道連れ
淡い冬日に照らし出された河原の土手道を歩いていると、何時の間にか私と同世代の男と道連れになった。
彼は実に良く喋り、そして言葉の合間合間に「サッカー、サッカー」と挟んで来た。サッカー選手なのかなと思っていると、
「これから取材に行くんです」
と言う。ではスポーツ紙の記者かと思えばそうでもない様子で、土手道のすぐ脇にある大きな神社に降りて行って、宮司に何かを聞いてはメモを取っている様子だった。
事によると彼は「サッカーの人」なのではなく、「作家」なのではないかと思い始めた。そんな彼は、宮司に案内されて本殿の向かいにある井戸を覗き込んだりしている。
どうやら彼は気が済んだようで、再び私と歩き出した。
「あの、失礼、あなたは作家さんなんですか?」
その答えが返って来ない内に、河原の方から物凄い勢いでサッカーボールが飛んで来たかと思うと、彼はそれを巧みにトラッピングして暫くの間「曲芸のようなボール回し」を披露した。
どっちなんだよ!