国鉄(インチキ)車両図鑑-9
形式C14




C14形式は、英国ノースブリティッシュの手になる8700形式を過熱式に改め、更にタンク化した機関車である。

英国製テンダー機8700形式は大正10年頃までに、それまでの飽和式から加熱式に改められたが、これらの殆どは昭和9年にタンク機関車に再改造されている。


8700


重量配分の関係から軸配置は2-C-2バルチック(ハドソン)。因みに本形式が国鉄初のハドソンとなった。
これより少し前の昭和8年には、C12をより簡便な構造に改めたC13形式の設計が進んでいたが、昭和不況が鍋底の状況を呈したその時代に新製機を投入する必要性は薄かった。同時に改造が決定していたC14が先行して登場し、C13は戦時中に買収した私鉄機に付番されたのである。
当初同機は鷹取と兵庫に配属され、C10と共に東海道本線の京阪間緩行列車の牽引に当たった。



元が元だけに高速性能は良好で、東海道の大後輩C53の牽引する「燕」を、大阪~尼崎間で追い抜く場面がしばしば見られたのは有名である。改造機とは言え、元東海道のスター機関車であり、若い者に道を譲るにはまだ早いとばかり余裕の走りを見せていた。

戦後になると次第に表街道から福知山、鳥取、出雲等へ転出し、山陰本線とそれに接続する地方線で客貨列車に充当された。1号機だけは入換専用として鷹取に残されている。



このように長閑にローカル列車を牽引して最後の奉公に勤め、徐々にC11やC12と交替して行き、昭和39年2月、鳥取区の6号機が火を落として形式消滅した。