交響曲「左折」







第一楽章:驚愕


車を運転していると、ウィンカーが点滅しない事に気が付いた。

これは大変だ、左折しなければならないのに、このままでは後ろの車に迷惑が掛かる。


第二楽章:焦燥


慌てて代替案を考えた。

―そうだ、学校で習った「手信号」を出せば良いんだ。左折する時は、ええとどうだったっけ。


第三楽章:疑念


そうだ、左折の時は右手を直角に上げるんだ。あれ、でもどうして左折するのに右手なんだ? 右ってどっちだ?


第四楽章:解明


えぇとだから、右はトランプを配る時に伏せておく方の手の反対側だよ。あそうそう、そう言えば石川五右衛門は左利きだったから、釜茹でにされる時は右足から入ったんだよ。


第五楽章:迷宮


右手で茶碗を持つと箸が持てないから、その時は口に箸を咥えてご飯を差すんだ。そのまま上を向けば箸の上を転がってご飯は口に入る。
そう言や、右手で茶碗を持って右足で箸を使って器用に食べていた格闘家がいたよなあ。


第六楽章:団円


よし、右と左の違いは判ったぞ。もう大丈夫だ。


第七楽章:左折


ウインカー点かないけどね。