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「果物のある食生活推進全国協議会」では、1人1日当たりのくだもの摂取目標量を200g以上としました。各くだものの目安個数を知り、毎日200g以上のくだものを食べましょう。 |
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200gを摂取するための各くだものの目安個数
くだもの名 |
目安数量 |
くだもの名 |
目安数量 |
みかん |
2個 |
デコポン |
1個 |
りんご |
1個 |
グレープフルーツ |
1個 |
梨 |
1個 |
バレンシアオレンジ |
2個 |
柿 |
2個 |
くり |
12個 |
ぶどう |
1房 |
さくらんぼ |
40粒 |
桃 |
2個 |
すもも |
3個 |
キュウイフルーツ |
2個 |
西洋なし |
1個 |
夏みかん |
1個 |
パインアップル |
0.3個 |
はっさく |
1個 |
びわ |
6個 |
いよかん |
1個 |
バナナ |
2本 |
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果物と美肌の関係 |
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果物を食べると美肌に良いと聞きますが、本当でしょうか。
美しい肌を保つには、規則正しい生活と栄養バランスのとれた食事が大切です。不規則な生活が続くと便秘ぎみになり、全身の新陳代謝がうまく行われなくなるため、ニキビ、肌あれの原因になります。くだものには食物繊維が豊富に含まれており、便秘を解消する働きがあります。また、くだものにも含まれる豊富なビタミンは美容に欠かせません。 特に、くだものはビタミンCの主要な摂取源となっています。ビタミンCは、肌を黒くするメラニン色素の形成の進行を抑える働きがあるので、肌の美白に有効であることが広く知られています。加えて、皮膚の細胞間をつなぎ、肌に水分を蓄えるコラーゲンは、肌の弾力、シワに関係する重要な成分ですが、ビタミンCはコラーゲンの形成に不可欠な成分にもなっています。 くだものにも豊富に含まれるビタミンAは皮膚を健康に保つ働きがあるため、不足すると、乾燥肌やニキビ、吹き出物ができやすくなります。また、体内でビタミンAに変換するプロビタミンAであるα−カロテン、β−カロテン、β−クリプトキサンチンも効果があります。 さらに、くだものにも含まれるポリフェノール類は肌のくすみ等の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。 このように、くだものは、美容に欠かせないビタミン等機能性成分の補給源であり、また、カロリーが少ないので、栄養バランスを崩しがちな20、30代の食生活には、ダイエットのためにも積極的に取り入れたい品目といえます。
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果物と農薬の関係 |
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果物には農薬が付いているような気がしますが、そのまま食べても問題ないのでしょうか。
農薬は、病気や害虫等から農作物を守るために必要な資材ですが、使い方を間違うと生物や環境に悪影響を与えてしまうことがあります。そのため、農薬には、作物に残留した農薬が人体等に影響を及ぼさないよう、厳しい規制がかけられています。具体的には、農薬取締法によって登録制度がとられており、安全性等が確認され、国に登録された農薬以外の製造、輸入、販売及び使用が禁止されています。登録に当たっては、安全性に関する厳しい審査を受ける必要があり、特に農薬の作物残留に関しては、残留農薬基準等の厳しい基準が定められています。この基準は、人が一生涯にわたり毎日摂取しても影響がない量をもとに設定され、この基準以内の摂取であれば、消費者の健康が脅かされることはありません。 また、平成18年5月29日から新たな残留基準制度(ポジティブリスト制度)が施行されました。この制度では、原則、すべての農薬等について残留基準を設定し、基準を超えて食品中に残留する場合、その食品の販売等が禁止されています。 残留農薬基準を超えないためには、正しい使用方法を守ることが前提となるため、農薬の使用に当たっては、農薬使用基準(農薬ごと、対象作物ごとに設定された使用時期、使用回数等)が定められています。この農薬使用基準に違反する農薬の使用は禁止されており、違反した場合には厳しい罰則が課せられ、流通段階においても、農産物の抜き取り検査等が実施されています。 こうした仕組みにより、残留農薬に対して十分に高い安全性が確保されています。それでも心配な方は、くだものを食べる際に洗ったり、皮を剥けば、残留農薬基準をはるかに下回り、安心してくだものを食べることができます。
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果物と便秘の関係 |
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果物には、便秘を予防する成分が豊富
「たかが便秘」といって放っておくと、腸に老廃物が溜まったままになり、食欲不振、腹部膨満感等の症状が出たり、大腸ポリープや大腸がん等を発症することがあるといわれており、便秘の原因を解消して便通をスムーズにすることが、健康につながるといえるでしょう。便秘の予防において問題視されているのは、食の欧米化です。肉類や動物性脂肪のとりすぎはエネルギーの過剰摂取による肥満を招くばかりでなく、食物繊維の不足を生みます。食物繊維は、便のかさを増したり、腸を刺激したりすることで、ぜん動運動を促すとともに、水溶性食物繊維は腸内有用菌を特異的に増殖させますから、その結果、スムーズなお通じを迎えるとともに、健全な腸内環境を保つことが可能です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、成人男性で1日19〜27g、成人女性で1日15〜21gの食物繊維の摂取を勧めています。また、日本肥満学会でも、肥満の人は1日30gとるように指導しています。ところが、日本人の食物繊維の摂取量は14.2g(平成20年国民健康・栄養調査)とまったく足りていません。
くだものには、食物繊維がたっぷりと含まれています。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、両方含まれている食品の方が、食物繊維の働きがより高まるといわれています。くだものには両方の食物繊維が含まれています。
また、くだものは低エネルギー食品であり、エネルギー量(kcal)当たりの食物繊維量をみると、ごはんや食パン等の穀物より多く、ごはんと比べるとその含有量は10倍以上になります。エネルギーのとりすぎを心配せずに食物繊維を普及できる食品といえます。
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スポーツと果物の関係 |
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スポーツをしたときに果物を食べると効果があるのですか
健康的な生活をするためには、適度な運動が必要です。しかし、激しい練習を積んでいる運動選手はもちろん、適度なスポーツをしている人においても、運動後は、水分のほか、失われたエネルギー源と健康維持に必要なビタミン、ミネラルをくだもの等からしっかりと摂取する必要があります。くだものには、エネルギー源となる糖質として果糖やブドウ糖が豊富に含まれているため、運動後のエネルギー補給に適しています。また、くだものに多く含まれているビタミン、ミネラルは速やかな物質代謝を助け、疲労回復を促進させる働きがあるため、くだものの摂取は重要です。 激しい運動を行い、身体がストレス下におかれると、体内の生体成分を酸化させる活性酸素が増加します。くだものにも含まれるビタミンC、Eやポリフェノ−ル類は活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があるため、運動後にはくだものを積極的に摂る必要があります。 このように、くだものはスポ−ツには欠かせない品目ですが、運動後速やかに摂取する観点から、生鮮くだものはもとより、ジュ−ス(果汁100%)を活用するのも賢い方法でしょう。
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果物と健康 |
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くだものを朝食に食べると効果はありますか
くだものには、体調を整えるビタミンや吸収しやすくエネルギー源になる果糖、ブドウ糖が多く含まれています。脳のエネルギー源はブドウ糖のみです。睡眠中に消費されたブドウ糖をできるだけ早い時点で効率良く摂取し、活力ある1日を送るため、そのスタートとなる朝食でくだものを十分に摂り、失われた有効成分を速やかに補給すると効果的です。 また、くだものには水分やさわやかな食感を与える有機酸が多く、朝でも食べやすいうえ、唾液の分泌を促進させて食欲の増進にも役立つとともに、くだもののもつ香り、色等が、あわただしい朝に精神的なゆとりを与えてくれます。さらに、くだものに含まれるカテキン類には、口臭予防効果がある等のメリットもあります。 このように、1日のうちで朝くだものを摂ることには多くのメリットがあるのです。
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果物とカロリー |
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果物は野菜と比べてカロリーが高いのではないか
一般的に「くだものはカロリーが高い」というイメージがあるようですが、本当にそうでしょうか。 例えば、くだものの100g当たりのカロリーは、りんご54kcal、みかん46kcal、日本なし43kcal、もも40kcal、あんず36kcalです。一方、同じ分量のごぼうは65kcal、パセリは44kcal、にんじん、たまねぎが37kcalで、グリンピースは93kcalです。こうして比べると、くだもののカロリーは野菜と比べてそれほど高くないことが分かります。むしろ、野菜の種類によってはくだものよりカロリーが高い場合もあるわけです。 さらに注目したい点があります。それは、くだものは野菜と違ってそのまま食べられる食品という点です。ほとんどの場合、くだものは調理や調味をしないで、そのまま食べます。一方、野菜は煮たり焼いたり炒めたりすることが多く、生でサラダとして食べても、ドレッシングやマヨネーズをかけたりすることがほとんどでしょう。そうすると、カロリーはどうなるでしょうか。例えばししとうがらしや青ピーマンは、生ではりんごよりカロリーは低い(100g当たりししとうがらしは27kcal、青ピーマンは22kcal、りんごは54kcal)のですが、これらを油炒めにした場合、ししとうがらしは60kcal、青ピーマンは64kclとなり、りんごよりカロリーが高くなってしまいます。マヨネーズやドレッシングをかけた場合も、それだけカロリーはプラスされてしまいます。
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果物と中性脂肪 |
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果物を食べると中性脂肪が増えると言われますが
くだものを食べると中性脂肪が増えて高脂血症になったり、通風や高尿酸血症になったりしやすいと一部でいわれていますが、これはまったくの誤解です。
動物実験で果糖が中性脂肪を増やすという結果が出されているものがありますが、これは総摂取エネルギーの20%を果糖で摂取した実験の場合の話で、この実験で用いた量を2000kcal摂取の人間に置き換えると、何とみかんで50個以上食べることになります。これほどの量を継続して食べることはありませんから、この実験データのようになることはありません。
なお、世界保健機関(WHO)等は、糖類に関する多数の文献を精査し、1997年に「糖類摂取は肥満を促進するという考えは誤りであり、果糖やショ糖等の糖類が生活習慣病に直接結びつくことはない」とし、砂糖等の糖類についての有害論争に終止符を打っています。
また、国内でも最近、適度の量のくだものを食べる人は、血液中の中性脂肪の含有量を正常化し、痛風等生活習慣病にかかる率が低いことが明らかになっています。
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