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<ヤマサクラ>に連動する<キーンエッジ>

 今月1月29日から2月8日まで12日間、日米共同統合指揮所演習(<キーンエッジ>「鋭い刃」)が市ヶ谷駐屯地と米軍横田基地などで行われる。自衛隊側は陸海空幕僚監部と陸自方面隊など約1350人、米軍側は在日陸海空軍と海兵隊など約3100人が参加する。
 これに続き2月4日から13日間、伊丹駐屯地で日米共同方面隊指揮所演習<ヤマサクラ51>が行われる。陸自は約3400人、米軍の第1軍団約1400人は本土から来日する。いずれも無関係でなく<キーンエッジ>と連動、双方で1万人規模となる。
 指揮所演習では一般隊員は警備その他を担当し直接的には参加しない。各階級、各種各隊の指揮担当幹部による戦争計画の設計、骨格つくりの演習です。
 在日米軍再編に連動して組織の一元化が図られ「統合幕僚長」が新任され、防衛庁が「省」に昇格される中での始めての指揮所演習となる。何れもシナリオは明らかにされないが、阿部新政権発足のなかで北朝鮮のミサイル発射や核実験の影響もあり、指揮所演習の内容にもこれらが反映されよう。

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 <ヤクサクラ51>を前に今月21日の午後、<ストップ!ヤマサクラ51大集会>が伊丹昆陽池公園で約800人が参加して行われた。以下は大まかな模様です。
 阪神合唱団や宝塚子供会のエイサー太鼓に始まり、主催者、来賓(共産、社民の県議)挨拶。メッセージでは「東京練馬アクション」や地方議員共同アピール(近辺および各地議員50人連名)が紹介された。
 続いてトラック演壇に10人登壇、各団体の「二分間連帯アピール」があった。大阪での取り組みを中北氏。東京から駆けつけた天野氏は海兵隊グァム移転について提起。神戸からは「神戸空港軍事利用するな」の申入れなど原氏から。日米共同演習や都市ゲリラ訓練場の<あいば野>からの報告。千僧3師団隊員だった「元自衛官連絡会」から。連帯労組の川村氏はイラク派兵差止訴訟経過など。このほか尼崎や宝塚の住民運動から、学生グループからなどの発言がつづいた。
 この後、集会決議を採択し、シュプレヒコールを唱和し二列縦隊のデモ行進に移った。事前のデモコース交渉では、警察は極力二つの駐屯地に近づけないようにするので難行したという。ともかく第3師団沿い住宅街をうねうね、総監部に向かってシュプレヒコールをあげながらデモは貫徹された。だが、あまりにも異常な警官の警備ぶりだった。それに比べ、休日のこともあって駐屯地内は迷彩服の隊員をちらほら見かけるだけでひっそりとし米兵も見かけなかった。
 集会で、前日伊丹空港に米軍機が到着したとの報告もあったが、米兵の来日状況は不明だった。しかし予定どうり日本文と英文による総監部への申入れを行い、西門でマイクによる英語の米兵への呼びかけを行った。
 前回<ヤマサクラ37>では、雨のなか3000人で二つの基地を取り囲んだが、今回は人数や厳戒警備のため総監部前廃寺公園で流れ解散となった。予定していた「白いリボン」も警備強化やフェンス周辺改造などで思うようにいかなかった。

 今回実行委は41団体 167名賛同で構成、非暴力と相互誹謗中傷しないとした超党派による取り組みなど主催報告があった。実行委は二度にわたり総監部申入れをしたが返答はなかった。地元市議の伊丹市への問い合わせでは「特に協力要請は来ていない」とのこと。いわゆる恒例のホームビジットなる市民と米兵との交流も予定されない。日米隊員はどうやら駐屯地に「缶詰」状況のなかで実施されるようだ。本番の演習が始まれば隊員らは数日間不眠不休。基地内に異例の「ローソン」を開店させたのも、それらの演習に備えたものだ。

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●シナリオは朝鮮半島有事想定か
 前回00年の<ヤマサクラ37>では、在日米軍公式Hページでシナリオの概略がわかり週刊誌がとりあげた。自衛隊側は公開にクレームをつけたため撤去された。
そんな経緯やウィニー流出問題もあってシナリオは一切公開されず、昨年4月以来マスコミの報道も一切ない。
 山口に某国機械化軍団が上陸し岡山あたりまで侵攻、各部隊や米軍の来援でやっと殲滅したとするのがYS−37の概要。某軍事アナリストによれば「秘密にするほどでない、従来のパターン」という。かつての冷戦時代は極東ソ連軍の北海道侵攻が演習想定だった。それが朝鮮半島有事にシフトされただけの話。そもそも北朝鮮に上陸作戦に見合う輸送船団や機械化軍団があるのか。「これはひょっとして統一後の想定か」と韓国系サイトで疑問が飛び出すほどだった。自衛隊もテロ攻撃想定にしては大規模過ぎることくらい、日頃の対ゲリラ訓練でわかったいるはずだ。

●「島嶼侵攻防衛」の想定
 昨年も1月から2月にかけ<ヤマサクラ49>と<キーンエッジ>が熊本や市ヶ谷などで双方1万人規模で連動して行われた。熊本ヤマサクラに先行し「鉄拳作戦」(派米実動訓練)という専門指導員による特訓が行われた。武装兵に占領された離島にゴムボートで進入する過酷な訓練だったが、<ヤマサクラ49>もこれに共通するシナリオだった。また、これには「国民保護計画」を巡る九州沖縄各県の自治体危機担当員が招請見学した。初めてのことだが今後踏襲される見込みだ。
 昨年の「鉄拳作戦」に続き、今年も1月18日から2月21日まで西部方面隊約 170人の派米実動訓練が行われる。また1月29日から2月10日まで、沖縄の陸自第1混成団約 270人と海兵隊約 100人による日米共同実動演習が、熊本の大矢野原演習場で行われる。(1月28日に地元の反対集会予定)やはり離島を多く抱える沖縄の部隊ということもあり、西方部隊の訓練強化と重視策がこのところ目立っている。 

●中国、ロシアも仮想的か
 自衛隊員私物パソコンからウィニーによる情報流出が続発している。一旦インターネット上に流れた情報は誰でも見ることが出来、それをマスコミが報道する。防衛庁は急遽公用パソコン6万台ほど購入したが流出が収まる保証はない。米軍が公然化していることでも防衛庁は秘密にしたがる。だいたい秘密が多いすぎる。
 指揮所演習は一般に「統括部」大型モニターに、彼我攻防の色分けがあり作戦推移が映し出される。伝えられるところ昨年のキーンエッジでは、青〜自衛隊、緑〜米軍、茶〜韓国、紫〜北朝鮮、橙〜中国、赤〜ロシアなどの色分けだった。
 また、陸自作成の<防衛警備計画>では「侵攻の可能性」について、北朝鮮「ある」 、中国「低い」、ロシア「極めて低い」とし、<国家ではないテロ組織>の不法行為は「小さい」などとする。
 外交上、政府は国名問題を否定するが、一方で鷹派閣僚が脅威論をぶち挙げる。かくして秘密裏に近隣諸国名が演習想定のなかで飛び交うわけだ。「尖閣諸島深刻化」 の事態のなか中国軍の離島への上陸まで想定される。「深刻化」をいうなら日本と韓国、ロシアの領有地や天然資源問題もあり、仮の想定にしても軍事行動を前提とする演習には問題があり、破局を招きかねない。

●<5055概念計画>という日米共同作戦計画
 昨年の北朝鮮ミサイル発射や核実験でにわかに浮上した「5055計画」は02年に日米で合意した。北朝鮮に何らかの激変が起きて朝鮮半島有事となり、在韓邦人や米軍家族らの救出、武装難民を含む大量の難民が押し寄せるなどの想定だ。
 02年締結当時、小規模ながら救出訓練が西方航空基地などで行われたこともあるが、今後この「概念計画」の具体的な見直しのなかで、ミサイル装備の促進化や、各種指揮所演習シナリオの練り直しなどに拍車がかかるだろう。

◆1/21ヤマサクラ集会の報告のつもりが大幅な蛇足となりました。当初ヤマサクラは「1月下旬から」との発表だったこともあり、集会は早すぎたきらいもあり、2月12日頃単独でも申し入れ行動など予定しています。

 07/01/27 W
反戦・反基地ブログ