ニキビの話

ニキビ治療の基本戦略

ニキビに対しては基本的に過酸化ベンゾイルの塗り薬(ベピオ®)を中心とした治療をご提案しています。
過酸化ベンゾイルは(1)アクネ菌などのニキビの原因菌を殺菌する作用(2)ニキビの原因となる毛穴のつまりを取り除く作用があります。ニキビの治療ではこの両方の作用が大切です。特に(2)の効果を長期間得ることで赤いニキビや膿をもったニキビを予防できます。ベピオ®の臨床試験では52週間使用での有効性と安全性が示されています。
これまでにも(1)の作用があるものとして抗生物質(化膿止め)の塗り薬や飲み薬が、(2)の作用があるものとしてアダパレンの塗り薬(ディフェリン®)ありました。しかしながら、抗生物質(化膿止め)の塗り薬や飲み薬では耐性菌ができやすくなること、アダパレンの塗り薬(ディフェリン®)は妊婦さんや妊娠している可能性がある人には使用してはいけないことが問題でした。
過酸化ベンゾイルの塗り薬(ベピオ®)ではそれらの問題がないので長期間使用するのに適しているお薬です。ただし、赤いニキビや膿を持ったニキビが多い場合は抗生物質(化膿止め)の塗り薬や飲み薬を合わせて使用したり、過酸化ベンゾイルと抗生物質が混ぜてある塗り薬(デュアック®)を使用する必要があります。また過酸化ベンゾイルの塗り薬(ベピオ®)のみで(2)の効果が十分得られずに赤いニキビや膿を持ったニキビを繰り返す場合にはアダパレンの塗り薬(ディフェリン®)に変更したり、アダパレンの塗り薬(ディフェリン®)を合わせて使用する必要があります。つまり過酸化ベンゾイルの塗り薬(ベピオ®)を中心としつつ経過や状態によって調節していくことが大切です。

過酸化ベンゾイルの塗り薬(ベピオ®、デュアック®)を使う時のポイント

1.塗った後に皮膚が乾燥して粉をふいたようになったり、ひりひりしたり、赤くなることがあります。使っているうちにそのような症状はやわらいでくることが多いです。はじめから顔全体に使うのではなく、ニキビの症状が特に気になる部分に狭い範囲で塗ってどれくらい乾燥やひりひりするか試してください。数日かけて塗る範囲を広げていき最終的に顔全体に外用するようにします。また乾燥やひりひりが強い場合には化粧水・乳液を使用した後、もしくは保湿剤を使用した後に塗ると症状が軽くなります。
2.毛穴のつまりを取り除く効果があるため紫外線の影響を受けやすくなります。ですので強い日光を避ける必要があります。できれば日焼け止めもしくは日焼け止めの効果がある化粧品を使用してください。日焼け止めの選び方は「日焼け止めの話」を参考にしてください。
3.漂白作用があるので、髪の毛や衣類を脱色します。髪の毛につかないように使用してください。またお気に入りのパジャマやまくらカバーは塗り薬を使っている間は使用せずに、色落ちしてよいものを使ってください。皮膚を脱色する作用はありませんのでご安心ください。
4.以上のことから塗るタイミングは1日1回、入浴後もしくは寝る前がお勧めです。朝からは洗顔後、日焼け止めもしくは日焼け止めの効果がある化粧品を使用してください。

平成27年11月1日
むろい皮ふ科・アレルギー科
室井栄治