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去年から今年にかけて3つの団体でチャイコフスキーの交響曲第五番を演奏する機会がありまして、昨日はその最後の演奏会でした。
今まで幾度となく演奏してきた、私も大好きな曲ですが、見慣れた楽譜に、正直なところ新鮮味はありません。
オーケストラの練習は指揮者との打ち合わせが殆どです。
例えば、ここはバイオリンはsulGで弾けとか、ここからはアチェレランドしていくから指揮者を見ろとか、ここからは指揮を2つに振り分けるとか、そんな技巧的な打ち合わせを細かくしていきます。
本番では細部にわたった決め事を再現していくわけですが、それも慣例通りの場合が多く、幾度も演奏を重ねた曲ですと、余裕がある分指揮者を見る目も冷静になってしまい、演奏も機械的になりがちです。
昨日もリハーサルまでは他の演奏会と同じで、本番では自分なりのベストを尽くせば良いと思っていました。
幕が開いて演奏しはじめると、私は魂が震えました。
指揮を通して、私は魔法をかけられたようにチャイコフスキーの音楽の世界へ入ってしまいました。
二楽章では感動で涙が溢れ、三楽章では楽しげなワルツに自分を委ね、終楽章ではこれでもかと言わんばかりに熱くバイオリンをかき鳴らしました。
リハーサルとは違う、魂の叫びのような指揮ざまに、完全に圧倒されたからです。
彼は多くを語るタイプの指揮者ではありません。ただステージ上でさらけ出す、彼が具現化したい音楽がどういうものかということがストレートに伝わってきて、醒めた演奏ができなくなってしまったのです。
数え切れないほどの演奏会に参加しても、決めごとの再現を忠実に行うことに徹したクールな演奏をしている場合がほとんどで、昨日のような経験を味わえることはごく稀なのです。
こんな音楽との出会いを体験したくて私は今日もバイオリンを弾いているのかも知れません。
年末にも同じ指揮者で第九の演奏会を予定しています。今度はどんなベートーベンの世界へ連れて行ってくれるか楽しみです。
◆市制40周年記念和光シビック・コンサート
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」
12月12日(日)
和光市文化センターサンアゼリア大ホール
指揮:西田 博
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