ヶED11形式
国鉄は嶺積軽便線の買収後同線の客貨分離を推し進める。買収前は前述のヶクモハ14がそれまでのSLに代わって客貨車を牽引していた。これを旅客はヶ10系電車に、貨物は専用の電気機関車に切り替える目的で製造された電気機関車が、ヶED11である。
製造は昭和8年。まだ国産電気機関車の製造が緒についたばかりの時代で、構造的にはED53辺りを参考にしたとされている。実車は凸型で、運転台回りの印象が1号機と2号機でかなり異なる。車体は日本車両が、機器類は三菱電機が担当した。
戦前期、冨士軽金属が沓島に工場を建てる以前、嶺積軽便線の貨物は主に農産物、殊に名産の菜種が主であった。収穫シーズンには荷を満載した有蓋車を連ねた貨物列車が日に4往復もしたと言う。戦後も沿線発着の貨物は存在したが、昭和35年5月のダイヤ改正で扶前沓島~積川間の貨物列車は廃止される。
その後は既述の通勤列車の牽引に当たる他、保線工事や車両の授受等を主な仕事としている。
ヶED111
ヶED112