国鉄(インチキ)車両図鑑-2
形式DD52(DD96) 1~2




DD52形式は、DD51と同等の性能を有し、運転台を持たないブース ター機関車として、昭和41年に2両が試作された。

DD52 1~2



その用途は大雑把に言って、
1、幹線における重量列車の補助機関車として使用する。
2、無線操縦を可能ならしめ、都市近郊の貨物ヤードにおける重入換作業の無人化を図る。

米国のディーゼル機関車で言う所の「Bユニット」に相当するこの機関車は、本務機から無線による指令で制御される為、後部補機に就く事も可能なように設計された。



その無線操縦装置を生かし、入換の無人化を図ろうと言うのが、どうやら主な開発意図であったもののようである。

車体はDD51と全く同じだが運転台がない。その代わり回送に使用する露天の簡易運転台がある。他目立つ点は、エンジンカバー上部に張られた無線アンテナであろう。

この機関車を製造中の事、ある新聞社が「ロボット機関車現る!ヤード作業無人化に一役」と言う見出しが踊った事があった。当時はTVの怪獣もの番組の全盛期に当たり、「ロボット機関車」の称名はたちまち子供達の耳に残った。彼らの頭脳はきっと、彼ら流の無茶苦茶な想像を結んだに違いないが、現物を目にしたとしたらそのパッと見の地味さ加減に、さぞや気落ちした事であろう。

幸か不幸か、当時の子供達の夢は破られる事無く済んだ。
無線操縦機器の信頼性の低さによって、先ず「ロボット機関車」としての性能を発揮する事が出来ず、更に貨物列車の運転形態が拠点間直行型に移行し始めた時期と重なった為、有効な仕事場が無くなってしまった事で、この機関車は存在意義を失ったのである。

当機は2両とも札運に配置され、苗穂や野幌の操車場で実験が繰り返された。実験後は旭川に移動し、冬季の重排雪列車に補機として使用される他は殆ど使用される事が無かったようである。
平成2年に車籍抹消され、保線機械として苗穂操車場の片隅にカバーを掛けられて鎮座している。