狐狗狸さん







真新しいオフィスビルの中。
ミーティングが始まると言うのに会議室の場所が判らずオロオロしていると、廊下に面した交番が目に入った。警官にそう訊いて見ると、

「この廊下の突き当りが電車通りだから、電車で3ツ目の停留所で降りてね。醸造所と神社の間を入って行くと竹薮があるから、そこが会議室だよ」

言われた通りに歩いて行くと、確かに電車通りに出た。やって来た路面電車に乗って「何だかんだ」あったものの、醸造所の前の電停まで行く事が出来た。

「何だ」=私は元々蓼川で飼われていた豚ですが、悪い魔法使いに魔法を掛けられてこのように路面電車にされているのです。助けて下さいブウ。

「かんだ」=そうは言っても彼も路面電車の生活にそれなりに満足しているようで、同僚とすれ違う時「ブウブウ♪」「ブウー♪」等と楽しそうに声を交わしていた。

何時の間に魔法とやらが解けたものか、件の竹薮の前に私と例のブタ君が並んで立っていると、急に藪の中からブチ犬の格好をした「子供の頃の飯坂君」が飛び出して来た。

「おい、N! どこ行ってたんだよ。お前がいなけりゃコックリさんが始まらないじゃないか!」

彼の後ろを見ると、狐の面を被った「見覚えのない男の子」がケタケタ笑いながらこちらを見ている。ミーティングじゃなくてコックリさんをやるんだったっけか? じゃぁ俺が狸役なのかな?
飯原は丸い顔を心持ち長くしながら、私ではなく横で腕組みをして考え込んでいたブタ君を連れて藪の中へ消えた。ん? 俺が狸役じゃないの? ブタ君なの?

急に暇になった私はその場に座り込んで電車通りを眺めていた。急に線路を外れて蛇のようにウネウネのたくりながら、通りの向こうの堀川に飛び込んで泳いでいる電車がいたので、あぁ、あれは多分アヒルが魔法に掛っているのであろうな等と感心した。
会議がどうなったかは判らない。