小学校社会科授業づくり研究会 (しゃかつくけん)
        社会科授業力の向上を目指す。筑波附属小の由井薗・粕谷を中心とした研究会。
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 これまでの研究会のご報告

第5回研究会 
大会テーマ「社会科におけるアクティブ・ラーニング」
2016年7月31日(日)筑波大学附属小学校 参加者156名

研究会内容
①粕谷昌良 提案授業 第4学年
 「わたしたちの生活と廃棄物」~残り少ない埋立処分場とごみの資源化のなやましさ~

 東京都の埋立処分場は残り50年と言われる。しかし見学に行くとあふれ出る浸出水(汚染水)を処分のために数百年間も処理を続けなくてはならないことや、ごみの埋め立て地は地盤が不安定なため公園くらいしか用途がないことを知る。子供たちが、ごみを減らすために考えを巡らせるなかで、徳島県上勝町の51分別を提示する。分別によって23区の資源化率20%を大きく上回る77%を実現している。
 しかし、上勝町の人口はわずか2000人。東京で生かせる点は少ないのではないかという議論が起こる。「東京では人口が多いから協力は難しい」「忙しい人が多いから無理では」と。そこで、広く行われている一般廃棄物の有料化を代案として提示し、双方の取り組みを検討していく。子供たちは「お金で無理やり取り組むのはどうか。」「いや、東京はいろいろな人がいるから51分別は協力できない。有料化の方がいいのでは」などの意見が出て紛糾する。
 そこで、教師が2年目以降のごみの量の推移を資料で提示する。有料化は大きく減った後、徐々に増加して元に戻っていくのに対し、上勝町は少しずつであるが減っていく。その違いは何か。子供たちは上勝町の取り組みがリサイクルを通して、生活や仲間づくりにつながっていることに気づいていく。

②由井薗健 提案授業 第3学年
 「たんけん発見つくば小のあるまち」~「つくば小のお宝」からまちの様子が見えてくる~

 江戸時代の水道管である「木樋」を白布に包んで子供たちに提示する。子供たちは興味津々。現れた木樋をじっくり見つめる。木樋はこの筑波大学附属小学校から出てきた江戸時代のものであること伝える。つくば小のお宝だ。どうして木樋が出てきたのか考える。
 ヒントになるのは江戸時代の古地図である。古地図によると江戸時代の筑波小は松平大学頭の屋敷だったという。広さ差は62000坪、一般住宅40坪と比べてはるかに広いことを知る。広いお屋敷だったから、たくさんの家来や召使が住んでいて、たくさんの水を使っていることを想像する。だから木樋があったのではないか。
 そこで、「水はどこから引いていたのか?」と発問する。子供たちは学区探検で見つけた「千川」に注目する。千川は今は暗渠になっているが、猫又橋の橋脚跡の遺跡や千川通りという名前として残っているので子どもたちも想像に難くない。古地図にも千川は記されているから間違いないとなる。
 しかし、千川は筑波大学附属小よりはるか下を流れている。水は下から高い方には流れない。どうやって引いたのか?教師は40キロ離れた多摩川から引いていたことを伝える。どうしてわざわざそんなに遠くから引いたのか?問いを残して授業を閉じた。

③シンポジウム「アクティブになる学習問題をどう作るか」

 由井薗は水俣の実践をもとに提案。水俣の実践の問題作りは、水俣病を患った1枚の「手」の写真から始まる。この手では、「箸も握れない」「生活ができない」と子供たちの想像が広がる。患者は小学生で学校に行きたいと書き綴った作文を提示する。同じ小学生である子供の気持ちは高まっていく。いくつかの資料提示のあと、排水の写真を見せ、排水が止まったのは患者が亡くなってから12年もたった後だったと伝える。子供たちは「どうして排水は止まらなかったのか」追求意欲を高めていく。
 粕谷は、広く行われている1枚の写真から気づくことをたくさん発表させる授業は、一見アクティブに見えるが、問題点もあると指摘する。それは、写真からたくさんの意見が出ても、時事に追求するのは1つの問題で、せっかく自分が調べたいと思った問題を採用されない子どもがたくさん出てしまうことを指摘する。アクティブ・ラーニングの要点である、主体的・対話的・深い学びに至るには、クラスの追求エネルギーが一つになるような問題作りが大切だとする。例として高齢の佐藤さん夫妻が営むスーパーさいちの導入を示した。田舎のスーパーの写真とそのスーパーの行列写真から「どうして平凡なスーパーに行列が?」とクラスの追求意欲が一つになっていく。
 アクティブになるのは、活動だけではなく、体の汗(自分の力で調べる)頭の汗(自分の考えを作る)最後に心の汗(どうすればいいのか問い続ける)をかくことだと由井薗は主張した。みんなが幸せになるために本気で考えていくことが深い学びにつながるのではないか。
 粕谷は、身の回りにある「こと」「もの」の社会事象もよく見つめると、それを作った人の願いがあることが分かるという。無機的に見えた社会事象も実は人々の気持ちがあり、それにはたくさんの努力がある。事象だけでなく情意を学ぶことで、社会に希望が持てるようになる。より深く社会科を追求していく子供が育つのではないか。
 今回の議論を受けて、次回は「深い学び」について考えていくことになった。



第6回研究会 
大会テーマ「アクティブ・ラーニングを考える」
2016年8月6日(土)宮城教育大学附属小学校 21名

大会内容
①粕谷昌良 実践発表
②大村龍太郎 実践発表
③宮城教育大学附属小学校 実践発表
④シンポジウム 「子どもたちがアクティブになる学習問題作り」
 由井薗健ほかご参会の先生方と

 宮城教育大学附属小学校の佐藤先生、三浦先生、前田先生のご配慮で、初めて筑波大医学附属小学校以外の会場で研究会を行うことができました。
 実践提案・シンポジウムとも、たくさんの質問や意見交換がされ、考えを深めることができました。
話し合いから見えてきたことをまとめると、
①学習問題は、単元の最初に作ったものが全く変わらないということはない。子供たちの学びとともに、「問題も進化する」
②現地での見学や大人たちとの体験活動、インタビューの文字化資料などを通して「事実をじっくり見つめる」ことが大切。
③異なる立場の人の情意に触れ、同じ社会事象をいろいろな角度から見つめる。→「幸せを願う気持ちはみな同じ。悪者を作らない。」「「でも、でも」でつないでいく子供の発言。でもでも星人を作ろう」「子どもは深い学びに至ると、たくさん発言をするのではなく、じっとした雰囲気になってくる。悩んデルタール人」に
④「小さな村が大きな都市のために犠牲になることはしょうがないのか」のような「社会問題の本質」を問うような学習問題が「深い学び」へ
⑤未来に希望を持てるような教材を→未来に希望をもって生きる子どもへ

ということが見えてきました。
また、懇親会にもたくさんの先生方に参加していただき、
社会科について熱い議論が交わされました。

第6.5回 学習会
2016年10月22日(土)筑波大学附属小学校 参加者17名


学習会の内容
1.実践提案
 (1)3年生「23区に海水浴場を取り戻せ」 粕谷昌良
 教科書では、お祭りなどの年中行事で行う単元だが、人々が計画的・協力的に維持する事例として、50年ぶりに葛西に復活した海水浴場を取り上げた。子供たちの主体的な社会参画を狙った実践で、授業者は海水浴場を復活させた側に寄り添うだけでなく、港湾局の立場も取り上げる。子供たちは悩みの中に、将来への希望を見つけ、模索していく。

 (2)6年生「世界の人々とともに生きる」 由井薗健
 「偏見は無知から生まれる」という授業者は、あえてイスラム教を教材化する。日本に訪れる外国人観光客が増加する中、イスラム教徒も例外ではない。イスラム教徒を受け入れるためにイスラム教へ改宗した旅行業者社長を追いながら、イスラム教徒への理化を進めていく子供たち。偏見とはなにか考えさせられる授業。

2.教材開発ストーリ
 (1)粕谷昌良の教材開発
 4年生 11月19日(土)の価値判断・意思決定力を育み社会科研究会の授業に向けての教材開発を紹介。内容は11月19日をお楽しみに。

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