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陸自方面隊指揮所演習「ヤマサクラ51」その後

●ヤマサクラ51と「国民保護」をめぐる問題

・共同民事調整所
  今年2月伊丹でのヤマサクラ51で、開始式の他ただ一ヶ所この部署テントだけがマスコミに公開された。米陸軍情報戦の部署名で「シビル・アフェアーズ」と言うらしい。武力攻撃事態が発生し国民保護法制で自治体・警察などと自衛隊との連絡調整に当たる部署だとする。テントには日米双方約20人がパソコンや地図に目を注いでいた。今後これが各方面隊に「地域連絡調整課」として常設されるという。

・地方協力本部  
  これまで隊員募集を任務とする各地地方連絡部は、組織改編で昨年から地方協力本部と名称を変え、国民保護・災害対策などの任務が加えられ、地方公共団体などの窓口となり、連絡調整官などの専門職を置くことになる。

・中部方面指揮所訓練支援隊
  指揮所演習後新設された部隊名で、場所は総監部近くの川西市陸自阪神病院の敷地内で規模など詳細は不明。方面隊直属の部隊で図上演習などを日常的に指導する専門部隊なのかもしれない。

・米軍の戦闘指揮訓練センター
  ヤマサクラ51の際に米軍司令官が、相模原基地内にこれを設置することを言明していた。その後、相模補給廠監視団『監視団ニュース』(10.15)がこれらをレポートしている。座間の第一軍団前方司令部発足に伴う関連施設で、戦闘指揮訓練センター、戦術作戦センター、各種シミュレーション施設など複数の施設で、約1600坪の敷地に設置され、かなり大規模なもの。今後これらの施設は陸自中央即応連隊(約 700人、今後宇都宮から座間に移転)との緊密な連携が図られ、陸自隊員の研修なども行われると予想される。

・ヤマサクラ53
    伊丹に続いてヤマサクラ53は、今年11月下旬から12月下旬まで東北方面仙台駐屯地などで実施される。陸自東北方面の各部隊と米陸軍第一軍団の各部隊によるが、参加規模などは不明。

・見せざる・聞かせざる・言わせざる
  「赤旗」がスクープした、情報保全隊による住民運動監視活動の一方、ヤマサクラのように演習概要すら公表しなくなった。通訳に招集された予備自衛官の個人サイトによれば「写真とるな、HPで公表したものを使え」「見たこと聞いたことは口外にするな」だった。前回「YS37」のようにホームビジット(民宿)もせず、駐屯地内での茶道・華道・書道などの講習会をHPに公表し「日米文化交流」だとした。なお、軍事使用を禁止する伊丹空港に小型米軍用機など、演習期間に約30回の飛来が確認された。

●日米共同実動演習、その他の自衛隊訓練の動き

・日本原の日米共同演習
  今年11月11日から23日まで岡山の日本原演習場で実施される。米側は沖縄の海兵機動展開部隊約150人。陸自側は混成団から14旅団となった善通寺の15普通科連隊約350人が参加する。日本原での日米共同演習は昨年2月に続いて2回目で、前回は滋賀県あいば野演習場と「相互乗り入れ」の形で行われた。

・平成19年度日米統合実動演習
  今年度の日米統合実動演習は11月5日から16日まで、日米約3万1000人が参加して行われる。3自衛隊側から約2万2500人、艦艇約90隻、航空機約 400機。米軍側から第7艦隊・第5空軍・在日米陸軍・第3海兵隊など約8500人。艦艇約10隻、航空機約50機が参加する。演習場所は日本国内の日米の基地や周辺の空・海域。演習項目はミサイルの発射・島嶼侵攻など戦争勃発を想定し、これらの共同対処、邦人救出・捜索・警護活動などとする。(『朝雲』10.18)なお日本原演習のように、この期間の演習は統合演習の一環として行われる。

・海上阻止訓練(バシフィック・シールド07)
  10月13日から15日まで、日本が主催しオブザーバー含め41ヶ国参加により、伊豆大島海域などで行われた。早く言えばテロ容疑船の臨検立ち入り訓練。03年に豪州で第一回が行われ、シンガポールや日本など今回で5回目となる。

・フォレストライト
  「森の光」という訓練別名。前記昨年2月の日本原・あいば野日米共同演習の頃から言われるようになった。その後今年1月29日から5日間、熊本大矢野原演習場で、海兵隊と沖縄の陸自第1混成団部隊が本土で始めて共同訓練を行った。何れも残雪の森林で主に射撃訓練。北部冬期の雪中演習は「ノース・ウインド」と称し何れも米軍側がネーミングしたようだ。

・対ゲリラ、市街地戦闘訓練所
  東富士、あいば野につぎ三番目の市街地戦闘訓練所が今年1月、宮崎県霧島演習場に建設開所され、都市型対ゲリラ訓練が公開された。マンション・銀行・テレビ局などに模した建物など4棟と本館。今後射撃シミュレーション施設も。

・ゴラン高原派兵
  今年2月、ゴラン高原の国連兵力引離し監視軍への23次隊に、広島の陸自14旅団から派兵。引き続き7月から24次隊に伊丹3師団部隊員が派兵され交代した。海・空7人含め43人となるが、今年度4月からは中央即応集団司令部の直接指揮下に入った。

●海自大阪湾展示演習と米イージス艦入港

・米イージス艦の大阪港入港
  3月1日、横須賀を母港とするイージス艦「ステッテム」(8800t)が大阪南港 に入港した。大阪市には「大阪港の平和利用決議」(94.11)があり、当日早朝、港湾労働者などは入港に抗議した。

・大阪湾展示演習
  今年8月4〜5日、海自呉地方隊の大阪湾展示演習が行われた。事前に参観希望を募ったが訓練内容などはHPにも公表されなかった。淡路・神戸・大阪港で艦艇見学など企画されたが、神戸では花火大会混雑で地元とトラブルがあった。
  参加艦艇は、護衛艦「ひえい」「せとゆき」など6隻、揚陸艦「くにさき」と強襲舟艇2隻、掃海艇、訓練支援艦、多用途支援艦、練習艦、練習潜水艦など約15隻と哨戒ヘリ2機などによる展示演習だった。これらは雑誌『世界の艦船』
 がグラビアで報道した。舞鶴では7月に実施、各地方隊も展示演習は基地近海でやるのだが、呉はPR効果のためか大阪湾で行うのが恒例となった。
  99年は約25隻、04年は約20隻の艦艇で展示演習が行われた。今回大阪港岸壁には5隻が着岸、8月4日に全港湾労組などが抗議集会を開き約千人が参加した。

●防災・対テロ訓練と自衛隊

・9月1日「防災デー」
  昨年の首都圏防災の日には、フリゲート艦など始めて米軍が参加し、神戸空港からは空自輸送へりで医療チームが派遣された。今年も東京湾の米強襲揚陸艦から上陸舟艇LCACが発進され、避難誘導訓練が行われた。

・対化学テロ対処訓練
  昨年は11月、梅田地下三カ所で爆発テロが起きた想定で図上訓練があった。今年2月にはJR新大阪で、走行中新幹線で化学テロがおきた想定で、陸自3師団の防護隊員約60人が出動、警察や消防、JR職員らと対処した。新幹線や空港に近い豊中には、「化学テロ」防護出動専門の消防署が置かれている。

・初の治安出動共同訓練
  警察と自衛隊の共同訓練は頻繁になった。今年2月和泉市信太山駐屯地内で、陸自と府警、奈良・和歌山の県警による近畿初の治安出動訓練があった。外国武装ゲリラが海岸から侵入した想定で、陸自へりや軽装甲車が走り、双方約250人の隊員らが参加した。

・世界陸上、対テロ訓練
  大阪府や府警は8月の世界陸上大会を前に路上生活者への弾圧の一方、テロや暴動に備えるとして16日、約千人で総合訓練を行った。暴徒化したデモ規制やテロ犯のビル立てこもりに、ヘリと地上から突入するなど過剰なまでの訓練。

・地震想定の最大規模訓練
  自衛隊の地震想定訓練は昔からあったが、9月18日から21日まで、陸海空の3自衛隊員3400人、ヘリなど航空機41機や輸送艦を動員するなど、過去最大規模の訓練があった。地震想定の訓練は図上・実動含め今後様々な形で続くだろう。


2007/11/02 W





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