模型架鉄-野を行く電車
模型架鉄一つ話-野を行く電車の事-
子供の頃、跨線橋から構内を眺めるのが好きだった。
山を越えて来たD50やD51が水を呑んで体を休めている構内の外れに、一際静かな一隅があった。
そこは野を渡って小さな村々を巡る電車の乗り場。
何時か街へ行きたいと思って憧れの目で見ていた蒸気機関車の群れ、それと対照的に、電車は余りにも日常的で退屈な光景に過ぎなかった。
野を行く電車が走らなくなったのは、私が大人になった頃だった。