるくらいの収益を確保しなければならない。」 
 その上で、「趣味」に走れる。と信じている。
 (15年前に、この島へ請われて来た時は、「居てくれさえくれれば、診療所は「赤字」でもいい。」と言われていたけれど・・・。)
 しかし、「歯科衛生士会」の「隠岐支部」が発足するならば話は別だ、だから出席した。
 「記念講演」があった。とても良かった。特に、講演者の「多田先生」は、私が「歯周病とは?」のページで「ひたすら磨く派」と分類している「正当派の歯医者さん」だった。かつて、「学生」だった頃の「熱い思い」を感じた。
 「若い衛生士達」は「燃えていた。」「人はお金のために仕事をするのでは無い・・・。」特に「女の子」は「自分の想い」のために「仕事」に打ち込む。(「お金」も欲しいけれど。)
 「お金」の話は「おじさん」の「仕事」だろう。(私も自分の夢をいつも追っているから。) 
15年7月25日(金) ***  恒例「バーベキュー大会」  ***
 昨夜は「マリンポート海士ホテル」で18:30から、「バーベキュー大会」があった。
 歯科診療所の隣に、「海士診療所(医科)」がある。組織的にはわれわれ「歯科診」と一身胴体で、先生方や看護師さん・職員達と交流がある。「診療所」では毎年夏に「バーベキュー大会」をしている。
 今年はあまり、暑くないので、とても快適だった。(例年は汗だくの中で、やるから。)
 役場の幹部の人なども来ていて。いろいろと詳しい話が聞けて、よかった。
15年7月23日(水) ***  「歯を磨けば」「歯周病」は治る。  *** 
 Aさんは「歯周病」で何年も通っている患者さんだ。かなりの重症で、何本かの「歯」を失った。まだ40代で、上顎の前歯4本(一番目立つところ)がそろそろやばい。
 「歯周病」のページに書いたように、「歯周病」は治らないと思われているようだが、「根性」があれば、「歯磨き」を一生懸命すれば、よくなる。
 「Aさんに何があったのだろう?」それまで、「よく磨くように」指導をしていても、あまり変化がなかったのに、ここ半年くらい、すごく磨くようになってきた。
 今日、診察に来た。すごく良くなっていた。まだ、「ポケット」があるので、油断はできないが、それでもずいぶん「ポケット」が浅くなって、歯肉が引きしまっていた。久しぶりに診る、「歯磨きで歯周病を治す患者さんだ。」とても嬉しい。
15年7月10日(木) *** 「車イスの患者さん」への往診が再開できる? ***
 昨年の4月の医療保険制度の改正では、「往診を行う際の対象となる〔寝たきり、あるいはそれに準ずる者〕という要件が厳しく規定された。」その結果、実質的に、全盲の人・車イスの人に対する往診ができなくなった。
  当時、うちの診療所でも、それまで往診していた数人の患者さんに対する治療に区切りをつけて、往診を打ち切り、外来に通うように指導した。しかし、「歯が痛くでも、ならなければ」そのような障害者が外来に通うことは少なく、今日に至っていた。
  全国でもこのような状況に不自由を感じる人が多かったのだろう。
今年の4月国会内で問題となり、「〔車イスの人〕に対する往診を認める。」との政府見解を小泉首相が示した。
  これをうけて?今回の「歯科診療報酬点数表の取り扱いに係る疑義解釈」において、次のようなやり取りがあった。
質疑:「車イスの利用者で通院が困難な患者については、歯科訪問診療料の算定が認められると考えて差し支えないか。」
回答:「通院が困難な患者については歯科訪問診療の対象となると考えるが、通院困難であるか否かは、個々の症例毎に適正に判断していくこととなる。」
  なかなか分かりにくいやり取りだが、「島根県歯科医師会」に問い合わせたところ、基本的には「車イスの人に対する歯科の往診を認める。」とのことだった。(でも「全盲の人」に対する往診はまだ認められない。とのことだった。)
  これをうけて、うちの診療所でも「車イスの患者さん」に対する往診を再開するために準備を始めようと思う。