国鉄(インチキ)車両図鑑-3
形式KD70
昭和40年代をいささか滑稽に彩る、所謂「オイルショック」に危機感を募らせた当時の国鉄は、備蓄石油の枯渇を念頭に置いた代替エネルギー機関車の設計に乗り出した。
その筆頭に挙げられるのが、蒸気タービン式電気機関車、KD70(仮形式)である。
KD70(計画のみ)
軸配置は4-2-0+0-2-4。
向かって左側が「エンジン」部分。エンジン車の右側に横置きボイラーを設置。タービンによって2基のダイナモを回し走行用電力を得る。右側が「テンダー」部分で、給炭はメカニカルストーカーによる。コンピューター制御で火室内の調圧を行う為、基本的には機関士のみの一人乗務も可能であった。
燃料は粉炭、塊炭のどちらでも使用できるのがミソで、短時間の運転であれば常磐炭等の低質炭でも必要な圧力を得る事が出来た。
開発には一流電気メーカーが協力し、その仕様が徐々に明確に定まって行った。設計が進むにつれて、当初の設計通りの軸重を維持する為に決定的に定格出力が不足する事が判明したのである。
結局この開発は机上の空論で終わってしまった。しかし現在の技術力を以ってすれば、蒸気タービン機関車も実用化できる段階になっていると言う。唯、それだけの機運とこの種の機関車の需要が、この不況下どこを探してもないと言うだけの事である。