ヶサハ41形式




他で既述した通り、嶺積軽便線が存続し得たのは、沿線に大規模な工場があり その通勤輸送が大きな存在意義となっていた為である。
ヶサハ41は朝夕の工員輸送の為、収容力の大きな客車を改造して電車化し た形式である。元々は千谷軽便線で客車として使用されていたヶホハフ41011 (長ケチタ)で、昭和39年に扶前沓島電車区(嶺ケフク)に転入して来た。
外観は客車そのものであるが、便所、洗面所、デッキ仕切の撤去、引通管 、電気ヒータの取付けを施され、電車の一員となった。
嶺積線、嶺岡〜扶前沓島間の「標準軌区間」は、日中キハ35やキハ23の2 〜3連で運転されるが、朝夕のラッシュ時になるとDE10の牽引する客車(35系、 43系8〜9両)が通勤者を満載して到着する。通勤者の殆どは軽便線で一駅 行った先の西沓島(冨士軽金属第一ゲート)で下車するのだが、元々収容力の 小さい軽便線の車両では運び切れる物ではない。そこでこれらの車両の出番 となるのである。
ヶクハ90+ヶクモハ90+ヶサハ41+ヶクハ15+ヶクハ15+ヶED112
こう言った目も眩むような編成が一駅間を何度も往復するのが、嶺積軽 便線の朝の風物詩なのだ。



ヶサハ41000