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C. ambiacus Cope, 1872 C. アムビアクス)



Type locality

産地 ペルー:アムビアク河

 Copeによる1872年の原記載では、ペルーのアムビアク(Ambyiacu)河産の正基準標本(holotype)について、地色が淡黄色、体側に多数の茶色いスポット、背ビレの付け根から背ビレ前半分にかけて大きな黒斑、尾ビレに4本のバンドなどの特徴が記されていますが、残念ながら現在ではこの個体標本の色彩は完全に失われているため、再確認をすることができません。下に示す図は、原記載から100年以上も過ぎた1986年に、NijssenとIsbruckerがペルーからエクアドルのコリドラスを再検討した際の論文に掲載されたものです。この論文の中で、NijssenとIsbruckerは、ペルーのイキトス(Iquitos)近辺およびヤバリ河(Rio Yavari)、エクアドルのナポ河(Rio Napo)を産地とする複数の標本を検証し、コリドラス・アムビアクス(C. ambiacus)の地域バリエーションとして認めています。体側に入るスポットの大きさなどは個体差があるものの、明確な特徴としては背ビレの付け根に入る黒斑が四角い形を示し、そこから続いて背ビレ前面の下半分が大きく黒く染まる点があげられます。同じような地域に分布し、混同されることが多いコリドラス・アガシジィ(C. agassizii)では、背ビレの黒斑は第1棘条に沿って前縁部分だけにしか入らず(一番下↓↓の図を参照)、背ビレの付け根では明瞭な黒斑を形成せずに、体が若干暗色になっていると定義されています。私が知る限り、国内外を問わず、これまでに出版されているほとんどのコリドラス関係の図鑑において、これら2種の写真は間違って掲載されており、一般のアクアリストにも多くの誤解を生んでいるように思われます。
 上の写真のコリドラスは「クリプティクスSP」というような名前での入荷だったそうですが、左下の図に示されるタイプに最も近いと判断されますので、ここではコリドラス・アムビアクス(C. ambiacus)の1タイプとして掲載します。同じ地域に分布するコリドラス・レウコメラス(C. leucomelas)のセミロングノーズタイプに当たる種ではないかと思います。この手の模様のコリは、シルバーグレイの地味目な地色を有するコリドラスが多いですが、写真のタイプは、ほんのりとオレンジ色に染まった後頭部から吻端まで細かいスポットが入り、明るめの淡黄色の地皮をバックにして、体側のスポットがくっきりと見えるなど、全体的にメリハリのきいた模様の美しさが光ります。

(2007年9月17日, TA)

Corydoras ambiacus Cope, 1872, aquarium specimen (CAS/SU 52589, SL 53.3mm), illustrated by S.H. Weizman, USNM.
Corydoras ambiacus Cope, 1872, aquarium specimen (CAS/SU 52592, SL 37.6mm), illustrated by S.H. Weizman, USNM.
Nijssen & Isbrucker 1986, p. 12, fig. 5. Nijssen & Isbrucker 1986, p. 13, fig. 6.

Corydoras agassizii Steindachner, 1877, lectotype (NMW 61112, SL 47.4mm), illustrated by J. Zaagman, ZMA.
Nijssen & Isbrucker 1986, p. 15, fig. 7.



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