(しかし誰も遣りたがらない)日本経済 解決への道



先の項で、日本経済の行き詰まっている原因を シンプルに

「出て行く分が入ってこない」

こ とに対する不安が引き起こす悪循環と結論した。他の要因 * もあるが、ここに行き着くだろう。
というか、わざわざ指摘せずとも皆さんも 既に実感中であろうし、該当しない者は ほんの一握り。


* 一見武力を使わない、他国からの経済侵略にも無防 備すぎた。ハニートラップに引っかかり、
脅されるまま国を売った政治家。「注文の多い料理店」のごとく、年次改善 ”要望”書を忠実に
実行し、外資においしく食べられてしまった国民の預貯金。南米みたく、足下見られて国営銀行が
皆 外資に取って代わった状態は、見方によっては、国民の稼ぎが外国に持って行かれる合法的
経済侵略そのもの。先においてはその轍 を、熱狂的支持と共に踏んだのだから、その危機感の無さ
に目を覆いたくなる(”要望”側は、実は日本の郵便事業には関心など無く、 その預貯金をどうやって
自分の懐へ入れるかに関心があった。因みに私は親戚含めて郵政利権と無縁だが、それでもそう思う)。


先 の構造”改革”は、とりわけ製造業において、そのメリットより、デメリットの方が甚大であった。
当初の趣旨は、とりあえず働き口の確保。 製造業への派遣を合法化し、雇用の裾野を広げる。同時に
低賃金労働で利ザヤを稼いだ企業の購買力で、景気を回復させるシナリオだった。これは 労働条件の
悪化
(企業側のモラル)を危惧する反対の声を押し切って実行された。しかし結果はごらんの通り。

この時、確かに派遣業の業種拡大を提言し、 我田引水したメーカーは、史上空前の利益を上げた。
しかし、そんな”おこぼれ”などついぞ回ってこなかった。それどころか、かつては禁 止されていた
”手配師”* の合法化、同一労働 同一賃金 の原則を破ったモラルハザード、不公正のゆがみが
今、さらなる生 活不安に加え、社会不安まで引き起こしている。


* 他人の労働の対価を、仲介手数料以上にピンハネし続けるなど、普通に考えておかしな話である。
(働く側が、利便を求めてその関係と相 成ったのなら、何も言わない。一生そうしていればよい)。
業種拡大時、派遣会社が雨後の竹の子のごとく乱立した理由。それは、自らは (あまり)労せず
稼げると思ったからに他ならない。しかしその心根が、堅気のそれでないことは、ある広域暴力団の
前 身がこの”手配師”を生業とする集団だったことからも分かるだろう。奴隷制度の復 刻版である。


さて、そんな”改革”が、貧富の格差を増大したことは海外でも報じられ、同胞圏での「ルック・
イー スト」(日本に学べ)という声は、今やまったく聞かれなくなった。とても恥ずかしく思う反面、
引き続きマネしないで頂きたい。その代償、年 間自殺者三万人。働く世代での動機は「生活苦」。
ここ7年で、日本の衛星都市が一つ滅亡したに等しい。紛争国じゃあるまいし、こんな国、他にない。
「やってみた ら大失敗」の典型として世界の教科書に載せられるべきである。

勤労を国民の義務としながら(これは、憲法策定にソ連 が関わった名残り)政府がその労働に対価を
払うわけでなければ-それは個人や民間任せ-職安も、万人に満足な仕事を提供できないこの 矛盾。
この一種、社会主義と資本主義の悪いトコ取りにも関わらず、どうして日本経済は回っていたのか?

そ れもそのはず、かつて”東洋の奇跡”と言われた経済発展は、実は虚構だった。それは借金で
成り立っていた。そして、そのツケが いよいよ、本当にカネの必要な現役世代に重くのしかかる。
その一方で、個々においては日本を”復興”させたと自負し、トータルでは膨 大な借金を残して
リタイヤした世代が、「月、38万必要!」とか言っている(私の手取りの倍額だが、何に使うんだ?)。
「まぁ、苦労人多かったし」と思う私でさえ反感覚えるのだ。将来世代間抗争の様相を呈するのは確実だ。

こうして、 どこで減衰したのか、今や乾いたタオルを絞るように集められた血税(屍ルイルイ)だが、
これをどこに循環させるべきか。限られたリ ソースなので、誰にでも、というわけにはいかない。

せめてそれが、本当に困ってる人の元に届くのなら、誰もお おっぴらに文句を言ったりはしない。
しかし、その所得の再分配はもはやまともに機能しておらず、ついに九州地方という所で餓死者を
出 すに至った。かと思えば、省庁の浪費や裏金が明るみに出たり、弱者のフリした既得権益者の
元へと流れていることも、近年知られるよ うになった。諸外国からは『私の国なら暴動や排斥運動
が起こる。日本人は我慢強いのかバカなのか * 」と言われる。

日本で暴動が起こったのは、百姓一揆や打ち壊し、米騒動など、いよいよ食うに困った時である。

以 上 駆け足で要因をさらってみたが、「じゃあ、どうするのか?」という部分が抜けており、これだけでは、
社説欄やニュース解説でよくある締めくくり、「我々も、今後の動向を注意深く見守って いきたい(ですね)」で
終わってしまうのと変わらない。解決策を示そう。

現在 巷で提唱もされ、しかし大人の事情で国会にもまず挙がらない各論がある。以下の通りである。



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フェーズ1 まず、何は無くとも出血を止める。

・ODA の凍結
・国連へのカネも凍結
・外資からの敵対的買収を国を挙げて 阻止
・タバコやパチンコの自重


・ODAの凍結について:当面内向きになってしまうのは仕方 がない。しかし、これだけ経済がガタガタになっている今は、まず自国の足元を固めるために使うべき。さもないと、援助される側に転落するだろう(これは恥 ずかしい)。そして再開の目処が立った暁には、ODAを”貰って当たり前”と思ってる所でなく、本当に感謝される所へ向けよう。コスいようだがODAは、 それで味方(理解者)を増やせなければ、意味がない。

・国連へのカネも凍結について:非常事態宣言ついでに主要加盟国の頭数で割る提言をする。

・タバコやパチンコの自重について:これは説明が必要だろ う。前者は医療費抑制を妨げる要因の排除(喫煙者が早死にするのも自由だが、その原因で死にゆくプロセスにおいて、医療費が、たばこ税収を上回ると予想さ れるため)。後者は安全保障を脅かす国の資金源を絶つ効果も狙う。ただ政府としては強制できない以上、皆の理解と協力が必要になる。JTや桐生のIT関係 者には悪いが、これを機にもっと生産的な職に就いてもらいたく。

フェーズ2 次に、循環経路を見直す。

・ 高齢者の年金制度廃止
・医療に均衡の取れた見方を導入
・公務員の給与/賞与を業績連動に
・退職金 制度も原則廃止
・派遣業種を改悪前に戻せ
・自給率の向上
・見えにくい海洋 水産資源の確保
・ 職安をもっとマシに
・公営賭博の自重
・生活保護の拡大解釈にメス
・道路財源は当面、補修止まりに
・ 治安維持のための犯罪厳罰化
・生活必需品の非課税化、贅沢品には めっさ 課税
・住宅の耐久性向上


・高 齢者の年金制度廃止について:見直しではない。廃止である。現年金制度は高度経済成長時代の幻想に過ぎない。それを知っててなお、タダ飯をやめられない世代が、一番カネの必要な現役世代から毟 ろうとしておかしな事になっている。私は見た。明石のダイエー(今無いが)で、いつも高級食材をポンポンかごに入れるじいちゃんばあちゃん(年金生活者) の横で、これまたいつも賞味期限間近の菓子パンを、悩み抜いてかごに入れたり戻したりする子連れの主婦を。よほどの功労・殊勲者でも無い限り、老 人という老人全員に支給するのはやめる(半生を日本の国益のために捧げたと自他共に認められるレベルでない以上は)。つまり、働けるうちはちゃんと働き、 自活して貰う。

・ 医療に均衡の取れた見方について:皮肉にも、医学の進歩は医療費も増大させた。ときに私は、生後○ヶ月 の赤ちゃんの治療に1億必要です、といった寄付要請を-会社の組合経由で回ってくるんだが-断る。そんな親が大挙して押し寄せてきたら、こっちの生活が破 壊されてしまうからだ。その家庭内で払えない金額が提示されたら、可哀想だがそこが寿命である。また私は、死ぬ間際までチューブ付けてまで延命したいかと 問われれば、生きてるだけでコスト扱いされるのは嫌なものである、断る(体験すれば分かる)。もちろん、一分一秒でも長く生きた い、生きて欲しいって人もいよう。だが、現実には、他の部分は動いても、自力で餌を摂れなくなった時が寿命である(ただし家族が無理なくサポート可能で、 かつ望むなら止めない)。その代わり、本当に動けなくなった人に対しては、国が責任を持って苦しませないよう看取る。こうして世代交代を円滑にし、国とし ての代謝を促進する。

・ 公務員の給与/賞与を業績連動に:民間が赤字の時は、その上がりで食う公務員議員は少し自重した方がいい。庶民が死にそうに、いや、実際死んでるのに、公 務員は『年収850万だったのが800万に減ってー』とか書いてあるのを読むと、こっちも一緒に頭を抱えてしまう。マヒしてんのか 、この人達は、と。
武士の時代、日本に渡航した外国人がまず驚いたのは、支配階級の暮らしが拍子抜けするほど簡素だったということだ(屋敷は広いが、茶室や屏風絵など領主の趣味品が一点豪華という程度)。民衆から搾り取り、贅沢三昧していた自国の領主たちとは違っていた、というのである。

・退職金の 類も廃止について:国が社会貢献を認めるほどの功労者でない限りは。これは、私も射程内だが仕方ない。それ以前の問題として、「退職金、運用 しなければすぐ底をつきますが、我が社に預ければ85歳までもちます」といった、老後の沙汰もカネ次第という社会自体、変だ(85歳以降は、どうなるん だ? っていう)

・派遣業種を改悪前に戻せ:人の足下みて上がりハネるような業種自体を禁止しないことには、そのうち 日本のモノ造りが沈没する。そもそも現場に派遣というのは品質向上にそぐわない。低賃金で働かす口実になっているどんな単純作業やルーチンワークにも、コ ツやノウハウというのはあるからだ。時給が安く、割に合わないと思ったらすぐ辞めてしまい、定着しない。そこで別な人に仕事を教えるロスタイム。正社員と同 じ仕事して給料が違う不公平感。こういうのは、それなりの待遇を提示して働き続けて貰うことが、長期的には会社のためにもなる。そもそも会社は派遣を育て る気がない。昔はそれを会社がやっていた。今は派遣にも即戦力を求める(虫のいい話だ)。
成果主義では技術が継承されない。これらしわ寄せは巡り巡って国力低下を招いている。低賃金かつ雇 用が不安定ということは、夫婦共働きでないと食っていけない社会ということだ。これは、生まれてくる子の教育だけでなく(特に母)親から生活の知恵や作法 などを学ぶ機会も破壊される(その兆候が既に出ている)。とりわけ酷いのは、バブル経済が弾けて大学出ても働き口がなかった現役世代で、「彼らは結婚も出来ないので」「貧困の再生産 など起きない」と、一国の議員が恐ろしい本音を語っている。これを棄民政策という。匿名となるとこんな事を言い放つ政治家の存在を許していいのだろうか?

・ 自給率の向上について:一次産業あっての二次産業だと思うので。ただこれも結局、補助金で回っているのでは意味ないので、小規模経営が多いゆえの非効率は、正す必 要がある。いっそのこと、これからの恐慌に備え、職にあぶれた人たちを国家規模で食料生産要員に回すというのはどうか。

・見えにくい海洋 水産資源の確保について:何 盗られるままにしておくんだよ!

・ 職安をもっとマシに:ここがしっかりしてないから、他の斡旋所、つまり労働者の生き血を啜るタイプの派遣会社が跋扈しているのだ。国民の義務であるなら、その インフラを整えることだ。

・公営賭博の自重について:国民には勤勉を奨励しておきながら、他方では一攫千金の夢を見させ て金を巻き上げる。人々が、自ら率先して払ってくれる税収と政府は喜ぶが・・・決して良い循環経路とは思えない。なぜなら一番儲かるのは宝くじの主催者、 そして先行き不透明な人ほど必死に買い求めるからだ。ましてやカジノ構想など論外である。「恥を知れ」(強制はしないが、海外のくじも国内資金の流出といえ ば流出である。おおっと、それを言い出したら海外旅行も!)。

・生活保護の拡大解釈にメス:タブーを書く。さすがに三世 まで養ったらもう十分だろう。このまま増え続けられても、養い続ける余裕も義理も日本にはもうない。よって、三世に帰国か帰化かを選択させるべき時が来たと思う。や むない事情で窮しているなら周囲が全力で助ける。しかし、働けるのに働かない(社会コストを負担しない)者にくれてやるカネなど一銭もない。

・ 道路財源は当面、補修止まりに:中には本当に必要な道路があるかも知れない。が、少なくとも今、道路に過大な予算を注ぐべき時でないことは誰の目にも明ら かだ。将来 道路は立派でも、道ばたで人が行き倒れていたら意味がない。

・治安維持のための犯罪厳罰化について:税金 で囚人養うのも限界に。刑務所を住みよい場所にしてはいけない(が、社会に恨みを募らす再累犯養成所にしてもいけない)。冤罪でないことが明らかな犯罪に対 しても、最近の弁護人は必要以上に犯罪者を擁護し過ぎである。カネになるのだろうが、これも恥を知れと言いたい(「人権」という言葉は、法を守っている人 のためにある)。

・生活必需品の非課税化~について:貧困が、不公平感が 犯罪の温床となっている。では、逆進性のある消費税(高所得者ほど何ともなく、低所得者ほど大ダメージ)を、命を支えるに最小限必要な品目は非課税に、代わ りに贅沢品(食料品に限らず)には思いっきり課税するというのでどうか。贅沢品か、そうでないかの線引きや脱法行為の規制が面倒だからって、何もかもに一律○%課税、という のは、元々無理があったのだ(地域や気候によって必需品が変わるのは当然である)。中古品、リサイクル品に消費税というのも、あれは二重課税である。

・ 住宅の耐久性向上:日本の住宅は、高額の割に居住可能年数が短く、その狭さも手伝って世代をまたいで使うことも出来ず、大きな社会コストになっている。要 らなく建て替えが多いのは良い循環とは言えない。『人生70年か80年』の、間を取って75としよう。人生の、半分過ぎた時点(37~8)で、なお借金し ないと買えない高額なのにガタが来始める家って、何なのか
(ヘ タをすると、昔の家の方が長持ちである)

上記に私は賛同す る。どれも一発逆転性には乏しい地味な施策だが王道はない。地道にやるしかない。

一方、賛同しない(できない)”解決策”もある。手短に述べる。

×ベーシック・インカム:働かずとも一定の収入が得られる社会保障制度。金回りだけは確実に改善される。芸術家肌の人にも優しいかも知れない。が、その財源、誰が肩代わりするのだろーか。

×ゴミの分別・リサイクルで循環社会を:鉱脈を考えてみよう。始めから含有率が 高いからペイするのだ。それを、ゴミの中からチマチマチマチマ分別させて、利益を得ようっていうのだが、トータルでは洗浄に使う水やら薬品やら、分別に費やす時間や エネルギーやら輸送費やらで結局、人にも地球にも優しくないと考える。何でもかんでもリサイクルするのでなく、モノによっては便利に使い、消却する方が低 コストである。使えないゴミは分けてもゴミである。毒物以外はまとめて高温炉で消却し、灰を未来のための人工鉱脈にする案の方が現実的だ。

× 温室効果ガスの排出量取引:愚の骨頂である。そもそも二酸化炭素が温暖化の原因という証拠がない。節約の観点から遣るとしてもだ。今までルーズだった国ほ ど減らしやすく、これ以上改善の余地が少ない国ほど割を食うシステムというのがおかしい。狡猾な輩に丸め込まれ、じゃぁよろしくーと取り残される学級委員 に似ている。

△ 太陽光発電の推進:国が調査しての結果報告はたいがい『研究は一定の成果を上げて終わった』で、あまり前向きでない。ひょっとして、実は維持管理(表面の 汚れで発電効率は下がる)の面ではペイしない代物なのでは? 屋根に付ける一般家庭用にしても、元を取るまで十年以上かかるなど金額が高すぎる。変換効率 がめざましく改善する可能性もあるが、それは原発開発当時「50年後は技術の進歩で安全性や廃棄物の処理方法くらい解決するだろう」と見切り発車して今 困ってるように、投資は非常にリスキーだ(その前に、私は転勤転勤でマイホームからして買えないが)。立地によっては、ローテクでも風力の方が 良さそうだが・・・真実はどこに?

×介護サービスの報酬の見直し:介護の精神はビジネス (金儲け)とは相容れないからだ。咬み合うわけがない。かといって、あとはボランティアさん燃え尽きるまで宜しくね、って姿勢もいかがなものかと思う が・・・。

×お金に賞味期限を:実際には預貯金に課税される。だったら使おうという風に持って行くまさに経済の強制活性策。大量流入、大量流出な人は痛くないが、当面、使う予定がない人、今後所得が見込めない人には大ダメージであり、個人的には反対なのだが・・・。



フェーズ3 経済に活気が戻った所を見計らって
-最近の動向でムリな気もしてきたが-

・(親のと思って)国民全員で借金を返す。その金額、一人あたり700万円弱(0歳児も含めた場合。2008年現在



さて、あなたのご家庭では、全額”返せ”るだろうか? 
私は今なら出来るけど、代わりに何か見返り欲しいな。
返して貰った借金が、実は自分の財布から抜いたカネだった、というオチじゃ誰も納得しない。




追記:こんな反論があった。

A: 使い込んだ官僚と政治家で頭割りしろよ!
    一般市民を入れるな。

B:いや~国民が金溜め込んでなかなか使わないから、
    代わりに使ってやったよ~。おかげで業者の接待はおいしゅうございました。
    じゃ、借金の返済は、国民の皆さんの貯金を切り崩して仲良くよろしくね。

    というのが彼らの主張。




(2008.09.06)

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