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内閣総理大臣 福田康夫殿
防衛大臣   石破 茂殿

自衛隊イラク派遣差止名古屋訴訟高裁判決に関する申し入れ

 今年4月1日、自衛隊イラク派遣差止等名古屋訴訟控訴審で、控訴人側の請求は斥けられましたが、判決理由のなかで違憲である等の判決がありました。これに関して控訴人側は5月2日、上告しないことにより確定しました。
 これらは、いわゆる「ねじれ判決」として報道等により広く知られるところですが、この報道に対して福田首相の「傍論ね」発言、田母神空幕長の「関係ねえ」発言、その他閣僚発言などがありました。国の重要な職務にあり憲法尊重義務(憲法99条)のある方々がこのように憲法軽視の発言をされることは、故意に判決を貶めるものとして極めて遺憾であります。
 確かに終審裁判所の最高裁とは違いますが、憲法判断権をもつ限り下級審の判決も尊重し、拘束力がなくとも謙虚に耳を傾けるべきて「蛇足」かのごとき発言は慎むべきであります。
 米国等のイラク攻撃開始以来5周年となりましたが、イラクはいまだ混沌としておりアフガンも同様です。イラク攻撃理由とする大量破壊兵器の存在はなく、米ネオコンの誤った占領政策について、米元高官らの証言も続いています。これらに追随して自衛隊派遣を開始した小泉政権関係者からは何の反省もなく、テロ特措法やイラク特措法はいまなお延長が続いています。
 イラク開戦と自衛隊イラク派遣に際し、札幌での箕輪元通産大臣の提訴を皮切りに全国12カ所、約5700人がこれらを違憲として提訴を開始し、大阪でも作家小田実を代表として1045人、別に36人が本人訴訟で提訴しました。
 これら各地訴訟のなかには一定の理解を示す判決もありましたが、名古屋高裁の判決は、長沼ナイキ訴訟一審で提起された平和的生存権を認め、イラク特措法からみても自衛隊派遣は憲法に反していることを判示しました。
 「戦闘地域がどこか、私に分かるわけはない」「自衛隊のいるところが非戦闘地域だ」など、かつて小泉首相の「迷答弁」がありましたが、元来、戦闘前線と後方兵站線とは線引きできるものでないことは、先の大戦でも立証され軍事常識でもあります。
  4月30日の毎日新聞は、かつての「砂川事件」で米駐日大使と最高裁長官との「密約」があったことが報道されましたが、長沼ナイキ訴訟でも「平賀書簡」という判決に関わる干渉がありました。「傍論」「蛇足」などとして故意に軽視することも一種の干渉であり慎むべきです。平和的生存権または幸福追求権は、今日のワーキングプアの問題を含め、いつまでも具体的権利性のない「絵に描いた餅」であってはならないでしょう。
 政府、防衛省は名古屋高裁の判決を真摯に受け止め、拘束力はないとしても以下を検討されることを申し入れます。
一、速やかにイラクの空自輸送活動を停止し、クエートから撤退すること。
一、「ねじれ国会」のもと強引に延長されたテロ特措法を廃止し、インド洋の海自給油活動を停止すること。
一、かつての「自衛隊の海外派兵をなさざる」国会決議を尊重し、伝えられる「恒久派兵法」の検討をしないこと。

2008年5月10日
               関西共同行動
               大阪市北区西天満4-8-2-501中北法律事務所気付

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