クルマが売れない? -昔の方が良くなかった
か-
注:クルマ(自動車)に興味ない方には何を言ってるのか解らない内容であるこ
とあらかじめお詫びいたします。
戻
る
・・・・
>「日本経済の回復が続く中で、潜在的な買換え需要は大きいのに、自動車市場はどうして盛り
上がらないのか?」と、トヨタの関係
者も首をかしげる。(←去
年の春から景気は後退か)
・・・そこの関係者にアドバイスだ。あなた方の工場で雇ってい
る、正社員と派遣社員との割合は?
そして 両者の年収差は どれくらい? その辺の実態さえ知っていれば、首をかしげる必要はない。
最
近まで、愛知周辺の下請け孫請けに勤めていた社員の子たちに話をきいた限りでは・・・
派遣社員だとトヨタホームはもちろん、おちおち
関係者が売りたがってるクルマひとつ買えんよ?
よしんば
そこのディラーで提供する最高額グレードをフルオプションで買えるカネを持っていてもだ、
どうも、弱者の叫びの中で造られたクルマ
のイメージがぬぐえない。所有を素直に喜べない。
開発秘話なんかで『苦労の連続だった、だが充実していた。何より楽しかった、だから
続けられた』
と(多少の脚色こそあれ)語られるような、かつてのクルマと同じに見ることが、もはやできない。
別
にトヨタを目の敵にするつもりはない。経団連の奥田のバカ(失礼)の所行 * を私は忘れないが、
かといって、広○行けば○島の、武
蔵×山市に行けば武蔵村×市の、大△町行けば△泉町の、
デト口イトに行けばデト□イトの
メーカー残酷物語が、また別にあるのだろうから・・・。
*
本当に日本のためにと思って政治に口添えをしてたなら、それは実際ミスリードだった。
し
かし、そんな格差などとまったく無縁であるはずの富裕層向け高額車さえも売れていないという
(ショールーム訪れても、結局は
外車に流れる)のなら、それはひとえにクルマの魅力不足である。
日本は海に囲まれ南北に長い。なので潮風、激寒
の地から うだるような暑さまで、様々な悪条件に
耐えうるクルマを造る必要があり、品質面では鍛えられた(と、いうことになってい
る)。
ならば問題はデザインだ。
クルマが必需品とされる地域で育ち、
保有台数全国1,2を争う県に就職した。そのためか人が三人
寄ればクルマの話になるほどクルマに足以上の関心を示す地域に長らく住ん
できた。ので、これは
あくまで個人の見解だが、今後のクルマのデザインに何かヒントを残せないだろうかと思って記す。
結論を先に書くと、「新しいのがイイとは限らない」「昔のがダメとは限らない」、だ。
(外
車に大きく水をあけられている内装や質感にも触れるべきなのだろうが、今回はやめる)。
戻
る
私
自身、物心付いた時から既にミニカーを50台ほど集めて(貰って)いたほどのクルマ好きである。
ミニカーの中ではセリカ、いわゆる
「ダルマセリカ」(A20系)が特にお気に入りで、この車種だけは、
「飾る用」と「砂場用」とを使い分けていた。
セ
リカがお気に入りだった理由はハッキリしている。もちろん、幼少の私が知れる範囲での話だが
あの丸目4灯は、当時主流だった丸目2灯
式と違い ライトが”目玉”を連想させなかっ
たからである。
実際、親父が乗ってたNⅢや初代シビックは、どちらも、あの丸
目2灯が、メカの真骨頂であるハズの
クルマに まるで動物の顔 * でもひっつけて走っているかのようで、私はそれが嫌いだった。
* 帆船の舳先に馬の顔を彫り込むのと同じに感じた。幼稚園児の私は、それを幼稚と見ていた。
また、プラモデル
でも、ヒト(ドライバー)が運転席に乗っかっているタイプは、敬遠した。
メカの模型は、あくまでメカ部分のみの模型であって欲しかっ
たのだ。脱線ついでに、架空の
超時空戦闘機が出てくるゲーム作品でも、搭乗員や整備士の「顔出し」は個人的にぶち壊しで
あっ
た。そーいう描写は、映画かドラマでも別に撮って遣ってくれ。見ないけど。
もっとも、そ
の後、セリカと同じ丸目4灯の初代アコードセダンが我が家に来た時(別に私がリクエスト
したわけではなく、板金屋のおじさんのお下が
りだった)、特に感動はなかった。なぜならその頃には
さらに「目玉」っぽさを感じさせないデザインの、角型ヘッドライ
トに惹かれていたのである! ただし、
丸目を四角いカバーで覆ってるようなタイプは、
あれはどっちつかずでダメだった。今でいうと、Keiや
ドクロジムニーが、見事該当してしまう。
同
時に、走るカタマリ然とした2BOXタイプから、見た目 スマートなノッチバック(セダン)の方へと関心
は移っていった。
ただし、”尻下がり” でないこと(せめて地面に対し水平であること)が条件だった。*
* 5代目サニーや9代目ブルーバード、レパード・Jフェリーなどは、典型的な尻下がりで
ある。
尻下がりでも格好いいと思えるセダンは3代目プリメーラくらいしか思いつかない(ワゴンはダメ)。
また、それまでクルマの”耳”のようなフェンダーミラーが、視線の移動と引き替えにタイトなドアミラーへ
移行するのをリアルタイムで見た。さすがに標準に逆らいフェンダー特注するほど私も保守的ではない。
こ
の頃は色々とあった。3代目レオーネ、7代目ブルーバード、5代目ローレル後期に6代目サニー前期、
初代ビスタ、角形6灯の3代目カリーナ・・・。も
し社会人だったら、いずれかの購入を本気で検討してた。
さて、ちょうどそのころ、スーパーカーブームに
憧れた世代がクルマの意匠を手がけるようになり・・・
猫も杓子も
リトラクタブル(広義には格納式)ヘッドライトの時代が到来する。どれだけ猫も杓子も
だったかというと、あのターセルやコルサ、カ
ローラⅡまでがリトラクタブルヘッドライトだったほどだ。
リトラクタブルヘッドライト(以下リトラ)の波はセダ
ンにも及び、私としては非常に歓迎すべき状況に。
リトラなセダンの中でも、3代目アコード(但し後期)のデザイ
ンは群を抜いていた。ともすれば、どこの
メーカーでも同じようなフロントマスクになってしまいがちなリトラだが、この3代目アコード
のフロントは
ちょっと違った。2代目プレリュードの顔をほぼそのまま持ってきたのだが、サイドウィンカー繋がりの
ガー
ニッシュが、ヘタするとのっぺらぼうになりがちなフロントにメカっぽい表情を与えている(それは
のっぺらぼうな3代目プレリュード
と比べれば判る)。もしここが、トレノAE92型と同じような普通の薄型
ライトとの二段構えだったら、やはりトレノと同じくライ
トが浮いたデザインになってしまっていただろう。
個人的思い入れに
より、廃車にならないうちに後世に伝えるべく勝手に撮らして貰いましタ。
ガーニッシュのフロント部は、未確認だが最初からライトは仕込ま
れていなかったように思う。
後期で特筆すべき点は、くすんだオレンジ色のウィンカー(サイド、フロントとも)を、前者は
スモークに統一、後者はクリアカバー(しかもビスが見えない)に変更してあること。実は3代目
前期を見るたび思っていたのだ、確かに近未来っぽくはあるが、でも、あのビスがね~・・・と!
リアのコンビネーションランプ
も、前期のゴチャゴチャした感じからすっきりした仕上がりに。
(リアコンビネーションは、うまく言えないが一見同じな逆輸入車のア
コードクーペよりも上)。
もし3代目アコード後期の、リヤの黄色い部分を今風の白カバーで覆えば、ジェンダーカラーも
緩
和され個人的には最強無敵だったろう(チェイサーやランサーエボリューリョンでは、前部
サイドウィンカーを、わざわざ黄色に付け替え
る人もいたようだが)。何より適度にシャープな
ボディラインがいい。昨今の必要以上に丸くなったクルマとは大違い(ただ、何でも過ぎ
ると
良くないので、アルシオーネやスタリオンは、遣り過ぎじゃなかったか、と言っておく)。
同
じリトラのセダンでは、クイントインテグラも存在した。しかし実際どうだったかはともかく
腰高な印象があったのと、リトラ周りを吸気
口っぽくしたことで、何だか 強度が足りない
(スカスカな)感じがし、意匠を凝らしたリトラセダンの中ではアコードが秀でていたと思
う。
(カッコインテグラの長いライトは、この吸気口がデザイン上のヒントになったと推測される)。
・・・うう、
削りまくっても脚注まだ長いね。
こ
の時リトラでスーパーカーを所有する雰囲気を国産車で味わえた人たちを幸福だったと思う。
その後、常時点灯義務化で対米輸出に不適と
されたリトラは、アッという間に姿を消したからだ。
実際、これの次に来るのは?
と期待していた4代目アコードは、2代目後期の先祖返りであり、
(決してダメではない。むしろ当時の小学生の間で
2代目後期は格好いいクルマの代表だった)。
GTOやNSXなど元々リトラでデザインされたクルマが、固定式に替わった時の不格好さ
ときたら!
私はガク然とした。リトラを返せぇ*と。しかし不思議なことに、当時のリトラを大事に乗ってる
人って
少ない。 ボディ剛性のせい? 毎年車検のせい? はたまた 見たこと無いけど内装?
6~7年で査定ゼロなんて、この国絶対おかしい
よ! 少し前の話だが、アジア方面のリポートで
22年落ちの5代目カローラを今でもお気に入りで大事に乗っている(のを地元の板金屋がかなり
杜撰な修理してたが)のを見たぞ。見習うべきなのに 誰かが労せず儲かる仕組みになっている。
* もっとも、リトラというリトラが
皆格好良いかというと、そーでもない。せっかく電動でパカッと
開いても、丸目2灯だったら
それこそ蛙の顔にしか見えない(初代ユーノスロードスター、サバンナ
RX-7など。丸い形状が、ライトの利にかなっているというのは、頭
では理解しているのだが・・・)。
その落胆の中、異変は起こった。それまでは
スタンザとオースター、ラングレーとリベルタビラ
の違いがわかる男のゴールドブレンドだったのに、ラウムとイプサムごときの(あたり
から)
クルマの見分けすら付かなくなってきたのである。確かに一発屋も含め車名は爆発的に増えた。
しかし、それ
以上に、街で見かけて名前を知りたくなるようなクルマが減った。
そ
の後、セダンでちらっといいなと思った車といえば、イヤミのないプレーンなデザインの
10代目コロナ、かぶせモノっぽいけど6代目の先祖返りで成功した8代目マークⅡ後期くらいか。
しかしここの車種、カローラもそうだ
がフルモデルチェンジの度に、特にリヤコンビネーション
を、マイナーチェンジ後の見栄えが良くなるよう
わざわざ余力を残して売っているように思う。
フルチェンジ時クリアランプを廃止、マイナーチェンジでまた戻す、を繰り返すのがその証
拠。
おまけに昨今は、ヴィッツやベルタみたく、鼻の下を 「んもー」と伸ばしたような間抜け面な
クルマも多く、
これも最近のトヨタ車不振の遠因でないかと指摘しておく。ハズれてたらご免。
と
ゆーわけで、私の中で欲しいクルマは今もって22年は前の3代目アコード後期のままである*。
つまり、欲しいけど新車じゃもう売って
ない、だから買えない。まぁ最近ではこの理由のほかに、
新たに車庫や駐車場、使用頻度に対する維持費がペイしないことも加わってし
まったのだが。
*
もちろん3代目アコード(後期)のデザインを完全無欠と主張するつもりはない。低めの車高に
追従しきれず凸方向に出っ張り気味のボン
ネット。リトラ開けた時のライトが昔のブラウン管
みたいなので、もうちょっと(NSXの前期みたく)四隅をピシッと決めて欲しかった
かな? など。
次に、軽自動車はどうだろう。好き嫌いの基準は普通車と同じだが、
ノッチバックは諦める
(あの短胴で、ノッチをやったら後席の居住性を損なう)。これはもう、初代トゥデイ後期と
2
代目丸目4灯ムーヴ(後期は却下)しかない。って、やっぱりどっちも売ってないやんけー!
ホンダのライフはモデルチェンジするほどに
変になっていくし、いっそ初代トゥデイ後期を
継続生産してくれれば絶対そっちを買ってたぞ(今は、安全基準が変わったから、無理?)
「ま
だ過去の遺物にこだわるか、丸目4灯なら何でもいいのか? 」というと、そんなことはない。
まず3代目インテグラ。通称「ヤツメウナ
ギ」「深海魚」などと称されているとおり、海洋生物の
目玉そのもの。また、あのデザインを実現するための継ぎ目も目立つ。6代目セリ
カ。これも
間違いなく丸目4灯だが、何というか、ダルマセリカにあった気品のようなものが感じられない。
8、9
代目セドリックに10代目グロリア。型落ち品がことごとく改造され、迷惑な音量で走ってる。
特にライト周辺を黒く縁取りしたモデル
はさながらマンガの悪役である。俗に不良中年ご用達
と言われ、低迷時に日産自身その気になって悪ノリしてた名残でしょう。日産にも責
任はある。
しかし政府からお叱りを受ける形で導入されたGT-Rの不正改造防止策は、頭悪そうな彼らに
街の美観
を損なわれないためにも大賛成である。
さらに、最近のクルマに
ますます魅力を感じない要因がある。ここ4~5年位のことだろうか?
何だかみょ~に「睨み」や「凄み」のきいた、目つきの悪いヘッド
ライトのクルマが増えた。
ヘッドライトカバーのカタチが変にうねったり、波打ったりしたクルマも(クラウンのような
世
俗の流行を追わないとされる車種までが)。私は、そのようなカタチにする必然性がない、
デザインのためのデザインというのを嫌う(ま
たは、嘘でもいいから、もっともらしい理由が
欲しい)。あの変にうねうね波打ったヘッドライト群は、今でこそ目新しいかも知れない
が、
後代になって『何であんな無意味なカタチ流行ったんだろう?』と、指をさされる恥ずかしい
デザインになって
いたりは、しないだろうか? (その点、リトラはちゃんと説明が付く)。
逆
にうつろな目つきの車というのもダメだ。たとえば、上でも出てきたムーヴの派生機種ラテ。
か
わいいとかいっている女性の気が知れない。見た目に騙されるタイプであろう。あれは
死んだサカナの目をしてる。もしあれが丸目4灯で
もごまかしきれないと思う。オーナーの方、
気を悪くしないでいただきたいが、本音だ。
そ
して現在に至る。こうしてみると、幼少の頃から、私の車のデザインの好き嫌いは ひとえに
クルマの面構え、とりわけライトのカタチに
こだわりがあることをご理解いただけたかと思う。
見た目で伴侶を決める人もいるのだ、見た目で自分のクルマを決める奴が居ても良かろ
う。
あと、私もそうなのかも知れないが、若い頃のあこがれのようなものも間違いなく作用している。
新車には目もくれずハコスカを今風にリメイクしてくれたら600万なら出す、と豪語する50代の
小金持ちさんを知っている(私と同じでリストラ中なのに)。こういう現実も、メーカーはもう少し
直視した方がいい。もちろんメーカーだって慈善事業じゃないんだから、採算が合わなければ
お流れになるのは仕方ない。
日本の代表的な基幹産業が、実は色々な犠牲の上に成り立ってて、その結果衰退せざると
得なかったというのなら、その方がいいのだ。しかし、もっと他に遣りようもあったハズなのに
”欲しいモノを、造ってくれなくなった”という理由で屋台骨が傾くというのは、バカらしくないか。
(2008.09.20)