秩父歩き巡礼 (2008年10月26日〜10月30日)
8月下旬のある日、ニュージーランドから友人のマイクさんがやってきた。6月に職場を早期退職し、第二の人生の最初のイベントが日本での3ヶ月間の滞在だった。まずは私と一緒に富士山に登ったあと、マイクさんは一人で日本中の知人を訪ねてまわることにした。マイクさんは山岳ランナーなのでともかくもアウトドアに徹したいのだが、彼の友人である日本人たちもそうであるとは限らない。観光地見物をしては素晴らしい料理をごちそうになる毎日に、マイクさんもとうとう「これはちょっとまずい。体がなまってしまう・・・」と言い出した。そこで私はマイクさんを誘って秩父の歩き巡礼に出ることにした。快晴に近い天気の中、秩父路はすでに秋の盛りだった。
1.秩父巡礼とは?
「遍路」ではなく「巡礼」という言葉が使われる寺巡りでは、西国三十三ヶ所、板東三十三ヶ所、秩父三十四ヶ所の三つが有名だ。いずれも本尊は観音菩薩(四国八十八ヶ所の本尊は寺ごとに異なっている)。上記三つの観音巡礼の寺数を足すと全部で百になる。秩父だけ三十四ヶ所なのは合計の数字を切りのよい百にするためであったようだ。三つの観音巡礼の中では秩父巡礼の歩行距離が最も短く100kmほどである。
2.巡礼の決まり事
四国遍路と同じと考えていい。お接待の風習はないものの、歩いているといろんな人に声をかけられる。
3.時期
歩行距離が短いので寒かろうが暑かろうが長くて1週間もあれば終わってしまう。自分の都合に合わせて時期を選べばいいだろう。
4.装備
今回は秩父まで車で入ったので着替えなどはすべて車の中に置いておくことができ、行動中の荷物はサブザックとショルダーバックだけだった(マイクさんはサブザックのみ)。ザックの中身は懐中電灯、雨具、水筒、タオル、昼飯、ちり紙、カメラくらいのもので非常に軽い。ショルダーバックの方には地図、さいふ、参拝セット(納経帳ほか)といった出し入れの多い物を入れておいた。
5.宿泊
今回は全日程(現地5伯)をキャンプで通した。秩父にはキャンプ場がいくつもあるが、たかがキャンプになんでこんなにお金を払うの? というくらい高かったり、あるいは融通が利かなかったり(特に公営キャンプ場)したので、結局、秩父市郊外の浦山ダムにある小さな公園でキャンプすることにした。トイレも近く、快適だった。夜になると星がたくさん見え、シカがテント脇にまで出てきた。なお秩父三十四ヶ所には宿坊も善根宿もなく、一般的には民宿やホテルを利用することになる。
6.歩き方
荷物は軽いし日程も短いので歩き方には特に気をつかわなかった。なお毎日、出発点に置いた車まで歩いて戻ることにした。たとえば前日に11番まで歩いたら、翌日は11番に車を置いて27番まで歩き、また11番まで歩いて戻ってきた。そのため歩行距離は時に大幅に伸び、50km以上歩いた日もあった。懐中電灯は必携。なお寺の間の距離が短いので、トイレはすべて寺で済ませることができる。
7.洗濯、入浴など
洗濯は適宜、市内のコインランドリーで行った。入浴は二日に一回、市内の温泉に入った。また、日が暮れてから大型スーパーを訪れて値引きになった食糧を購入するようにしたので、食費も大幅に節約できた。
8.ガイドブック
秩父巡礼のガイドブックは本屋には置いていないことも多い。ネットで1冊購入して持っていったが結局あまり使用しなかった(寺の写真ばかりで歩き巡礼には重いだけ)。寺には秩父巡礼の簡単な地図が置いてあるのでそれをポケットに入れて携行し、それ以外には市販の秩父市の地図(1枚もの。2万5千分の一)を購入して持ち歩いたが大変役に立った。なお、道標がつけられてはいるものの四国ほどには多くない(特に郊外)。
最後に
こうした形で日本の文化に触れるのは異国の人にとっては得難い経験となる。歩きながら、あるいはまたテントの脇でラーメンをすすりながら、たくさんのことを語り合った。忘れがたい思い出である。
携行品
@遍路用品
納経帳、納札、ろうそく、線香(以上は現地購入)、金剛杖、わげさ、数珠、経本、白衣、ライター
A衣類関係(基本的に登山用の軽く、そして乾きやすいものを3着)
Tシャツ、上着、ジャケット、下着、靴下、タオル、乾きやすいトレーナー、ポンチョ
B日用品
キャンプ用品(テント、寝袋など)、ザック、肩掛けかばん、懐中電灯、水筒(ペットボトル)、磁石、運動靴、ノート、ボールペン、地図、ロールペーパー、薬品(ヴァンテリン軟膏、テーピングテープ、風邪薬、目薬、ビタミン剤、ヨーチン、傷薬、イソジン、カットバン)、ビニル袋(大小)、テレカ、石鹸、シャンプー、電気かみそり、ハブラシ、くし、筆記具、カメラ(充電器)、カッターナイフ、ガイドブック