Zスケールの客車を寝ても醒めても作る





今般のZスケールの進展を見るに付け、70年代前半のNゲージ事情が懐かしく思い出されます。即ち、

「何時まで485ばっかりなんだよ!」

と言う苛立ちです。

取っ掛かりとしての485系と言う選択は、実に巧い所を突いたなと感心しました。年少者も年配者も知っている上に、全国的にメジャーな車両でもあります。ぼちぼち他社の参入も期待出来る今日この頃、私も一つ腹を括ってみようかなと思っていました。どうせなら製品化がほぼ期待出来そうもない旧型客車や一般型気動車あたりが欲しい所です。


ではどう作ろうか、あれこれ悩みました。「窓抜きとジャングルジムの思い出はいつだって流血」。どうかして窓を抜かない工法は無いものか。

そこで思いついたのが(安易だなおい)、インクジェットプリンタ用透明カッティングシートに画像を印刷し、それをアクリルや塩ビ等の透明素材に貼れば窓抜きせずとも完成するのではないか。で、必要な部材を集めて自説の通りにやって見ました。

で、これが大失敗。カッティングシートの特性なのか、下地が白くないと殆ど発色しません。アクリル板に張られた側面部材は、何となく「でんしゃが描いてあるモノサシ」にしか見えず、周章狼狽為す所を知らず、落胆し愁嘆し我が身を呪う日々を過ごす事とは相成りました。

これでへこたれては、あの世でホーンビィやグリーンリィに合わせる顔がありません。どうやら発想を変える必要がありそうです。いっその事窓は塗装で表現してしまおうか、おぉそうじゃそうじゃ。思い立ったが仏滅とは申しますが、これが案外巧く行きました。白いプラ板に張り付けると、黄色系以外の色は見事に発色しています。その後試行錯誤を繰り返し、どうにか作り方を掴みました。以下ご参考までに。





先ずは車体の芯になる「アンコ」を作ります。10×30㍉のバルサ材を「大体90ミリ程度」に切り、485系の足回りの突起が当る部分を削り落とします。爪が汚いですね、これはスエード調塗料の残滓です。






「アンコ」を包む皮は、やはりカッティングシートが最適でした。作例ではエーワン㈱の「インクジェット用透明光沢A4フィルムラベル」を使用しています。剥がして厚手の白ボール紙に貼り付けます。プラ板でも良いのですが、加工しやすさと元手が掛からない事からボール紙を選択しました。






車体の各部をカッターで切り離し、切断面の白くなっている部分を「筆ペン」で黒く塗っておきます。カッティングシートには、塗料はほぼ効きません。それどころか水気は厳禁です。ちょっとした水滴で塗装は見事にグズグズになってくれやがります。




車体の各パーツを切り出したら、ゴム系接着剤でハコに組み上げます。ナハ10やスハ43のような切妻車体ならばこれでOKなのですが、ベスティビュールを持つオハ35系はちょっと工夫が要りました。これはいずれ触れたいと思います(写真何処いったんだ?)。ハコになった車体をバルサのアンコに被せて見て、当りが無いかどうか確認します。良ければゴム系接着剤で固定します。接着剤が乾かない内に485の足回りを履かせて、高さを調節します。




バルサのアンコは上にかなり飛び出している筈なので、これをカッターで削って屋根の芯材とします。バルサの屋根の上から木工用パテを塗り、アンコと車体肩の僅かな隙間を埋めるようにして塗って行きます。乾燥したらサンドペーパーで整形。ベンチレーターは本作最大の見せ場である為に既製品を奢りました。キッチンの「小型ガーランドベンチレーター」が大きさ的に丁度良いので採用しました。実に引き締めてくれます。









この製作に必要な足回りが欲しくて箱買いをした際に入手出来た動力ユニットは、同じような手法でこさえたキハ52の足回りに化けています。動力を入れる都合で「アンコ」は用いず、ボール紙製のハリボテになっています。会議用テーブル1枚の上に敷かれたエンドレスを走る「普通の顔をした列車」。出来は酷いものですが中々遊べそうです。

その内にEF81が発売されれば(出るんでしょうねぇ恐らく)、そのサイズに合わせて全て作り直す破目に陥るかもしれませんが、そうなったらそうなったまでです。
小さいスケールのモデルだからと言って小さく纏めてしまう必要は無いと思います。Nのレイアウトが作れるスペースで(例えば1800×600程度の)よりゆったりと走らせて見たいものです。





原寸




そんでこんなのをいずれ。