日本も国家破綻すればこうなる(TPP補足)

 先々週でしたか、静岡県知事が、「TPPに 参加しなければ、日本は北朝鮮みたくなる」と発言し、TPP反対派から「それは詭弁だ」「極論だ」と批判を受けていた。
  「北朝鮮化」の定義がわからないので真意は図りかねるが、各国と個別交渉する日本と、核開発などで経済制裁を受けている北朝鮮とを同列に語ることはできな い。もし日本が、TPP参加を見送ったくらいでアメの制裁を受けるなら、TPP参加国の9カ国以外の環太平洋所属国すべてが制裁対象になってしまうだろ う。そんなことはあり得な い。だから、急かされているのは各国が、現政権を後進国なみにナメ腐っているからに他ならない。現にホイホイ従おうとしているではないか。

 しかし、いくら「日本は乗り遅れるな」と急かされても、それはどこへどう転ぶかもわからない岩石で玉乗りしろというようなもの。推進派だけがあわてて 飛び乗り潰される分には構わんが、ことは加工貿易国・日本の行く末がかかっており、そんな冒険はできない。

 ところで、今、民意そっちのけで話をすすめる民主党こそ、ある意味「北朝鮮化」ならびに北朝鮮の親玉、シナ化が進んでおり、現政権を許し続ければ、そして、「日本も行き過ぎた自由化 でカネが流出し、貧しくなれば、ああな るよ」と、思い描ける北朝鮮象というのがある。
 「どん底の北朝鮮」 (趙甲済 中根悠訳)によると、2004年時点での北朝鮮の経済状況は、以 下のようになっているという。


  1 食糧事情の悪化で平壌のアパートでは住民がベランダでニワトリを飼育。騒音、悪臭問題。
  2 ほとんどの企業で羊・豚などの家畜を飼育。食糧危機によって都市部の住民たちが農家のまねごと。
  3 北朝鮮当局によっても推奨(特に乳と 毛皮も取れる羊)。
  4 アパート地下室でキノコの栽培。
  5 ’98年中盤より二毛作を積極的に奨励。
  6  稲の収穫後に白菜を植え「三毛作に成功」と鳴り物入りで報道。
  7 しかし地力の回復を待たない二毛作で土地は痩せ、1995~96年の洪水で良 いときは8トンあった収量が4トンレベルに落ち込む。
  8 国策で白頭山にジャガイモ栽培。 連作による土地痩せのため外国の専門家はジャガ イモ栽培成功の可能性には懐疑的。仮に栽培に成功しても劣悪な鉄道事情と道路事情がネック。
   9 肥料が不足しており、ピョンヤ ン、普通江に大量の群衆を動員してヘドロを採取、トラックで農村に送られた。
 10 燃料不足のためトラクターより牛馬車を奨励。
 11 平壌ですら1~5分の停電が日に50~60回は起こる。
 12 ロシア大使館によれば、北朝鮮の電気は220Vに対し、170V~180V水 準で、60ヘルツに満たないうえ冬は30ヘルツに落ち込む。このため電気器具はしばしば故障する。コンピュータは一年も満足に耐えられない。
 13 外国大使館はディーゼル発電機を持ち込む。
 14 外人専用ホテルと外国人居留地区、金正日の銅像の照明にはなんとか電気が絶えない。
 15 北朝鮮の劣悪な電気事情は発電所の施設の老朽化にある。30~40年前に旧ソ連が建設したものを今もそのまま利用している。東平壌の発電所は発電機四台の うち二台だけが稼働。
 16 停電で地下鉄事故。北朝鮮の言論は常套的にこのような事実はまったく報道しない。←注意!日本の報道機関も、大事な出来事の代わりに、どーでもいいニュースや報道しない自由で煙幕を張っている。
 17 2000 年3月から国際電話と国内電話が分離。携帯電話は使用禁止。
 18 当局は可能な限り外国人が北朝鮮の住民と接触できないようあらゆる手段 で徹底的に統制している。
 19 世界食糧計画所属のジープが盗難。翌日発見された盗難車は主要部品のほとんどがはぎ取られ、ボディの部分だ け置き去りに。北朝鮮当局者は犯人は絶対に北朝鮮の人間ではないと言いきり、外国人の仕業だと強弁していた。
 20 すべての外国人はスパ イという思いで常に尾行され、監視されている。電話は盗聴されている。
 21 いわゆる大使館村の外国人たちは、事務所や家に盗聴器が仕掛 けられているのをあまり気にしていない。
 22 国家からの配給の食料さえくれれば生きていけるという安易な考えが、すべての人間を怠け者 にしてしまう。←注意!日本でも働けるのに働かない「生活“保護”」者で財政圧迫、「ベーシックインカム」導入論が盛んに喧伝されている。
 23 幹部たちも研究者たちも、新しい技術開発に対する報奨があるわけでもないから、発展させようという気構えがまったく ない。
 24 金正日の指示でアヘン栽培。
 25 四年間に二万人を公開処刑。
 26 脱北(亡命)を阻止する国境警備隊の間隔は年々狭まり、今や50m間隔で見張っている。
 27 国境警備隊は脱北幇助の金儲 けに溺れる。
 28 幹部は外国の銀行にドルを貯めている。
 29 (食糧不足になってから)ここ数年軍人たちが食べたのは主食 が「ヨムヤン粉」であった。外国から入ってくる羊や山羊、馬、牛などに与える飼料の粉である。
 30 この「ヨムヤン粉」ですら、北朝鮮では軍 優先主義により軍人だけが食べ、住民たちには配らない。

   ※上記は2004年時点のものであり、今は改善されたのか、さらに悪化しているのかまでは分からない。「じゃぁどうすればいいのか」の部分も、日本には当てはまらず、端折らせてもらった。

・・・ これらの窮状は、一部日本でも見受けられるのが少し気になるところだが、治水も含め、「自分んちの民を食わしていけてる」ことが国の採点 基準であれば、北朝鮮は既に国家の体をなしていない。やはり国家を回していくには、勤勉さが報われるようにしない と。一部のズルが得する社会は、早晩民衆によってひっくり返される。北朝鮮は「腹が減って戦 もできぬ」状態だが、それでも北朝鮮の民衆は、自分の足で立ち上がらなければ意味がない。そしてそれは日本も同じだったりする。


補足

・牧畜は、人の食えない植生地帯で育てるのなら意味あるが、そうでない所では、食糧を余計に失う(これは、畜産だけでなく養殖にも当てはまる。ハマチ1kgのためにエサのイワシが7kg必要)。
・同じく経済封鎖にあったキューバは、北朝鮮と違い、温暖な気候に助けられている。日本は厳しい。
・大麻の主要な密輸先のひとつが日本。パチンコマネー同様、その外貨は民に役立つ目的でなく、北朝鮮の体制維持に充てられている。
・日本でも、坂本龍一は六ヶ所村のボイコット運動を呼びかけるなら、自分んちの消費電力を原発依存度ゼロにしたうえで言うべき。
・ここ数年、シナ国境から北朝鮮をみる限り、田植えは人力で行われている模様。
・インフラ整備に金がかけられず、洪水による飢餓と食料支援要請はもはや年中行事と化している。
・その食料支援も民衆に渡ることはなく、コメは換金され、輸出用の大麻栽培やミサイル開発に消えていく。
・一つだけ見るべき点があるとすれば、北朝鮮の「外交力とは最終的には軍事力」という認識は正しい。ただ優先度がおかしい。
・片割れの韓国が、敵性国家のアメと不平等条約を結ばされてもシッポ振ってる情けない現実に苛立ち。
・もっとも韓国もバカではないので反米世論が高まっている。隣国と反目すれば得する輩がいることも。
・既に核を持つ国が、持っていない国に「持つな」と言うのは不公平と思っている(これはごもっとも)。
・韓国人の本音「自分たちが生きている間に北の体制が滅びたら、援助で自分たちが貧しくなってしまう」。
・シナ人の本音「属国として利用できる間は利用したい」。
・日本人の本音「フジの報道関係者は、そんなに半島が気になるなら、向こうに帰化して好きなだけ取材しろよ」。
・国家破綻の本当の恐ろしさは、破綻そのものより、流通がマヒしてしまうこと。

(2011.3.6)
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