国鉄(インチキ)車両図鑑-5
形式DD56 1~12 101~116
DD56形式は、一両当りの出力増大を目的にDD51形式をベースとして昭和44年と昭和46年に、三菱重工、日立製作所等で製造された液体式ディーゼル機関車である。
DD56 1~12(一次・全車体型、SG搭載)
基本構造はDD51/7次車に略同様であり、エンジンはDML61ZA(1250ps)を2基搭載している。
最も目を引くのは外観である。かつて日立製作所が製造したDF91と似通った米国流のスタイルをしていながら、車体各部を構成するパーツは純然たる日本型である点が趣味的に見ると面白い。
こうした目に付き難い類似性は各国にあり、例えば米国サザンパシフィック鉄道やデンバー&リオグランデ鉄道において導入されたクラウス・マッファイ製の液体式DLを見ると、全体のイメージは確かに米国型なのだがキャブだけはドイツ風の造りを見せている。
サザンパシフィック鉄道 9000級
車体の造作は面白さではなく、あくまでも実用に則った物である事は理の当然で、DD56形式の場合は前方視認性の向上と、機械室内のレイアウト上の要請からこのような形態となったのである。単機運転の際は転車台での転向が必要となるデメリットはあったが、多くの場合背中合せの重連運転を行っていた。
DD56 101~116(二次・ボンネット型、SG無)
昭和46年には、三菱重工によって一次型と同じ発想によるセミセンターキャブ型ディーゼル機関車の増備機が15両出場した。
この機関車も形態は違えど同じDD56を命名され、100番代を名乗った。こちらは暖房用蒸気発生装置を持たない貨物線用機であった。
当初同機は秋田・新潟に配属され、主に羽越・奥羽本線の優等列車と重量貨物列車の牽引に当った。昭和48年に羽越本線が電化されると全機海を渡って鷲別に移動、同地のD52に換って石炭列車の牽引に携わった。
JR化後も多くは残置したが、DF200の増備に伴って来年中には姿を消す予定である。
余談を一つ。冒頭で触れた「車両デザインの与影響、被影響」についてであるが、DD56一次型前頭部デザインは、この後昭和50年に米国で登場するEMD社製「F40P」のデザイン処理に影響を与えたとする見方が米国ファンの間に少なからず存在する。