集会・行動案内 TOP
 
大江・岩波沖縄戦裁判、証人調べ

 裁判経過を待たず、早々と教科書改訂意見を公表した文科省当局の動向に対し、沖縄の全自治体が反対意見を表明、県議会は二度にわたり撤回を申し入れた。
 こうしたなかで、大江・岩波沖縄戦裁判もいよいよ証人調べという実質審理の佳境に入りました。原告、被告双方が証人をたて、反対尋問なども注目されるところです。直前となりましたが、以下お知らせします。

●大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判 第10回口頭弁論
日 時:7月27日(金)午前10:30〜午後4:30 ※9:45〜傍聴券抽選まで来場のこと
法 廷:202大法廷(地下鉄淀屋橋下車)
証 人:皆本義博さん(原告側・元赤松隊中隊長)
    知念朝睦さん(原告側・元赤松隊副官)
    宮城晴美さん(被告側・『母の遺したもの』著者)
●裁判報告集会
日 時:同日午後6:30〜9:00
場 所:エルおおさか(京阪、地下鉄天満橋下車徒歩5分)
講 演:目取真俊さん(芥川賞受賞作家)「沖縄戦裁判と歴史歪曲の背景」
報 告:宮城晴美さん(予定)/弁護団/石山久男さん(首都圏の会)/ほか
資料代:1000円

◆次の第11回弁論は9月10日午後1時から那覇地裁で出張法廷。
 被告側証人・金城重明さんの証人調べ予定。
◆大江・岩波沖縄戦裁判支援連絡会 連絡先 FAX:06-6453-2448うずみ火編集部
 HP:http://www.sakai.zaq.ne.jp/okinawasen/
◆以上は「支援連絡会」傍聴参加呼びかけビラからです。沖縄に続いて首都圏でも「支援の会」が発足。裁判には東京や沖縄からも大勢の方が傍聴にこられます。
 原告側もいつもながら傍聴抽選に多数動員。確率から多い方が傍聴席を確保できるわけで、原告側は6:4の割合だと言っています。期日も迫りましたのでより多くの参加を期待します。
===================================================
●コメント
 本訴訟の裁判所事件名は「平成17年(ワ)第7696号出版停止等請求事件」だが、原告側は「沖縄集団自決冤罪訴訟」、被告側は「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」と呼称する。
第8回弁論の3月30日、テレビは教科書検定結果を報じ、翌日新聞各紙も一斉に報道したが「偶然」にしてはできすぎている。同発表は30日午後6時以降報道のところ、原告側は昼間の弁論で早々と言及し、その日の報告集会では「勝利宣言」なども行われた。つまり名誉毀損云々より「教科書改訂」こそがこの裁判のねらいであり、関係サイトによればほぼその目的は達成とし、「従軍慰安婦」問題削除に続く「成果」とみているようだ。
 伊吹文科相は陳謝したものの、文科省は原告側が称する「集団自決冤罪訴訟」名使用の資料を参考にしていた。この裁判の支援団体には「自由主義史観研究会」や「新しい歴史教科書をつくる会」などが加わっているが、一部報道によれば文科省の調査官のこれら団体へ関与していたなど報じられいる。これらを考えると裁判の現場と政府・文科省当局との連係プレーの構図を想起せざるを得ない。

 新しい教科書「つくる会」代表藤岡信勝氏は産経新聞『正論』(6.21)で、調査の結果、集団自決を命令したのは座間味では助役、渡嘉敷では村長だった。命令の権限は行政側にあり、軍守備隊には組織上「軍命令」などあり得なかったという。
 つまり軍民共生一体化が言われた沖縄戦の最中、軍と関係なく勝手に集団自決が行われた。すべての責任は住民側にあり、軍の貴重な武器の手投げ弾が勝手に使われたことになる。亡くなった助役や村長から、今更事実の確かめようもないが「検定意見」発表後、怒る親族らからは「軍命令があった」と口走っていた、などの証言も報じられている。
 また、現代史家を称する秦郁彦氏は同じく『正論』(7.6 )で、防衛隊員に持たせていた貴重な「攻撃用」手投げ弾を、家族の自決用に「流用した」のだと言う。 「一発は敵に一発は自決に」と下士官から渡されたとの証言もあるが、「流用された」となると不正不当に使用され「勝手に自決」したことになる。
 投降すればスパイとみなされ、捕まれば女性は辱めをうけ男は残忍に殺される、など日本軍は信じ込ませたなど「事実無根に近い」とも言う。朝日の社説が「情緒論」だとい批判なのだが、この問題は歴史的な事実関係の問題であり歴史家の氏が知らないはずはなく、わざとそういうアピールをしているしかいいようがない。
 牛島中将は6月23日、「降伏を許さず、最期の一兵まで戦え」と玉砕命令を発して自決したことは知られている。しかし、秦氏は、牛島軍は「米軍の保護に委ねる含みで戦場外への避難を指示した」「その結果28万の住民が投降した」というが論拠は示されていない。疎開はあったが「保護を委ねる」投降を容認するなどあり得ないはなしだ。歴史家だから資料も豊富だろうが、その立場や意図によって歴史を歪曲できるのである。

07/07/25 W
反戦・反基地ブログ