牧師室'17.3

◎ 2017.3 ◎

「いこいの場」

私のたましいよ。おまえの全きいこいに戻れ。
主はおまえに、良くしてくださったからだ。

(旧約聖書 詩篇 116:7)

  日本人はお風呂が好きですよね。わたしも温泉大好きです。特に露天風呂、良いですね。 自然の景色を眺めながら、ゆっくりとお湯に浸かり、讃美歌なんか歌うと、もう、最高!
  皆さんにとって、一番ゆったり、リラックスできる場所ってどこですか。露天風呂はそんなにしょっちゅうは行けませんが、日常の生活の中でも、そんな場所って有るんじゃないでしょうか。
  わたしは,時々、四日間とか、五日間とか留守にする事があるんですが、出張先から帰って来る、阿蘇熊本空港が近くなると、『ホッ』とするんです。住み慣れた土地、住み慣れた家が人の心を安心させてくれるんですよね。
  でも、いつまでもいつまでもという願いはあっても、そうはいかない時が来るでしょう。
  私たちは、聖書が示すとおり、『地上では旅人であり寄留者である事を告白していたのです。』(ヘブル人への手紙11:13)とある通り、私たちの国籍は天にある(ピリピ3:20)のです。ですから,私たちは,世にあっては天の御国に向かって旅する旅人なのです。
  新聖歌150番の一節に『旅人なるこの身にとりて 慕わしきは天つ故郷』と歌いますが、私たちの魂は、天の故郷を慕い求めているのです。
  こんな記事を見つけました。
  2016年6月14日、アメリカのワシントン州に住む5歳の少女が天国へと旅立ちました。
  少女の名前はジュリアナ・スノーちゃん。彼女は2歳の時に難病のシャルコー・マリー・トゥースと診断されました。この病気は遺伝子の異常による神経筋疾患で、現在は不治の病と言われています。症状は腕や脚などの筋肉の力が低下していくもので、呼吸筋にも影響が出ると自力呼吸が困難になるということです。
  ジュリアナちゃんは4歳になるころには腕と脚が動かなくなりました。飲み込む力も弱くなったため、チューブで胃に栄養を送るようになり、さらに呼吸筋にも影響が出ていたため、入退院を繰り返していたということです。
  しかし、弱っていく体に反して、ジュリアナちゃんはしっかりとした思考力を持っていたのです。
  ある日、ジュリアナちゃんの両親は医師からこう告げられました。
  「今度、彼女に呼吸困難が起きたときにはどうしたいかを考えておいてください。この次、ジュリアナちゃんが呼吸困難になった場合、病院で苦しい治療を受けた後で亡くなる可能性は低くない。もし彼女が生きられたとしても、それはきっと長くは続かないだろう。おそらく鎮痛剤によって、考えることも話すこともできなくなるだろう。それでも病院に連れて来たいですか。」
  医師は続いてこう告げました。「どちらを選ぶか、正しい答えはありません。」
  両親はジュリアナちゃん本人にどうしたいかをたずねることにしました。      母:「ジュリアナ、もし今度具合が悪くなったら病院に行きたい?それとも家にいたい?」
ジュリアナ:「病院は、いや。」
     母:「家にいたら、天国に行くことになるかもしれなくても?」
ジュリアナ:「うん。」
     母:「わかってると思うけど、ママとパパはすぐには一緒に行けないの。あなたは一人で先に行くのよ。」
ジュリアナ:「心配しないで。私のことは神様が引き受けてくださるから。」
     母:「それにもし病院に行ったら、具合が良くなって、また家に帰って私たちともっと一緒に過ごせるかもしれない。あなたがそのことを理解しているのかどうかを確認したいの。」
ジュリアナ:「理解してる。」
     母:「(泣きながら)ごめんね、ジュリアナ。ママが泣くのは嫌いだよね。ただあなたと会えなくなるのはとても寂しいの。」
ジュリアナ:「大丈夫。私のことは神様が引き受けてくださるから。神様は私の心の中にいるわ。」
  その後、一年半自宅で、ボランティアの方との楽しい時を過ごしましたが、容態は急変し,母の腕に抱かれて息を引き取りました。ジュリアナちゃんは、全きいこいの場、神様の御許へと帰って行ったのです。